人狼議事


255 【ヤンストP村】private eye+Violine

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視点:


[丁寧にしたいのは、ノッカが大切だからだ。
 その大切が『ノッカ』に対するものなのか、
 『道具』に対するものなのか自分自身にとっても定かではないけれど言えることはいくつかあって]


 ノッカを抱いていると安心します。

[一緒にいると決めたからこうして一緒にいる。
 その反面で、逃げられるのが怖いからこうして一緒にいるとも言える。

 ぐずりぐずりと足元が、いつにも増して泥濘み歩きにくい気がしていた**]


メモを貼った。


[大好きでした、って。
 そう告げると抱きしめる腕の力が強くなる。
 私も、それに胸がきゅうと苦しくなって、
 ただ優しくセイルズさんの背を撫でてあげたわ。

 セイルズさんの体が一度震えて。
 私、こんなに愛されてたのねって気付くの]


 セイルズさん……、


[体をようやく話して、ご飯の話をして。
 私、気遣うように貴方の頬に手を添えるの]


[そうして食事を続けて。
 話したい事はたくさんあるはずなのに。
 言葉にならずにただ静かにご飯を食べ終えたの。

 食後の飲み物を頼まれて]


 それでは、ミントティーをお願いしますわ。
 さっき飲んだもの、とても美味しかったから。


[そう、にっこり微笑んでカップを受け取って。
 私、何の疑いもなく飲み干すの。
 美味しいです、ありがとうって。
 クッキーをさくりと齧って――]


[そうだ、イルマさんに、連絡を――、
 そう、思いながら急に眠気が襲って。
 結局は連絡できないまま、
 するりと端末が手から滑り落ちるの]


[――……、
 私、眠っていたのかしら?
 目が覚めるとまた知らない天井。
 ベッドから身を起こして、辺りを見回して。

 足に違和感を感じて動かしてみたら、
 じゃらり――、金属が擦れる音がする]


 な、に……、これ…?


[鎖だった、足に鎖が嵌められていたの。
 状況が理解できなくて辺りを見回して。

 貴方を――セイルズさんを探して]


[見つけたなら、私、戸惑うように見つめるの。
 ぎゅっと服の胸元を握りしめて]


 セイルズ、さん……


[名前を呼ぶだけで、精一杯だったわ。
 貴方は私を守ってくれる。
 どんな手を使ってでも――、
 それが、足に感じる枷の重みで分かってしまうから]


 ……また、頭を撫でてくれます、か?
 抱き締めて、大丈夫だよって……、


[不安げな目で、そう懇願するの。**]


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


[丁寧にしたい、という言葉は、
 きっと嘘ではない。

 それが『あたし』に対するものなのか、
 はたまた『道具』に対するものなのかは
 また別として]


  ひっ、 そこ、やめて……、


[指先が背筋をなぞっていけば、
 ぞわりと身体が総毛立つ。

 人に触れられることなんて、滅多にない。
 触れられ慣れて、いない場所]


[身体が反ってしまうのも仕方のないことで、
 ともすれば、あたしの腹部は、
 そーさんのモノを擦ってしまうことになる。

 けれど、
 あたしの頭は抱き寄せられてしまうから、
 離れることも出来ず。

 あとは下唇を噛んで、
 慣れない感覚に耐えるだけ ――]


    ……………… 、


[そーさんの胸の中で、
 あたしの瞳が瞬いた]


[そーさんの言葉が、
 ――これは勘違いかもしれないけれど、
 迷子になってしまった子供のようにも思えて。

 あたしは、ゆっくりと頭を上げる]


   ……………… そーさん。


[もぞり、身体を動かして。
 右手だけを、そーさんの腕の中から抜き出す。

 そして、その手を伸ばし、
 そーさんの頭をそっと撫でた**]


メモを貼った。


─薬屋で─

[薬屋近辺の空気も狂気感染したかのようで、
 視線も集えば噂話も中々に不穏に満ちていた。
 あからさまな怪我人の前では道を譲ってくれたが、
 何がそんなに暇なのか口さがないことこの上ない。

 薬屋でも何かがあったのだろう。
 その何かが何なのかを尋ねる事もできた、が、
 尋ねて何になるというのか。

 陰口の隙間を縫うように店内へ行けば、
 普段物静かなタツミにも荒れた気配がある。
 その原因っぽそうなワカナの姿まで。

 その空気を見ない振りは正解だったんだろう。
 何があったかなど尋ねず客に徹して、
 というか、余計な言葉を吐くほど体調も宜しくない]



[店内も見ればもう残り少ない品揃えで、
 注文を並べた後に無理があるかと眉を寄せて。
 無事を安堵する言葉を聞き曖昧に笑う。

 彼も店になにかあっただろうに、
 声色に他人事の響きなく安心するだなんて。
 招集の事実を前にしても、
 たとえ、自分に重ねた結果だとしても。

 ここの居心地の良さの正体を理解して、
 曖昧さの残る笑いを揺るぎなく穏やかに変える。
 ここも、彼も、好きだったなと、
 今更ながら、はっきりと理解した笑い。

 笑った意味など彼には伝わらないだろうし、
 それを言葉にはしなかったのだけれど]


[招集まで数えて手指で示し、
 用意された品で足りるか迷ったがギリギリ足りた。
 値引きに感謝して痛み止めだけ一つ飲ませて貰い、
 後は用途ごとに袋に分けて貰って頭を下げる。

 最後まで言葉はなく表情で返すだけの会話。
 背に贈られた言葉は装飾がなく、
 真意だろうと取れて軽く手を上げて店を出て。

 最早行く宛なく、喉飴を口に入れながら。
 
 商会に顔を出すべきか、
 そういえば事件が起きる前から休んでいたなと、
 過って携帯を取り出し──あぁ、充電がない]


─薬屋→公園─


[溜息をついて、休める場所を求め、
 孤児院に行けない今は公園へと向かって。

 物々しさの理由は噂話で知った。
 何だか街全体に狂気が充満しているかのようで、
 確かにコレでは無責任な噂でも、
 犯人の在り処を定めて安堵したいだろうと溜息を吐く。

 これからどうするべきか分からない。
 孤児院に戻ることだけはできない。
 思いつくのは疑われているならいっそ、
 自警団のところで勾留しておいて貰う位だが──

 ──果たしてもう一度頼んで、
 勝手なこの願いを受け入れて貰えるだろうか]



  はやく……


[イルマを思い浮かべる。
 犯人の目的を考える。
 
 無意識な空想と思考はほぼ同時。
 
 その意味を深く考えなかった。
 前者には未だ頬に残る感触が思考の邪魔をされ、
 後者にはただ不安を抱かされて、思考が曇る。

 ベンチに座って視線は虚ろに。
 地面を見ていた気がする──時折、空を]



[祈りめいた言葉を天に、秘めた願いを地に。


 ”はやく、早く、犯人は、俺の前に姿を”

  
 その手がもうほかの誰にも伸ばされないように祈り、
 諸々の終着を──
 犯人の執着を知りたいが為の願いを、
 溜息と共に地に沈めて無防備にも瞼を閉じて。

 遠く聞こえる噂声に含まれるのは怯えだろうか。
 誰かを犯人に仕立て上げて安堵したい心情は、
 何となく理解しても、納得できるものではない。

 けれど、怒りはなかった
 足の痛みが薬で遠くなった今、
 理不尽への怒りは抱くことなくただ心配だけがある]
 



[大事な人達が怪我をして、
 もし、取り返しのつかないことになったら。

 巨大な養殖場ともいえる管理区の人間が、
 取り返しのつかない怪我を、もししたのなら。

 己は今それに足掛けしている状態だが、
 だが、それでも]


  はや、く……


[目的の分からない犯人が他に手を伸ばす位なら、と。
 優しさなどではなく強慾からそう願って、息を吐く]



[自分のものを、もう、誰かに手渡すのは嫌だ、と。

 不遜極まりないその感情の名を、
 敢えて気付かないふりをして思い浮かべる顔へ。
 結局は託して、頼ってしまった弱さに歯噛みする。


 ───自分はなんて、中途半端なのだろう]**


メモを貼った。


[「やめて」と言われても自分の指先が止まることはなかった。
 綺麗にしてあげようと思う心と、
 身悶える姿をもっと見たいという気持ちと、
 擦られるモノが心地よいという快楽が入り混じっていた。

 モノは擦られれば擦られる程に、
 次第に大きさを増していき固いソレをより触れ合わせて存在感を知らせていっていた。

 そうしていると――名を呼ばれた]


 …………

[「なんだい?」と応えるつもりだった。
 或いはやめて欲しいのかとも思った。

 でも――伸びてきた手が、頭に触れる]


[自分はノッカの背筋を撫でていた指先の動きを止めた。

 ゆるりと両手を背へと回して、
 その身を抱き寄せて、
 その心が欲しくて抱きしめて]


 ………… のっか。

[瞼を閉じて、力強く、抱きしめた。
 二度と離さぬと語るように、
 ノッカの頭に頬を寄せて、

 ――頭から浴びる湯が、
     この「 」を流しきってしまいますように*]


