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― 実験室 ―
[耳に痛い電子音が鳴り響く。
バチリとカプセルのロックが外れる。
その記憶にない音に、薄く目を開けて、
ゆっくりと覚醒した。]
…………っ、ん?
[明瞭としない思考。
確か、チアキと戦って、殺されて、うさぎになって。
彼の傍に立っていた気がする。
その次の記憶はない。]
ここは、……どこ、なの?
[ぽつりと呟いた。
ふらふらとカプセルから出て行けば、衣服が
3年前の椿模様の紅い着物になっていて、首を傾げる。]
[声が聞こえて
ケイトがいれば彼女も反応したかもしれない。]
……志乃。
[名前を呼べばこちらの存在に気がつくだろうか。
視線が合えば、多分微笑みは作れたはず。]
ここは、研究所。
……アレは、悪ぃ夢。
[疑問の答えになったかどうか、ヤニクもそれ以上はよくわかっていない。]
―― 実験室前 ――
[部屋のすぐ前まで来て、足が止まる。
そこから一歩も動けず溜息を。
元々自分は弱い人間だったけれど
どうやらさらに弱くなっていたようだった。]
…………はぁ
[情けなさやら気の重さやらで溜息。
扉の向こうではもう起きているだろうか。
後数歩が進められないまま、
出入り口のすぐ前で、立ち止まっている。]
[懐かしい声に呼ばれて、視線をやればヤニクがいた。
確か彼は、モニカとケイトと戦って……
ソフィアがあの場にいたと言うことは、
終わって、それ以前になぜ。
思考を巡らせていると、研究所、そして悪い夢と言われて
モニターの存在に気が付いた。]
……っ、なに、?
[モニターに映る懐かしい顔たちに、息を飲んだ。
そして、周囲のカプセルの存在にも気づいて]
なるほど、実験ということかしら
[酷く、冷えた音を発するとため息ひとつ。]
……そ。
ご丁寧に俺達のデータとか、調べ、て。
[そこから先は口を閉じた。
これ以上は言わないほうがいいと思ったから。
そのデータを集めたのはミナカタだった、とは本人の口から聞いていたけれど、志乃には言ってはいけない気がした。]
だから、俺もケイトも、ナユタも生きてる。
[安心しろ、と溜息をついた志乃に慰めにならない言葉を。]
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そう……、そうね
[データを取る為に、あんな悪夢を見せたのか。
眉を寄せて、露骨に不愉快そうにしていたが。
生きている。
その言葉に、表情を和らげた。]
……生きているのは、良かった、
[ケイトの方も、ちらり。
二人を見つめる瞳は柔らかい。
"家族"が無事だと聞いて、嬉しいのは確かだから]
それじゃ……父様は? 父様も、生きて?
[少しの期待を込めて、問いかけた。]
…………ミナカタ、は。
[志乃の嬉しそうに輝く眼
ミナカタは生きている。そう伝えれば喜ぶだろう。
だがミナカタはこの実験を知っていて、一枚かんでいた。
そう伝えたら――それを知ったら志乃はなんて思うだろうか。]
生きて、る。
[迷ったけれど、ヤニクには決められなかったし、そもそもミナカタが生きているか死んでいるかなんてすぐにわかってしまうだろう。
だから素直に真実を告げた。]
そう、良かった……
[安堵の息を吐く。
失った時の痛みを思い出して、
ライジにつらく当たってしまったことも思い出して、
複雑な想いもあったけれど、生きている。
それだけで嬉しかった。
ヤニクが何かを躊躇っている様子には、僅かに首を傾げて]
どう、したの? 何か、あったかしら?
それとも、どこか辛い?
[ずっと離れていたと認識しているせいか。
昔よりもやや過保護に、心配そうにヤニクの目を覗き込む。]
[耳がいいのは健在。
実験室の前で止まる足音に気付く。
……誰か、きた?
