人狼議事


82 【薔薇村企画】 Contagio ―共鳴―

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─ 霊界 ─

[ケヴィンと、しっかり手を繋いだまま。
 やがて、人の世に関与できない世界へ辿り着く。

 懐かしさはあまり感じなかった。
 なにせ、前回は半年足らずしかいなかったのだから。]


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― 霊界 ―

[3年ぶりだが、ここにいた時間の方がその倍くらい長かった。
目を開けて、しばし。]

 ……おはよう。

[目覚めの挨拶から、が正しいだろうか。]


─ 霊界 ─

[こんな所で迷ったら洒落にならないから、
と言い訳をつけることにより、兄と手を繋ぐ事に成功中。]

………ん。

[人の世から魂は離れたが、
気がつけばグァイナの村の中に立っていた。]


― 霊界 ―


 ぁ。 あ    おはよ う … ?


[気怠く心地良い眠気の残る体を起こし、
重い瞼を瞬かせながら。

ほんの短い時間失っていただけで、
随分久しぶりに感じる自らの声を聞く。

ここは何処だろうか…と思い悩む、一瞬。

記憶は、寝室で握った
ドリベルの手を覚えているのが最期。

辺りをゆっくりと見回す。
すると、そこは、やはり、
グァイナ村に在る愛しき我が家の寝室だった。]


[更に歩けば、グァイナの村の中にいた。
 魔物はもうすべて退治されたのか、思ったよりも静かだった。]

 さ、帰ろうか。

[手を引き、自宅へ向かおうとする。]


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[周囲をきょろきょろと見回している。
ここは本当に自分たちの村なのだろうか。
全く同じに見えて違ったりしないか。
或いは、誰かが居やしないかと。]

あ、うん。……帰ろう。

[手を引かれ、子供に戻ったように兄についていく。]


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[窓の外は、どうやら、
夜から朝にかけてが移り変わる頃合い。

肉体の全てが黒玉病に犯され、
最期、心臓が停止した時間より少し後だった。


佇み見下ろした寝台の上には
まだぼんやりとした曙を受けて
虚ろに煌めく黒石の破片。

部分的にはまるで
砂のよう粉のように細かく砕けてしまっているが、
それは確かに男の肉体であった物の、残骸。]


 ……おはようございます。エル。

[まだ半分寝ているサミュエルの顔は肌色に戻っていて。
数日ぶりに耳で聞いた声は、もう二度と
聞けないと思っていたもので。

思わずぎゅう、と抱きついた。]


[やけにキョロキョロする弟の姿に、おかしいような、微笑ましいような気持ちになり、口元に拳をあて、少しだけ噴きだした。]

 何探してるのかな。

[時折、弟と同じ方を見てみながら。

 やがて自宅まで辿り着けば、玄関を───すり抜けることになるのだろうか。]

 ただいま。

[誰もいるはずがないのだが、つい、クセのように呟いた。]


 ドリー …… !


[ふ、と。気付けば。
傍らにはドリベルの姿。

咄嗟に両腕を伸ばして彼を引き寄せ
強く確かに抱きしめた。

その体から硬さは失せ、
生身の人の体のように柔らかく温かい。]


 ドリー。ドリー。
 すごいね。
 
 また こうして 名前を呼べる。


[嬉しくて。何度も、彼の名を呼び。]


あー……いやいや。

[挙動不審になっているのが見つかって、誤魔化しながらも、たまに村の中の様子を伺っている。

自宅についても、玄関の扉は開けられなかったから、兄の後ろをすり抜ける形になって…]

……おかえり。

[背後から、つぶやきに返事を返す。]


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 ん?

[背後からの返事に振り返り]

 ならケヴィンも……おかえり。

[チュッと、小さな音を立ててキスをした。

 テーブルを見れば、パンはまだそこにあった。
 そういえばチアキはだいぶ負傷していたようだったので、きっと、少し休んでから来るのだろうと。]


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[最後に触れた時。
少し癖のついた髪も固くなってしまっていたけれど。
今は動くたびに揺れるのが見える。]


 ……はい…はい!

[名前を呼ばれる幸せと、
再び触れ合える喜びに震えて。]


 
 ……よか、った。

[死してからも、共にいられることに。
少しだけ、泣いた。]


…………ただいま。

[不意打ちに言葉を失いつつ、呟いた。]

……こうして見ると、何も変わっていないな。

[最後に作ったパンも、残された料理も。
自分たちが出かけた時のままだ。
少し離れただけなのに、何故か懐かしい気がする。
台所に、食卓に、寝室……まで思い至って。]

……ホレーショー。
そういえば、ベッド、つなげたまま……

[遺品整理に来られて見つけられてしまったらば。
……バレてしまわないだろうか。不安そうな顔。]


 ここでも、ずっと一緒に居られる ?


[この世界の事は解らない。
なんたって死ぬのは初めての経験だ。

抱きしめたドリベルの背を撫で、
涙をこぼす目元へと唇を寄せて。
ちゃんと動く、温かな舌先で少し、舐めた。

幽霊に体温があるのかどうか…と
少し疑問が頭を過ぎったが。確かに感じられる。]


 散歩の約束。ちゃんと守れるね。
 よかった。


[視線を向ける、現に遺してきた板。
そこにはまだ約束の言葉が残っている。]


[おそらくまだ1日程しか経っていないだろうに、やけに懐かしさを覚える室内に、ゆっくり視線を巡らせていると]

 え?

[ベッド。
 そういえば……と、口を開いたまま、赤くなる。]

 いや、そこは……。
 おまえの腕が動かなかったから、看病の為に、って……

 …………。

[誰にそう言い訳をするのかと。
 聞こえないじゃないかと。
 左手はまだしっかり繋いだまま、右手で顔を覆った。]


……………………。
なるほど な。

[看病の為だったと、誰かが思ってくれるだろう。
そうだ、きっとそうに違いない。

出かける前にはちゃんと片付けておかなければならないんだな、という教訓は得たが、次に生かせる機会はあるのか。ないだろう。

そしてじたばたしても、ベッドの位置は直せない。
触れようと試してみても、すり抜ける。]

………諦めよう。

[騒いでも仕方がないので、悟った目になっている。
手は繋いだままで。]


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……離れるつもりはありません。

[一度目の時はどうだったろう。
気にもとめていなかったからはっきりとしないが。
例え離されそうになったとしても、
言う通りにするつもりはない。]


……散歩…楽しみにしてたんです…
…ちゃんと案内して…くださいね。

[直に触れることはできないけれど、
目に見える形で残されている約束に胸が温かくなる。

舐められたのに驚いて、
涙はひっこんでしまっていたけれど。]


 ………まぁ、その時は、その時で。

[ケヴィンの、何か悟ったような目に、諦めが肝心だなと嘆息し、笑う。
 死を前にして、朦朧とした意識のまま、攻芸達の目の前でケヴィンに口付けてしまったことは、残念なことに覚えていないようだ。]

 …………。

[繋いだままの手を、緩く引く。]


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[ぽんぽんと軽くベッドを叩いてみる。
毛布がめくれあがることはないが、上には乗れそうだ。]

……よし、寝てしまおうか。

[ベッドに横になって。
兄にも来い、と手招き。**]


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 あっ!