― 公園 ―

[満身創痍のピスティオが公演にいるという。
 裏稼業の男達に連れて来るよう頼んでいたけど。
 これなら自分で行ってもいいだろう。
 そう判断すると私は車椅子を押して街を歩いて。
 公園までやってこれば彼の姿を見つけた。]

 こんな所でどうしたの?
 行く場所がないのかな。

 だったらねぇ、私と一緒に逃げよう。

[ベンチに座っている彼の頬に手を伸ばして。
 それから自らの頬をすり、と寄せた。]


 私のお母さんとお父さん。
 食べられる前に逃げたの。

 私たち兄妹置いて二人で逃げたんだよ。

 きっと二人は食べて食べられて。
 あんな化物に食べられるんじゃなくて。
 愛する人に食べてもらいたかったんだ。

 お兄ちゃんは可哀想。
 食べてもらえなくて可哀想。

 ベーカー家のしあわせはそこにあるのにねぇ。


[囁き抱き寄せて。
 そして首筋に注射器を突き刺した。
 薬が効いて彼が昏倒するまで数分もかからない。
 すっかり眠ってしまえば車椅子に乗せる。

 彼の膝に毛布を掛けて。
 彼の頭に帽子を目深に被せて。
 私は車椅子を押して街を歩く。
 私が看護師である事は誰でも知っている事だから。
 だから誰も気にする事はない。

 そのまま何気ない足取りで細い道へと入って。
 奥の奥へと進んで行った先にある薄暗い建物。
 その地下へと入って私はがちゃんと錠を掛けた。]


[部屋の中は簡素だった。
 簡易なコンロと幾つかの料理道具。
 ベッドが一台。
 ベッドの脇にはサイドテーブル。
 サイドテーブルの上には彼の部屋にあった花が一輪。
 見える範囲である物はそれだけ。
 窓すらこの部屋にはなかった。

 私は彼の足に鎖を付けた。
 鎖の端はベッドの脚へと繋がっている。
 逃げられないように。
 二人きりでいる為に必要な繋がり。
 大事なそれがじゃらり、と音を立てた*]


メモを貼った。


メモを貼った。


[ああ―― この人は
 『忘れてしまった』だけなんだ。

 あたしがずっと覚えていた、
 あたしがずっと知っていた、
 家族から得た、無償の愛を。

 きっと、かつては知っていた。
 かつては、与えられていた。

 だから、こんなにも。
 何かを求めるように、あたしを抱きしめる。
 その様子は、愛を求める子供のよう]


      ―――― うん。


[名を呼ばれれば、あたしは相槌を打つ。
 優しく、そーさんの頭を撫でながら]



  そーさん。風邪、ひいちゃいますよ。

[暫くそうしていた後。
 あたしは、そーさんに言葉を投げる。

 頭上からはシャワーが流れているけれど、
 それでも、ずっとこのままでは
 風邪を引くこと間違いなしだ。

 それに、この体勢のままでは、
 あたしの精神衛生上もよろしくない。

 だからもう出ましょう、って、
 問いかけて]


[あたしが怯えていた、身の回りの異変。
 それはきっと、そーさんがやったこと。

 あたしをここに連れてきたことも、
 無理やり、行為に至ったことも。
 許せるなんて、言えないけれど。

 そーさんをひとりにしてしまうことも、
 今の彼を見たあたしには、できなくて。


 ―― 仕方ないから、少しだけ。


 彼に付き合ってあげてもいいかなって、思ったのは。
 まんまと絆されてるだけって言われたら、
 それまでなのだけど*]


メモを貼った。


[ノッカは自分の頭を撫でてくれる。
 その手つきは優しくて、
 その身を抱きしめる手にも力が入る。

 触れれば触れるほどにその匂いも、
 肌ざわりも、柔らかさも、拍動すら感じられる。
 ノッカという存在が確かに此処に居るのだと教えてくれる。

 でも――]


 ……ノッカは、どこにも、いきませんか?

[自分は風邪をひく程柔ではない。
 だけれどノッカは違うだろう。
 温まっていてもその内に風邪をひくことになる。

 それでも、手放しがたいのは――]


[ここに連れてきて、
 無理やり自分のモノにして、
  それでもまだ求め続けている]


 ……あと、おさまりが、もう――

[精神衛生上よろしくないものは、
 とても名状しがたい状態で二人の間に挟まっていた]


 うん、でも出ましょうか
 ノッカが風邪をひくと困りますしね。

[抱きしめていた手を片方離す。
 壁に取り付けているコックを締めれば上から降り注いでいた湯は止まり、
 ぽたり、ぽたりと水滴が身体から落ちていく。

 その手を今度は反対へと伸ばせば少しばかり湿ったタオルを指にひっかけて引き寄せて、
 ノッカの頭にそれを乗せると髪の水滴を取り始めた*]


─公園─

[瞼を閉じて、顔は天を仰いでいた。

 夕闇の迫る音だろうか。
 周囲の気配は遠くなっていき、
 取り巻く噂も遠くへ去っていく感覚。

 考えることが、数多にあった。
 大学を出た身だ。
 秀でてはいないが悪くもなかった頭は、
 日常を脅かす犯人像を少しずつ形にしていく。

 火事、扉は開いていた。
 それはつまり俺を殺す気はなかったと仮定する。

 実際のところ部屋が焼けた以上は証拠もなく、
 ”そうだった気がする”という、
 薄弱にも程がある根拠からの推測だったが]


[だが、本当に殺す気がなかったなら、
 あの人形の意味することは、示唆、脅迫、或いは?

 ”マーゴ”の監視ではなく”子供”への監視なら。
 手紙が、子供を世話する大人宛てじゃなく、
 意図して、自分だけに宛てたとするなら。 
 あの日の体調不良は偶然だとして、
 狙い定めたかのような火事のタイミングは?

 収束していく結論はまだ形を成さないが、
 恐ろしいことに間違いないと思う一つの確信があった。

 つまり、これは、
 孤児院をよく知り、自分に近く、
 子供たちの近くにもいて、孤児院の構造も知る──

 知り合いの行いなんじゃないか、と]



[しかし思考はそこまでで途切れた。
 確信であっても信じたくはなく、
 仮にそうだとして、今の自分にはどうにも出来ない。
 
 せめてもう他に手が伸びないことを祈るだけだ。
 暴きたいという執着は案外と重かったが、
 そこに目を背ける弱さもまた内包してしまっている]



 ―― 仕方ないから。
 暫くは、一緒にいてあげます。

[どこか弱弱しく感じる問いには、
 少し偉そうに。
 理不尽な目に遭ったんだから、
 それくらいはゆるしてほしい。

 でも、今は傍に居てもいいって。

 それは、伝えておこうかなって、
 思ったから。

 抱きしめられながら、こっそり微笑む]



   ……………… あたし、ねむいです。

[続く言葉には、しばしの沈黙。

 微笑んでいた口を再びへの字に戻して、
 NOの意を告げる。
 あたしがそう言うのを、
 そーさんもわかってたんだと思う。

 シャワーは止められて、
 次に頭から降ってきたのは一枚のタオル。
 さっきよりも嫌だと思わないのは、
 そーさんの、心の一面を垣間見たから。

 だからあたしは甘んじて、
 身体を拭かれることにした*]



  ……イルマ

[車椅子を引く姿に双眸を細めた。
 優しく響く声は有り難くはあったが、
 今、寄りかかってしまえば、自分は弱くなる。

 それは秘めた感情の全てを吐き出してしまうだろう。

 理不尽さを理解した上で招集を受けない彼女を妬み、
 それ以上に、彼女が選ばれなくて良かったなんて。
 招集前に未練を顕にするなど、不誠実に過ぎる。

 それに捻った足が治らなかったら……など、
 病院では冗談で流して誤魔化した怯えは消しきれず、
 きっと、みっともなく晒してしまう気がして。

 何より、未だ結び付かない犯人像。
 その危険が彼女に何時降りかかるか分からないほうが、
 正直、不安で堪らない]


 
  イルマ……?