[扉の方を振り返れば、ぽつりと]
[志乃が嬉しそうにする
言うべきか、と迷って。
心配そうにじっと見つめられて、久しぶりな気がするその表情に視線を伏せる。]
……何も、ねぇよ。
俺様がどっか辛いとこあるわけねぇだろ。
[怪我してもすぐ治るだろ、と言って両手を広げて見せた。
志乃が尋ねた言葉はそういう意味ではない、と今のヤニクはわかったのだが、あえて知らないふりをした。]
……あけてこれば。
[志乃の小さな呟きには
― 実験室 ―
[まだ遠い意識の中、何か、響く音が聴こえる。
その音は、徐々に激しくなり、ガンガンと頭のなかに鳴り響く。]
(なんだ・・・煩い・・・煩い・・・)
[ビーッ … ビーッ… ビーッビーッビーッ]
(頭が、痛い・・・。痛い。)
[ハッと目が覚めた。
目の前のガラス扉がひらく。
朦朧とした意識のまま、身体を起こそうとするとギシリと痛み顔が歪む。]
(ここは・・・どこだ。天国――いや、地獄か。
俺は・・・リッキィに撃たれ・・・それから―――――。)
無理、しないでね?
[ヤニクは、大丈夫だと思う部分もあるけれど。
自分がなにもしなかったせいで、チアキを苦しめていた事。
それが胸の奥で蟠りになっていて。
もう一度、じっと見つめれば、気になる扉の向こうに
行ってみればと返されて、少しの間をおいて頷いた。]
…………
[躊躇いながら、手を伸ばして扉を開く。
そこには、ミナカタが立っていて、最初は驚き。]
……父様、?
[死んだと認識しているせいか。
先程、ヤニクから無事を聞いたのに、実感がなくて
確かめるように、呼びかけた。]
……っ、
[何もしていないのに扉が開く。
ああ向こう側から誰か開けたのか、と
そう考えることができたのは一瞬。]
――志乃……
[驚いた顔をした志乃は、
次には何か不思議そうな顔。
その表情に嫌悪がなかったことにただ安堵するが、
彼女が「何も聞いていない」という可能性に思いあたって
一歩進もうとした足を必死に止めた。]
……ああ、俺だ。
――おはよう、志乃。
[最後になるかもしれない言葉を。
出来るだけの愛しさをこめて呼ぶ。]
― 実験室前 ―
[再び鳴り響く、電子音に振り返る。
ナユタが目覚めたのだろう。
雨が止んだ時に彼の死を感じていた。
だから、彼もまた、同じように目覚めたのに
やはりほっとする。
自分が、あの戦場に連れて行ってしまったせいで。
彼を死なせてしまったと、思っていたから。
あとで、ちゃんと言葉を交わそう。
そう思いながら、またミナカタの方に視線をやった。]
[志乃が扉の方へ行くと
そこからナユタが顔を出せば近づいて声をかける。]
……よぉ。
[彼がリッキィに殺された瞬間はみていないから、何も知らず。
ただここで起きているということは、向こうで死んだということなのだろう、とそれだけを認識して声をかける。]
[記憶が混乱している。
ここは・・・何か、懐かしい匂いがする。
拠点でも、戦地でもない・・・ひどく、懐かしい・・・。
身体に鞭打ち起き上がれば、志乃と、ヤニクに
・・・ケイトもいるだろうか。]
志乃・・・無事・・・。
ヤニク・・・ケイ・・ト?
お前ら、死んだって聞いて・・・生きて・・・・?
[どういうことだろう。ライジから、聞いた情報は・・・。
モニターが視界に入る。
先程まで、自分たちがいた、戦場が写しだされていた]
どういう・・・ことだ。
[扉が開き、ミナカタが入ってくるのが見えた。]
――――ミナ・・・カタ?
