229 観用少年
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何で、あんなヤツ。
[呟くは低い。―――…こんな醜い感情すら芽生えるのかとも思った。 前々から抱いていたものが決壊した過ぎなくても、だ。
刷り込まれた愛され方を――愛し方を変えられない。 叩きつけた粗悪品という単語は自虐も伴ってじわりと心に燻る。
数ヶ月。関係は良好だった。 頭を撫でる手が心地良かった。
満たされているから、満たされないなど南方は勘付かなくても。]
なあ、コースケ。
[ギシリ、寝台が軋む。片足を乗せた。 その瞳は人形とは思えぬような感情と
声音は睦言めいてすらいた。]
(207) 2017/10/12(Thu) 13時半頃
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……溜まってんだろ? アイツの代わりでも俺はいいよ。
[僅か浮かべた自嘲の笑みが暗闇で南方に届いたかわからない。]
(208) 2017/10/12(Thu) 13時半頃
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……? [一瞬きょとりと首を傾げる。昨日はいっしょだっけ……ふと頭の中で疑問が浮かびはしても、深く考えることはなく。なんとなくそういうことにして、弾んだ声で頷いた。 食事を終えて部屋へ戻り、眠るには早い夜の時間は両親から贈られた絵本を眺めて過ごした。そうして寝支度を整えたなら、呼ばれるままふかふかの布団へ潜り込み。]
うん、でも、あったかい [遠く聞こえる大人たちの動く音を耳にしながら、内緒事でもしているような気分になって小さく笑う。妨げになることなど構わず身を寄せ、昼間以上に甘えんぼうの顔で。]
……ぼくも久しぶりだよ?
[彼が振り向けばいっそう距離は近くなる。ほんの少し闇に慣れた目が、彼の瞳を映した。少し考えてから潜めた声で囁いて。眠る前、いつか誰かにして貰ったように頬へ親愛のキスをする。]
おやすみ、シメオン。 ……明日も、またあそんでね
(209) 2017/10/12(Thu) 17時半頃
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[それから、新たな主人はすっかり大好きな兄となった。 気の向くまま遊びに誘い、雨の日や夜には字の読めない絵本を持ち寄って。食事時も、珍しく両親連れられ出かけた日にも傍を離れることはなく。 人の気を知らないのは相変わらず、けれど仲睦まじい兄弟として過ごしていたある日のこと。] シメオン、シメオンっ [トレーで塞がった両手の代わりに、部屋の前で声を掛ける。彼が扉を開いてくれたならお礼を言って、ふたり分のおやつをローテーブルに運んだだろう。一人分のオレンジジュースと少しの角砂糖と、皿に「ふたつ」並んだケーキと。]
(210) 2017/10/12(Thu) 18時頃
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あのね、おやつだって。 「いっしょに食べてね」って言ってたよ
[言付けをそのまま口にすれば、好物を心待ちに落ち着きない様子で、テーブルの傍に腰を下ろすなり角砂糖へ手を伸ばす。一粒口へ放り込みつつ、視線はふとケーキに乗った赤い果実へ向けられて。] ……ねえ、シメオン。 これってどんな味がするの?
[いくつもの粒が張り付いたそれが「イチゴ」だということは絵本の中で知った。別段食べたいと思ったわけでもない。けど、人形が口にすることのないそれはどんなものなんだろうかと、好奇心で問いかける。*]
(211) 2017/10/12(Thu) 18時頃
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[自分はそもそも、人付き合いも人との接し方も普段からこんな感じである。 謝罪の言葉は出ないが、非があれば認める。 だから、リッキィに対しての接し方も 人形と思ってるからという訳でもなく、寧ろ普通に"少年"と思ってはいる。 そういった事も全く表情に出ないが、スケベDVD……失礼、えっちなDVDを目に入らない所へ移したのは一応その表れ。 つまり良い意味でも悪い意味でも特別扱いはしていないのだ、今のところは。
閑話休題 掃除や洗濯の仕方を実際にやりつつ教えた訳だが、洗濯完了のアラームが鳴ってもリッキィは動く気配なし。>>20]
(あっ、後の事も教えないといけなかったか)
[そう思い至ったのはアラームが鳴ってから数秒後。 これに関しても怒る事はなく、リッキィに声をかけて洗濯機に向かい 干し方と、少々雑ながら畳み方まで教えた上でクローゼットに仕舞えばいいと伝えた。 ちなみに洗濯機には乾燥機能が付いていたりするのだけど、今回使っていない。 というかいつも忘れて、一通り作業が終わった後で思い出すのだ。 機種を選んでくれた妹が聞いたら絶対怒る。 『何の為に乾燥機能付き選んだと思ってるの!? いい加減ちゃんと覚えて!!』なんて。]
(212) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[あれ説明しながら結構自分で全部済ませちゃったぞ?]