[言い訳を並べているうちに、弟は寝室へ行ってしまった。]

 あーぁ……。

[また、顔を手で覆って、そちらへと向かう。
 無意識に扉を閉めようとしたが、手が空振った。

 しかし、どうせ見えないのだから、開いていても閉まっていても変わりないかと、小さく笑って**]


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[思い出すのは数年前の日々。
何とかドリベルを得ようと苦心した日々。
あれも、今にして思うと幸せな日々だった。

舐めた涙の味にそっと微笑い。


抱いた腕に力を込めて。
躊躇なく重ねた唇から伝う
ドリベルの熱を愛する。

今度は、新たな存在になった彼を欲しがり。
更に深い繋がりを求めて…―*]


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[寝室を出たのは太陽がすっかり昇った後。
棚にしまわれたままの腸詰めや佃煮に、
もったいなかったなぁと棚のあたりで手を透かさせて。]


……出かけましょうか。

[手を差し出して。
いつもと同じ。手を握ってから出かけたい。]


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[握った手の甲を指先で擦る。いつもと同じ。

この感触を失うのだと、失ったのだと、
一度は絶望したからこそ、
それがとても尊いものだと心底から思える。
これまでとは違う繋がりを得たからこそ、
もう二度と離すまいという強い意思も生まれていた。]


 少し歩こう。天気も良いし。


[戸口でドアノブとの物理的接触が出来ないと
すこし目を瞬かせながら悩んだが、
通り抜けてしまえば良いのだと気付いて。

並んで屋外へ。陽の下へ。
そぞろ歩きで向かう先は、仲睦まじい兄弟の家。]


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―紹介に預かった仲睦まじい兄弟の家―

んー。

[寝台に転がってから、どれくらいの時間が経っていた頃か。

死人は、自宅の庭先で腕を回したり伸ばしたり、準備体操的な物をしている。]

腕動くって実にありがたいことだな。

[しみじみと、お天道さまに向かって呟いたりしていた。]


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― 仲睦まじい兄弟の家 庭先 ―

[ドリベルと並んで歩いている道の先、
庭先で動いている人影を見つけた。
大柄なその姿は、彼らの他には思い当たらず。

早朝、血の匂いのする中で聞いた、
ホレーショーの叫び声を思い出した。]


 え。幽霊とか。なにそれ。こわい。


[自分のことは棚に上げまくって呟き、
ドリベルの傍を離れて慎重な忍び足にて近付く。
気配を殺して。]


 … わ !


[上手く背後に忍び寄れたら。
満を持して大きな声をかける。
たびたび繰り返し行なってきた定番の悪戯。]


さて、これから何するかな……
見守るくらいしか出来ないが……

[幽霊は魔物に襲われる心配もない。
つまり、周囲を警戒する必要はなく、殺された気配に気づく要素は全くなかったわけで。

だからこそ、背後に立たれた瞬間、何気なく振り返った。]


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………うわ!?

[そのうち誰かと会うかとは思っていたが、
あくまでもそのうちだった。

しかし構えなくあまりに唐突に訪れたその瞬間。
めったに見られぬ非常に驚いた顔になった。]


 …… わ !


[こちらに気付いた風では無かった。
うまくやれたと思った。

しかし声を書ける瞬間に振り返られ。
咄嗟に面と向かって大きな声をかける事に。
悪戯は失敗だった。

しかし驚いた顔のケヴィンに、
同じく珍しく素のままに驚いた顔を向け、
つられて二度目の大声を上げ。

しぱしぱと目を瞬かせながら
数秒、見つめ合う事になる。]


………サミュエル?

[最後に見たのは、黒玉病に冒されていっている彼の姿。
自分に声をかけてきたのは、同じ存在だということだろう。

まあ、そんなことはさておき。

驚いている彼をむんずと掴み、首に片腕を回して。

ぐりぐりぐりぐり。
手加減はしているが、サミュエルのこめかみに拳を当てて、おしおきの時間。本当に驚いたんだから。不覚な表情見せてしまったんだから。]

……なるほど、さわれるな。


 ちょ。え。あ。
 いたい いたい。頭割れる。


[驚いている隙に、
気付けばケヴィンの片腕につかまり
頭を逞しい拳でぐりぐりされて喚いていた。

未だ実感の薄い状態ではあるが、
今の自分は現の肉体を離れた存在らしいと
おおよそ察していた。

そして、触れ合う事が叶う彼もまた、やはり。]


笑うな兄さん。……気づいてたな?

[同じく庭先にいた兄をジト目で見やる。
あちらはサミュエルのイタズラに気づきながらも、
看過していたようだ。

このくらいの力では割れん、と思いながらも解放してやり。]

ちゃんと会うのは数日ぶりだが……
変わってないようだな全く。

[数日で劇的変化はそうは起こらないだろうが、普段通りのサミュエルにどこか安心を覚える。

体を無くしたことについては鑑定に入れてない。]


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 うん。生前より元気。
 …… って言うのも変な話だね。


[解放されて頭を擦りながら、
いっそそこに痛みを感じた事に安堵した。
この体は石ではないのだ…と。

それからケヴィンとホレーショーの様子を見つめ。
自らの頭部を擦った手をケヴィンの右腕へ向ける。]


 ケヴィンさんも、
 今日も変わらず熊より怖い。安心したよ。


[動かなくなったと聞いていた彼の右腕を
少しだけ撫でてみる。
安堵に息を吐きながら。]


それはつまり、だるだるしているのが抜けて、
人並みになったということか。良いことだな。

[うん、と頷いた。
生前=修行をさぼっていたあの頃、と解釈したようだ。
故意でかそうでないかはともかくとして。

……ほう。

[すぅ…と目が細まるが、右腕は硬い感触をサミュエルには与えない。ぐ・ぱ・ちょきと、手を動かしてみせ。]

ドリベルも、お疲れさま。
やっぱり、共鳴、したか。

[ドリベルにも声をかける。
彼らはそれだけ心を通わせていたということであり。
ラーマとライマーとして良いコンビだということなのに。
それが感染に繋がるだなんて、皮肉な話だ。]


 確かに。こうなると。
 もっと … 、
 先生にいろいろ教わっておけば 良かったって。

 思う。


[想うのは師の姿。声。厳しさ。
怠惰に過ごした日々を悔いるわけではないが、
もう二度と得られないのだと思えば
淡々と変わりない口調に、
微かな悲しみが混じる。

そして、これが死ぬという事か…と実感した。

ドリベルへと向けられたケヴィンの声に、
細く息を吐き、ゆっくりと瞬きを。]


 一人じゃ寂しいから、連れてきちゃった。


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……………、

[口調の中に微かな悲しみを感じとって、
今のは失言だったかと思うけれど。]

わかった。

じゃあ、こっちでは俺が鍛えよう。なるべく厳しく。
大丈夫だ。
熊よりは怖いかもしれないが、キリさんよりは怖くない。

[励ましのつもり。]

…まぁ、そうだな。
一人は寂しいから、な。
……仲良さそうで、何よりだ。

[一瞬だけ、兄の方に視線をやりつつも。
穏やかな笑みを、二人に向けた。**]


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[扉を開けずに外に出るというのは不思議なもので。
それもそのうち慣れるのだろう。

向かったのは、よく香ばしい匂いを
漂わせていた一軒家。

その庭先に影を見つけたサミュエルが
そろり向かうのを確認して。
邪魔しないように足音を殺してゆっくりと歩く。

一足先にホレーショーが気づいたようなら、
人差し指を口元に当てて内緒の仕草。]


─ 仲睦まじい兄弟の家 ─

[こんなにもゆっくりと眠ったのは、いつぐらい振りだろう。

 漸く目を覚ましたのは、傍らにあった温もりが、動き始めるのを感じたから。
 それがなければ、下手をしたら陽が西に傾くまで、微睡み続けていたかもしれない。
 サミュエルでもあるまいし。]


 ……、ふぁ……。

[身支度を整えて庭に出ると、伸びをする。
 ついでに、大きな欠伸が出た。]

 ん……たしかに……。

[腕を回しながらしみじみ呟く弟に、同意しつつもつい苦笑してしまうのには、あれそれと理由があるわけで。]


― キリシマが訪れた頃 我が家の寝室 ―

[戸口から聞こえたノックには気付いたものの。

「やあ。先生。いらっしゃい」などと出迎える事も
「今日は天気が悪い。休もう」などと逃げる事も
もちろん、駆け寄って歩行を支える事も出来ない。

無力な霊体として、
砕けた黒石と成った実態を見つけてくれた
師の姿を見つめる。]


 先生。 先生、 …… 。


[彼の言葉を聞き、その背を見つめて声をかける。
届くはずのない声を。]


[顔が歪む。膝をついて泣きたくなる。

「お前はずっと私の弟子だ。」
その言葉に、胸がギシギシと軋んで痛い。
師が誇れる弟子にはなれなかった。最後まで。

せめて泣かずにその場に強く立ち。

向き直り去りゆく師に向けて両腕を広げた。
朧な霊体となった体では
抱き締める事は叶わないが。

彼がこの身を通過する一瞬、
ありがとう先生 ありがとう、と心の中で呟いた。*]


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[悪戯が失敗して二人が戯れているところへと、
ゆっくりとした速度で到着。]


……お元気そうでなによりです。

[最後に見た二人の様子とは打って変わって、
どちらも健常そのものだ。
それはこちらにも当てはまるが、それはさておく。]


……はい。ついてきちゃいました。

[向けられた言葉をに、笑みの形で。
これが逆の形であったなら、
悔いても悔やみ切れなかったのだろうが。]


 これから……どうしようねぇ?