ああ、死んだ。
でも死んでねぇ。
[お前もだろ、と混乱しているナユタに
……コレも実験、らしぃぜ。
俺達がどうするかみるもの。
誰も死んでねぇし、ミナカタも生きてる。
[アレは生きてる、とミナカタをちらりと見て告げた。]
おはよう、ございます父様
[懐かしい声。
愛しげに呼ぶその声は、確かにミナカタのもので
嬉しさに少しだけ涙ぐんで、そっと手を伸ばした。]
生きていて、良かった……父様
[生きていた事、ただそれだけを喜ぶ。
実験のことを考えると、複雑な思いが浮かんでくるから
彼が研究者で、生きていて、ここにいて。
いくつか想像できることはあったけれど。]
……ずっと、ここで見ていてくれたんですか?
[全部、見ていたのかと問いかける声は、穏やかだった。**]
ケイトにも手伝ってもらって、ナユタに説明を試みたかもしれない。**
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[手を伸ばされても同じように手を伸ばすことも
頭を撫でることも、抱きしめることもできない。
彼女の眼に浮かんだ涙に気がついたのに
これまでのようにぬぐってやる資格もない。]
志乃、俺は、――
[自らを告発しようとした唇は
彼女の穏やかな問いに再び閉じられて。]
…………ああ、みていた。
[なぜだろう、気がついてもおかしくない。
頭のいい娘だから勘づいてもおかしくない。
それなのに色々飛ばした問いかけをされて、
思わず腕を伸ばして抱きしめた。]
[ヤニクが語る現実を、呆然と聞く。]
――――これは・・・実験。
[では、こっちが現実なのか――――。
あれが・・・あの戦場が実験の見せた悪夢だというのなら、
リアルすぎた夢に、一体どこからが夢で、
どこからが現実なのか分からなくて。
今は、いつだろう・・・。俺は25歳の自分だろうか・・・。
ひどく、不安になる。]
生きてる、なら・・・良かった、のか?
[先程まで、戦場で生きていることを実感していたが、
今は生きていることを、まだ実感できないでいる。
説明された現実を、ただ淡々と受け止める。]
皆、生きているんだな・・・。**
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[
まだ、実験室から出ようとする意思は無くて。「先生」が立ち去ってから、…は壁にもたれ掛かっていた。
そこからは、幾つかのモニターが見える。
私とヤニク君の名前が黒くなっているのは、死んでしまったからなのだろう、と推定してから。パッと見に2人足りない、とふと気がつく。
…それは、志乃さんとナユタさんだった。
モニターを注視していたわけでもなく、ヤニク君と話してしまっていたので、…には2人が死んでしまうところは見ていなかったのだった。]
[それを極力何も考えないようにして…はモニターの方を見ていると、ヤニク君が一つのモニターの前に駆け寄るのが見えた。
そのまま、呟いている言葉が聞こえて。]
…ヤニク、君。
[そこであったことは、勿論…には分からない。
だけど、何かがあったこと位は流石に理解できて。
…には、何も声をかけることが、出来なかった。
彼の手が、画面をなぞって。そのまま、立ち尽くしているのを。]
[ヤニク君の様子を、暫く見ていると。ん、という音が聞こえる。志乃さんが、起き上がった
…慌てて、駆け寄る。]
…志乃、さん。
[言おうとしたことは、言葉にならなくて。]
[ヤニク君の様子を、暫く見ていると。ん、という音が聞こえる。志乃さんが、起き上がった
…慌てて、駆け寄る。]
…志乃、さん。
[言おうとしたことは、言葉にならなくて。]
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― 少し前 ―
[
見上げれば、ケイトがいて。]
ケイト……さん?
[なぜ、死んだはずに自分の前にケイトがいるのかと。
戸惑う声をあげて、ケイトに手を伸ばした。]
どう、して……ここに?