[頬に伸びる手に僅かに身を引く。
 けれど彼女から忍び寄るような不穏の影は、
 逃れようにも身体を縛ったかのようで動けない。

 すり寄る頬は恐らく硬かっただろう。
 強張ったような、驚いたような、
 どこか納得したような、それを諌めるような。
 複雑な表情でイルマの言葉を聞く。



  な、にを


[何を言っているのか理解ができない。
 いや、理解している。
 しているからこそ身体が動かないでいた。

 その意味を正確に、己の感性 で理解した。
 つまり、その柔らかな声音に孕んだ 狂気 とは。

 まるで血のようにべったりと頬に張り付く、
 甘やかな彼女の体温と、感情は──]


[背がベンチの背凭れに触れた。

 後から思えばあれは逃れようとしたのだと思う。
 だが己の手は彼女を突き飛ばしたりはしなかった。

 足は利かないが手は無事で、傍らに杖だってあった。
 イルマに介護で鍛えた力があっても、
 毎日の配達で鍛えた体力バカの男に叶うはずもない。

 だが、それでも突き放すことはできないまま。

 囁きが落ちて抱き寄せられて、
 鼻先に柔らかな丘陵の感触が布越しに伝わり、瞠る。

 ああ、女の子だよな。
 なんて関係ないことを過ったのは、
 寧ろ、余裕が無いからだろう。

 食べるってなにを言っているんだ、と、
 深く考えるのを拒否したからかもしれない]



[だって彼女の手料理は昔から美味かったから]
 



[沸いた体調不良の意味。
 珈琲も栄養剤も悪くは無かったのかなんて、
 そんなコト考えてしまえば、きっと。

 胸元に顔を埋めたまま首へ突き刺さる刺激に、
 僅かに柔らかみに顔を押し付けたのだけが抗いで。

 意識は滑るように泥濘に沈む。
 その先をどうしたのか知る術などなく、
 夢の一片すら見ることのできない深い眠りへ]


─隠れ家?─

[曖昧な感覚の中、息を吸う。
  ──喉を引き裂くような痛み。

 慌てて吐き出す。
  ──そっと吐いたおかげで痛みは和らいだ。

 皮肉にもその痛みが覚醒を促し、瞼を開ける。
 どこだろう、と過るのは、不安からだった。

 その不安が間違いだったのを知るのは、
 足を繋ぐ重みに捻った足首の痛みを思い出し、
 それから繋がれた事実を知ってから。

 無論のこと、その凶行を行った主のことも、
 どうしてこうなったかを思い出せば不安は散る]



  ……イルマ


[掠れた声で名を呼んでベッドから上身だけを起こした。
 意識のない相手は体重以上に重く感じるはずで、
 これをイルマの細腕で為したなら相当疲れただろうと、
 状況に釣り合わない心配もじわりと響く声音。

 まさか協力者がいるなどとは思いつきもしない]
 



  イルマ


[もう一度、今度は静かでしっかりとした声で呼ぶ。

 喉が痛い。足も薬が切れたかまた痛み出した。
 腕の擦り傷はその痛みと混ざって、
 気にならない程度の苦痛だったが眉だけは寄せる。

 呼ぶ声音は日常より穏やかだった。
 憐れだな、と、自嘲の響きを押し隠しているが、
 その片鱗を知るには瞳を覗き込まねば無理だろう。
 あるは一挙一動、常から己を監視し続けたなら別だが。
 
 目に見えるものだけが真実とは限らない。
 それを忘れるくらいには彼女を信頼していたのだと、
 今更ながら知ったことには、そんな自嘲しかない]*


メモを貼った。


[タオルで髪をぽんぽんと叩いて湿り気をある程度取っている間、
 自分の唇はタコになっていた。
 先ほどから眠たそうにしてはいたけれど、
 この収まりのつかないモノで一晩居ることになると思うと億劫であった。

 ただ、タオルを取ればそこにはいつもの自分を見せていて、
 身体を拭くに任せてくれるのだからと楽しみながら身体を拭いていった。
 お股は特に優しく丁寧に。
 タオルの感触が擽ったいかもしれないけれど――]


[掠れた声が名前を呼ぶ。
 私はゆるりと振り向いて。
 その姿を確認すれば微笑んだ。

 もう一度名前を呼ばれて側に寄る。
 表情が少し強張っているように見えた。
 この状況のせいなのか。
 それとも怪我が痛むせいなのか。

 彼が内心でどう考えているなんて。
 そんな事分からない。
 分かっていればこんな事しているわけがない。]


[私はただ彼を愛しているだけ。
 私はただ彼と離れたくないだけ。
 私はただ彼に食べられたい。
 私は彼と一つになりたい。
 ずっとずっと一緒にいられるように。
 父と母がそうしたように。
 私は兄のようにはらない。]


 どうしたの?
 傷が痛むのなら鎮痛剤を持ってくるよ。
 喉が痛いのなら水を飲んだ方がいいねぇ。

[腕は動くからグラスに水を注ごう。
 私は一度立ち上がって水を持ってきて。
 それからベッドに腰掛ければぎしりと音がした。]

 今日は何が食べたい?
 食欲がないならポタージュがいいかなぁ。
 肉料理はね、まだ早いと思うんだよねぇ。
 そうだ、トマトのスープにしよう。

 真っ赤な、トマトのスープ*


[ノッカの身体を拭き終われば次に自分の身体を拭いて、
 その身の胸元にタオルを巻きつけると自身は裸体のままで再びノッカを横抱きに抱き上げて仮眠室へと向かった。

 仮眠室に到着すればベッドのシーツをはぎ取り、
 新しいシーツを敷いてノッカをベッドの上に乗せた。
 乾いた清潔なタオルをノッカに差し出して、
 後ろ頭を掻く]


 ノッカ、こんな愛し方だけどね
 自分は愛したいって思うんだよ?

[言葉にするのは難しい。
 ノッカを離したくないと思ったのだけれど、
 どうやってそれを伝えるのかが分からない。
 結局は、口をへの字にされることしかできないのだけれど――]


メモを貼った。


 寝るときは、どんな服を着ます?
 持ってきますよ

[その話は起きた後にしよう。
 と――寝間着のリクエストを問いかけた*]


メモを貼った。


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[くぁ、とあくびを噛み殺す努力をする。

 でも、あたしを抱えるそーさんの顔はすぐ傍だし、
 あくびをしたことなんて、
 すぐに気づかれてしまいそうだ。

 綺麗になったベッドの上。
 タオルを差し出されれば、
 あたしはそれを受け取って、肩にかける]


  …… そーさんは、たぶん。
   わからないだけなんですね。


[器用なようで、不器用な。
 何でもできる人だと思っていたけれど、
 気持ちを伝えるのは―― 、
 彼自身の気持ちを理解するのは、へたくそな人]


[だから、あのように
 迷子の子供のような、顔をする

 あの日、
 公園で泣いていたあたしを慰めてくれたのは、
 そーさんだった。

 たとえそれが、偽りの面だったとしても。
 あたしは、あの時救われた。
 そーさんのおかげで、あたしは元気になれた。

 なら、今度は―― ]



 寝やすい服なら、なんでもいいです。

[でも、今は眠いから。
 話をするなら、
 もっと頭が回ってるときが良いと思ったから。

 問いかけには、
 あくびを噛み殺しながらそう答えた。

 寝るときにジャージを着るような女に、
 可愛いパジャマをリクエストするなんて発想は、
 あるはずもない*]


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 ん、わかりました。
 下着はつけて寝ます?

[+51寝やすい服を思い浮かべて、下着の必要性を問うて一度仮眠室を後にする。
 別段ノッカを一人にしても問題はないだろう。
 逃げられる場所はどこにもないし、裸だからだ。

 向かった先は大部屋の、シャワールームの反対側。
 そちらに唯一ある扉を開けて中に入り、
 少ししてから扉から出てきてまた閉じた。

 その時には自分はシャツとハーフパンツを履いていて、
 手にはふわもこしている着る毛布を持っていた]


メモを貼った。


[それはうさぎさんを模したようなもので、
 着ると温かいし抱きしめても温かい。

 一石二鳥な代物であった。
 なんでもいいらしいのでそれを選んだわけだけれど、
 仮眠室に戻ってそれを手渡したらどういうだろうか。

 少しだけ楽しみであった。
 もちろん、今夜は一緒に寝るつもりで、
 ノッカを抱きしめて寝たいか選んだわけでーー**]


メモを貼った。


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[当たり前だと言うように、
 何度もうなずいた。

 世間には下着もつけずに
 寝る人もいるようだけど、
 あたしは下着も服も着て寝る派だ。

 その意を告げれば、
 そーさんは部屋を出て行く。
 ひとりになったあたしだけど、
 別に、今は逃げるつもりも毛頭なくて。

 静かになった部屋を、ぐるりと見回す。
 あたしの部屋にあった物のいくつかが、
 部屋には置かれていた]

  ……………………。

[つまり、あたしの部屋ってことなのかな。
 知らない部屋だから、落ち着かないけれど]



  違うだろ

[長い髪が揺れて振り向く姿は、
 何時もより晴れやかな笑顔に見えた。
 
 目に見えるものだけが真実とは限らない。

 己の視界に映る モノ の全ては、
 思い込みと想像その限界の枠内に収まっている。
 とは、大学の時の授業で聞いた話だ。

 きっとイルマへもそうしていたんだろう。
 可愛いなと思う表情の裏側、その真実。
 幼馴染が見せる笑いが晴れやかでも、
 その内心を余す所なく暴くことができないのなら。

 自分の都合のいい世界を、
 無意識とはいえ見ていただけに過ぎない。
 だから、もう一度]



  違う、だろ

[鎖の響きは心を軋ませた。
 2人分の体重でベッドが上げる悲鳴は耳に入りはしたが、
 繋げられた鎖の音色には勝らず耳を素通りしている。

 重ねた否定と共に視線を近く寄るイルマへ。
 唇に、瞳に、滑り落ちて指先に。
 怪我の痕跡が偽だと祈るが虚しさだけを呼ぶ。

 きっと、食べる とは、比喩ではなくて]


[暫く待っていれば、
 また、そーさんは戻ってくる。
 もこもことしたそれに、あたしは目を丸めた。

 随分と、温かそうだ。
 触れてみれば、
 思っているよりもふわふわしている。

 あたしはそれで問題なかったから、
 それを身に纏うことにした。
 下着も渡してもらえたならば、それも一緒に]

  ………… 一緒に、ねます?

