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![]() | 【人】 執事 ハワード[坂の上へ向かうか、港へ向かうか。 (119) 2019/08/04(Sun) 01時半頃 |
メモを貼った。
![]() | 【人】 執事 ハワード (120) 2019/08/04(Sun) 01時半頃 |
─2週目・舶来市─
なんで。
謝る必要なンてないだろ。
[浮かんだ苦笑に自嘲が滲む。
自分が勝手に思い出したのだ。
同じ親が居ない境遇でも随分違う生き方してきたな、って…
それだけ。]
アンタの家族の話とかさ
聞けたの楽しかったぜ。
[そう言って、この話題はオシマイにした。
言葉少なに終わりかけのマーケットを歩く。
沈黙が、やがて朝を連れて来た。*]
─3週目・店の裏手─
あッ そのぬいぐるみ…
[相手のリュックのファスナーにぶら下がっている見覚えのあるクマ
渡した時は仕方ないなって素振りで受け取っていたので、まさか身につけているとは思わず。
驚きが口をつく。]
あーーー 別に無理して使わなくてもよ…
[間抜けでのんきな顔のクマのぬいぐるみは、どう考えてもリュックとの比率がおかしい。]
[でも、
出店の景品とはいえ自分がプレゼントしたものを、ヒイラギが使ってくれているのは嬉しかった。
その気持ちを素直に伝えるのは気恥ずかしくて出来ないから、]
…まァ、その
似合ってるンじゃねェの。割と。
[くしゃりと髪をかきあげながら、笑顔と困惑の中間顔で感想を述べた。]
いや…忙しいッつーか、 うン…
[なんとも歯切れの悪い返事だ。
自覚はあるが、理由を全部さらけ出す訳にもいかない。
今日は向こうから差し出された手
………
[少し躊躇ってから、
握り返す。]
あァ。今日は星を見に行くンだったな。
[空を見上げるのに座席は要らない。街の何処でも流星を探すことは出来る。
ただ騒がしい場所よりも静かな方が…ゆっくり星を探すのに向いているように思えたから。]
ンーーーー…
マーケットじゃねェけどよ、
星が見える いー場所があるンだ。
[行こうぜ、と誘った。
並んで歩けば、道中はやっぱり猫の挨拶に見舞われた。
今日は魚入りビニール袋を持っていなかったというのに。
餌がなくフギャーと不満そうに鳴かれたので、明日な、と流しておいた。]
[しばらく石畳の路地を進んで。
一見、袋小路めいた場所の──奥を目指す。]
まーァ、 見てなって。
[積んであった木箱をひょいと身軽に登る。
次いでヒイラギを手招きし、登るのが大変そうであれば手を貸した。]
そんでこの壁のくぼみに足の爪先を引っ掛けて
身体を持ち上げて あっちの突起を掴んで…
そう、そっち。
ほォら頑張れ。あとちょっと。
[それは猫と付き合う内に憶えたルート。夜空近くへと続く道。]
[登って、登って。
ヒトの背丈も、路地を覆っていた家の壁の高さも越えて。
暗い空に瞬く星々が。
広く、視界いっぱいに溢れる瞬間。]
ヒイラギ、
…──── 着いたぜ。
[オレンジ色の屋根の上。
普段は見上げるだけの筈の、その場所は。
何も遮るもののない…流星群の特等席。]
ここに寝転がってさ。
空を見るの、好きなンだ。
[そう言って。言葉の通りゴロンと仰向けに寝転がった。**]
メモを貼った。
メモを貼った。
― 店の裏手 ―
[差し出した手は、少しの沈黙の後、軽く握り返された。
ほっとした。
今週もまた、彼と一緒に楽しい時間を過ごすことが出来るのだ。
思わず彼に笑いかけた時、彼が自分のリュックに付けられたクマのぬいぐるみに気が付いた。
あー、と声を上げつつ、似合ってるんじゃねえの、と言ってくれた彼に、微笑んだ。]
ええ、僕もそう思います。
えっと、じゃあどこに行きましょうか。
港のベンチかなあ…
[星を見に行く、と言って思いつくところを取りあえず挙げてみる。
ただ、自分が思いつくだけあって、0時を回った今でもそれなりに他の地元民もいるだろう。
空いてるかな…と呟きながら、ほかの候補を考えようとした時、彼がいい場所がある、と声を上げた。
あ、本当ですか。
行ってみましょう。