[頬に触れれば、温かい。
不思議そうに覗いて、ここはどこなのだろうと
呟けば、ヤニクが声を掛けて。
実験なのだったのだと認識した。
幾つか言葉を交わせば、扉の前の音に気付き
二人の傍を離れて行っただろう*]
― 現在・ミナカタの傍 ―
[
少し驚くが、そのままその胸に頬を寄せて。
いくつか言葉を囁いた。
あぁ、見られていたのだと。
人を嬲り拷問し、大人の欲に塗れて生きてきたあの日々を
すべて、見られてしまったいたのだと。
何度も謝る声に首を横に振った。
この研究所において、ミナカタに与えられた
権利の少なさを思えば……怒りは湧いてこない。
それに、遅かれ早かれ、研究所を出れば
同じような道を自分は辿る事になるのだろうから。]
ねぇ、父様……みんなが目覚めるには、……
[夢の中で、死ななければいけないのかと、
言いかけて言い淀む。
自分よりも悪夢から醒ましてあげたい人たちは
まだ、夢の中。
緩く視線だけを背後に向けて、悲しげに呟いた。]
[悪夢から、救ってあげたかった。
傍にいてあげなくちゃいけなかったのに。
ちゃんと伝えなくてはいけなかったのに。
できなかった代わりにやったのは、呪うことだけ。
またきっと、傷ついてる。苦しんでいる。
最後に見ていた光景を思いながら、瞳を揺らしていた。**]
[問われかけた質問に返す答えはない。
実験がいつ終了するのかすら、
自身は教えられていないから。
ポプラは把握しているかもしれないが、
今の彼女はこちらにアクセスする余裕はない。
それにいっそ目覚めないほうが。
そちらのほうが幸福かもしれない。
これはただの実験でも夢ではなくて
近い将来起こり得る現実。
彼らをよく分析した上での予言悪夢。]
……実験が終わるまでは、起きない。
[落とした声はひび割れて。]
[長く抱きしめていた腕を解いて、
志乃の頭をそっと撫でる。
自分の役割を果たせないことを悔いながら。
彼女が変わらないことを喜んで。
身勝手な罪悪感と満足を抱く。**]
[
それに瞳を伏せる。]
そう……ですか、
[現実に帰る事が幸せだとは思っていない。
だけど、悪夢を先に見ていたことで、変えられる未来も
あるのではと思っていた。
兄の、チアキの苦しみを夢の中で知れたように。
やり直しができないかと……それでも、遅いのだろうけど。]
[撫でられると昔に戻った気がする。
現実では、どれほど時間が経ったか分からないけれど。
昔は、もっと甘えていた。
弱音を吐いて、この手を温もりに縋っていた。
だけど今は、そうしようとは思わない。
そうすることを、自分が許せないから。
ちらりとモニターの方を振り返る。
画面に映し出された"家族"たちを見て、
涙が出そうなのを耐えるように、瞳を閉じた。
夢の中で進んだもの。
心だけが成長したのは、そのままのようで。
感情は簡単には漏れ出さなかった。
今は、それに安堵する。]
……部屋は、前のままなのかしら?
[落ち着いた声で呟いて、返事を聞けば
自室を見に行こうと、実験室を後にした。]
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[志乃は何も言わない。
モニターをみても泣くこともなく。
「悲しい」という気持ちを振動に変えることもない。
甘えてくれればいいのに、と思いながら
彼女が体験した三年の重さを知る。]
部屋は変わっていない。
着替えが置いてあるぐらいだろう。
[腕を解いて出ていく彼女を見送った。
ヤニクやナユタやケイトがそこにいれば
彼らを無言で見つめながらその場に止まる。]
― 実験室→自室 ―
それじゃ……着替え、てきます
[部屋に着替えがあると聞けば、
3年前のままの、この姿を変えておきたいと思い
実験室を後にした。
廊下を足音を立てて進む。
