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ああ、あれか。
[ 持ってただけだ、って風に。
短い答えで区切りをつける。
心理学の道に進むわけでもないのだから、
悩みを抱えるが故と思われてもおかしくないか。
同意が見えたら、
ほんの少し、安堵した。
固めて形を整えた鎧の内側は、
覗かれてしまうことを怖れている。 ]
[ 世を渡る器が出来ればそれで良い。
人生の半分以上をかけたって、
中身は変わってくれなかったから。 ]
……ははっ
そこは誤魔化されてくれよ。
[ あでっ て
わざとらしく声を上げた。
デコピン一発で腫れやしないが。
額をゆるく、さすって。おろして。 ]
どうせ、大人になれば付き合うもんだろ。
火のアテ、……ああ。
[ 問いを遮る。
なるほどな、って、病院の方を見た。
壁から離れて、扉に手をかける。
安くない煙草のおかえしは、
自販機のジュースでどうだ、って、わらって。
外に出たらまた、
冷えた風が頬を撫でる。
頭の中が 雪がれたようだった。
持ったまんまの煙草をくるりと回して。 ]
……友達とな、久しぶりに会ったんだ。
会ったけど ひさしぶり、って、言えなかった。
俺が、昔から変わりすぎて、
どんな顔すれば良いのかわからなくて。
ごめんね、って、気持ち。
ずっと引きずってる、って。
だた、俺が情けないってだけの悩みだ。
[ 軽く流してくれって、浅く笑う。
友達本人に言うのはどうだって、
そう、思いもしたけども。
気づいてないから。
気づいてないのを良いことに、
ごめんね を、押し付けたかった。それだけ。 ]
[ 昔も今も 怖がりなままだ。
ひさしぶり、って、いったら。
嬉しい が、あふれてしまいそうで。
おともだち で、いるには。
たぶん 今の形が一番、
綺麗に収まってくれるとおもう。
それで、良い。
自己満足にすぎないって わかってるけども。 *]
【人】 R団 タカモト
(378) 2019/06/17(Mon) 22時半頃 |
[ 奢って貰っている、という言葉を聞いて
不意に思い出してしまいました。 ]
あ、私もういの君に奢って貰ってる
[ 買った方が良いのかな。
でも、あれは賭けの分だし。
やっぱり、ういの君のお財布も、
お汁粉の分は、減っていないんでしょう。
それで奢り返すのは、ちょっと不満です。
だから私は保留にしちゃいましょう。 ]
[ ココアを飲むと、甘さが舌に残ります。
やっぱり、どんどん眠くなっちゃう。
ココアを選んだのは、間違いだったかも。
うつらうつらとしていたら、
いろはちゃんが話しかけてきて、
どうだろうね、……えへへ
[ 可愛いいい子が、こっちで泣けるようにも
きっと連れて帰ってくるでしょうから、
賭けるのならば、そっちかしら。
[ きっとね、どんなに夢の中で戸惑って、
怖がって、苦しんで、泣いて、笑って、
希望の光を見たとしても、
ここには、現実が残るだけよ。
死ぬくらい自分を悩ませた真実がある世界に、
戻って、痛みに目を覚ます、だけ。 ]
でも、大丈夫よ、きっと
[ よう君はきっと、痛い、って言えるから。 ]*
[ゴミ箱の中で、カラン、といい音がした。
よく聞こえる耳は、彼女の呟き
紫苑は目を細めて微笑む。]
じゃあ、付き合ってみようか。
[買い物にでも誘うような告白に
彼女が答えるより先に先客が来たので、
紫苑は何事も無かったように
歩み寄ってきた灰谷に
迷子にでもなってたのだろうか、と紫苑は思い、
無事に着けてよかったね、とも思う。
終わり良ければ全て良しだ。]
[それにしても。
紫苑は目線を灰谷の手元に移す。
ホットココアとホットティー。
そう言えば宮古もさっきココアを買っていた。
女子はホットココア好きなんだろうか。
わざわざ聞こうとは思ってないけれど。]
人気だね、ホットココア。
俺も飲もうかなぁ。
[お金を入れて、ボタンを押そうとして
紫苑はあっと声を上げた。
灰谷の運が良いのか、紫苑の運が悪いのか。
ホットココアのボタンは無情にも赤く光っていた。
『売切』の二文字に紫苑は眉を下げつつも
口角を上げて微笑んだ。]
ラッキーだね、灰谷ちゃん。
きっと良いことあるよ。
[だから、きっと。
待ち人
代わりに紫苑はホットティーのボタンを押す。
またガコンと大きい音がして、
毎度の事ながら紫苑は身を縮こませた。
大きな音は好きじゃない。**]
メモを貼った。
[ 偶然持っていた、にしちゃできすぎてもいるが
堅治がそう言い切るのであれば、そのまま。
心理学の道に進むかどうか、なんて会話も
したことはなかったように思うので、
どちらかなんて判別もつくはずがなかった。
勢いよく弾いた爪の先っちょでは、
堅治の血色の良い色をした額を何にも変えられず
ただ、さすられるのを眺めるだけになった。 ]
ま、火があるかどうか知んねえけど……
[ 火のアテ、と聞けば眉間の皺が深くなった。
他人に無理して合わせる必要なんてない、だろ
……嫌なもんは、はっきり嫌って言えねえと
苦しくなんのはお前自身なんだから
煙草、害しかねえんだぞ?
[ そんな害まみれの煙草で満たすしかなかったのは。
俺の方、なんだけど。
扉が堅治の手によって開かれれば、
追うように喫煙所から外に出るだろう。
吸い込んだ空気は綺麗だ。薄汚れてない。
そうして、煙草のおかえしについては、
自販機のジュースにつられるような男じゃないが
今回は仕方ないので、その笑顔と提案を
甘んじて受け入れようじゃないかって、顔をして。 ]
……まったく変わんねえ人間なんていなくね?
むしろ、気づかない相手こそ問題あるだろ。
もしも、本当にともだち、ならさ。
堅治が昔から変わっちまってたとしても、
ひさしぶりなら、嬉しいもんじゃねーの?
ま、一般論としてだけど。
[ 明かしてくれた悩みの話を聞いて、
同じ奇妙な体験をしたクラスメイトの枠から
一歩だけ、おともだちに近づけた気がして
俺はすこしだけ、嬉しいって気持ちが湧く。
ごめんね、が押し付けられたなんて
一ミリたりとも思っちゃいない。 ]
つうか、情けねえとこ見れて俺は親近感湧いた
完璧超人な宇井野堅治が、思ってたよりも
人間らしかったっていうのが。な?
……ほら、怖え校舎に閉じ込められた夢。
あん中でも、お前怯えてたろ
窓の外眺めて、とか。マネキン見て、とか。
[ 少しふざけたように笑いながら、
両手で幽霊を示すようなジェスチャーをする。 ]
怖がりの堅治くん。俺が守ってやろーか?
[ なんてな、と。からかうように言いながら
病院の入口の方へと歩き出していた。 ]
[ 綺麗な空気をすこしだけ肺の中へと吸いながら ]*
迷子してるよ。
たぶん、これからも。
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