191 The wonderful world -7 days of MORI-
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[文字通り、龍は崩れ落ちて、地面に叩きつけられたでしょうか。
そうすれば、ぐねぐねと苦し気にもがくその胴に、兵隊の剣が押し当てられたかもしれません。
切り付けた訳ではありません。ただ、動きを封じ――平たく言うならば、脅すために。]
……降参、してください。
倒す、が、ミッションの目的、なんですよね。
[コンポーザーを“殺せ”、では、なかったはず。
メールの文面を思い出して、僕は、もがくそれに、そう呼びかけたと思います。
或いは、その動きを封じた立役者――幼馴染が、再び、その身体に触れようとしたかもしれませんが、
何にせよ、僕がそれに求めたのは、彼が負けを認めること。それだけです。
甘い、と言われるかもしれません。
けれど、それでも、意思を持ったその人を――何故、生き返ろうと思うのか、僕に問うた彼を、殺すのは、何だか忍びない、と、思ってしまったのです。*]
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[それが命中したか、しなかったか。 いずれにせよ、その直後。
がくりと、馬のノイズは大きく崩れ落ちて、これ以上ない大きな隙が生まれた。*]
(307) 2016/06/19(Sun) 02時半頃
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[ 伸ばした手に、あれは、なんだったのだろう。
硬いウロコ? なにともつかぬ異形のモノ?
とにかく、ただ、手を伸ばして、掴もうとして、
やっと、なにかに触れたんだ、と思った。
── そして、落下。
必死に掴もうとした、その化物に、
巻き込まれる、みたいに。]
── っ !!
[ 翅、を、広げて。
たぶん、最後の悪あがき、ってやつ。
少しでも、衝撃をやわらげようと、試みつつも、
蛾 のようななにかもまた、地面に落ちた。
結局、翅以外は、人間だから、
硬い地面に打ち付けた身体のどっかしら、
うまく動かせないのも、仕方なかろう。
それでも、這うようにしてでも、
あきらめの悪いおれが、再度、
べたん と、その、異形に、手を伸ばしたのと、
見上げた先、きみが、きみの司る剣が、
光 みたいに、見えたのは、ほぼ同時だったと、思う。*]
[ すこしでも、きみの役に立てたんだろうか。* ]
.
[さらに触れられて、身動きひとつできない僕に、
降参が突きつけられました。
その顔を見上げることもできませんでしたが。]
そう、です、ね。
殺そうとしても、きっと貴方がたには殺せない。
それだけの自負は、あります。
[ただし、今は。
力を使い果たしてしまって――こんな感覚、初めてで、どうしたらいいのか。]
もう、十分です。
この短い間で、十分に見せてもらいました。
僕が知らなかった、可能性を。
[僕が感じたものが、全て間違いでなければ。
こうして戦うことができて良かったと、結果的には思うのです。
実際に向き合わなければ、知ることのなかった“せかい”。]
……降参しましょう。
ミッションは、達成されました。
モリ区の未来を、もう少しだけ、見てみたくなりましたから。
[地に伏したまま、つい笑いが零れました。]
そして、――ありがとう、ございました。
[傷付きながらも、恐怖を前にしても、
消滅の運命を突きつけられても、それでもなお、
立ち向かうことを諦めなかった、皆様に。
心からの感謝を告げて、僕の姿は“夜羽 仙寿”へと戻ります。
間もなく、ゲームの終わりが、訪れるでしょう。*]
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[>>312渾身の蹴りは壁に遮られて。 そして、>>313剣が胴に深々と突き刺さる。
あァ、もう何も聞こえねェなァ。 傷は深い。こりゃァ後は気合いで耐えるしかない。
ぐらり、崩れる体の周囲で、光が霧散して。>>314 そうして——この化け物の身に、触れられた。>>309
咄嗟に後ろ足を少女目掛けて蹴り上げるように、するが、 そこには力はほとんど残っていなかっただろう。
視界を飛ばすだけのこの能力を、彼女にそのまま渡すことにはなったか。*]
(319) 2016/06/19(Sun) 03時頃
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[こんな多人数が相手じゃ、視界を飛ばす暇もなかったなァと、苦笑する。 パートナーのサポートに徹していたあの頃が、懐かしい。
あの頃の彼は、アタシの行動を嫌いだと言った。 でも、やっぱ、そうすることでしか生きれねェんだ、今のアタシ。 そして、アタシは今のアタシを嫌いじゃねェから。 だから、サヨナラしたのは必然だったんだろうさ。
ふらふらと立ちながら、タテガミから炎を零しながら。 さァ、来いよ、と、
凛々しく、トドメの一撃を受け止めようと。*]
(320) 2016/06/19(Sun) 03時頃
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……こちらこそ、ありがとうございました。
[降参を認めた彼は、上品そうな人の姿に変わったので、
僕も頭を下げて、兵隊の剣を収めました。
そして、幼馴染の元へと駆け寄って、その怪我の度合いを確かめたでしょうか。
あちこち打ち付けてはいるようでしたが、
それでも、酷い怪我ではありませんでしたので、]
ルイ、……良かった……!