………うん
[お礼なんて言わなくていいのになとも思ったけど、返す言葉はそれだけ。 次からは頑張ってくれるらしいからそれで充分かなと。 口煩く言うのは性に合わない。]
(213) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[そんなこんなを済ませての食事時。 リッキィには牛乳と氷砂糖、自分はカップ麺を食べる事に。 氷砂糖は特に嫌な顔もせず……それどころかおそらく今までで一番いい笑顔を見せてくれて、口にしてくれた。>>22 この様子なら大丈夫そうだと、自分も出来上がったカップ麺を食べ始める。]
うん、元々そんなに量食べないから
[不思議そうにこちらを見るリッキィにはそう答えたけれど、早い・美味い・安い、これに限る。 安いはそこまで重要ではないが、細かい所は置いておこう。
そして食事が終わり後片付けが終われば後は寝るだけ。 いつものように電気を消そうと思ったが、その前にリッキィが消してくれるとのこと。>>23 なら任せようかと頷いてみせたが、そういえばと寝床問題が頭を過る。 寝る必要があるのなら床に毛布を敷くなりすれば大丈夫だろうか……とか考えている間にリッキィが動いていたのだが]
………まぁ、いいか
[当然一人用のベッドだから広くはないが、小柄なリッキィぐらいなら一緒に入っても大丈夫かなと大して考え込まずに判断。 のっそのっそとリッキィの隣に入り……そのまま何もせず、なんとなく視線を感じながら眠りについた。]
(214) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[誰かと寝るのはいつぶりだったか 不思議といつもより安心出来て、暖かかった。*]
(215) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[あかん、このままじゃ溜まってまう。
……と半分冗談に考えてたり考えなかったりしたのはあれから数日経った頃。
いや、本当に考えていたのはリッキィについて。 牛乳は毎日欠かさず三回、氷砂糖も週一ペースをなるべく守りつつ多過ぎず少なすぎずで欠かさず与えていたし 粗雑に接しているなんて事も一切ない。 しかし案の定というか、やはりもう一つ与えるべきもの─ 愛情 ─を与えられていないようなのだ。 触った事は未だないが、リッキィの髪の質がここに来た頃より悪くなってきているのになんとなく気付いて漸く危機感を覚えたのが現段階での話。]
(枯らせるつもりはないんだけど)
[分からなければ対処しようがない。 出先からの帰路で一人そう考えたって何も進まない。 だがしかし、観用少年の存在を教えてくれた人物からアドバイスのようなものはもらった。 『やってもらって嬉しい事、やってもらえたら嬉しかっただろうなって事をしてあげたらどうか』 ……だそうだ、牛乳と砂糖菓子に出払ったついでにわざわざ聞きに行った意味は一応あったか。]
(216) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[本当に望んだものは自分で諦めて 終ぞここまで得られなかったけれど 小さな喜びがいくつかあったのも、覚えている。]
(217) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[その相談した人物から 『そんな事聞くって事は佐伯くん本当に観用少年買ったの? 見に行ってもいい?というか見せてお願い!!』 とかなんとか言われたりもしたが即お断りして、牛乳と砂糖菓子とついでの弁当入りの袋片手に夕方帰宅。 玄関の鍵を開けて中に入れば、おかえりなさいと笑顔で出迎えてくれるリッキィの姿が。>>25]
……うん、ただいま
[出迎えなんてされた事がなかったものでなんとも不思議な感覚に包まれはしたけれど、相変わらずの空っぽの目で見つめてそう返す。
いつもと違ったのは、リッキィの傍まで近寄り頭や頬を撫でようとしたことだろう。 やってもらって嬉しかった事、そう言われて思い付いたのはそれくらい。 そして、それを他の人が同じように嬉しく思うとは限らない。 だから少しでも嫌そうにしたらやめるつもりで、金の髪に手を伸ばしたのだ。]
(218) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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ごめんね、リッキィ 枯れさせたい訳ではないんだけど よく分からなくてさ、愛情って
[ちょっと遅い、いや大分遅いとは思うけど! リッキィを撫でられたにしろ撫でられなかったにしろ ここに来て漸く重要な告白をした。 それを伝えたところで出来る事があるかと言われると……自分には分からない。 アドバイスを参考に頑張っていくしかないのだ。 ……まぁ、やってもらえたら嬉しいと思っただろう事は今のところ叶っていたりするのだが]
……夜ご飯済ませようか 何かやりたい事あるなら、それでも
[そう言って牛乳だけ取り出し、残りはビニール袋に入れたままテーブルに置いて。 キッチンに向かって牛乳をコップに注いでからテーブルへと戻った。 机の引き出しをガサゴソされたことには現段階で全く気付いてない。
このまま食事となるか別の何かをする事になるかはともかく、自分に観用少年について話した人物は一つ教え忘れている。]
(219) 2017/10/12(Thu) 22時半頃
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[健全な接し方ではなく、KENZENなことをする為にも彼等は活用される事実を!