[つい、問いかけたのは。
 シャワールームでの出来事を忘れられないのと、
 あたしも、少しだけ。ひとりが心細いから]



  何だよそれ。
  要らねーし、……それに
 

[拗ねたような言葉に続く語尾は曖昧に、
 眉をひそめて緩く首を振る。

 真っ赤なものはもう散々だった。

 届いた手紙、置かれた人形、
 それらを染めていた赤は彼女のものなのだろうか]



  怪我、してほしくない。
  

[伸ばした手は彼女の肩を掴めただろうか。
 首を、掌に収められただろうか。

 力を籠めるつもりはなく、
 此処が自由ならばどうとでもなるとでもいいたげに。
 だって自由でいたならきっと抑えられない。

  『お前は、子供たちを巻き込んだのか』

 そんな致命的な亀裂を呼ぶ問いかけを──
 答えを聞いてしまえば、恐らく後悔する言葉を。

 辛うじて飲み込んでいるのに]


[あたしは今度こそ、大きなあくびをする。
 瞼も次第に重くなってきたものだから、
 ころんと、ベッドに横になって。

 そーさんが横になれるくらいのスペースは、
 あけておく。一応。

 随分と絆されてしまったって、
 フード(うさぎさんの耳がついてる。かわいい)の下で、
 こっそりと、すこしだけ、苦笑して。

 次第に、意識は遠のいていく*]



[触れていた掌をするりと滑らせベッドに落とした。
 
 バカなことをした。
 バカなことだ──だって、自分は。

 触れた指先から伝わる体温。
 滑らかな肌、サラリと流れる髪。
 それが幻想だとしても自分を見るイルマを、
 亀裂を刻まれたとしても、厭う気にはなれない。

 ただ、その事実を知りながら、
 彼女というものを受け入れがたく思いながら。
 
 幼い頃から育てた距離感を失う気はなく、
 決して嫌いにはなれない。

 離別を知りながらも縋り、頼る程に、
 好きなのだから、当然だ]
 


[下着も求められたのだから、
 ふわもこした着る毛布パジャマと一緒に下着は差し出していた。

 ノッカが部屋にいることに安堵している自分に驚いて、
 そのために渡した下着が着脱しやすい紐パンと柄の同じブラジャーでサイズがぴったりだった言い訳すらも考えてはいなかったのだけれど]


 はい、一緒に寝ましょう

[自分はあからさまにほっとしたような表情を浮かべていた]



  イルマ。
  お前、俺に食べて欲しいのか。

[ベーカー家がどうのとか知らない。
 知らないが、彼女の望みがそれならば。

 叶えられないと言外に伝えるように、 
 視線をふと外して、もう瞳は彼女を映さない。

 肉体も、言わずもがな心も、
 削いだ彼女など見たくはなかった。

 そうしてどこか苦しそうな物言いながら、
 逃げることを示唆するように、じゃらりと鎖を鳴らす。

 足の痛みを無視して、”安静”とは程遠く。
 実際手が自由だ。
 鎖を何とかする方法さえあれば逃げ出すつもりで]*


[地下室は、元々只の倉庫だった。叔父はそこに人を迎え入れる事など考えておらず、途中から現れた同居人の部屋だって上に置いた。窓の代わりに換気扇が低く唸り、本棚の隅には薄闇残るここは、本の中でも大切なものを陽の光から護る場所]

[叔父のものを継いだセイルズは──そこに、大切なひとを隠した]


[差し出したコップを、何の疑いもなく手に取ってくれたココアは、決して薄闇が似合うひとではない。鎖だってそうだ。肌を噛まないよう、彼女に繋がる箇所だけは布を巻き付けていたけれども、たったそれだけで鋼の持つ無骨さも凶暴性も減らせる筈がない]

[それでも手は止まらない。止められない]


メモを貼った。


[意識を失いくたりとしたココアを運ぶのも、その片足をベッドの足と繋ぐのも、水のない地下室へと飲み物を運び入れるのも──昨夜のように、喜悦と苦痛を胸の裡にてかき混ぜていて]

[故に、幾度目かの往復でクッキーを携えて降りたとき。
 目覚めたココアと目が合って──苦痛に耐えるかの如く眉間に皺を寄せて、僅かに開いた唇からは、安堵の息が漏れる]


 ……ココア、


[呼ばれた名に返すのは、彼女ひとりを表す名前]


[最後の願いと同じ懇願を前にして、少しの間。一歩一歩を噛み締めるようにして歩み寄り、彼女の隣でベッドを軋ませる。
 そうして彼女を穏やかに抱きしめ、柔らかい髪を梳くように撫でられたのは、ここに来て漸く先の不安が霞んでくれたから]


 大丈夫だ。……大丈夫。
 貴女は渡さない。


[再度の懇願には、別れを見据えた言葉など混ざっていない。
 それが張り詰めていた意識を解き、緩んだ口元から、自覚した内心が滑り出る]


メモを貼った。




 私は、貴女が居ないと駄目、で
 ──大切、だから。


[眼下で揺れる髪の隙間へそう囁いて──揺らめく栗色に唇が掠る]*


[ふわもこに身を包んだノッカは至極愛らしかった。
 股間のモノがそれに反応してしまっているのは本能なの諦めてほあい。

 空けてくれていたスペースに収まって、
 もうすこしスペースを開けようかノッカ抱き寄せてしまう]


 ノッカ、可愛らしいです
 可愛いうさぎさんだ
 それじゃあおやすみなさい……良い夢をーー

[自分もまた瞼を閉じよう。
 久しく見ていなかった夢が
 今度はいい夢でありますように

 意識が遠のいて、翌朝を迎えるのは一瞬のことだっ**]


メモを貼った。


ーー 翌朝 ーー

[そう言えば、ヌヴィル先輩との飲み会はいけそうにないな。
 朝寝ぼけた頭で考えたのがそんな思考であった。

 朝の微睡みの時間は貴重で、
 その微睡みの時間を削りながらこれまで生活をしてきたのだ]

 おはよう、ノッカ。

[自分はまだ寝ているであろうノッカにそう囁く。
 フードかぶったうさぎさん。
 寂しいと死んでしまうらしいけれど、
 それは迷信であろうかな。
 フードの下の表情を見ながら。
 自分はノッカが目覚めるのを待つばかり。

 もっともこの時間はとても楽しいものなのだけれ**]


[戻ってきた時の、ほっとした表情。

 それがまた
 子供のように見えてしまうのだから、
 あたしはこっそり苦笑するしかない。

 パンツが紐パンだったりだとか、
 サイズがぴったりだったとか。
 今は、聞かないでおいてあげよう。

 ちょっとだけ、
 微妙な顔はしてしまったけれども]

  …… うん。おやすみ、そーさん。

[抱き寄せられた際にナニが当たったりだとかも、
 文句を言う気力も無く]


[―― 意識が落ちてしまう前に。

 もういちど。
 そーさんの髪を撫でる。

 あなたが寂しくありませんように、って。

 そう、思って*]


 ……トマトスープ嫌い?

[拗ねたような言葉は可愛い。
 愛おしさにうっとりと目を細めて。
 ピスティオを見つめる。

 否定の言葉が重ねられても。
 私は気にしない。
 だって何時かは分かってくれるだろう。
 そう思っているから。

 化物に搾取される未来しかないのなら。
 二人一つになる未来を選んだ方がしあわせだ。]


[ピスティオが手を伸ばして。
 その手がこの細い首を掴んだとしても。
 私は抵抗しなかっただろう。

 彼は何か言いたげな顔をしている。
 何を言いたいのか分かる。
 彼が大事にしている物を
 踏みにじったのは私だから。]


 私は独り占めしたかった。
 だから火を着けたんだけど。
 でもねぇ、子供たちはちゃんと助かるように。
 ピスティオが死んじゃったら困るから。
 それもちゃんと逃げられるように。

 でもそんな事言っても納得しないよねぇ?

 みんなみんな私を置いていくから。
 じゃあ今度は置いていかれないようにしようって。
 そう決めたの。

 そして私の望みを叶えて貰いたい。

 私は一人でいたくないから。
 ピスティオと一つになりたいよ。


 だからねぇ、食べて。

[その血肉になって私は死にたい*]


― それから暫く ―

[どれだけ眠っていたのかは、わからない。

 たくさん眠ったような気もするし、
 かといって、情事での疲労が
 全て取れたわけでもない。

 もぞりと動いて。
 囁かれた声を聞く。
 今が朝らしいってことがわかった]


 ………… おは、よう?


