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−メインルーム−
……な、に…?
[弱い声は、ともすればノイズのよう。
漸くメインルームまで辿り付いた時、
耳に飛び込んできた声はパピヨンの大声だった。
ひとつ、ふたつとゆっくり瞬いたあと
一歩づつ慎重に歩を進め空いているソファに漸く腰を落ち着けた]
―メインルーム・大部屋―
休めているのかはわからないけれど……
あの子の体と、押し付けられる欲望がつりあってなくて辛いみたいで……
[食べ過ぎるほどの食欲などはわからなくて。
だから食べ過ぎてしんどいのに未だ食べたいと泣いていたトニーの姿を思いかえして瞳を伏せる。
傍にいても役に立たないから、どうしようもない。
こちらに視線を向けないチャールズと、無理に視線を合わせることもないまま、話に頷いた]
拒否できるのなら、したいと思うのもまた当然のことじゃないかと。
でも……そんなにすぐに次の器が見つかるのかしら……
[災厄があふれ出せばどうなることかと眉をひそめる。
最初に見せられた、器が拒否した場合のたとえを思い返して、もうひとつ、ため息をついた]
[最初はマイクから大きく入ってきたように感じたパピヨンの声は
廊下を伝ってマイクに飛び込んだのだと理解する。
その内容は、遠巻きにしか聴こえないが]
…あの、何か……あったんですか。
[その問いかけは、待機室とメインルームとどちらに投げたものか。
待機室が映る画面に、人の影を探しながら口にする]
―メインルーム―
[台所からの叫びは、待機室に映る此方側まで届いたらしい
何と叫んでいるのか、男には聞き取れなかったが]
嗚呼、ベルナデット
……強欲の器は欠けたままとなるようですよ。
[やってきた少女に気づいて、
ソファへやってくる様子に立ち上がり
近づかぬよう距離をとる。
意識してかせずにかコリーンの声がするほうへ]
次の器がそう簡単に見つかるか
見つかったとして、己が運命を受け入れるかどうか
子供の身で世の暴食受け入れる覚悟を
したトニーの意志は
報われぬということですね
[吐息もらす女の背後へ近づき、その肩へ手を伸ばした]
―メインルーム・大部屋―
[パピヨンらしき大声は聞こえてもその内容まではわからない。
やってきたベルナデットにひらひらと手を振り]
次に接続されるのが誰か……それでもめてるみたい、ね。
[ちゃんと待機室の話を聞いていなかったからよくわからない。
考えることの主軸は、己が管理する対象である器に関することだったから。
ただ、器であることを拒否する話は、少しは聞こえていた]
そう、ね……
いま選ばれた人たちが拒否しているように、次の人たちが拒否しないとは限らないもの。
[ソファからすこしはなれた椅子に座ったまま呟く。
チャールズの手が肩に触れれば、その言葉に同意するように頷き]
トニーの覚悟も、貴方の覚悟も、じゃないかしら……
チャールズ様。
[ちら、と男を見る。
今は理性のほうが大分はっきりしているのだろう。
コリーンに無体なことを働いたり、
彼女が受け入れるようであれば今は何も言うまいと秘めつつ]
……そう、ですか。
[ラルフは器とはならない。
伝え聞いた言葉にメインホールに映る男を見る。
向こうからは、こちらの様子は綺麗には投影されなかったが
こちらから随分向こうが綺麗に映るのだと思った]
接続を、拒否するか受け入れるかどうかは…本人が、選ぶこと、で。
……お会いできないのは、残念ですけれど
でも、それも生きていく上でのひとつの選択です。
[コリーンが教えてくれた現状に、考えた言葉だけを連ねた。
思う言葉は、口にしなかったが]
……強欲?
どちらかといえば
傲慢の器に相応しいんじゃないでしょうかね、彼は。
[肩をすくめてラルフの宣言を聞いた]
まあ、誰しも全ての負の感情を
本来は持っているものですからね……
それにしても、なんと醜いことか。
あれが世に蔓延するのだと思うと
[大きな手のひらが、女の細い肩を撫ぜる]
私の覚悟は、然程のものではないですよ。
醜い己を世間から隠したいが故の選択でもあったのです。
其れをいうなら……貴女や彼女の覚悟も
でしょう?