それを知らずに買ってしまったからこそ何もしないでここまで来てしまった訳でもあるんです!*]
(220) 2017/10/12(Thu) 23時頃
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[眠る肉食獣の姿に、彼>>200は何を思ったのか。 男にはうかがい知ることは出来ない。
けれど、後ろ髪引かれる様子もなく、 着いてきたであろう少年の言葉に、 男は思案気に顎に手を当てた。]
(221) 2017/10/12(Thu) 23時頃
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砂糖は……思い浮かばないね。
[咄嗟に浮かんだのは、アリとカブトムシ。 どちらも檻の中にいるはずもない。]
ただ、最近、パンダが生まれたらしいからね。 運が良ければ、見られるかもしれない。
[けれども、後者なら。 生まれたばかりのパンダの赤ちゃんが 漸く、外に出てくるようになったらしい。
思い立ったがなんとやら。 パンフレットを確認したのち 少年の手を引いて、男は歩き出す。]
(222) 2017/10/12(Thu) 23時頃
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[どうやら、運が良かったらしい。 少し歩いた先には、檻の前に人だかりが出来ていた。
母親か、或いは、飼育員の手からか。 餌を強請る小さなパンダの姿を、 人混みの隙間から認めて。]
見えるかい?
[子を肩に乗せる父親と、その背に乗る子。 人垣の中に散見される姿を一瞥して、 男は、本日幾度目かの、複雑な表情を浮かべたことだろう。**]
(223) 2017/10/12(Thu) 23時頃
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[密やかな、それでいて機嫌良さげな声。>>209 二人で使えば広くはない寝台。擦り寄る甘えたがりを押し退ける事はせず、さらに密着する。寝返りを打つにも窮屈な距離感]
そう? ジョージなら慣れているかと思った。
[それから頬に落とされたキスに、不思議げに瞬いて唇を結ぶ。意味なら知っている、眠りに落ちる愛しい人に贈るおまじないだろう。知ってはいるけれど]
……はは、おやすみ。
[困ったように笑い、再び天井を仰いだ。気安く頭を撫でられても、何故か唇で触れるには抵抗があり。おまじないを贈り返す事は出来なかった]
(224) 2017/10/12(Thu) 23時半頃
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[部屋の外からよく知った声が届き、扉を開いた。>>210 彼の言葉を聞かずとも、並べられた菓子が言伝をする。皿の上のふた切れを目にし、眉を潜める]
……へぇ。持って来てくれて、どうもありがとう。
[とはいえ、お礼を言う時はにこやかに。彼がローテーブルにトレーを運んでも、寝台の端に座ったまま動かない。白い玉座に乗った赤い果実に話題が移ると、ああ、と生返事をする]
角砂糖は甘いばっかりだけど、苺は甘酸っぱい。 あとはいい香り。果物は大抵甘い匂いがするね。
(225) 2017/10/12(Thu) 23時半頃
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……お前は食べたいと思う? ねぇ、ケーキ持って来てよ。
[口端を上げたまま、彼に手招きをする。食事をするには行儀が悪い場所だが、別に構わない。きちんと言い付けを守ってくれたなら、此方に近寄った足を蹴って引っ掛ける。皿の上に乗った興味を台無しにする魂胆で]*
(226) 2017/10/12(Thu) 23時半頃
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[ ── やっぱり、いないのか。 ]
[ 直円さんの声に瞳を伏せる。 居たとしても、この場所には居ないだろう。 …分かってはいたけれど、 こう直接声を聞いてしまえば、 胸にぽとりと重たく落ちる、何かがある。
瞳が持ち上がったのは、 広げられるパンフレットの音が聞こえたからだ。 ]
(227) 2017/10/13(Fri) 00時頃
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[ 知ってるよ。 パンダという生き物は、 はじめ、あんな色では無いって。
それは確か、直円さんの家にあった、 図鑑で見たような気がする。 ── ちぃさないきもの。うまれたての。 それは人形たる僕と似ているような、 ……気が、して。 連れられるがまま、檻の方へ向かった。 ]
(228) 2017/10/13(Fri) 00時頃
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[ やがてたどり着いた先で、ぱちり、瞳が瞬く。 檻の前には人だかり。…それもそうだ。 何せ彼のパンダは、 ここ最近の目玉だったのだから。 ]
(229) 2017/10/13(Fri) 00時頃
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………あん、まり。 [ …だから、直円さんの声にも、 微妙な返答になるもので。 それこそ"檻"の様な人だかりの向こう、 動いているのだろう生き物の姿を、 悲しいかな、僕は想像するだけしか出来ず。
自然と僕の視線は、 周りの光景へ向かっていた>>223。 ── 親の肩に乗せられる子供。 血の繋がったひとの、すがた。 ]
(230) 2017/10/13(Fri) 00時頃
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…… ああすれば 多分、
[ ── 見られるんじゃ無いかな。
……までは、言わなかった。 只、指先で親子の光景を示し。 持ち上げられることを欲しているのか、 合理的な方法を提案しているのか、 其処も、分からないまま。
ぽつり** ]
(231) 2017/10/13(Fri) 00時頃
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