171 獣[せんせい]と少女
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次の「実り」が訪れるまで
まなびやは静かな眠りの時を迎える。
神木の元で永遠に眠った銀色の獣は、
一夜の内に
まるで硝子細工のように透き通り
朝日によって、割れ 崩れて
銀砂のような粒が根の周囲を彩っていた。
少女もいない。 獣もいない。 だれもいない。
旅立ちの鐘の音に枝を揺らし 獣の遺骸を抱いた神木は
暫しの静寂ごと「がっこう」を包む。
(#0) 2015/10/16(Fri) 02時頃
[ 閉じゆく瞼のなかで あの子が「またね」と云ったから
河の向こうにあるという、死んだものだけが集う場所で
「また会える」のだと思っていたのに、
違った。
……がっこうを旅立ってすぐ
まだ兆しすらも見えていたかどうかという若さで喪った
あの笑顔に会いたかった。
あの笑顔が重なって、誰も選べなくなった。
少女を少女として見ることができなくなって
結果、自分のいのちが尽きるのを待つことになった。
死後のせかいで再会するのではない
「またね」の意味が
死したいま
ようやく理解できたかもしれない。 ]
[ ( ずっとずっと、一緒に居た )
あの子も、その前の子も、前の前の子も、
初めて食べたあの子も
( 食べた後も、ずっと共に居た )
命のかたちがかわるだけ。
手を繋ぐか いのちが繋がるか それだけの違い。
「 またね 」
「 わたしはせんせいのなかで、いきてるから 」
「 またね 」
少女たちは誰一人欠けることなく、
白い獣の内で生き続けている。]
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