[ようやっとその時、僕は安堵したように、表情を緩めたと思います。
そうして、ぺたり、彼の傍に座り込んで、
彼に向かって、笑いかけたでしょうか。**]
[ 地面から、空を背負った、きみの顔を見ていた。
光を背負って、表情は、よく見えなくて、
ただ、なんとなく、
きみが、泣いてないといいなあ、って、思った。
「ミッション」「達成」の、たったふたつの言葉が、
行く先を、示している、んだろうなって、
こみ上げるのは、安堵、だろうか。
”今度こそ”、きみの力に、なれたのかな。
きみを、守れたのかな。おれのせいで死んだきみ。]
[ おれは、今更ながら、
火傷や落下のダメージに、地面に転がったまま、
肩で息をして、日頃の運動不足なんかを呪った。
なぜか吐き出された礼の言葉の、
意味するところは、いまいち分からなかったけれど、
きみが褒められているようで、おれは誇らしくなる。
その姿が、ヒトらしいソレに戻ったことも、
気づくことは、なく。]
……ネル、
[ 正直なところ、
きみが傍に来てくれて尚、
立ち上がらなかったんじゃなくて、
立ち上がれそうにもなかったのだ。
疲れ、か、怪我のせいか、なんだか、分からない。
でも、きみが来てくれたって、そのこととか、
熱に焼かれた頬が引きつって、
うまく表情をつくれる気は、しなかったけれど。]
── おれの、パートナーになってくれて、ありがとう。
[ たぶん、こどもみたいに、笑った。*]
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[>>325意外な、その言葉に、目を見開いた。]
降参……?
[>>0:698この世界は素晴らしいかどうか、問いかけて来たあの時の、 頼り無さそうな小娘が、ようやく答えを出したとしても。 アタシは、アタシは、……]
そっか。 このせかいが素晴らしいってこと、ようやく気付いたってわけ、か。
……なら、生き返っても、そいつはきっと無駄にならねェだろ。 良かったなァ。
(330) 2016/06/19(Sun) 03時半頃
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[どうにか笑ってみせる。 もう目元が霞んで、何がどうなってるか分かりゃしねェんだ。]
アタシは、……もうすぐ、アタシじゃなくなる。 今のアタシでいることが、できなくなる。 せっかく見えたせかいが、また見えなくなっちまう。
だから、もう……。 いいんだ。何もかも。
[詳しい事情を説明する余裕なんてないし、話したくもねェことだ。 こいつらがそれを知る必要なんてねェ。]
(331) 2016/06/19(Sun) 03時半頃
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生きろよ、テメェらは、 ……自分の力で、勝ち取ったんだ。
誇れよ。 そして、生き返れたら、もう、二度と死ぬんじゃねェ。
[彼女の腕に触れられながら、気力で体を動かす。 一度、がくりと崩れそうになりながら。
——悔いは、ねェから。
>>329景山ちゃんが傍でi様子を伺っているんだろうなって、確信していて。 そうして、少女に向かって、最後の蹄を叩き込もうと脚を上げる。
そのまま振り下ろしちまっても、大して痛くはねェだろうが。 止めるなら——止めて、みやがれって。 そう、望みながら。*]
(332) 2016/06/19(Sun) 03時半頃
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博徒 プリシラは、メモを貼った。
2016/06/19(Sun) 03時半頃
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[死は罪だと、アタシは繰り返した。 そんなアタシが、こうして死を受け入れる姿勢で、戦いに臨んだのは。 紛れも無い、罪でしかなかった。
だから、断罪されよう。 ゲームの責任者として、全てを見届けて。
これからを再び生きる、輝かしい魂たちを。 祝福しようじゃないか。]
(342) 2016/06/19(Sun) 04時頃
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[>>339小さな呟きが、耳に届いちまって。 あァ、それは、一度死んでからのアタシでさ。 死ぬ前のアタシはロクでもなかったって、知らないんだもんな、景山ちゃんは。
だから、だからこそ。 アタシはさ、死神になってまで生きて、良かったと思ってんだ。 “一番大切なもの”を捨ててからの生き方が、アタシの全てだった。
突き飛ばされて、床を転がる馬のノイズ。 刃が突き刺さった箇所を中心に、全身には黒い線が走る。 今までのノイズたちと同じように、掻き消える瞬間のもの。]
(343) 2016/06/19(Sun) 04時頃
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[罅割れて行く体の中から、雑音の粒子が漏れ散って。 最期を感じ取りながら、不敵に笑う。]
じゃあ、な。 ……あばよ。
楽しかっ、た、……ぜ……。
[<エクゥウスカンタス>は、大気に掻き消えて行く。 黒い残滓を残しつつ、それもすぐに消えて。
床にひらりと堕ちたのは、白いコートと黒い服の上下。 ノイズ化した死神の末路なんて、こんなモンだ。]
(344) 2016/06/19(Sun) 04時頃
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[礎に徹する生き方ってのも、悪くはなかった。
消え行く際に、全てが満たされて行くのを感じながら、
ゲームマスターは、その任を終えた。*]
(345) 2016/06/19(Sun) 04時半頃
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博徒 プリシラは、メモを貼った。
2016/06/19(Sun) 04時半頃
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