[もう、魔物と対峙することもない。
 病に罹ることもない。
 一度目の死の時は、とにかく早く戻ることばかりを考えていたのだけれど、戻る必要がないとなれば、さてどうしたものか。]

 まぁ、ゆっくり考え…… 

[ぼんやりと向けた視線の先に、サミュエルと、ドリベルが見えた。
 あぁ、彼らも自分達と同じ姿になっているのだなと、すぐに分かった。
 緩く手を挙げ、呼ぼうとしたが……]

 …………。

[ドリベルが、人差し指を唇に当てていることに気付いたので、何も見ていないふりをした。]


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 …………。

[サミュエルは、順調にケヴィンの背後に近付いていた。
 一方こちらはといえば、何も見ぬふり知らぬふりで、ゆっくりと、柔軟など行っている。

 時折、ドリベルの方をちらりと見ては、笑いそうになるのを堪えて。

 そして………]


 ……… うん。

 鍛えて、地獄の鬼でも狩りに行こうか。


[先生は、先生ひとりだけ。

しかしケヴィンの明るく力強い声に励まされる。
傍に居ると、姿を見ていると、
不思議と気分が前向きになる不思議な兄弟だと
ずっと感じていた。それは、死して尚変わらない。

新たな師匠を何と呼ぼうか。
そんな事を考えながら、少しだけ笑って肯いた。]


 お二人も。
 仲良さそうで何よりだよ。


 ……ッ、ぶっ……!!

[ケヴィンが気配に気が付くか。
 サミュエルがまんまと出し抜くか。

 さてどちらかと思ったら、まさかの相打ち状態だった。]

 ……ッっ!

[おかしくて、噴き出して。
 屈み込んだ。]


 ……っ、はは……っ。

 ごめ……ッ!

[弟の視線がこちらへ向けば、笑いながら立ち上がる。]

 うん、でも、サミュエルもドリベルも、元気そうでなにより……
 ……元気っていうのは、違うか。

[けれど、じゃれ合うケヴィンとサミュエルの様子は、やはり「元気」という言葉がよく似合う気がした。]


 そうか、ふたりは”共鳴”で……

[だとしたら、はじめに発症したのは、自分と同じく副作用のあらわれなかったドリベルの方かとも思ったが、どうも違うようで、緩く首を傾げた。
 今となっては、どちらでも変わりはないかもしれないので、敢えて聞くことがしなかったが。]

 ん、なに?

[弟の視線が、一瞬だけこちらへ向いた気がして、小さく笑みを浮かべ、問いかけた。]

 …………。

[おそらく、ドリベルとサミュエルへ向ける視線には、どことなく、羨ましげなものが滲んでいたかもしれない。

 置いて逝くことも、置いて逝かれることもなかったが。
 もし、弟が、魔物に襲われてなかったならば。
 はたして”共鳴”したろうか。
 ひどく身勝手とは知りつつ、そうであって欲しいと思わずにいられない。]


 ホレさんも、元気そうだね。


[柔和で穏やかな様子も生前とは違わず。
朗らかに笑う声に、微かな笑みを返した。

ケヴィンと遊んだ後。
ホレーショーへも歩み寄り、
握手をしようと、手を差し伸べる。]


 また会えて嬉しい。

 ………… けど、ちょっと悲しい。

 
[彼らへの挨拶の後に続いたのは、
ほろりと漏れた、本音だった。]


 ん、元気。
 久し振り……

[差し伸べられた、サミュエルの手を取ろうとして]

 ……でも、ないか。

[少し言い直してから、強く握る。]

 私も、会えて嬉しいよ。


   …………  うん。

[けれど、続いた言葉の理由は、自分でもよく分かった。]


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ああ、行ける行ける。
目指せ10人斬り。ファイト。

[サミュエルの返事に、愉快そうに笑う。
少しだけでも、笑みを見せてくれたのが嬉しい。]

……ま、この歳になれば、
ケンカするネタもあまりないしな。

[こっちも相変わらずだな、と笑って。]


………?

[兄の、ドリベルとサミュエルに向ける視線がどこか羨ましげに見える気がしたが、その胸中はわからない。

しかし、もしもその疑問を聞いたならば、
『何をいまさら』と呆れてしまうだろう。
あんなことまでしておいて、と。

予防薬で防がれたかもしれないが、もし予防していなければ、確認するまでもなく共鳴していたに違いないのだ。


 うん。
 10人でも100人でも1000人でも。
 ドリーと一緒なら。


[きっと。
もうドリベルを武器として掴む事は無い。
それでも、並んで進むなら、と。

その後に握ったホレーショーの手も
温かく、逞しく、生前と何も変わらなかった。]


 生まれてからずっと一緒なら
 ネタが尽きるのも肯ける。

 羨ましい。


[サミュエルの声が聞こえれば、困ったように笑って。

いや、ドジってしまったけどな、
右腕がちゃんと動いて、兄さんを扱えていれば、
絶対あんなのにやられる事はなかったと思うんだ。

片手で、しかも左手で強めの魔物に難儀している所に、
奇襲かけてきやがった。

どこまでも不運だったな。
少しだけしか悪い事してないのに、ひどい目にあったもんだ。

[言い訳を始め、最後に冗談で〆る。]


 ……ご協力…ありがとうございました。

[気付いていてもケヴィンに伝えなかった
ホレーショーに共犯者の称号を。]



 ……ネタがつきるほど…
 …喧嘩しているのを見た覚えがないですね…

[ホレーショーがライマー時代にも
こんな感じで仲睦まじかったような。
子供の頃にネタを使い果たしたのであれば、
さぞや…と想像してみたが。

やっぱり仲のいい二人しか想像できなかった。]


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 ケヴィンさんの強さは、知ってるよ。
 先生の次くらいに。


[師の前では絶対に言わないが。
知らないところでは
ちょくちょくデレる弟子なのだった。

合間、小声でのやり取りには、
ここでは深く頷く仕草だけを返し。

もう少し落ち着いたら、
改めて話を聞こうと思った。]


メモを貼った。


 どうだろう。
 ドリベルが知らないだけかもしれないよ?

しれっと返す。
 ただ少なくとも、ラーマとなってからは、大喧嘩は記憶にない。]


まぁ……そうだなあ。

[喧嘩した記憶を辿り、子供の頃を思い出して…
くすりと笑った。
ドリベルの見解通り、喧嘩の記憶は…思い出せない。

小さい頃は、大人しくて泣き虫で、兄の後ろから他の子の様子を伺っているような、内気な少年だったなんて、きっと今のケヴィンからは誰も想像できないだろう。]


 んー?

[こっそりデレるサミュエルに、にっこりと微笑んで]

 サミュエール。
 私の前で、そういうこと、言う?

[キリシマの強さは、勿論、知らぬわけではないけれど。
 やはり、弟が一番だと言い張りたい。]


 したこと、ある? ケンカなんて。

 少なくとも。
 ボクが知ってるケヴィンさんは
 ホレさんが大好きでたまらないって
 いつだって ダダ漏れてたし。

 
[兄弟の仲睦まじさは、
ここ数年眺めている分にも明確だった。
と、思う。

ライマーとラーマとしての仲の良さは
村のあちこちで見てきたが。
彼らはそれとは違う、それ以上の、
強い絆に繋がれているように見えていた。


そんな記憶を思い返しつつの揶揄だ。]


………あ。

[そうこうしているうちに、攻芸とチアキが家にやってくるのが見えた。恐らく、自分の遺言通り、最後に作ったパンを取りにきたのだろう。

他に残っている料理があれば、どうせ自分たちには食べることはできないのだから、全部持って行ってもらいたいくらいだ。

…最期の記憶にある弟子の顔は、泣きながらも笑っていた。
今すぐでなくとも。泣きながらでも。
笑って、生きていってほしいと、願う。

それがもう、叶わぬ願いになっているとは知らずに。]


[病を抱えて歩く弟をただ見つめる。
黒い結晶へと変わっていく姿に、やるせない思いは募る。
しかしまた共に在れる可能性に喜びを覚えた。]


……弟の死を喜ぶなんて兄失格だな。

[苦笑いを浮かべ。
ただ、もう一度触れ合うことができるなら。
その時は、名前を呼んで思い切り抱きしめてやろうと。
歩いていく弟を見送る。]


……は?