音の響きで、記憶と寸分違わないのだと感じながら自室へ
中に入れば、懐かしい部屋。
ベッドのうさぎのぬいぐるみも、色々な楽器も
昔と変わらない。しばし眺めた後、
用意されていた着物に袖を通す為に、帯を解いた。]
生きてるなら、よかっただろ。
[ナユタの問いには
あの三年間がニセモノだと知らされて、思うところがないわけでないが、死んでいる方がよかったなどとは思わない。]
……生きてるから、よかっただろ。
[モニカもそう思ってくれると良い。
生きているのだから気にしないでくれると良い。]
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[ナユタともう少し言葉を交わしたかもしれない。
紺の瞳はそのうちミナカタへと向けられる。]
……ミナカタ、お前は――
[何も思わないのか、と問いかける。
彼の冷たい笑み
先ほど志乃と話していたのも、彼女を抱きしめていたのも見ていたから、どちらが彼の本当かわからなくて。]
[鏡の前で、着物を脱いだ。
白い肌には何もない。右肩に傷もない。
もちろん、左足に指は揃っている。
身体に散っていた花の痕すら、全てない。
ようやく、すべてが夢の中の出来事だと実感が湧いてきて
それでも、心に刻まれたもの。
残してきた人の事を思うと、胸が痛くて、苦しくて
血の様に紅い着物を抱いて、声を押し殺して、
いつかのように啜り泣いた。]
[ヤニクの視線からは目をそらす。
追及は避けられないらしい。
つぶやかれた質問には、首を横に振る。]
思って何かになるのか。
それとも泣いて謝ればお前は満足するのか。
この実験のことを忘れるのか。
……違うだろう。だから聞くな、そんなこと。
[もしもナユタやケイトが何かを問えば。
そちらへと視線を向けて話を聞く。]
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俺がどうとかじゃねぇよ……
[ミナカタの返答
ヤニクの質問が悪かったのかもしれないが、それ以上問う言葉は持たなかった。
ミナカタが遠まわしに、何も思わないことはないと答えているのには気がついたけれど、そこも問い詰めることはできなくて。]
言うつもりになったら言え。
俺は何も納得してねぇからな。
[ライジが目を覚ましたらどう思うだろうか。
殺したはずのミナカタは生きているから、喜ぶだろうか。それとも別の感情を抱くだろうか。
そんなことを考えながら、モニターに彼の姿を探す。]
だな・・・。うん。
[生きていて、良かった。
ヤニクから迷いなく返ってきた返事
モニター前へ移動し、先程までいた世界を凝視する。
頭で理解は出来ているのだけれど、
まだ現実味にかけているような、境界線の曖昧さ。
現実に生きているのだ、ということをまだ実感できないでいるのは起きたばかりだからか、それとも、この画面の中の世界で、まだ生きている皆がいるからか…。
そっと画面を指先でなぞり、未だ戦いの最中にいる彼らを凝視する。]
[画面の中から、ライジに名前を呼ばれ
ビクリと肩が震える。
返事をしても当然届くはずもなく、拳を握る。
どうすれば、いいのだろう。
死ななきゃ現実に戻れないからといって、
画面の中にいる彼らに、
早く死んで欲しいとも思えなくて――――
自室に戻る志乃の後ろ姿をチラリと見る。
ようやく、冷静に頭が働き出す。
守りたい、なんて言っておいて、
先に殺され、彼女も死んで―――でも、
死んだから目が覚めて・・・。]
[さすがに肌寒くなって、長襦袢まで着替えて。
しかし、きちんと着付ける気力が湧かなくて、
そのまま、ベッドに俯せになって、小さな声、唄を口遊む。
死ぬ前に歌っていた唄。
みんなが、幸せになればいいのに。
みんなが、笑っていたらいいのに。
そんな想いを込めて、精一杯の音を響かせていた。