[慰めるような手付きに留まってはいる。
今はまだ]
―メインルーム・大部屋―
強欲がどういうものかはわからないけれど……
傲慢と強欲が似ている、ということかしら。
[ラルフの宣言に、たった一人でどこまで変えられるのだろうと軽く首をかしげ。
今のラルフの姿が強欲だというのなら、それが蔓延したらどうなるのかと眉をひそめる]
一人が拒否して、システムが終わるとはおもわないけれど……
もし終わるのなら……トニーが苦しんだことに何の意味があるのかしら……
[案じるような吐息を零せば、慰めるように肩を撫でられる]
誰でも、醜い自分を見せたいと思う人はいないわ。
私はただ、トニーを一人にしたくなかっただけだもの……それほどの覚悟などなかったわ。
[ベルナデットの覚悟がどれほどのものかはわからない。
ただ彼女の覚悟、のときにちらりと視線をむける。
背後にいるのが色欲の器だとはしっているし、現場も見たけれど。
まだ、どこか考えが甘く、その身に降りかかることを予想すらしていない]
[コリーンの視線に少し萎縮したかのよう。
男に貧相だといわれたのは、少なからず心に刺さっている。
けれど、その次には再び待機室へと繋がる画面を見る。
ソファから立ち上がると、膝が笑って
結局は画面前までたどり着けなかったのだが]
…ラルフ、さん。
[声を、投げてみる。
向こうにいたときより声量がない状態なので
彼に届くかどうかは期待していなかったが]
―メインルーム・大部屋―
……驕り高ぶった心を持つが故に多くを望む
全ての慾は何処かで繋がっているのでしょうね
[コリーンの背後にたった男は、彼女の肩から腕へ
ゆるりと撫ぜる手付きをおろす。
前かがみに、耳元へ唇を寄せて]
トニー
あなたは、あの子の為に決意したのですね
私もシステムが終わるとは思いませんが
……整うまでに時間がかかりそうですよ
[痩せた少女よりも肉付きの良い女の体
感触を楽しむように、二の腕を掴む]
メモを貼った。
― メインルーム:個室001 ―
[しばらく個室で休んでいたが、動き回れそうなほど胃が軽くなってきた。降り積もる食欲に独りで耐え続けられる自信が持てず、大部屋へ行けば誰かいるだろうかとベッドを降りて部屋を出る]
―→ メインルーム:大部屋 ―
―メインルーム・大部屋―
何かを望み願うことじたいが、欲なのかもしれないわ。
[考えるように呟きが溢れる。
ベルナデットが萎縮したことには気づかず、モニタの向うのラルフに声をかけるのを黙って見やり。
慰める手が二の腕にふれ、耳元でつげられる言葉に擽ったそうに首をすくめる]
此所にくる前から知っている少年が決断したのに、その管理者に選ばれた私がついていかないなんて考えられなかったもの。
あまり、役には立てていないけれど。
……時間がかかったら、上にはどれだけの影響が出るのかしら。
すでにこちらにいる私たちには……どうしようもないことかもしれないけれど。
[二の腕を掴まれてチャールズを見上げる。
そこに欲は見えるだろうか、見えたとしてもそれから如何しよう、と考える程度だけれど]
そちらは、色々なことがあった…みたい、ですね。
私は、比較的元気ですよ。
少し、腰が抜けてますけれど
[床に座りこんだまま画面を見上げる。
苦笑が僅かに浮かんだ]
いいんです。私の選んだことですから。
無駄なことなんて一つもありません、
必ず存在には理由があります。
…あの
[言葉を区切る。
僅かに伸ばした手は画面に届くだろうか]
……いつか、会いに行っても、良いですか?
[契約は未だ果たされていない]
画面の中のラルフに青碧を向けた**
― メインルーム:大部屋 ―
[個室から出てきて大部屋に入ると、皆が集まっていて]
あ、みんな……えっと……おはよう? こんにちは? こんばんは?
[時刻の感覚が無く、とりあえず挨拶を並べた。チャールズがコリーンの二の腕を掴んでいるのを見るも、何をしているのか分からず、首を傾げながらソファに座り、待機室を映すモニターを眺めた]
メモを貼った。
―メインルーム・大部屋―
[未だ男に理性は残っている。会話が可能な程度にではあるが]
違いますよ。
過ぎた望み、過ぎた願いが慾になるんです。
[間近で女のつぶやきを聞いた。
一度視線が絡む。
腕を掴んだ手で其処に女を押し留めると、身をかがめて首筋に唇を近づける。
のど元にたてる牙はないけれど]
時間がたったとして……暴食色欲だけは
此処に吸い上げられるんでしょう
が
他の慾は
[言葉が途切れた。
女のにおいがする。
トニーの声が聞こえたが、男は構わず舌を這わせた]
[5年。
ラルフの示した年月に首を傾いだが
すぐに微笑に変わる]
…どうなるかわかりません。
だから
[はっきりとは言えなかった。
彼と自分の間には、あの契約だけしか
存在しない間柄ではあるけれど。
伸ばした手は、裸足でモニター越しに重なるのか否か**]
―メインルーム・大部屋―
それもそうね……でなければ生きていけないもの。
[訂正するチャールズの言葉に納得したように頷き。
押し留める力に一度瞬き。
耳元――というより首筋近くでしゃべられる吐息がくすぐったい]
トニーとチャールズさんはつらい思いをするまま、ということかしら……
[途切れた言葉の先を考えていた。
トニーの声
トニー、大丈夫?
……っ
[チャールズに向けていた意識を少年に向けようとしたときに、首筋をなめられて小さく息をのむ。
チャールズの管理者ではないけれど、男が求めるのなら拒否するつもりはなかった――ただ少年の前では別で。
慌てて離れようと身じろいだ]
― メインルーム:大部屋 ―
うん、大丈夫……
[コリーン
チャールズさん! お姉ちゃんに何するの、やめてよ!