いやそんなことは、全然、ないけど?

[声に動揺が現れている。
隠せていた、と本人は思っていたわけで。
かまかけだとしても、どことなく挙動不審。]


………。

何張り合ってるんだか。

[動揺したまま、それだけ返すのがやっと。


 …それを言ったら……ホレーショーさんも。

[サミュエルに追従するように。
半年での転生は指折りの早さだ。
その理由が弟に会いたかったからだとは、
その後の二人を見ていれば分かるというもの。]


……ちょっと、様子みてくる。
パン見つけられるかわからないし。

[空気が微妙になったのもあり、そそくさとチアキたちの後を追っていく。見つけられなかったとて、知らせる方法がないはずなのにも関わらず。

つまり、この場を離れる言い訳なのがバレバレである。]


 もちろん、言うよ。
 実際にはそうでなくてもね。


[自信に満ちた声で深く肯く。
父を誇る息子のように。
その言葉には、いつまでも、
そうあって欲しいという願いも含まれている。

ドリベルの同意()を得て、
ほら とばかりに得意げに兄弟を見る。]

 
 うん。チィに … よろしく。


[先程見かけたチアキを追うケヴィンは
大人しく、その場から見送った。]


―自宅の中―

…………?

[よろしくしたくても、もう届かない。
だから、黙ってチアキ達のやりとりを眺めたりしていた。
パンの場所はわかるだろうかと、奥に行った後の攻芸についていけば、囁かれた言葉が聞こえて、不思議そうに首を傾げる。

意味をとらえることが、できなくて。


[弟をからかうサミュエルを見て。
 そして、弟の反応を見て、嬉しそうに笑う。]

 んー、私?

 それは勿論。

[こちらはといえば、さも当然といった口ぶりで、ドリベルの追従を肯定した。]


[チアキと攻芸の姿が見えたのは、そんな会話を交わしながら、クスクスと笑っていた時か。]

 あ。

 ……逃げたね。

[様子を見てくると、そそくさとこの場を離れてゆく弟の背を見て、ぽつりと一言零し、またクスクスと肩を揺らした。]


―自宅の中―

[二人のやりとりを聞いて。
攻芸がどこか遠くへ行くのだろうかと思った。

半日の暇という割には、先程の口ぶりはいつ帰ってくるかわからない物に聞こえたのが気になったが…死者には知るすべもない。]

おーい……
二人とも、無茶はするんじゃないぞ。

[届かないとわかっていても忠告しておく。]


…………。

[現れたチアキと攻芸が家へ中へ入るのを見て。
後をついていくケヴィンを見送る。

あの中で見えるのは、師匠と弟子の絆のやりとり。
少し前、キリシマとサミュエルの間で行われたような。


その光景は、胸が締め付けられる。
彼も見られたくはないだろうと。だから。]


 ……逃げましたか。
 
[ホレーショーの笑いに返す。]


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 逃げた逃げた。
 まったく、ひどいなぁ。

 ねぇ?

[わざとらしく肩を竦め、同意を求めるようにサミュエルとドリベルを見て]

 さて、それじゃあ私は、弟子に大切な弟がとられてしまわないように、後を追ってみようかな。
 ふたりはどうする?

[そんな、冗談なのか本気なのか分からない言葉を残し、家の中へ。
 彼らが、ともにチアキ達の様子を見たいというならば、勿論歓迎するつもり。]


 ……仲がいいことを…
 …恥ずかしがる必要もないですよね……?

[兄はあっさり認めているのだから、
弟も諦めればいいだろうに。
二人の関係の本当のところについては知らぬまま。]



 ……ここで…待ってます。

[ホレーショーも同様に見送って。
チアキ達の様子が気になるのもたしかだが、
それはここからでも窺うことはできる。
室内については彼ら師弟ペアのみの空間にしておこうと。]


 逃げたね。
 まったく。可愛いね。


[屋内へと向かうケヴィンには聞こえないよう、
ホレーショーと密かに笑いあうように。

彼もまたチアキの傍へ行くと言うなら、
その場から見送るつもりで
ゆっくりと頭を振った。

死して師と逢った際の切なさは
まだ記憶に鮮明。

邪魔はしない。

ドリベルもどうやらそう考えているようで。
ドリベルの手を取り、握った。]


 ん、ない。

[ドリベルに笑みを返し、頷いて、扉をすり抜け家の中へ入ってゆく。

 おそらく、攻芸が、どこか不自然な願いを、誰もいない空間に告げた後くらいだったろう。]


 遺言。
 聞いてくれたね。

 素直だし、頑張り屋だしさ、チアキは本当にいい子だよ。
 ……おっちょこちょいだけど。


―自宅の中―

………ああ。

[ホレーショーの言葉に、同意する。

俺、あの子に何か、残せたかな……
もっと、何かしてやれてたら、ってつい思ってしまう。

[ぽつりと呟いた。]

……最期の時に、笑わせたくらいだな。


 ……どうだろう。
 私は、ケヴィンはとてもいい師だったと思うけど。

[自分など、チアキと出会ってすぐに病に倒れ、次に会った時には既にライマーではなくラーマだったのだから。]

 残せたかどうか……
 何を得たか、何を残してもらったか……それは、ケヴィンが考えるんじゃなくて、チアキ自身が考えることなんじゃないかな。

 教えられるばっかりじゃなく、自分で考えて、さ。
 そうやって、成長して……

 …………。

[笑わせた、と聞けば、少しだけ噴きだして]

 あれはね。
 うん、とってもケヴィンらしかったよ。


 …………。

[ケヴィンとホレーショーは、中でチアキ達を前に、
どんな言葉をかわしているだろう。

つながれた手を握り返して、
こつりと肩口に首を預け。
言葉はなく、ただ寄り添う。]


それは、兄の欲目が入ってるかもだな。
……まあでも、受け取っておく。

[いい師だと言われて、悪い気はしない。
そして、それはチアキ自身が考えることだ、という己のつぶやきに対する答えを、黙って聞いていた。]

…やや過保護気味の傾向は、あったかもしれん…
と、我ながら、思う。

[チアキ自身が考えること。
成長のことまで思い至っていなかった。
自分は過保護だったのかもしれないと。が、
初めての弟子が、仔犬みたいなのが悪い、と責任転嫁。]

ま、そんな中で、パンの味だけは、自信があったからな。


 ……かも、しれない。

[欲目は、確かにあったろう。
 けれどそれを抜きとしても、真っ直ぐに弟子を導く良い師だったと思っている。

 ……あまり、酔うほど酒を飲むことはないのだが、いつだったか、つい飲み過ぎた時に、散々自慢した記憶がうっすらとある。
 多分、師としての弟以外についても、あれこれ自慢しただろうけれど。
 あの時は、そういえば誰がいたか……そこまでは覚えていない。]

 そりゃ、あんな仔犬みたいにキャンキャン懐かれたら、そうそう厳しくなんて接せないよ。

[まさか弟が、同じようなことを考え、心中で責任転嫁を謀っているなどとは思わずに。]

 ん、確かに。
 パン だ け は ケヴィンの方がずっと上だったね。
 パンだけは。

[他はお察しということで。]


[その酒の席には、弟も同席しており。
酔った兄に自慢されまくって、肩身の狭い思いをしたものだ。
嬉しいのだが、基本的に恥ずかしがりなので。
その後、からかわれることを考えれば複雑な表情になっていた。

やかましい。

[パン「だけ」と強調されて、一蹴する。]

……出来れば、さ。
一人前になる所、生きてる内に見たかった。

[少しだけ、寂しげな目になって。
けれど、首を振って、仕方のない事だと微笑んだ。]


 ねえ。
 ドリーは …… 

 …… どうしてラーマになったの ?


