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[トルドヴィンは幸せだっただろうか。
この船に乗り込んだ当初は、全く幸せではなかった。
最愛の女王を、『母』を喪い、後を追うことも赦されず。
生きる意味も意義も失ったまま、窓の外ばかり見て過ごしていた。
談話室に顔を出していたのは、他の乗客――他の星から来た宇宙人達が、どのように生きているのか知ろうと思ったからだ。
自分の中に答えが見出せないならば、そうする他はない。]
[様々な人がいた。
大学教授を名乗る気さくな女と、科学者だと主張する尊大な猫がいた。
機械の音をさせる無口な男と、朧な声で懸命に関わりを求める浮遊種がいた。
主を亡くしたヒューマノイドと、大切な人との別れを強いられた知性体がいた。
先輩を慕う調子のいい技師がいた。
電子音で話すゼリー状の生き物がいた。
故郷の味を、無邪気に喜んでくれた少女がいた。
このまま旅が続いていれば、あるいは。
遺伝子に刻まれた習性と忠誠だけで生きていた男にも、新たな理由が見つけられたのかもしれない。
もしも果たされていたら、それは多分幸せなことだったのだろう。]
[クラゲに寄生された時、トルドヴィンには意識があった。
だから、教え込まれた通り
もっと武器らしい武器があれば、クラゲは一匹減っていたのかもしれない。
結果としてそれは失敗し、トルドヴィンは意識と体を奪われ、以降はクラゲの触手からの刺激に反応を返すだけとなった。
そこに彼自身の意思はなにひとつ存在しない。]
[宇宙クラゲは記憶と思考パターンを読み取って行動する。
不自然でないように。中身が変わっていることを悟られないために。
トルドヴィンはクラゲにとって模倣しやすい相手だった。
情緒の変動が少なく、行動原理が単純だからだ。
だから、クラゲに寄生されていようといまいと。
トルドヴィンの行動は結果的にあまり変わらなかった。
敵への共感に対する過剰な拒絶反応も。
敵を生かすという言葉の受け取り方も。
宿主の思想を、習性を、本能を、クラゲが忠実に真似ただけだ。
それはクラゲを探すという状況において有効な対応とは言えず、結果としてクラゲは今まさに触手の先から凍りつつある。
そのあたり、このクラゲはやや狡猾さに欠けるところがあった。]
[記憶を読み取る。意識を奪う。
それは細かく言えば、触手を脳や神経に沿わせて張り巡らせ、電気信号を送って体を動かしたり、宿主の感覚器を介して情報を受け取ったりすることだ。必要ならばより宿主の思考に近付けるため、"考えさせる"こともある。
それらは宿主が生きていなければ行えない。
クラゲが与えた信号に、返ってくるものがなければならない。
そして、返ってくるということは。
クラゲ自身も、触手を通して何かを受け取ってしまう可能性があるということだ。
[このクラゲが意図せず宿主から吸い上げてしまったのは、『母』への思慕だった。
それは最初、『母』に会いたい、食べてみたいという欲求となって表れた。
勿論トルドヴィンの『母』――Vespaの女王は冷凍追放刑に処されているため、クラゲには手出しができない。
その時はまだ、正常な判断ができていた。
おかしくなったのは、彼女に触れられてからだ。
[ミタシュの手が頭に触れた時、対応に迷ったクラゲは宿主に"考えさせた"。
思考させられたトルドヴィンの脳は、その状況から『母』との記憶を思い出した。
それがいけなかった。
トルドヴィンの種族は、生まれた時から役割が決まっている。体のつくりも、役割を全うするためだけに特化している。
彼に与えられた役割は『女王の側近』。
盾となるための硬い外殻と、普段は隠された殺傷力の高い大顎を備えた大柄な個体群。
そして、女王の命令を忠実に遂行するための仕組みがひとつ。
自分を産んだ女王――『母』を思う時、彼等の脳は強力な鎮痛作用と多幸感をもたらす神経伝達物質を分泌するようにできている。
トルドヴィンが躊躇せず自らの首に刃を向けたのも、この物質によるところだ。
クラゲはあの時>>*3:16、引きずり出された記憶によって分泌されたそれを――脳内麻薬に近しいそれを、じかに受け取ってしまった。]
[トルドヴィンがクラゲに寄生されていなければ、別に何も起こらなかった。
彼女の勇敢な申し出に跪き、謝意を示すことはしただろう。
その小さな手
だからといって彼がミタシュに『母』を重ねることはない。