お姉ちゃんはチャールズさんの管理者じゃないよ!!
[ソファから降り、二人の間に割って入ろうとした]
―メインルーム―
……そういうことですね。
私たちは報われぬまま、此処で辛い思いをし続ける。
少しは、ご褒美があっても良いと思いませんか?
[ひゅ、と空気の動きが間近で起こる。
男はうっすらと笑みを浮かべ、身じろぐ女を解放する]
小さな騎士と
我が「器」に免じて
今は、何もしませんよ。
[トニーが割ってはいるのに、両手をあげて見せ
ベルナデットのほうを見やる。
丁度、待機室の映る画面のほう]
どうなるか、まだ理解出来ていない……やはり愚かな娘だ。
五年もすれば、今のお前は消えてなくなっているだろうに。
こちらへ、ベルナデット
[画面に手を伸ばす女に命じる。
低く冷たい声]
お前の望みは何だった?
―メインルーム・大部屋―
他に、接続されること選ぶ人がいないのなら。
――ご褒美になるかはわからないけれど、手助けならいつでも。
[色欲を受け止める器がいるとはいえ、健康的な女に当たり前にある欲を押さえつけるよりは協力するのを選ぶ。
だけど、それを幼い器に見せるつもりはなくて、チャールズ
ええ、トニー、私はあなたの管理者。それは変わらないわ。
[割ってはいるトニーにありがとう、と笑みを向けて、その頭を撫でた。
モニタの向こう側と再会を誓う娘にチャールズがかける言葉には、僅かに瞳を伏せる。
だが、彼らのやり取りに口を挟むことはなくて、トニーに視線を向け]
何か欲しいものはない?
[何時もの態度で、訊ねた]
[チャールズ
ありがとう、チャールズさん……。
[コリーンに頭を撫でられると嬉しそうに微笑むが、チャールズがベルナデットに冷たい言葉
た、……
[咄嗟に口をついて出そうになったのは「食べ物」という言葉。だが、今食べても食べきれないのは自明で、思い止まって]
ううん……何もないよ。
[そう言って、ソファに戻り、待機室の様子を*眺めた*]
メモを貼った。
―メインルーム・大部屋―
[欲しいものがあるのに、それを我慢する少年
……そう。
[身体に見合わぬ量が食べられない様子はすでに知っている。
あれからそれなりに時間は経ったけれど、まだ食べれるほどではないのだろうと理解して。
ほしい、といえばいつでも用意できるように、傍にいることにした**]
メモを貼った。
―メインルーム・大部屋―
……いつか其の時を楽しみに。
[
結局純潔の管理者と強欲の器が画面越しに触れ合えたのかどうかはさておき。
現在、人が増えるころ
少女は男の腕の中にある。
少女の望みは此処にある故に]
嗚呼、揃ってきたな
接続順が決まったか
[ソファに座る男の上に少女を座らせている
詳細見えぬ向こう側からは、一人座るようにしか見えない。
不義を訴えるならば
先ずは自らが手本を示すのが筋だろう
現に私は此処にいる
……貴女の到着を待っているよ、パピヨン
貴女がこちらへくれば
世界の傲慢は押さえられる
[名を呼ぶ低い声]
その場のものを呼ぶならば
此方へきて、災厄がどのようなものか
教えてやれば良い
開放されることでどれ程の犯罪があふれるのか
加害者となる者にかけらでも罪悪感があるならば
まさか其の侭此処を出ようなどとは思うまい?
嗚呼
私達の犠牲を忘れ、世界に慾を撒き散らし
己の事だけを考え、無様に生き恥を曝そうとする
……まさか其処まで醜い者達ばかりでないと
私は信じているよ?
[くく、と低い笑み。
身に溜まる慾は常に増え続けている
己の理性は徐々に薄れて
考えるのはただ、情欲向ける対象が増えれば良いと
自分本位は寧ろ男も]
…………醜いな。
[フィリップの宣言には、ただ一言。
ぎり、と膝の上に乗せた少女を擁く腕に力が篭る]
スティーブン?
何かいいたいことでも。
[不鮮明な映像で、何処まで彼に見えているのか。
影は折り重なっている]
メモを貼った。
こちらの世界を知っている
ペラジー
お前がしようとしているのは
この部屋を外へ解き放つのと同じ
……それでも構わないのか?
お前も自身すらよければ他はどうでも良いか
[待機室に居たころには、よく考えろと言った其の唇が
低い声で責め立てる。
自身すらよければ構わない。それは男自身の話でもある。
選択肢が違っただけのこと]
余計な感情など抱かず、さっさと戻れ
お前の役目は此方に繋がれることだろうに
醜いな……人間と言うものは
[男の声はそれきり。
ただ、時折
少女の控えめな声が洩れるのを
さて誰が聞いていたのか**]
メモを貼った。
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