[静けさの中で寄り添い、
短い言葉で尋ねてみる。

何処でもない遠くへと眼差しを向けたまま。]


 …………。

[ただ静かな時をすごす間。
かけられた問いに目を瞬かせ。]

 ……それが…覚えてないんです…
 ………とても…後悔していたことだけしか。


[苦笑と共に落とした言葉に偽りはなく。
ライマーとして命を落とした周辺の記憶は抜けたまま。
どうしてラーマへと転生を願ったのかも、
二度目の死を経験して尚思い出せなかった。

ただ、ぽっかりと空いた記憶の中。
押し寄せる後悔と、響く声だけが、あの頃は残っていた。]


[一蹴されてもけらけらと笑い]

 いいじゃないか。
 私は、とても好きだったよ。
 ケヴィンのパン。

[大好きなベーコンやチーズ、ナッツ類をパンに混ぜる時、やさしい弟が、いつも少し、自分のところに多く混ぜてくれていたことは、よく知っていた。
 だから自分も、シチューを盛る時など、弟の皿に肉を多めに入れたりしていたのだけれど。]

 ……ん。

 きっと、攻芸とふたり、いいライマーとラーマになってくれるよ。

[生きているうちに見たかったという思いは同じ。
 けれど、弟のそれの方が、きっとより強かったろうと。
 寂しげな表情を浮かべながらも微笑む弟の肩を、そっと叩いた。]


 ラーマとして生きて … 死んで、


[言いかけた言葉が、
躊躇うように一度そこで途切れた。

後悔。

ドリベルの言葉を頭の中で繰り返す。
深く息を吸い、吐いて。
再び口を開く時には視線はドリベルへと落とした。]


 …… 後悔は、無い?


………、そうか。
……………。

ま。ホレーショーの料理も、美味かった。

[恐らくこの身では食べられそうにないのが、結構辛い。
味付けも、肉の量も、実は大変気に入っていたというのに。]

……ああ。
なるだろう、な。

[親はなくとも子は育つというものだ。


[やがて、自分たちの家を去っていくチアキと攻芸の後ろで、
霊体は見えないのに手を振っていた。]

また、来てくれ、な。

[誰も訪ねて来ない家は、少し寂しいから。]


[向けられた視線の中で
揺れる感情をしばらく見つめて。]

 
 …僕は…エルのラーマとして……生きて。死んで。
  
  ……幸せでしたし…幸せです。今も。これからも、きっと。



[だから後悔なんてない、と。
しっかりと手を握った。]


 そう?
 ありがとう。

[褒められると、素直に喜び、笑みを向けるが]

 ……もう、作れないし……食べられもしない、んだろうな……。

[ケヴィンのパンは勿論のこと。
 腸詰めも、鹿肉の佃煮も、マーマレードだってまだ残っていた。
 そういえば最近、ジェームスの美味しいケーキを食べていなかった。
 攻芸の淹れてくれたお茶も……]

 ……。

[考えれば考えるだけ、心残りが増えそうで、やめた。]


[やがて攻芸とチアキが去ってゆけば、ケヴィンの隣に立ち、手を振った。
 もう片手は、おそらく、ケヴィンの腕を掴んでいたろう。]

 ……いつでも、歓迎するよ。

 あ。
 お土産も待ってるから。

[お土産があったところで、触れることすらできないのだが、何となく、楽しげな声色でそんなことを付け加えた。]


 そう。 … よかった。

 ボクたちは、どこまで一緒に行こう。
 ドリー。


[どれだけ繰り返し確認しても、
ドリベルに赦されても。

愛しい人を自らの不運に引き込み
死出の旅路にまで伴ってしまった自分を
心の底から赦せる日は来ないだろう。

悔いる気持ちは無い。それでも。


ドリベルの手の強さに、胸が熱くなる。
泣きたいくらいに。**]


メモを貼った。


[応えには、頷きを。]


 ……ずっといます。一緒に。

[取った手の甲に誓うように口付けを落として。

チアキ達が出てこれば、
元気でね、と言い添えて。
彼らが立ち去るまで見送っただろう。**]


メモを貼った。


………。

[掴まれた腕を解いて、握り直す。
手を繋いだ形になって。
自宅は再び、二人だけの空間へと戻った。]

……兄さん。

[力を込めて、兄の手を握る。]


 あ。

[腕を解かれると、一瞬だけ眉が下がったが、すぐ手を握り直され、今度は笑みの形となる。]

 ……なに?

[静かな、他に誰もいない空間に響く弟の声に、問いかける。]


………俺、さ。

[言い難そうに、少し俯いて。]

………ラーマになろうと、思ってるよ。

[それが何を意味するのか…
わかっていながらも、呟いた。

握る手の力は、強く、強く**]


メモを貼った。


 …………。

[弟の告白を、静かに聞く。]


 ……そう。


 それが、おまえの選んだ道なら……。


[握られた手、こちらからも強く、握り返す。
 それが弟の選択ならば……止める権利など、あるはずがない。
 彼ならきっと、素晴らしいラーマとなることができる。]

 ……………。

[暫しの沈黙の後、無言のまま、微かに頷く。

 ただ、弟の顔を見ることは、まだ少しできなかった**]


メモを貼った。


[どこまでも一緒に。

この曖昧模糊とした永遠の世界では
それが言葉の通り、
途方も無い時間の共有を刺すことは明白。

誓いのキスに、肯いて。
同じように、ドリベルの手の甲へキスを。


屋内から出てくる隣家の二人へと視線を向け、
にわかに湧いた忌まわしい予感から目を背け、
ただただ彼らの健やかなる日々を願う。

うん。どうか元気で。

ドリベルの声に重ねるよう、言葉添えて。]


[ホレーショーとケヴィンが外へ出てきたようなら、
そろそろ一度戻るということを告げるつもりだが。
長く出てこないようなら取り込み中だろうと、
中をわざわざ覗きはしなかったろう。

まだ死んで間もないし、
あまり長居をするのも申し訳ない。
それに、また会えるのだから。]


……トレイルさん?

[ホレーショーの家から戻る途中。
一人で歩く姿を見つけ。
その手に持たれたシーツに、向かう先を知った。]


― 自宅へと戻って。 ―

[ふらり、と再開した逍遥。
自然と足が向くのは、住み慣れた我が家。

トレイルが戸口を潜るのを見つけて()
その後を静かに追って歩いた。

門前を通りがかった斜向かいの男が
この家の住人たちの死を
トレイルに伝える様子も見た。]


 寝てるだけだって書いたのに。
 バレたか。


[隠しおおせるとは微塵も思っていなかったが。
気恥ずかしそうに、肩を竦ませて。]


[静まり返った部屋に響く、
トレイルの相変わらずな明るく柔らかな声。

同じ頃に村を訪れ、修行に励み、
年の近さもあって何かと接点は多かった。
なんとなく、負けたくない相手でもあった。

それでも、男の人生において、
躊躇いなく友と呼べるのは、トレイル一人。
もし。もしも誰かに背を預ける日が来るなら、
その相手はトレイルしか居なかっただろうと
今なら、思える。

嘘つきだと罵り涙する友の背を見つめ、
試しに、彼と背中合わせにして立ってみる。

背後の他人の気配は煩わしくて嫌いだったが
こうしてみると、心強さを感じる。
生きているうちにこうしてみれば良かった、と。
思えば少し、悲しくなった。]


メモを貼った。


メモを貼った。


……シーツ、届けにきてくれたんですね。

[結局取りに行けなかった。
わざわざ持ってきてくれたトレイルに、
お礼を言わないといけない。]


……わざわざ来て下さって…
…ありがとうございます。

[中へと入るトレイルへかけるのは、
聞こえないとわかっていても、
出迎えと感謝の言葉。]


[兄の表情を伺う。
横顔が、寂しそうに見えた。
当然だ、俺だって寂しい。だけど。]

……病に皆、苦しんで、悲しんで。
ライマーもラーマも減っただろう。
なのに、黒玉病のせいで、ラーマになれない者もいる。

[そしてこれからも減るのだろうという予感がある。ラーマが足りなくなるであろう未来が見えた。]

……兄さんと離れたくは、ないよ。

でも、皆が辛い思いをしてるのに…
まだ、俺に出来ることがあるのに。
それを放棄して、安穏と眠るのは。

例えアメノマが許しても、俺が俺を、許せない。


[そこまで言って、ふっと表情が弱くなる。]

……死んでみて、どうやら永遠の別れじゃないと思えたから、決められたこと。だから……俺のわがままだけど。兄さんには、見守りながら、待っててほしいんだ。

手のかかる弟で申し訳ないが。

[離すのが、惜しい手。
否と返事があれば、きっと、離せなくなる。]

多分、長くは待たせない。
美術館にでも飾られない限りはな。

[そして兄の返事を待って、その表情を伺った**]


メモを貼った。


……なかなか様になってますね…。

[背中合わせに立つ二人を見て呟く。
これで互いのラーマを手にして…と、
そんな光景が実現することはないけれど。
あったかもしれない未来の光景を、
目に焼き付けるように。



それから、俯き涙を零すトレイルに
近づいて髪をそっと撫でる。
実際は透けてしまうので、気持ちだけ。
撫でられたことは幾度もあったけれど、
こうして撫でるのは初めてだったなと。

どんな反応を返してくれただろうか。
一度やっておけばよかったかもしれない。]


メモを貼った。


[トレイルを見送って、
しばらくは静かな時を過ごす。
窓をすり抜けて窺う陽気は穏やかで。]


 ……そういえば、とっておきの場所。
 …連れていってくれるん……ですよね?