夢の向こうまで、届けばいいのに。
どうしても啜り泣く声が混ざってしまったけれど。
一人になると、なぜか頑張れない。]
[――視線が止まったのは黒いコートを着て歩く三人。
ソフィアがオスカーの天幕から取り出した箱の中身がよく見えず、何だろうと興味と、不安を胸に様子をうかがう。
どこかの森で、ソフィアが開けた蓋の中身
立っているチアキに殴られた痕
箱に納められていたヤニクの首に指を伸ばしたリッキィの目から、涙がこぼれる
泣くなよ、クソッ。
[ここにヤニクは生きている、リッキィが泣くことなど何もない。
これは一時期の悪夢。いつだかわからないが、目が覚めれば終わるはず。]
――もう、勝手に死なねぇから、なくな、よ……
[泣いているリッキィに触れたくて、隣に行ってやりたくて仕方がなくて。
それなのに近づくことも声をかけてやることすらできなくて、もどかしくて悲しくて、その場に蹲った。]
――……
[モニターの中、流れる世界を見つめる。
終わるのはいつだろう。
一人残らず死んでからだろうか。
モニターを見つめるナユタや
何かを呟いて蹲ったヤニクや
ケイトも――同じようにモニターを見つめていただろうか。
聞こえる綺麗な「幸せ」の唄。
響く志乃の精一杯の想い。
そこに混ざるかすかな、小さい頃同じ音。]
……志乃。
[目を細めて名前を呼ぶも、
昔のように走って行って、彼女をあやすことはもうない。]
―実験室→廊下―
[何も守れず、殺されて、でも生きていて、
まだ皆は戦場で―――。
罪悪感で胸が張り裂けそうになり、
ナユタは実験室を出て、そのまま廊下を歩き出す。
懐かしい、施設の廊下を・・・。
そのまま、向かった先で、
思わず、立ち止まる。
その優しい響きに、
ただ、そこに以前には無かったような、
深い苦しみや悲しさが混じっていて・・・。
半ば無意識で志乃の部屋へと足を進ませる。]
メモを貼った。
―志乃の部屋前―
[暫くその扉の前に立ち、静かにその唄を聞いていた。
所々に混じる、啜り泣く声。
唄が途切れたその時に
ノックをせずに声を掛ける。]
志乃・・・。
出てこれなくても、いいから・・・聞いて。
[これは、ただの我儘。
罪悪感を少しでも消すために、言いたいだけの自己満足。]
志乃・・・ごめん。守れなかった。
[夢の話かもしれない。
守れなかったから志乃は現実で目を覚ました。
でも、守れなかったことには変わりなくて謝らずにはいられない。
これは、俺の弱さだ―――。]
[泣くのを我慢しようとしながら、歌う事に集中していて
近付く足音には気付けなかった。
ただ、歌う。
だけど、抑えきれなくなって――歌が、途切れた。]
っ、……く、
[両手で口を塞いだ。昔からの癖。
音が響いてしまわないように、無理やり抑える。
聞えてしまわないように、伝わってしまわないように
そうしていれば、ふいに声がかかって]
……ちが、うの、
[零れた涙を拭いて、そっと扉に近づく。
後から後から、涙が零れてしまうから、
扉を開けなかったけど……]
[閉ったままの扉に立って、首を横に振る。]
違うの、……ナユタ、さん
謝るのは、私の方なんです……
[自分から死ぬ事を決めた。
チアキを止めたくて、戦いたくなくて、
でも退くこともできなくて。
どうしたらいいか分からなくて、
あんな方法しか、取れなかった。
守りたいって言ってくれたのに、
勝手に死んだのは、こっちなのだ。]
[ちゃんと伝えて、謝らなければと思うのに。
上手く言葉が出てこなくて、掠れた声で呟くしかできず。
これ以上は、強い音を、悲しみや苦しみを
鳴り響かせてしまいそうだったから、両手で口を押えて
何も言えなくなってしまった。
はらはらと落ちる涙が、薄桃色の襦袢に染みつくる。
抑えなきゃ、と思うのに……]
[扉の向こうに、微かに動く音。
