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[ 座るのは、いいかな。
いいんちょは座らない?って、
あたしからも聞いてみよう。
なっちゃん……の、マネキン発見のときには、
大変苦労をかけました。あたしはなんとか元気です。
両手があいたら、もしかしたら、
ばっちりダブルピースきめたかも。
……冗談です。でも写真映えする自信はあるよ。
閑話休題。
手を塞いでる ぬくい缶を撫でつつ、
─── そういえばさ、なんて、呟きひとつ。
問いかけに重ねるみたいに。 ]
いいんちょも、
最後までいられないひと、だったんだね。
[ ちょっとだけ上にある、いいんちょの顔を見ている。 ]
……あ、えっと、否定じゃないよ。
単純に、終わりになった映画館には
いられなくなるとか、
座席が足りなくなるみたいな感じ……って、
しおりちゃんとそんな話、あっちでしてたの。
それで……あたし、なんとなく、
いいんちょはずっといるんじゃないかって、
どこかで思ってた。から。
[ いいんちょのイメージは、"委員長"だし?
なんとなく、ほら、
こういう時どうしたって任せたくなるって、
フツーのイメージがあるわけで。
多分、そういうのが良くないのかもしれないけど。
例えば、もし、エンドロールの一番最後まで、
残ったひとたちに理由があるとするなら、きっと、 ]
……あたしは、自殺したってひと相手にして、
多分、連れ戻すとかできないしさあ。
[ いいんちょは、できたと思う?なんて。 ]**
メモを貼った。
【人】 大太刀源流 タツミ (185) 2020/06/23(Tue) 00時頃 |
【人】 大太刀源流 タツミ[それから、辰美はこう続けた。] (186) 2020/06/23(Tue) 00時頃 |
──病院前──
それにしたって、
十分肝座ってるわ。
[ これは、語尾に(笑)がつくやつです。
寝起きだったか、そっかそっか。
なんて平和なやり取りだろうな。
インクを葉野に結び付けられなかったのは、
礼一郎ももちろん同じだった。
世界の主の正体が分かった今も、
どうしてあそこまで。って思っている。
全部見に行ってたら、何か違ったかな。
今さら考えたって、どうしようもないけどさ。]
……あーあー、
ありがと。照れるからそのへんで。
[ 続けられた解説に、
ストップ、と手を突き出して制止をかける。
嘘じゃないのはわかってるよ。
わかってるから、それ以上言うなよ。
礼一郎が調子に乗るだろ。なんてね。
別の友人に話題が移ろったことを、
これ幸いと、大きくうなずいておいた。
本当に連城はいいやつだよ。ほんとに。]
[ 福住がむずかゆかろうが、
礼一郎の知ったことではない。
当たり前じゃん。と福住が言い切るそれが、
あいつにとってはそうじゃないって、
礼一郎は知ってる。付き合い長い特権でね。]
福住にとってはあたりまえでも、
あいつにとってどうかはさ、
本人に聞かなきゃわかんねえだろ。
[ それ以上は、
礼一郎の口から言うことでもないなって、
いきり立つ福住を応援するだけに留めておく。]
言ってやれ言ってやれ。
……泣かさない程度にな。
……何があったか知らねえけど、
あいつ、計算づくです〜って顔して、
勢い任せだし、強情っぱりだし、
……たまに大事なとこ抜けてるし。
一回がつんと言ってやってくれ。
……屍を拾う覚悟はしておく。
[ 捨て身特攻そろそろやめてくれません?
って礼一郎は思ったりしてるんだけど、どうかな。
あ、もう泣かせちゃった? お互い罪深いね。
他人事じゃないことくらいわかってるって、
礼一郎は「 わかってるよ 」って静かに笑った。]
[ 福住は打って変わって、
ばつの悪そうな顔をする。
おにーちゃん。という言葉が流れてきて、
今度は礼一郎がなんともいえない気分だ。]
……そっか。
辛いこと思い出させてごめんな。
仲良かったきょうだいに似てるってのは、
なんかちょっと褒め言葉な気もするけど。
……良いお兄さんだったんだな。
[ そっか。って礼一郎はつぶやいたけど、
似てた。なんて、気のせいじゃないかなあ。
あるいは、もしかすると、]
ま、勘違いかもしれねえし、
……似てなくなったのかもな?