[一度は果たせなかった約束は、
まだ枕元に残っている。]


メモを貼った。


[顔は上げられぬまま、弟の話を、ただ黙って聞いていた。
 繋いだ手の指先には、白むほどに力が篭もる。

 漸く、口を開けるまで、どれくらいの時間を要したろう。]


 ……恥ずかしい話だけど。

 私は、おまえが死んだ時。
 ともに逝けることを嬉しく思ってしまった。
 けれどおまえは、黒玉病で逝ったわけではなかったから……もしかしたら、ラーマとなってしまうのではと思って……。
 それが、すごく……いやだった。
 何故、共鳴で死んでくれなかったのかと……考えた。

[自嘲を浮かべながら、ぽつぽつと語る。
 指先は、微かに震えていたかもしれない。]

 ……ひどい、身勝手な兄だと思うかな……。


 ……けれどね。
 おまえの口から、さっき、その言葉を聞いた時、何故か不思議なくらい、すんなりと受け止めることができた。

 勿論、辛い、寂しい……。
 離れたくなんか、ない、けれど……。

 けれど、おまえの話を聞いて、よく分かった。
 そうだな、おまえが、この状況を放っておけるわけがない。
 おまは昔から、やさしくて……。
 いつの間にか、私より大きくなってしまっても……それでもずっと、真っ直ぐなままで……。

[声が震え、涙が零れそうになる。
 脳裏に思い描くのは、幼い頃の、内気だった弟の姿。
 いつも自分の後をついて回っていた、泣き虫な少年。

 今ではすっかり、逞しい男となったその顔を、愛おしげに見つめ。
 頬にそっと、手を伸ばす。]


 だから私は、おまえを好きになったんだ。

[真っ直ぐに見つめ、笑う。
 笑った拍子に、溜まっていた涙がぼろりと零れてしまったけれど。]

 おまえはいつまでも、私の自慢の弟で……。
 誰より愛しい……恋人だ。

[ほんの少しだけ高い、弟の肩。
 そこに、ゆっくりと凭れかかり]

 ………行っておいで。

 私は、ここで待っている。
 次に会える時まで、ここで、ずっとおまえを見守っている。

 それにおまえなら、私の姿が見えなくても……きっと、感じ取ってはくれるだろう?


 …………。

 少しだけ、時間が有限になってしまったな……。

[弟がラーマとして転生するのは、半年後か、一年後か……もっと早いか、遅いのか。
 そこは、弟の意志と、アメノマの恩恵に依るのだろうけれど。
 猶予は、まだ残されている。

 だからせめて、それまでは……**]


メモを貼った。


[丁寧に整えられた寝台。

目立たない縫い跡の残るシーツ。
きっと寝心地は最高だろう。

部屋を去るトレイルに笑顔で応える。]


 ありがとう。トレイル。
 … ありがとう。
 

[彼が撫でた箇所をなぞるように
皺ひとつなく敷かれたシーツを撫でる。

そこは少し、温かい気がした。]


[それぞれにトレイルとの別れの時間を過ごし、
静寂の中を並んで佇んでいただろう。


穏やかな陽射しの中に在る我が家は
昨日までと何一つ変わらないのに、
そこはもう自分たちの空間ではないのだと
どこか余所余所しく感じた。
実際、黒石と成り果て砕けた二人分の肉体は
既にこの家には無い。

寂寥を振り払い、向き直す。外へと向かって。]


 うん。他にも、ドリーの行きたい場所があれば。
 どこへでも行ける。


[ドリベルの手を握り、行こう。
途中、村の中で生者の面々と擦れ違いながら。]


 …エルもちゃんと考えてください……ね。

[自分も考えるように、と釘をさし。


村の中を歩けば、
獣との争いで壊れた場所を修繕する姿も見られ。
生者達の逞しさを知る。

…住む者がいなくなったあの家も、
いつか壊されるか、別の者が住むのかもしれない。]


 ……エルはその場所…いつ見つけたんですか?

[ふらりと出かける水浴びも、そこで行っていたのなら。
自分がサミュエルのラーマになった時には
すでに見つけていた計算。]


[兄の言葉に、ゆっくりと首を横に振る。

生きられないなら、せめて共に逝けるのは幸福だと、
自分も思ってしまったから。

さすがに、死因が違うことに対する不満までは思い至っていなかったけれど、その話を聞いても、兄を責める気にはなれない。逆の立場なら、もしかしたら考えていたかもしれないのだから。]

…………。

[兄の言葉を、黙って聞く。

いつの間にか、背も年齢も追い抜いてしまった自分。
年齢が少し下がっているのは、元の年齢差に戻りたいと、兄に甘えられる弟でありたいと、無意識に思っていたから。]


ごめんな……ありがとう。

[手を伸ばし返し、零れ落ちた涙を指の腹で拭う。

辛い思いを押し殺して、それでも笑ってくれる兄。
我儘を言っても、最後には許してくれる兄。
そんな優しい兄が、昔からずっと、好きだった。]

……必ず会える。
永遠は、ここにしかないのだから。

姿が見えなくても、声が聞こえなくても。
心は、常に、傍にある。


……腕一本と、腹だからな。
時間はかかるだろう。

[損傷箇所は少なくない。
長く過ごすのは、手が離せなくなって困りそうな。
かといって、短く過ごすのは、寂しい。

だから猶予は天にまかせる事にして。]

戻るまでは、ずっと、一緒に。

[顔を寄せて囁き、誓いの約束をするように、
口づけを落とす**]


 ボクは、ドリーと一緒なら
 どこでどうしたって幸せだからね。


[すれ違う人達の顔を何気なく眺め、
彼らの表情に悼みが見えると目を逸らした。

ほんの数日で、ずいぶん変わった。
仕事や戦闘で命を落とす者が出た時は、
その勇敢さを讃えて見送れるだけの
戦う者たちの覚悟と強さがあったと思う。

不意打ちに訪れた厄災に蹂躙されて
無力に奪い去られる時は、
どんなに強い者も打ち拉がれるのか。

これも死してはじめて知ったこと。]


 この村に来てすぐ後。
 森が好きで。 … ひとりでよく散歩した。


[村人たちとの穏やかな日々の営みに慣れず、
修行の合間に森に入っていた頃。

そんな話を、ぽつぽつと。]


メモを貼った。


 ……それ…僕も同じように返したら…どうするんです。

[その時はその時で、
目的もなしに歩いて行くのも楽しいのだろうが。


少しずつ村の中心から離れながら、
耳にするのはまだ出会う前の話。

サミュエルがどこから来たかも知らない。
すべてをもらったと言ったけれど、
過去まで踏み込んでいいものかと逡巡し。
返す相槌は曖昧なものとなったろう。]


 どうしよう。 考えてなかった。


[とは言え目的のない旅に出るのも
悪くないかもしれないと考える。
ずっとこの村を見つめるのも良いけれど、
広い世界を見て回るのも楽しそうだ。

村外れを流れる川を、
源流に向かって遡って歩く。
踏み均された道と呼べるものが消えて、
木々の隙間の苔生した地面が広がる。
その上を、のんびりと。


昔話はこちらも曖昧に頷き、終わる。
もうすっかりただの過去だ。現に残した過去。
とは言え、訊かれなければ語らない。
それはきっとずっと変わらない。]


[指で涙を拭われた
 それは昔、泣き虫だった弟に、自分がよくしていた仕草とどこか似ていて、懐かしいような照れくさいような気持ちになって、小さく笑った。]

 ん……。

 これからも、常に、傍に。

[晴れた日は朗らかに。
 雨の日はひそやかに。
 愛しいものへ、唄を届け続けよう。]


 あぁ……。

言われてみれば、自分は、肺を病んだだけだったので、早く戻りたいという強い想いと相俟って、半年足らずで戻ることができたけれど。
 ジェームスは3年、ドリベルなどたしか7年くらいかかっていなかったろうか。
 ……いやドリベルの場合、これほど時間がかかったのは、肉体的損傷からでないのは分かってはいるけれど。]