一枚隔てたすぐ近くに、彼女の息遣いを感じる。
その場で、じっと扉を見つめたまま佇む。]
なんで…志乃が謝るの……。
[あの時勝手に行動したのは自分自身。
彼女の望みではなかったのだから。
勝手に約束し、勝手に破り、勝手に謝って――――
その勝手が、彼女を悲しませていた…。]
志乃…志乃…ごめん。
自分がしたいように、勝手に動いたんだ…。
俺が、守りたかっただけなんだ…。
見たくないなら、見なくていいんだからな。
[ケイトがそこにいれば、そう話しかける。
モニターに映る場面はどれも哀しい。]
……これは現実じゃない。
俺たちがお前たちに見せた悪い夢だ。
飯でも食って、寝ててもいい。
……しばらくは実験もないだろうからな。
[自身が精神面に異常なしと診断を下すまで
または彼らが実験結果の解析を終えるまで。
通常の実験は行われないことになっていた。
その程度が精一杯だった。**]
メモを貼った。
[ポツリ、ポツリ、雨を降らせる。
彼女の涙の音を消してしまえるように。
全て洗い流せればいいのに―――。
雨を、降らせる。
次第に雨は土砂降りに。
ザァ…ザァ……と、悲しい音を消してしまえるように。
いつも、戦いの後に降らせていた、
自分にとっては、優しい雨。
悲しいその心を癒す、切ない雫。
晴れない雨はないと、願う音。
大切な人に、この雨が届きますように―――。**]
[勝手にしたことだと、ナユタは言うけど。
ケイトも、自分が守れと命じた兵士たちも、ナユタも、
自分を守ろうとした人たちは、みんな、死んでしまった。
夢の中でのことであろうと、それは確かに起きたことで
泣いてしまうと、誰かをやはり困らせる。
笑わなければと思う。笑わなきゃ。
だけど、口元に何とか浮かべた笑みは、酷く歪で、
とても見せられない。大きく深呼吸。落ち着かないと]
……え?
[笑顔を浮かべようとしてると、雨が降り始めて
その音の優しさに……悲しみで揺らめいていた心が
凪いで行くのを感じていた。**]
メモを貼った。
私は、最期まで、見させて欲しいです。
[実験室から出る人がいる中で、そう返答する
見たいと思う訳ではない、むしろ、見たいわけではないけれど。
自分の「責任」として、見なければならないのだ、と思ったのだった。]
…これは私たちにとっては、さっきまで確かに「現実」でした。
そこにまだ残る人がいる以上、出来るだけ、離れたいとは思いません。
メモを貼った。
[蹲ってしばし、画面の中ではどれだけ時間が流れていただろう。
顔を上げると、灰がさらさらと骨がころころと、チアキの手によって袋に収められて
ヤニクの身体も燃えて骨と灰になるのだと、頭のどこかで鈍い安心を抱きながらチアキがきちんと一欠けらまでも袋に収めてくれたのを見守る。]
……弔ってくれた、のか。
[ようやく、彼らが揃いの黒い装束をまとっていた理由を知った。
あれはヤニクの葬儀だったのだ。
こんな戦地の真ん中で、他にも多くのハローシィ国の兵士は死んでいたのに。
残っていたのは首だけだったのに、功績をあげてきたわけでもないのに、三人でそっと弔ってくれた。
わざわざ弔ってくれたということは、ヒトとして見てもらえていたのだろうか。
そうだとしたら――望んでいいのだろうか。
この望みを、望むままに口に出していいのだろうか。]
メモを貼った。
[篠突く雨の音。
悲しい音も、苦しい音も、すべて掻き消していく。
激しいのに、優しいその音色に耳を澄ませば
また彼が濡れていないだろうかと
気にするくらいには、落ち着いてきた。
雨音が止めば、]
……ナユタ、さん、ありがとう
[扉にそっと手を添えて、囁いた。
ベッドの傍に落ちている紅い着物に袖を通して、
簡単に留めると、そのまま、少しだけ扉を開く。
隙間から顔を覗かせて]
……大丈夫、ですか?