その記憶がどれほどの歓喜と恍惚に満ちていたとしても、彼女とは無関係だ。
ミタシュを気にかけることはあれど、それは彼女の勇気や真摯さに対する好ましさと、少しの庇護欲によるものだと、トルドヴィンならば自覚できていたはずだった。]
[しかし、クラゲにそんな区別はつかなかった。
突然襲ってきた過剰な幸福感に、クラゲは仰天し、混乱した。
クラゲにとっての幸せは、食べることと殖えることだ。
そのどちらにも結びつかない行動がもたらしたそれをどこに置いたらいいのか、クラゲにはわからなかった。わからなかったので、わからないまま、クラゲの無意識は目の前にいた少女にそれを紐づけた。
それから、クラゲは彼女を見ていた。
そうしていると、あの強烈な多幸感の残滓が感じられた。]
(うれしい、と おもった。)
[彼女の姿を見ただけで、無意識に触角が跳ねた
彼女と話したいと思った。
触れたいと思った。
もう一度、触れてほしいと思った。
そして、たぶん、
――食べたいとも、思っていた。]
(わからない。)
(おれには、……わたしには、これがなんなのかわからない。)
[伸ばした手が落ちた
どうするべきか。
どう、したいのか。
"気に入っているのだろう"と、同胞は言った。
そうなのだろうか。わからない。]
(触れていたら、わかったのだろうか。)
(食べていたら、わかったのだろうか。)
[彼女に票を入れなかったのは、追放されたら困るからだ。
彼女を襲わなかったのは、一度きりにしたくなかったからだ。
彼女のためではない、どこまでも自分のため。
その証拠に、ヘリンを喰えば少女が悲しむだろうことすら、このクラゲは考慮しなかった。
彼女を食べることは躊躇しても、彼女のために食べることをやめようとはしなかった。
だから、今クラゲがここにいることは、正しい。
クラゲは、隣人にはなりえない生き物だ。]
(……わからない、わからなかった。
けれど もういちど、)
(……あのとき。もしも、てを、)
(…………、)
(……。)
[傘の中心まで凍りついて、クラゲの思考はそこで停止した。]
[蜂の骸と冷凍クラゲを乗せて、ポッドは漂っていく。
あてもない、果てもない旅だ。
救うべきものなど、ここにはいない。
――だから、ここに救いは必要ない。**]
メモを貼った。
【人】 新製品 モナリザ宇宙クラゲの仲間が、トルドヴィン氏を選ぶ理由はない、ですか。 (116) 2020/09/04(Fri) 22時頃 |
【人】 新製品 モナリザワクラバ氏への投票の理由には、スプスプイ様がたが先日襲われたことに由来します。 (117) 2020/09/04(Fri) 22時頃 |
【人】 新製品 モナリザシルク様とトルドヴィン氏の関係については、結果としてアーサー氏の見当が正しいものでした。 (118) 2020/09/04(Fri) 22時頃 |
【人】 新製品 モナリザ[ワクラバ氏が昨日の談話室の様子を話すのは、じっと聞いていた。 (119) 2020/09/04(Fri) 22時頃 |
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 精留醸造 ミタシュ
(121) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
【人】 精留醸造 ミタシュわたし。昨日、廊下で言ったわ。>>4:75>>4:76 (122) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
【人】 精留醸造 ミタシュワクラバさん。 (125) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
【人】 竜騎兵 アーサー
(128) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
【人】 精留醸造 ミタシュみんなを混乱させたかったから? (129) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
【人】 精留醸造 ミタシュ……だから。 (130) 2020/09/04(Fri) 22時半頃 |
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