[寝惚け眼のあたしは、
 ぼんやりと、そーさんを見上げる]


[そーさんは、おしごと、大丈夫なのかな。
 こんなことをしておいて自警団なんて、
 まったくおかしな話ではあるけども。

 くあ、と一回、欠伸をすれば、
 眦にちょっぴり涙が溜まる。

 まだ眠いって言うように、
 あたしはまた、
 ベッドに丸まってしまったのだけど。

 既に起きているそーさんが、
 それを許してくれるかどうか**]


メモを貼った。


[二人分の吐息は、入り交じり換気扇から外へ出ていった。小型の電灯がベッドへとぼやけた陰をひとつ作っている。ココアの体温に浸りながら、セイルズはゆるゆるとその背を撫でている]

[──静かな部屋では、囁き声もよく響いた]


 どうしても制限は多くなるが
 ……出来る限り、貴女に不自由はさせたくない。


[通信は駄目、ここから出るのも暫くは駄目。義妹への連絡がまだだと言われれば、彼女の端末を持ってくるだろうけれど、その後は居場所を知られぬよう、電源を落としてしまなければいけない。
 それと、目下の問題として手洗いが無いというのもある。
 非常袋の簡易トイレは一日分が精々。後で補充しなければ]


 

 風呂も暫くは難しいから、
 後で温タオルでも持ってくるが……


[──しかし改めて口にすると、かなりの制限だ。
 この状態でそもそもセイルズに叶えられることなどあるのかと、彼女に見えぬ位置で少々の困り顔]*


メモを貼った。



  ……嫌だと言ったら?
 

[その唇から言葉が綴られるたびに、
 ベッドどころではない軋みが頭に響く。

 足の痛みが頭痛になったかのようだ。
 瞬いた視界は改善することなく見知らぬ部屋と、
 イルマを映して切り替わらない。
 
 その上、放たれた言葉が寂寞の根を張るなら]



  嫌だよ、イルマ。
  お前がそう望むなら俺は、
  お前のことを”置いていく”し、忘れる。

  それとも、無理に食わすか?
  いや、永遠にここから逃さない?

  足でも折れば叶うかもしれないな、
  逃さない、という意味では。


[ふ、っと息を吐く笑いを滲ませて問いかけた。
 己に返る痛みを孕んだ、薄い、酷く罅割れた笑い。

 己の言葉だけではきっと伝わるはずもない。
 だから彼女自身が紡いだ感情の発露を、
 突きつけられたときのように繰り返して聞かせる]



  そうして全部食べさせて、それで? 
  今度は お前が 置いていく側になるとでも?


[置いていかねばならなかったのを棚に上げて、
 大人の皮も脱ぎ捨てて、
 よく喧嘩した子供の頃のように直截な言葉を]*


[ピスティオの言葉に泣きそうに顔が歪んだ。
 どうせどちらかは置いていかないといけない。
 なら、私が置いて逝ってもいいだろう。
 そう考えていたけど。

 でも置いていかれてしまう寂しさを知ってるから。
 だから彼の言葉は刺さる。]


 じゃあ、どうしたらいいの?
 ピスティオが行くのを黙って見送ればいい?
 化物に食べられちゃうのに?

 そんなの耐えられない。
 私は一人になりたくない。

 愛する人をあんなのに食べさせるくらいなら。
 私が殺すわ。
 ちゃんと食べてあげる。
 でもそんなの望んでないよね。

 そんな事ぐらい分かってる。


[食べては貰えない。
 でも逃してはあげられない。
 それは許せない。

 だったらどうすればいいのか。
 お互いの望みは一致しない。
 一致しないのなら仕方ない。

 私は立ち上がって机の引き出しを引いて。
 中から注射器とアンプルを取り出した。
 注射器にアンプルの中身を吸い取って。]

 大丈夫、少し寝るだけだよ。
 抵抗しないでほしいなぁ。

[彼に近寄ればきらりと注射針が光った**]


メモを貼った。


[薄暗い部屋、名前を呼ばれるだけで胸がどきりと跳ねる。
 一歩一歩、近付いてくるセイルズさんをただ見つめて。
 ベッドが軋むと、少し体が竦むの]


 セイルズ、さん……、


[穏やかに抱き締められて、髪を梳くように撫でられて。
 大丈夫、怖くないって、そう思えたから。
 私、そっと身を寄せるの]


[渡さないって、大切だからって。
 そう囁く声に怯えながらも頷いて]


 わた、し……、もう、パンも焼けませんわ。
 何にも、できないと思います、わ……、
 なのに、いいんですの……?

 わた、し……、っ……!


[髪にセイルズさんの唇が掠めて、体がびくりと震える。
 こわごわと、セイルズさんの瞳を覗き込むの]


[そうして、震えながらも真っ直ぐに見つめて。
 少し、戸惑うように瞳が揺れて、目を伏せるの]


 ……本当は、怖いんです。宮廷に行くのが。
 だから、貴方が渡さないって言ってくれて、嬉しかった。

 でも、でも……私を匿うと貴方に迷惑が……、
 それが、怖いんです……。


[ぎゅっと手を握り締めて、また貴方を見つめて]


[縋るように、身を寄せて]


 ……忘れさせて、くれますか?
 怖い事も、辛い事も、みんな……、


[震える声で、そう囁くの。*]


メモを貼った。


メモを貼った。


[イルマさんへの連絡を思い出して、首を横に振るの。
 そして、少しおかしそうにくすりと笑って]


 あら、監禁中なのに連絡しちゃいけませんわ。
 セイルズさんの立場が危なくなっちゃう。
 変な所で真面目な人なんだから……ふふっ、


[囚われてるのも忘れて笑う。
 でも、トイレとお風呂の話に困ったように眉を下げて]


 それも、自由がありませんのね?
 困ったわ……、どうしましょう……恥ずかしい……、


[おろおろと、頬に手を当てのんびり悩むの。
 見られるのは恥ずかしい、でも、私は囚われの身。
 どうしましょうって、セイルズさんを見つめるの。*]


メモを貼った。


[彼女は独り占めと言ったっけ。

 射抜くように見つめる双眸は揺れることなく、
 イルマを捉えて、そのまま逃さない。
 
 独り占め。
 なるほど、それは叶わない想いだろう。
 どうあったって自分は家族を見捨てないし、
 そのために寄り添い続けてもいた。

 あの街で、きっと彼女は独りだった。
 けれどその衝動のままに動いた今も、
 ふたりでいるこの部屋の中でもイルマは独り。

 食えと言われて寄り添える筈もない。
 彼女のことは好きだ。
 だから余計に、そうしてやることは出来ない]



  2度めは勘弁して欲しいんだが……


[注射器の針を前に苦笑する。

 力負ける彼女の取る手段は数少なく、
 ココに連れて来られたときと同じように、
 薬に頼るのは予想の範囲内だった。

 眠らせてどうしようというのか。
 無理に口にでも異物を流し込むのだろうか。

 薬の昏倒は脳も休んで胃が動かず、
 押し込んでも喉が詰まりそうなものだが、
 看護師なりの案でもあるのかもしれない。

 抵抗の術は自由な手だけ。
 あの注射器を奪い、イルマを組み敷き、
 針を突き立てれば或いは──…?]



  なあ、イルマ。
  起きて空腹を感じなきゃ、俺はどうすると思う?


[針から掻き立てる想像が心地良いなど顔に出さず、
 さりとて嫌悪の表情も見せず、伺うように。

 示唆は強烈だった。
 舌を出し、噛んで見せる。
 或いはベッドに繋がれた足を引いて、
 奇妙な方向へ捻ろうともしてみせた]



[ああ、両手だけは自由だったな。
 枕で窒息、シーツはロープへ変わるし、
 他にも諸々、手指で目を突く等──

 彼女が望む願望を知らぬ間に無理に叶えたなら。
 その彼女の眼前で、やれることは多そうだ。

 配達業務で鍛えた順応性は、
 次々と自分を脅かす案を浮かばせてくれて、
 じっと彼女の瞳を見たまま抵抗を示さない。

 寧ろ笑って──
 初めて無邪気に、けれどもとびきり悪辣に笑って。
 
 その自由な腕を出し、信頼を形にする姿勢を呈す]**


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


[彼女をここに隠すための行為は、全てセイルズが望んだもの。彼女のパンは他に代え難いけれど、決して“パンを焼けるから”彼女が大切なのではない。
 だから絶対に、迷惑だなどと思いはしない]


 少し前に言ったことを、覚えているだろうか。


[伏せられてしまった彼女の瞳を追いかけて少し身を離し、覗き込むようにして、彼女を見つめる。今のセイルズには戸惑いも薄く、静かに凪いだ眼を向けて]


 私は──どうにも、人と関わるのが不得意で。
 貴女が教えてくれたとおりに、
 貴女のことを考えて──それで漸く
 貴女が大切なのだと、気づけた程で、
 



 だから、貴女が傍にいないと
 貴女と話して、教えて貰わないと、駄目で、

 今だって……
 こうするのが幸せなのだと、初めて知った


[ついと近寄り、髪に触れた唇を、次は首筋へ。
 ──こうして肌と肌を触れ合わせるのも、触れた箇所から震えを感じるのも、例えようもなく心地良い]



 ここには何も持ってこない。
 怖いことも、辛いことも。

 ──だから、皆忘れて、ここに居てくれ。


[震える声を受け止めて、彼女の耳朶に囁いた]*


[そうして、不自由はさせたくないのだと告げたのだけれど──やはりそもそもの制限が、壁のようにしてそびえている。彼女に頼まれた義妹との連絡だって、彼女自身に遠慮される状況