[素直に頷くと、彼と一緒に歩き出す。
やはり、先週と同じように猫たちが彼を見るとふらりと近くに寄ってくる。
明日な、と声を掛ける彼を見て、何となく猫に優越感を抱いてしまう。
明日の彼はお前たちのものかもしれないけど、今日の彼は、自分のものだ。
繋がれた手を、少しだけ強く握った。]
え。
ここですか。
[で、歩いて行った先は完全に袋小路だった。
ここからどうするのだろう、と隣の彼を見ると、彼はひょいっとつきあたりに積んである木の箱に足をかけて登っていく。
それでこの壁のくぼみに…と言いながら、ひょいひょい彼は壁や塀を伝うように登っていく。]
あ、ちょっと待って。
[慌てて声を上げると、多少息を荒げながらも、彼の進む後をついていく。
一応彼の行く道は、絶妙に人の通れるルートだ。
だけどこんな通り道、普通の人間は思いつかない。
もうどんなところにたどり着くのかもわからず、ただ彼に離されないように、ひたすら彼の行く後を追っていく。
頑張れ、という上から聞こえる彼の声を聞きながら、最後の壁…いや、屋根に手を掛け、自分の身体を持ち上げた。]
…
わあ…
[着いたぜ、という彼の声を聞き、空を見上げた。
感嘆の声しか出なかった。
目の前に遮るものが何もない。
余計な街灯りは足元の更に下だ。
白く光る夜空の星ぼしが、視界一杯に広がる。
この街の星は、こんなに綺麗だったのか。]
すごい…
[星から目を離せずにいると、屋根の上に気持ちよさそうに寝ころがる彼の気配がして、下へと目を向ける。
そして、自分も彼の隣へと寝転んだ。]
わかります。
凄く空がきれいに見える。
[彼の言葉に応えながら、空を見渡す。
きっと、ここからなら、心地よく晴れた日に、海風に吹かれながら見る青空も最高だろう。
しかし…である。
寝転がったままシーシャの方へ身を横にして、苦笑しながら言った。]
それにしても、すごい場所を知ってますね。
シーシャさん、猫に好かれているというか…まるで猫みたいだ。
[暗がりの中、段々目が慣れてきたとはいえ、彼の細かい表情まではよく見えない。
けれども、その体つき、細い腕や腰、足元は何となく形を把握できる。
こんなに細く見えるのに、その身体はばねが入ったようにしなやかだった。
きっと、必要な筋肉が綺麗に身体についているのだろう。]
…
[余計なことを想像した。
思わず無言で身体の向きを仰向けに戻す。
再び、視界には星しか映らない。
でも、自分で勝手に興奮した心臓の鼓動は、元々上がっていた心拍数と一緒になって、自分の身体をのぼせさせるように駆け巡る。
落ち着かせるように、深く息を吐くと、隣の彼へ、呟いた。]
シーシャさん。
星、綺麗ですね。**
メモを貼った。
[今度の呼びかけには、返事も出来ずにまた頭を振るだけだった。
もう一度名前を呼ばれる。今度は、彼の方から何か言おうとしているようだった。
もうやり直しは勘弁してください、と思いながら、顔も見れずに次の言葉を待つ。]
…………ふへ、
[そうして待った言葉が想定と違いすぎて、唇から間抜けな音が漏れた。
のろのろと顔を上げて、どれくらいぶりかに彼の顔を見る。
赤い光のせいだけではなさそうな、顔の色をしていた。]
[血が集まりすぎて熱い顔が、同じく赤い顔をぽかんと見つめて、見つめて、数秒。]
……あ、あの。ええと。
僕が言えたものか、って思うんですけど、その。
どうして……?
って、僕がそう言ったからか……
[劇団員がこんなプライベートな誘いに乗って、自分に会いたがる理由は、よくわからない。
こちらから会いたいと言ったから、それを肯定してくれたんだと、受け入れてくれたんだとしか思えなかった。]
[けれど、慰めにしては大きな声だったように思う。
遊歩道が静かすぎるだけだろうか。
ゆらゆら揺れる灯火が、ひとつ燃え尽きて、ふっと消えた。
いつでも継ぎ足せるようにキャンドルは多めに持ってきたけれど、そこに頭が回らなくなるくらい、彼のことだけを見つめて]
…………会って、くれる?
[念押しのように、もう一度だけ聞いた*]
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