[ はは。礼一郎は笑った。いろいろあってね。
なんのことかなんてわからなくていいです。]
わはは、よくわかってらっしゃる。
ついでに友達思いで後先考えない。
[ 流れるようなけなし文句である。
リズミカルにいくつか付け足して、
礼一郎はひらりと手を振ってその場を去った。*]
―― 現在:病院前 ――
[ ペットボトルのふたを開けて、
ジャスミンティーを飲んだ。
ほうっと白い息を吐きだす ]
……しおちゃん。
[ 届くわけないってわかってるけど、
それでも誠香は呟いた。
見上げた空に雪はなく、冬の星座が瞬いている ]
僕さ、あの校舎であんな死に方してさ、
正直、恥ずかしくて恥ずかしくて、
思い出すだけで死んじゃいたくなるくらいなんだけど、
なんでかな。一回死んだからかな。
前、向かなきゃって、思えたんだよ。
[ 未来のことを考えるたびに、
そこに自分がいてはいけない気がした。
兄のいない未来で、
笑っているかもしれない自分が許せなかった。
けれど今は、
いつまでも過去にしがみついていては
いけないような気がする。
兄のいない現実に、真正面から向き合わなくては
いけないような、そんな気がしている ]
……しおちゃんが抱えてるものがなんなのか、
僕は知らないし、安請け合いなんてできないけど。
でも、一回死んだ気になったら、
案外生きてけるんじゃないかな。
どうかな?
[ 帰っておいでよ、って。
テレパシー、飛ばしてみた。ぴぴぴ* ]
──現在・病院内
もう一回、チャンスほしいよね
私も、わかってたなら、しおりちゃんと
のんびりお話なんてしてなかったよ
ごはん、作るとか、それよりも先に…
……ううん。それよりももっと早く
しおりちゃんが思い詰める前に、
この手を伸ばしたかったなって思うよ
[ ねえ、神様。私たちにもう一度、
彼女を助ける機会を与えてはくれませんか?
何かを与えられなくとも、
そう、この指先が少しでも掠められたなら、
未来は少しでも変わっていた? ]
[ ただ、なにもできなかったと言う彼と
愛宮心乃は同じことを思っていた。
自分のことでいっぱいで、
他人のことを考えられないなんて
敬愛するマザーが聞いたら、呆れてしまう。
でも、たぶん、きっと、
これは私の単なる妄想に過ぎないお話だけど、 ]
しおりちゃんは、与えてくれた
自分を見つめ直す機会を
[ 言葉が悪いかもしれないけれど、
しおりちゃんが先にやっていなければ、
私自身が、あの立場にいたかもしれない。
……と、心乃は思っていた。
しおりちゃんが、行動を持って示してくれたのだ。
きっと、そうなんだ、って思いたい。
命≠フ大切さを見失っていたのだ、私は。
ただ、マザーのように悪意ある自分と
熱い抱擁を交わす日はまだ遠いかもしれないけれど。
生かされているという事実を鑑みて、
私は、私らしく℃v考してみていた。 ]
私にできて、喜多仲くんにできないこと
喜多仲くんにできて、私にできないこと
……きっと、なにもできてないことないよ
[ おしるこ缶を、ぎゅと握る。
すこしぬるくなり始めていた。 ]
まだ帰って来てない人たちもいる
私たちにできて、彼らにできることと
彼らにできて、私たちにできないこと
きっと、あるよ。まだ間に合うよ
[ 信じていたい、と思う。
私たちができることは、待つこと。
彼女が戻って来れた時に、
生≠共に喜び合う準備だろう。
喜多仲くんに言い聞かせるというよりかは、
自らに言い聞かせるようなものだった。 ]
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