 飛空挺が去ってほとぼりが冷めるまでは
 窓から見られる危険も犯したくはない。

 清拭は一人だと難しい、と思っていたが
 トイレも含めて、恥ずかしければ席を外そう。


[その場合、先に簡易トイレの使用方法を伝えておかなくては]


[──そこで唐突に、重要なことを思い出す]


 ……その。
 服の希望はあるだろうか。


[この部屋にないものの次は、この家にないものの話。男しか居なかったこの家には、女性用の衣服というのが皆無。
 ズボンやシャツであれば、彼女でも着られる大きさのものもいくつか見つかるだろうが──つまり、全く、下着が無い]*


メモを貼った。


メモを貼った。


 はい、おはようございます
 まだ眠たそうですね

[返ってきた言葉に自然と笑みをこぼれて、
 寝ぼけ眼の目尻に唇で触れる]

 今日は非番ですから、
 もうすこしゆっくり眠れますよ

[自分がどこかにいくこともない。
 今日も一日ノッカ側にべったりだ。

 まるまってしまったノッカを見て苦笑して、
 その丸まりを優しく抱きしめた]


 起きたらご飯にしましょうね
 それまではゆっくりーー

[寝ましょうかと、自分もまた瞼を閉じよう**]


[瞳を閉じたまま、うんって頷く。
 まだ眠いのだから仕方ない。

 寝起きが恥ずかしいとか今更だし、
 それこそ徹底的に甘えて困らせたって、
 罰は当たらないだろうって思ってる。

 だから、あたしは二度寝することを
 決めたのだけど]


  ………… そーさん、


[抱きしめられたあたしは、
 腕の中で身じろぎをして、顔を上げた]




   あたってる……。


[生理現象ってことくらい知ってるけど、
 流石に、寝起きであろうと落ち着かない。

 結局、二度寝に入る前に
 目が覚めてしまったあたしは、
 むっと口をへの字にして。

 男性慣れなんてしてないものだから、
 『それ』が当たっているという事実に、
 あたしの頬は赤くなっていく**]


メモを貼った。


[覗き込まれる瞳はとても静かなもの。
 覚えているかって聞かれて、少し首を傾げて聞き入って
 思い出したように優しく笑って頷くの]


 本当に、面白い人。
 一つ一つ私の事ばかり考えて、確かめて。
 ……すごく、時間がかかると思うのに。

 本当に、本当に……、


[長い時間をかけて、想われていたのに気付くの。
 なんだか不思議な気持ち。
 なんて言えばいいのか……]


 
 あっ……、

[言葉に迷っていると、首筋に柔らかな感触。
 私、思わず声をあげてびくりと震えて、
 あの人以外の男の人に触られるのは初めてだったから、かああと顔が赤くなって俯くの]


 ……仕方のない、人。


[耳元で囁かれる声に、
 私、困ったように微笑んで呟くの。
 本当に、私がいないとダメな人なのねって。

 ここに陽だまりはない、
 これから先も日の光を浴びれるかも分からない。
 でも、それでも。私がここにいるから。
 貴方の陽だまりになってあげましょうって、
 そう、思ったの。*]


[不自由はさせたくないって言ってくれたけど、
 お手洗いも自由にできない状況に、
 恥ずかしさを耐えて俯くしかないの]


 ……、席を、外してくださいね。


[本当に、本当に、仕方のない人。
 私、この話はもうおしまいとばかりにちょっと恨めしそうに睨んで目を逸らすの。

 そう言えば、童話で読む囚われのお姫様はロマンチックだったけど、こんな苦労もしてたのかしら?
 だとしたら大変ね、って。
 見ず知らずのお姫様の心配をついしちゃうの。
 現実逃避ってやつね]


[そうして、お手洗いの次は服の話になって、
 本当に本当に、恨めしそうにセイルズさんを睨んだわ。
 でも、努めて冷静に、落ち着いて話すの]


 ……セイルズさん。
 もしかして、私の服を買ってくださるんですか?
 下着、も……?

 ……あの、よく考えてくださいな。
 召集された私が急に失踪して、
 その後でセイルズさんが急に私と同じサイズの服と下着を買い揃える、なんて。
 私を匿ってると言ってるようなものじゃないですか。

 もう、セイルズさんったら……、
 本当に、私がいないとダメなんですね。


[ふうってため息を吐いて、
 でも、少しだけ困ったように微笑むの]


[そうして、諦めたように笑って]


 裁縫道具と布地を少しずつ揃えてくださいな。
 私、服と下着は手作りしますわ。
 右手が治る頃に、ですけど。

 それまで当分は貴方のシャツを羽織って暮らしますわ。
 下着と服は、今あるもので我慢します。
 少しの間ですもの、耐えられますわ。


[これが今出来る最善策。
 それに、服を手作りするのは楽しそうだ。
 長くなるだろう監禁生活、時間はたくさんありそうだから。**]


メモを貼った。


 うん、ノッカ、なんだい?

[抱きしめて、胸いっぱいにノッカの香りを吸い込んで楽しんでいた。
 抱きしめていると落ち着く。
 匂いをかいでいると落ち着く。
 きっと味わっているときも落ち着くであろうし、
 まぐわっているときも落ち着くだろう。

 そう考えると朝の生理現象以外のモノもモノを襲ってきていたところで名前を呼ばれて、
 見上げてきた瞳を見つめて、
 告げられた言葉に瞼を瞬かせた。

 確かにモノは当たっていた。
 当たっていることが気持ちいいので収まる気配はない。
 自分は少し考えて――]


[頬を赤くしていくノッカを見つめて、
 への字の唇の端に口づけてしまう]


 寝る前に気づいたのですが……

[唇を離して、訥々と口を開く。
 それでも語る言葉は多くはない]


 自分は"ノッカ"のことが好きみたいです
 だから近くにいるとこうなるので――

[口にしながら、ノッカの背へと回している腕を引き、
 抱き寄せれば逃れられぬようにしてしまう。
 そうすればより身体は密着して、
 『それ』も何もかも当たるだろう]


 今度は、ちゃんと、愛したいですね

[うん、ちゃんと言えたと満足して目を細めるが、
 ノッカのヘの字は戻らないかもしれない*]


メモを貼った。


[伺うような視線。
 問われた質問にはゆるりと首を傾げた。]

 舌を噛み切りたいの?
 噛みたいなら噛んでもいいよぉ。
 それくらいの処置は出来るもん。

 足が捻れても簡単には千切れないよ。
 千切れても問題ないけどねぇ。
 だって足の一本ぐらいなくても死なない。

[自殺しようとしても気絶したその瞬間。
 蘇生を試みる。
 だから死なない、死なせない。]


 うん、でも猿轡はした方がいいね。
 手も括っちゃおうか。

 その顔も可愛いよ。
 好きだなぁ。
 うん、私はピスティオが好き。

 例えピスティオが私を嫌っても、好き。

 それは変わらない。
 それとね、もう一つ大事な事があるんだよねぇ。

 私はもう我慢したくないの。


[差し出された腕。
 彼はこの腕で私を殴ればいいのだ。
 そうすればか弱い女一人。
 簡単に倒れるだろう。
 少なくとも彼の望まないであろう事を。
 多少の時間とはいえ阻止する事は出来ただろうから。

 私はベッドから立ち上がって。
 注射器はテーブルの上に置いた。
 それから別の注射器を取り出した。
 それは採血をして輸血をする為の道具一式。]


 輸血でもダメかな?
 ダメならダメでいいの。

 大人しい方法は止める。
 それだけ。

 私はあなたと一つになりたい。
 我儘だし自分勝手だし。
 置いていかれる方の身を考えろって。
 そう言われたらごめんねぇってなるんだけど。

 だから、少しだけ我慢してねぇ。

[これで抵抗されるようなら。
 次は強硬手段を取ろう*]


メモを貼った。


メモを貼った。



 …………………… っ、

[そーさんに文句を訴えたら、
 顔が近づいてきたものだから。
 避ける間も無く、口の端に唇が落とされる。

 顔に熱が上がっていってしまうのは、
 昨日の強引さとは違う優しさが、
 あったからなのかもしれない]

 …… 最初から、ちゃんと。
 気付いていてくれれば、よかったのに。

[拗ねたように、唇を尖らせた。

 無茶を言ってるってのは分かってるけど、
 最初から気付いていてくれれば、
 あたしは怖い思いをしないで
 済んだんじゃないかって、気持ちはあって]



  違うよ。
  お前が願う程に俺は『俺』を捨てていく。

  お前が好きだって言った男は、
  お前がお前だけの願望を叶えようとしたら、
  その度に居なくなるってだけの話だ。

  お前を嫌いも好きでもなくなって、
  それでいて、お前のことを信じていた俺自身も。
  そんな俺を見捨て、削っていく。
 


 
[言葉を重ねて、口端を歪めて息を吐く。
 笑いと評するには歪で、諦めというには楽しげに。
 
 憎悪も情愛も執着に過ぎない。
 未だ好意に留まる感情は砂の城のように、
 波に攫われた瞬間崩れてしまいそうな脆さだ。
 
 だから、拒絶を、望まない形として表した。
 従順に腕を差し伸べておきながら、
 伝える言葉は一種、脅迫に近い懇願でもある]
 



 …… 今度は、ちゃんと。
 愛してくれないと、やです。

[それでも、
 その言葉に絆されてしまうんだから。
 あたしってのは単純な女だと思う]

 昨日みたいなことしたら、
 そーさんなんて知りませんからね。

[また昨日のように、
 あたしを、『道具』として扱うなら。
 心を、置いてけぼりにするのなら。

 その時は―― どうしよう。
 とりあえずは、怒るんだからねって思ってるけど*]


メモを貼った。



  人が完全に死ぬ瞬間って、
  記憶から消えてしまった時らしいな。

  お前は奪われるのは嫌だ、
  置いて逝かれるのは嫌だっつったけど……

[なら彼女は願望をトリガーにされて、
 執着を抱いた相手から失われていくとするなら?