[まだ、紅い目だったけれど、いつもの調子を取り戻して
気遣わしげにナユタの顔を覗いた。]
メモを貼った。
[ケイトの言葉に
それが彼女の答えならば何もこちらは言うことはない。
辛くても目をそむけまいとする姿勢は
友を思う心からだろうか。]
それなら好きにしろ。
辛くなったらいつでも、眼をそむければいい。
……無理に見る必要はない。
[必要と判断されれば後から見させられるだろう。
そんなことはとても言えず。
ケイトには静かにそう言うだけ。]
[廊下で祈る気持ちで雨を降らし、どれくらいたっただろう。
扉の中から聞こえていた、悲しい音が完全にやみ、
少しして、雨も次第にやんでいく。
扉越しに、志乃の声が聴こえたかと思うと、
ほんの少し扉が開いた。]
志乃…
[紅い目をした志乃が、顔を覗かせ、
でも、その声はかなり落ち着いていた。]
良かった。
メモを貼った。
[良かったと言うナユタの声に、
大丈夫と言う様に緩く微笑んだ。]
……私は大丈夫、です、もう
それよりも……
[ナユタは濡れていただろうか。
大丈夫そうなら、力を使わせてしまった平気だったか。
濡れているなら、冷えていないかと、心配そうに覗き込んで
確かめるように頬へと手を伸ばした。]
[志乃の手が頬に触れれば、安堵の微笑みを。
その手は暖かく、生きていることを実感させてくれるものだった。]
大丈夫、俺は平気。
[以前、志乃が戦場でナユタを安心させようと
伸ばしてくれた手を思い出し、
同じように志乃の手に、自らの手を重ねる。]
ありがとう…。嬉しかった。
[それは、先ほどほんの僅かに聴こえた志乃の声に対する返事。]
志乃、お願いが…あるんだけど、聞いてくれる?
[重ねたての温かさに、小さな胸が微かに高鳴る。]
お礼を言うのは……
[ありがとうを返されて、お礼を言うのは自分の方だと
言いかけて、先ほどと同じようなやり取りだな。と
苦笑を漏らす。]
なんでしょう? 私にできる事なら……
[貰った温かさを少しでも返せればいいと、
頷けば、首を傾げた。]
志乃の唄を・・・聴かせて欲しい。
[それは、今まで伝えられなかった言葉。
ずっと伝えたかった願い。]
ずっと、ずっと目の前で、聴いてみたかった。
[その唄は確実にナユタを支えていた音。
3年前も、戦場でも、雨の中
いつも心に流れていた唄。
その音のような、雨を降らしたいと――。]
え、……? あの、……
[唄を聞かせる。
そんな事で良いのだろうか。
不思議そうに首を傾げたが、微かに聞こえた言葉に
さっと頬を紅く染めた。]
……その、そう言って貰えて……嬉しい、です
[僅かに動揺するように瞳を揺らして、小さく返せば
扉を開いて、中へと招く。]
今……でも、?
[ここでいいのかと、振り返った。]
……あ。
[いつからか、どこからかしていた雨の音
ヤニクの心を反映していたようなタイミングで雨が止んだから、ナユタと同じ魔法を使えたような気分になって、心が慰められる。
しばし、余韻に浸ってから眼を開けた。]
[画面に映るのは大切な人達、二人。
"雷神"と"千枚刃"。
ミナカタは近くに居たのだろうか。
ケイトはきっと、一緒に画面を見ているのだろう。
彼女は眼をそらさないと言っていた
せめて。この戦いだけは。]
……っ、――
[痛い顔にキリキリと身体が痛む錯覚がする、苦しそうな表情に悲しそうな眼差しにも。
同じ所が違う所が、不死ではない心臓が痛い。
それでも、時折紺の眼を曇らせはしたが、最後の光が失せるまで
リッキィの身体が、崩れ落ちて。
ライジがふらと立ち上がるまで。]
[志乃の言葉に、頷く。
少し朱が指す頬を見て、僅かに微笑む。]
もし、志乃が平気なら。
[開かれた扉の中へと進んでいく。]
今、聞けると、嬉しい。
[初めて入る、志乃の部屋に、
本当は少し緊張しつつ、でも顔には出さない。]
メモを貼った。
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