 それまでに、しっかりと笑っておまえを送り出せるようになる。

 それまでは………

[誓いの囁きに、目を細め……閉じる。
 涙はまだ乾きそうにはないけれど、それでも、きっといつか……**]


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


[道のない場所は、生身であったなら
歩くのも大変だったろう。
形ない存在であれば足場について気にせず、
足元の草木を心配する必要はない。

周りの光景を楽しみながら
やがて目的の場所へと辿り着けば、
そこに広がる有りのままの自然の形に息を呑んだ。]


 ……よく…見つけましたね。

[浮き立つ声で、なるほどとっておき、と。
村に長くいるからといって、村のすべてを
知り尽くしてるわけではないようで。
長い時間の中での楽しみを見つけた気分。]


[生前よりも軽やかに進む、森の中。
途中に見かけた動物たちは
第六感が優れているのか、堂々と傍へ行くと、
不思議そうな目を向けて駆け去って行った。

辿り着いた滝壺に近い川原は、
いつ訪れても変わらず静かでどこか厳粛だ。]


 本当はさ、ちょっと、
 ここで死にたいなって思ってた。

 昨日の話じゃなくて …
 いつか、死ぬなら って。


[川原の岩の上に屈み、
水流に手を差し入れてみる。
触れられない水には温度も感触も無い。]


[冷ややかな水を湛えた場所は雪ぎ場のようで。
水辺に膝を落としたサミュエルの背を見つめ、
聞こえた声に目を伏せる。]

 
 …………。

[それは、自分がラーマになってからもだろうか。
その時は、自分を置いていくつもりだったのだろうか。

聞きたいことはあって。
けれど言葉にはならなくて。


答えを聞くのが怖かったわけではない。
この神聖な場所に不似合いな思いを抱いてしまったから。

だからただ無言で、その背に額を預けた。]


メモを貼った。


[背中に受ける感触と僅かな重みに振り返り、
片腕でドリベルを抱き寄せた。
こめかみと目元に唇を寄せる。]


 特別な場所 … ってこと。
 他にも、たくさんあるよ。


[夜になると光る花の咲く渓谷だとか、
陽の光が雨のように降り注いで見える洞窟、
泉にはいつも綺麗な蝶が集まっている。
…そんな話を、続けて。

村の周りの森や山だけでも、
熱心に探索しないと見つけられない場所は
きっとまだまだたくさんある。]


 全部、一緒に見に行こう。


[サミュエルが病で死んでよかったと、
そんな最低なことを考えた。
それはラーマになるか問うた時にも抱いた想い。
抱き寄せる腕はきっとそんなことは知らないだろう。

落とされる口付けを赦しと錯覚してしまいそうで、
けれど目を瞑って享受する。]


 ……ちょっとずつの…楽しみにします。
 …一度に見たら……感動が薄れそうですから。

[挙げられるのは、想像し描くだけで煌く、
きっと本物はそれを越えるだろう場所。]


 …新しい場所も…たくさん見つけましょう。

[小さく笑んで、付け足した。]


[自分は戦で死ぬのだと思っていた頃、
強大な魔物に殺される予感を抱いていた頃、
ドリベルは死に際に手放そうと思っていた。

それはこの沢で何度か考えていた事。

自分にとって彼が唯一のラーマだと確信はあった。
しかし、彼にとって自分が唯一のライマーだと、
自らを過信する事は無かったから。

死に至る病の脅威を聞いて、
実際的な死を間近に感じるまでは。


それは、抱きしめてこんなに傍に居ても
ドリベル自身には告げていない数日前までの秘密。
それは今も色濃く残る、
死に伴ってしまったという罪の意識に繋がる思考。]


 うん。一緒に見つけていこう。
 ボクらの特別な場所を … たくさん。

 時間は無限にありそうだしね。


[笑ってくれるドリベルの目元へ
もう一度、口付けを。

楽しい想像に、胸を踊らせて。]


メモを貼った。


……うん。

[これからも、という言葉に頷いた。
涙のあとが残る兄の顔を、僅か眉毛を下げた笑みで見つめる。

しっかりと笑うと言ってくれたのだ、兄に恥じぬよう、
自分も笑えるようにならなければ。

晴れた日も、雨の日も。
胸を張って歩いて行けるように。]


[永い未来のことを少し話して。

穏やかな時間の中、
跳ねる飛沫や流れてくる木花を眺めたり、
風と森が奏でる囁きを楽しんだ。]


 ……また…季節が変わったらきましょうね。


[その時はまた、きっと別の顔を見せてくれるだろう。

太陽が傾く前には、村へと戻ろうか。]


 秋に染まる森も美しいよ。
 雪も。

 この身体なら
 冬でも、きっと寒くないだろうしね。
 

[帰路の間も軽く会話を交わして。

例えば行ってみたい場所や、
見てみたいもの、してみたい事について。
永遠の時間をふたりで過ごす計画。


森を抜けて再び村の道を歩く途中で、
弁当箱を抱えたチアキを見かけた。
包帯に面積が心なしか増えているような。]


メモを貼った。


……長居してしまったな。

[自宅の中から外に出てみれば、既に二人はいなかった。
待たせすぎてしまったから、仕方がない。]

……どこか、行こうか?

[兄へと話しかける。
残された時間をどう過ごそうか。]


メモを貼った。


 言っておくけど、私が恋しくなったからといって、わざと早く帰ってくるような真似だけはしてくれるな?

[からかうように笑いながら、弟と手を取り合って外に出てみれば、ドリベルとサミュエルの姿はもうなかった。]

 ……ん。
 あとから謝りに行かないと。

[申し訳なさそうに肩を竦め]

 どこへ……。
 なら、どこか風の気持ちよさそうなところ?


[見つけたチアキの行く先は、当然自分達と同じ方向で。
けれど自宅ではなく入っていくのはこちらの家。]


 …………。

[机の上に置かれたお弁当箱に、目を細める。
聞こえた言葉に、約束だったねと呟いて。
分からないという呟きと首まで広がった包帯の白に、
暗い予感が胸を占めた。

ただ、現実にならないことを祈る。
チアキには攻芸と一緒に元気に頑張っていってほしいから。]


 ……ありがとう…チアキ。いただきます。

[実際に口にすることはできないけれど。
大切に作られた、料理に込められた想いは必ず。]


……そんな事するくらいなら、
最初から戻るなんて言い出さない。

[からかわれて、苦笑する。
実際寂しくなりそうだから、良い返しが思いつかなかった。]

…ああ、いいな。行こう。

[先程の会話のせいか、外だというのに手は、離せなかった。]


― 自宅 ―

 
 あ。ひよこ豆。


[チアキが食卓に置いた弁当箱には
美味そうな料理が詰まっていた。
目ざとく豆料理を見つけて目を瞬かせた。


よく見れば、やはり増えている包帯。
包帯で覆われた下に何があるのか、
悪い想像が膨らみかけたが
首をゆるく振ってそれを払って。

頑張っている様子のチアキを見つめる。]




 美味そう。
 チィ。ありがとう。


[珍しく素直な礼の言葉をかけて、
去りゆくチアキを、見送っただろう。]


[繋がれたままの手に、嬉しそうにくすりと笑う。
 一部の村民にはもう勘付かれているだろうし、折角の時間を、あまり無駄にしたくもない。]

 どこがいいかな……。

[見上げた空は青い。]

 草原か、河原あたりなんてどうかな。


メモを貼った。


[二つ提示されて、少し考えて。

ん……じゃあ、河原、行ってみるか?