 この場にいる肉塊だけで満足ならば、
 もうそれは、自分が自分である意味もないだろう。

 彼女の幼馴染は、少しずつ、確実に、居なくなる]



[注射器の置かれたテーブルに視線を投げ、
 眉根を寄せて、次いで取り出される道具を見た。

 輸血。輸血か。
 混ざり合う願望はそこ迄なのか。
 もう少し他の方法だってありそうなのに。

 けれど言葉を綴るための喉は僅かたりとも震えず、
 イルマの瞳に視線を移して、唇を結び、聞く]


  
  俺も、お前のことは、好き”だった”。


[最後まで聞いて返す言葉はそれだけ。
 我慢をする気はなく、鎖を鳴らして足を引く。

 痛いな、と眉を寄せながら。
 
 安静を言い渡された筈の足に無理を加えて、
 致命的となり此処から逃れても、
 食用となるだけで未来は昏いと知っている]


メモを貼った。


メモを貼った。


メモを貼った。


 ちゃんと……ですか、ちゃんと……。

[「最初から」はきっと気づけはしなかったろう。
 ノッカがくれた温もりが、
 ノッカの大切さを教えてくれたのだ。
 未だに「愛」というものの示し方は分かっていないことが多いのでその返答には少し困ってしまうけれど――]


 それは、困ります。
 自分は貴女の「心」が欲しい。
 自分も愛して、貴女にも愛してほしい。

[だから――]


 ノッカ……至らぬ点もありましょう
 だからしてほしいことがあったら、
 教えてください――差し詰めは……

[自分はノッカの頬へと手を添える。
 優しく頬を撫でながら、
 目を細めて、尖った唇へと――]


 おはようございます――のキスからで

[それは朝の挨拶で。
 そして新しい関係を築きたいからで。

  そうした時の始まりは、口づけで良いだろうか。

 自分はノッカの瞳を見つめたまま、
 唇を近づけて――不機嫌な唇はなおるだろうかと重ね合わせようとした*]


メモを貼った。


 ふふ、好き、だった、かぁ。

[少しでも好きだと思われてたのなら。
 それだけでしあわせな事だろう。
 少しでも混じり合う事が出来たのなら。
 それはもっとしあわせな事だ。]

 ピスティオは魂の重さを信じる?
 21グラムが肉体から抜け落ちるんだって。
 馬鹿馬鹿しいよねぇ。

 人間の生は”意識”だよ。

 意識があるから人間は生きてるんだって。
 そう実感するの。
 だから寝てる時は死んでるし。
 脳死もそれは死んだと同義だし。


[シリンジから伸びたチューブの先に細い針。
 自分の左腕の血管を探る。
 ここだろうと当たりをつけて針を刺す。
 でも上手くいかない。
 何度も何度も失敗して。
 左腕は針の痕が沢山。
 血もたらりと流れている。]

 私は何時だって死ぬ事を考えてたよ。
 何時かは死ぬんだから。
 だったらその時は好きな人に食べてもらおうって。

[もう面倒くさい。
 私はナイフに持ち替えて。
 ざっくりと腕を切りつけた。
 だらだらと銀色の皿の上に赤い水溜り。]


 結局それも叶わないから。
 無理やり一つになっちゃおうってなったけど。
 まあ、これも悪くないかな。

 だって愛は与えるものだもの。

[与えられるものではない。
 だって父と母はお互いを選んだ。
 私を置いていった。
 兄はお義姉さんを選んだ。
 兄は一人でいってしまった。]

 喜ばれたいわけじゃないんだよ。
 私が嬉しいだけ。


[皿の上に溜まった赤い水をシリンジで吸い上げた。
 無抵抗ならその腕に針が差し込まれる。]

 好きだよ、好きなんだよ。
 本当にそれだけ。

 どれだけ好きでも子供たちには敵わなかったから。
 だから慣れちゃったな。
 一番になれないの。

[注入された量は20cc程度だった。
 左腕からは出血したままだったから。
 中に入ったモノよりも彼を汚す赤の方が多かったぐらい。]


[針が腕から抜かれると。
 手から注射器が滑り落ちて。
 床の上で音を立てて割れてしまった。
 私はそれを気にせずポケットから小さな鍵を取り出して。
 それをベッドの上に置いた。]

 好きなところに行っていいよ。
 ああ、でもその足だと歩くの難しいかなぁ?

 でも気持ちがあればどこにでも行けるよねぇ。
 どこに行っても。
 ずっとずっと私が一緒なんだって思うと。

 ……嬉しいな。

[頭がくらりとする。
 血を流しすぎたのだろう。
 止血もしてないから。
 段々と意識はぼんやりとしてきた*]


[知っている。
 そーさんが気付いたのは、きっと。
 シャワールームでのあの時だってこと。

 逆に言えば、それまでは『わからなかった』。
 知らなかった、忘れていた―― 、
 なんとでも言えるけども。

 だから。まぁ、いいか。なんて。
 思えてしまうのは。

 少なからず、今までのそーさんに
 好意を持っていたこともある。

 『やさしいおにーさん』に
 初恋を抱かない少女なんて、そうそういやしない。
 つまりは、そーいうコト]



 あたし、そーさんのことは、キライじゃないです。
 でも、とっても怖かったです。

 ……だから 、

[頬に、手が当てられる。
 落とされる口づけを、
 あたしは避けることはしない。

 不機嫌な唇は、小さく弧を描いて。

 重なった唇が離れた後で、
 あたしは、再び言葉を紡ぐ]




   だから。今度は、優しくしてくださいね。


[約束ですよって、へにゃりと笑う。

 昨日のような、召集を受けた人々のような、
 あの笑顔ではなくって。

 ちょっとだけ、幸せそうな。
 これからの未来に、期待をしているような。
 そんな笑み、だったと思う*]


[彼女は、服を作るという]

[セイルズは元より人の機微に疎い自覚があったけれど──睨まれたために尋ねられられなかった、彼女が俯いた理由だとか、困って口にしたことで余計に睨まれた理由だとか、向き合うとどうにも霞を追いかけている気分になる──“サイズから個人が特定出来かねない”という事実は初耳だったし、下着は作れるものらしいというのも初めて知った]


 分かった。

 ……その、何が要るか良く判らないので
 そこもまた、教えて欲しい。


[針と糸は分かるのだが、それ以外にも確か種々の道具がなかったか]


[──ああでも、こうして彼女と話していると、いかに自分がものを識らないのか痛感する。
 これまで日常生活に困っておらず、仕事柄公共事業になる類のものについては一通りの知識があると言えど、触れてこなかった分野というのは確かにあって──そういう事柄は、ぽかんと空白になっているのだ]


 本当に、貴女がいないと駄目だな、私は、


[困っているのに、ついつい笑ってしまう。
 また彼女に睨まれるだろうかとも思ったのに、中々止められない]


 

 ──ああ、そうだ。
 後はシャツが要るんだったか。


[そうして会話の続きに戻るには、彼女が俯いていたのと同じ位の時間が掛かってしまう。そうだ服の話が残っていたと思い出して、セイルズのものを着るというなら選ばなければと考えて]

[あてもなく探すのも時間がかかるから、彼女のサイズは知っておきたい。
 セイルズがここに居てもいいだろう、彼女を着替えさせない方法で]


[着ていたベストのボタンを外す]


 

 ああ、これなら大丈夫だろう……か?