[河原の方が、草原より少し遠く。
村の中をゆっくり歩くために。]


― 自宅→ ―

[チアキが去っていった家で。
食卓に乗った料理が
否が応でも日常を思い出させて少し切ない。


昨夜、深く深く眠ったせいか、
まだ眠気も遠く。珍しく。


再び、村を歩いてみようかと。
ドリベルに声をかけてから、外へと。

宛てもなく、ゆったりと散歩を。]


 ん、行こうか。
 今日は天気がいいから、きっと川の水も気持ち良いだろうね。

[そう言ってから、ふと考えて]

 ……あぁ。
 私達は触れなかったか。

 けれど川のせせらぎを聞けるのは、嬉しいね。

[冗談めかし、少し笑う。
 歩くペースはゆっくりと、周囲の景色を楽しむように。]


[チアキの残していってくれたお弁当。
相変わらず手はすり抜けてしまうけれど、
心はいっぱいになったつもり。


誘われて三度外へと。
二人でゆったりと歩く散歩道は穏やかで。



風が少し悲しい気がするのは、
夜を迎えるからかもしれない。]


 …風邪を引いたりすることもないですし。
 ……星を見ながら眠るのも…いいかもしれませんね。

[果てのない星空を眺めながら。
思いついた言葉をそのまま口にする。]


―――――。

[その、散策の途中で。
楽しそうに食事をする一帯を見つけて。

チアキの包帯の範囲が、広がっているのを見る。
…隠しているようだ、と。

胸がざわついた。]


 いいね。
 でも、外じゃ いろいろ …
 … そういう事は、出来ないね。


[してもいいんだけど。と付け加え。

夕暮れ時から夜にかけての時間、
村のあちこちを歩いて回る。

眠るならどこが良いかと思案しながら。]


 なに?

[足を止めた弟と同じ方向へ視線を向ければ、空き地での、楽しげな食事の風景があった。]

 あぁ、チアキ達───

[楽しそう、と言おうとして、止まる。]

 …………。

[どこか、違和感がある。
 胸騒ぎがして、握った手の力が強くなる。]


[死者が生者に出来ることはなく。

そして仮に、生きていたとしても。
病が発症してしまえば、止めるすべはない。]

……楽しそうだな。

[元気そうに笑うチアキ。
発症していたとしても、していなかったとしても。
彼が、明るく過ごすと決めたなら…。

声は、思っていたより寂しげに響いたけれど。]

パン……食べてくれてる、な。

[泣きたくなる気持ちを耐えて、
強く握る手を、握り返した。


 ………    。

[ぱちり、と二度ほど目を瞬かせて。
しばらく。かなり。沈黙してから。]


 ……誰も見えないなら…いいんじゃないですか。

[俯きがちに呟いて。
慌てて打ち消すように、別の話題を振る。]


 ……ところ、で。
 …前髪切るとしたら…どうやったら切れると思います?

[鋏に触れないからどうしたものか。]


[沈黙の間は、同じように目を瞬かせながら
ドリベルの顔を見つめていた。]


 ………… いいんだ 。


[それは良いことを聞いた…とは言わないが
目を細めて唇には笑みを。
小さく呟きを返して、不穏なほどゆっくりと頷いた。]


 ホレさんを握った
 ケヴィンさんに切ってもらう … とか。


[触れられる刃物を思い浮かべてみれば
その発想にしか行き着かなかったが。

想像してみれば、実にシュールだった。]


 あぁ……。

[そういえば、チアキは攻芸ともども、薬を飲んでいないと言っていた。
 だからなのか、偶々かは分からないが、もし黒玉病なら、彼もまた、こちらへ来てしまうのだろうか。]

 うん、きっと喜んで食べてくれたよ。
 ケヴィンのパンは、とても美味しいから。
 ……。

[泣くのを堪えているらしいことが、握り合った掌から伝わってくる。
 だから]

 ふたりきりでゆっくり過ごせる時間、あまりないかもしれないね?

[つとめて明るく。
 けれどきっと、声は微かに震えていたろう。]


…………。

[俯いて、一度だけ地面を睨みつける。
兄の手を握った手が、震えた。

………なら、

……今のうちに。ゆっくり……しておこうか。

[明るい声を出してくれる兄が、居てくれたから。
同じように、明るく振舞おうと。

弟子を傍で看取りたい気持ちも、あったけれど…
耐えられない気も、したから。]


 ……確認しないでください…。


[俯いたままではあったけれど、
耳まで赤いのは夕暮れのおかげでばれなかったと思いたい。]



 ……ホレーショー…さんに…ですか。
  …………よく切れそうです、けど。
 …適切な人がきてくれるまで……おあずけですかね。


[ケヴィンの腕は信用してはいるが、
やはり色々怖かった。

綺麗な場所を沢山見つけにいくのなら
少し、視界を広げてみようと思ったのだけれど。

できればなるべく遅い方がいいと、矛盾した呟きを。]


 ドリーの目。

 こうしてちゃんと見られるのはボクだけ
 … っていうのも
 ちょっと幸せなんだけど。ね。


[赤い耳を指先でくすぐり、
そのまま目元にかかる前髪を掻きあげて。
正面から双眸を見つめる。
小さな独占欲を込めて、
彼の目元を逆の手の指先で撫でる。]


 ダメだよ。もう、誰にも会いたくない。
 こっちへは。  誰も来て欲しくない。


[適切な人と言えば誰かと
思わずちょっと想像してしまいそうになるけど。]


[大丈夫、腕は確かだ。

[と、話を聞いていたら斧を素振りしたに違いない。*]


 賑やかなのも好きだけどね。

 ……ふたりきりの時間も欲しいけど。

[手を握ったまま身を寄せて、チアキを見つめる。

 きっと、すぐ会える。
 それが、悲しいことか喜ばしいことかは分からないけれど。]

 行こうか。

[河原への道を、また歩み始めるべく、ケヴィンの手を緩く引いた。]


[どこからか自然の風でない風圧を感じた気がした。]


[弟子には夢を叶えてほしかったから、彼の生を望んでいた。
会うのだって、何十年先で良かった。

でも、願いはいつでも叶うわけではないのを、知っている。]

……ん。

[せめて最期は、心穏やかであれと願って。
兄と二人、また村の中を歩いていく。]


 ……その方が…よく見えるでしょう。
 …エルも……エルが見せてくれるものも。

[向けられた言葉と撫でる指に、
このままでもいいか…と思ってしまう。
流されすぎだと自覚はしているが。]


 ……まぁ…適切な、と考えると。
  ……僕になるんですけどね…。

[はっきりと言ったサミュエルに相槌を打ち。
考えてみると、親交のあった人達の中で、
髪を切れそうな得物というと自分くらいだった。

やっぱり前髪は当分このままになりそうだ。]


 いい子だよね、チアキは。

[おそらく、死期は悟っているだろうに。
 なのに皆の前で、あれだけ明るく振る舞える。

 せめて最期が、安らかであれと。
 去り際に、ちらりと視線を向け、微笑んだ。]


 ……そういえば。

 ケヴィンは、どんなラーマになるつもり?
 私は、おまえの元でもう一度唱いたい……そればかりだったから、あの、斧の形をとったけど。


 ずっと、こうしていてあげようか。


[前髪を片手で押さえている手で頭を撫でる。
溺愛から甘やかし過ぎている自覚は
まったく無い。
だから、ひどく真面目に提案した。]


 うん。
 … でも、もうドリーをラーマとしては
 扱うつもりも無いんだ。


[他の繋がり方を得たから。
それがとても幸福だと知ったから。
そう、真面目な声音で胸の内を吐露する。]


……俺の弟子だ、当然だろう。

[間接的に自分を褒めている。

ん。

俺は、歌下手だからな……
ホレーショーのように綺麗な斧にはなれない。

[憧れはなくはないが、雑音しか出ない未来が予想できて苦笑する。]

……バンビでも振るえるような、
なるべく扱いやすいラーマになるかな。

[ライマーを目指すバンビたちの、力になれるように。]


 っ。

[間接的に自分を褒めるケヴィンに、軽く噴き出す。]

 うん、ケヴィンは師としても一流だったと思うよ。

[けれどそれは、嘘偽りのない感想。]

 歌……。
 けれどケヴィンは、私を唱わせることは、とても上手かったと思うけど?

[バンビにも振るえるようなと聞けば、納得したように笑顔で頷き]

 そうか。
 なんだか、ケヴィンらしいよ。

[ラーマとなったケヴィンを手にしたバンビ達が、一人前のライマーとなり、巣立つ。
 そんな未来に、思いを馳せた。]


[穏やかに散策する村では、
ひとつ、またひとつ、と命が失われている。
漂う悲しみの気配を感じながら
ドリベルの手を強く握った。

どこまでも一緒に。
もう二度と離さずに。
悲しませるような事はしない。

誓いを胸に。

今夜は星を見上げて静かに過ごそう。
どんなに悲しい出来事が起きようとも
残酷なほどに夜はやさしく。
どんな日にも等しく訪れる。そして新たな日の黎明も。

それを、ドリベルとふたりで見届けよう。**]


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