[脱いだそれを、そのまま彼女に羽織って貰って──というかいそいそと着せて、ボタンを合わせて確かめる。大きく皺が入って判り辛いが、胸囲が足りないということはなさそうだ]


[……セイルズに、先刻彼女の身体が跳ねた理由の正確な所を推測するというのは、大分荷が重い。心地の良い口付けは、抱きしめて撫でていた事の延長線にあった。
 ので、服のことを確かめている間、彼女の胸元を掠めた指も快かったのだけれども──その接触が彼女にとっても特別である可能性は、やはりすこんと思考から抜け落ちている]*


メモを貼った。



  意見が合わないな。


[魂がもしあるとするなら、
 それが磨り減っていく感覚の中で。
 
 脳死が死んだと同じだというなら、
 今まで抱いた想いも、その存在さえも、
 興味を失くしていく現状をどう思うのだろうか。

 過去では大事な幼馴染だった。
 今はどうでもいい存在になっていく。

 針が腕を貫き、傷ついて、
 何か言葉を連ねて、刃が肉を切って。
 赤が滴る光景を乾いて見る瞳は、
 焦点を、イルマを見ずにどこか遠くへ置いている]



  ふぅん

[好き。そうか。そういうものか。
 腕に刺し込まれる針にヒクリと震えた喉が、
 掠れた音を綴って、吐息混じりの反応。

 失せていく興味と、
 攫われ、端から崩れる、感情が、
 自分のことながら他人ごとのようだと首を傾げて。

 腹の奥からふつふつと湧く情に蓋をした。

 腕から入る赤に欠片も興味を抱かない。
 流れ落ちる赤にも何も感じない。
 そうしようと律したわけではなく、
 ただ自然と、抱いていたものが失せていっている。

 なら、捨てていく想いに反し湧いた情が、
 どんな名を冠しているかといえば]


[避けられなかった口づけは、弧を描いた唇へと落とされた。
 触れ合うは僅か、感触を、存在を確かめるための口づけだった。

 自分はきっと知ろうとしなかった。
 猪のように前しか見ないで生きてきた。
 だから本質に触れようとしてボロが出たのだ]


 ん……怖がらせて、すまなかった
 約束しよう、優しく、愛すると――

[その笑みは、きっと自分が見たかったものなのだろう。
 心の臓が高鳴るのだ、温かさを感じるのだ。
 ――きっとこれが、守りたかった笑顔]


[言葉にして、約束を契る。
 そうしてもう一度と、唇を重ね合わせた。

 唇の触れ合いとは不思議なもので、
 ノッカの唇の柔らかさや温もりを感じるとずっと触れていたくなる。

 呼吸に配慮しながら口づけを続けていき、
 頬を撫でていた手はゆるりと首筋を撫でていく]


 怖く、ないかい?

[問いかけるのは自分が怖いからだった。
 それは怯えであり、同時に躊躇いでもあるのだけれど――。

 きっと、求めていれば自制が効かなくなることもあるのだから、
 男とはそういうものなのだから――。
 だから、時折そうして問いかけて、
 問いかけては――]


[首筋を撫でる指先は、一度ふわもこのパジャマの外側からノッカの肩をなぞりいきて、
 肩から指先へと手を伸ばしてその手を絡め取る。

 そうして手を結びながら、
 するり――背へと回していた手が居りて、
 パジャマの裾をゆるりとたくし上げていった**]



[無関心の蓋をするのが惜しいと思う程に、
 滾るような高揚が、興奮を呼び覚まし満ちている。

 こんな自分は知らなかったな、と内心笑い、
 密やかな欲の発露を態度や顔は無関心で覆ったが、
 目に見える程かどうかは兎も角、身体だけは素直に。

 だが、それでも彼女の願望に寄り添い、
 彼女の血肉を取り入れ、食う気などなかった。

 その想いは理解できない。従う気もない。
 そして前言を翻す気も一片たりともなく]



  すげー血。

[血を流す彼女を眺める目は子供のように、
 玻璃の如く煌めくのだけは抑えきれなかったが。

 その腕を傷つけたナイフへ手を伸ばし、
 届く範囲にあったなら”刃”を手で握った。

 刃が指を切るだろう。掌も。
 それから血の流し込まれた腕の動脈を探し、
 そこを躊躇いなく切り裂いて──

 仮にナイフに手が届かないなら、
 手の届く場所に置かれた鍵の先で突き刺すだけのこと]



[血という異物は巡って、もう遅いだろうとは思えど、
 混じった血が流れ落ちすぎればいつかは循環も尽きる。

 イルマが今、朦朧としてきているように、
 次第に己も、意識を失うだろう。

 彼女が混じらせた赤を拒絶して流しながら、
 彼女が表現した死を迎える。
 共に死ぬというふうな意はなく、
 もう、イルマに視線を向けたりはしない]



  ──俺は家族に捨てられたから。
  家族は捨てられないんだよな、これでも。


[母を奪われ嘆いた父が自死した時、
 幾日かその死体と共に過ごし捨てられたと理解して。

 だから自分は家族を見捨てない。
 歪で、真っ直ぐとは言えない、トラウマが元だ。
 呆れられるほどに孤児院に拘っていたのも、
 子供たちが家族だと思っていたから。

 他人なのに。

 そうして今更、彼女が逃げようといった時に、
 踊った心を正しく理解して歪な笑いをより歪めて]


[私の話を素直に聞いてくれるセイルズさん。
 教えて欲しいって言われてちょっと得意げに笑うの]


 うふふ、分かりました。
 あ、そうだわ。
 毛糸でセーターを作るのもいいかも。
 その時はセイルズさんにも作ってあげますわ。


[ぽんと手を打ち合わせてうきうきと。
 監禁されているのに呑気かしら。

 でも、不思議と怖くはなかったの。
 セイルズさんは私を守ってくれるもの。
 仕方ないけど、放っておけない人]


[セイルズさんは真面目だけど、どこか抜けていて。
 お話しててとても楽しいの。
 教えてあげる事がいっぱいあって。
 それを素直に聞いてくれて]


 もう、仕方のない人。


[困った顔で笑う姿にくすりと笑い返すの。
 そうしてお互いに笑顔を見せて。
 気付けば昔みたいな穏やかな空気になるの。

 昔、むかし――、
 思い出そうとして、首を振る。
 まだ、向き合うには怖かったから]


[シャツのサイズを計る事になって。
 セイルズさんがベストのボタンを外すから思わずどきりとして]


 は、はい……、


[思わずぱたぱた慌てて、小さく頷いてみせて。
 ベストを羽織ってみるの。

 ちょっと上着を脱いだだけで動揺するなんて。
 セイルズさんは真面目な人。
 下心なんかないって、分かってる。
 ――はず、なのに]


[胸元に触れる手にびくりと反応してしまう。
 やっぱり男の人に触られるのは、恥ずかしい]


 あ、あの……、


[絞り出すようにして声を出して、
 胸元に触れていた手を握って。
 なんて教えてあげればいいのか――、
 ただ、顔を赤くして俯いて]


 む、胸を……、そんなに触らないで、ください。
 恥ずかしい、です……、


[絞り出すようにして、そう言うの。**]


メモを貼った。


メモを貼った。



[幼馴染の気安さを失うのを恐れて見ないふりはせず、
 彼女とも、家族になろうとしていたなら?

 そんな中途半端な感情に気がついても、
 それを内心に押し込めていなかったなら?
 
 後悔はいつだって先には立たない。
 彼女への想いの形を失ってから漸く、
 独りよがりの感情を両手で掴んで溜息を吐く]

  バカだよな

[その対象が誰へ向けたものかまで意識は持たずに。

 睡眠薬で落ちる眠りのほうが余程苦しいのか、と、
 落ちていく最後に思うのは、そんなことだった]*
  


[優しい声。
 作られた優しさじゃない、本当の。

 だからあたしは、拒まない。
 二度目の口づけも
 嫌だって、思わなかったから]


  ――  だいじょうぶ。


[問いかけられては、微笑んで。
 その度に、あたしはそーさんの髪を撫でる。

 そーさんの顔が、
 あまりにも不安そうなものだから、
 あたしは何度も、安心させるように微笑んだ]



  あたしも。
   …… そーさんを、愛したい。

[愛してるとは、まだ言えなかった。
 そーさんの心をまだ、
 きちんと知れていないから。

 ―― でも、多分。すぐに言える。

 あたしに触れる手は、
 とても、やさしいものだったから

 絡め取られた手を握り返して。
 良いよ、って言うように小さく頷いて、
 そーさんを見上げた*]


メモを貼った。


メモを貼った。


[快い感触が時折入り交じりはするけれど、セイルズの思考も本筋を見失うまでは至らない。このベストが入るのだから、大体あの辺りの服ならば──と思い浮かべて、そして]

[皺を伸ばしていた指先を、彼女にそっと掴まれる


 ……?


[彼女の顔がほんのりと火照っていて、絞り出された声は最後の懇願にも似ている。セーターを編むときには胴回りを測らなければいけないように、彼女の場合は胸囲を見ておかなければいけないし、“作業上の接触”の域は越えていなかった──筈、なのだけれど]




 ……恥ずかしいのは、駄目だろうか。

 先程抱きしめた時にも触れたものだから、
 この程度の接触は問題ないのかと……


[彼女は服を着たままで、手洗いや着替えといった個室で為される事柄に踏み込んでもいない。首を傾げる。分からないこと、先程は聞き損ねたけれど、今度は教えてくれるだろうか]

[──それに今はもうひとつ、尋ねたいこともあるのだ]




 ……それと、その

 貴女に触れていると──心地が良くて、
 離れがたい、のだけれど


[駄目だろうか、と呟いた。
 下心というには少し、触れる事自体に重きを置いていたのだけれど──禁止されたらどうしようかとも、少し思う]**


メモを貼った。


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