278 冷たい校舎村8
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ま……そっかあ。罵倒してやるかあ。 それでもし駄目っぽかったら、 その時は辰美、フォロー頼むな。
[ 言いたい放題言っているが、これも愛というやつである。 スパルタ? 辰美は褒めて伸ばしたいが、 怜は自信家なので>>465 ちょっとくらいへし折ってもいいと思います ]
(489) 2020/06/21(Sun) 21時半頃
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[ すっかり体育会系の思考になっている誠香の前で、 急に辰美が固まった。>>470 どうかした? と誠香は首を傾げる ]
レンアイ? あー、それはない。 氷室、運命の人絶賛募集中だから。
[ 運命の人が現れない。>>1:772 怜はそう言っていた。 だから、誠香は怜の運命じゃない。 でも、運命の人ってフレーズは何かちょっとこう、 恥ずかしいですね! 連呼したくないので1回で済ませたい気持ちです* ]
(490) 2020/06/21(Sun) 21時半頃
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-- 現在/病院 --
[ ほんとにさむいよ。
合流した三人はちょうど自販機でなにを買うか、
の話中だったらしい。
ちょっぴり眩しい自販機に目を向けた。
喉が渇いたな、って今気が付く。 ]
おはよう。
喜多仲くん、まなちゃん、ここちゃん。
[ 挨拶には挨拶を返す。
人間社会に溶け込むために必要なので。
天気や気温の話は鉄板。二回目とは知らずに。 ]
[ 現代人必須の持ち物。スマホにお財布。
千夏もお金は持ってきていたので、
順番を待って心乃が勧めてくれたコーヒーを買う。 ]
うん。ここちゃんありがと。
そのコーヒーにする。
[ 奢る場面だと主張する郁斗には、
くすくす千夏は笑った。
いつもうるさいなあ、元気だなあと思っていた郁斗が、
今はこんなにもありがたかった。 ]
[ 買ったコーヒーは熱くて、
かじかんだ指先が溶けていってしまいそう。
中に行こうと提案する心乃に首を横に振って。 ]
コーヒーがちょっと熱くて。
冷めるまでもうすこしだけ、ここにいるね。
[ ううん。本音。
心乃が買ったあまぁいおしるこ、
いいなあっていう目で見てしまいそうだから。
病院内に向かう背中を見守った。* ]
[ ここのちゃんが持っていたおにぎりの、
その、ほんとうの大元を、あたしは知っていなくて。
ここのちゃんと喜多仲君のやりとりを見ているばかり。
寒い。寒いね。
にんげんせいかつの話題の鉄板は、
天気と気温の話です。 ]
[ みんな、おはよう、こんばんは。また会ったね。
さっきぶりだった筈なのに、
懐かしいような気持ちにもなる。
同窓会ってこういう気分なのかな?
卒業してないのにそんなことを思ってしまうし、
そもそもここは病院だ。
しかもメンバーのひとりは死んでしまいそう。
やばい状況。ほんとうにやばい。笑えないね。 ]
[ みんなが生きて、みんなでいてくれるだけで、
あたしの白紙は色づくと思うのです。 ]
[ 奢りを提案したあたしでしたが、なんと。
みんなそれぞれ買っていくようで。
……というか、ここのちゃんがおしること、
ちかちゃんのための
無糖コーヒー(にがそう)を買ったので、
お財布の中身はそんなに変わらないまま。
あたしもおしるこひとつ買って、
ふたりに続いて病院へ、
いこうとして。 ]
ちかちゃん、
多分、あっち、あったかいから。
……あ、
[ 外にいるちかちゃんへ、ちょっと近づいて。
……鞄の中に入っていました。未使用カイロ。
ストックは持っておきなさいって、
そんなお母さんの意見を、
受け取っていて良かった。ほんとに。 ]
もしよかったらつかってね。
[ 暖を取ってるちかちゃんに、あとでね、って。
いなくなっちゃう前の複線でもなんでもなく、
あたしは手を振って、中へと入っていく。 ]
[ 椅子、には、座れなかった。
緊急外来の椅子が並ぶスペースで、
あたしは、あたしが行けるぎりぎりのところに、
静かに立っている。 ]*
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―― 現在:廊下 ――
開けゴマとか言ったら開くんじゃないの。 ちょっと辰美唱えてみてよ。
[ そして誠香にも姉力がなかった。妹なので。 駄々っ子が二人。収拾がつかない ]
伸びしろあるある。 まあ無表情で怖いとか言ってるやつもいるけど? でも辰美、よく見たら割と変わるよな。
[ ババ抜き最弱王の癖に分かったような口をきいた。 いや、でも本当に、表情筋はサボり気味だけど 死んではないし、声音だったり仕草だったりに あらわれるものだってあるのだし ]
(528) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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地雷があってもさ、大人な対応できればいいんだけどさ。 僕はそういうのも苦手だから。 迷惑かけてるって自覚はしてる。 でもありがと。 そういう風に言えちゃうところも 辰美のいいところだと思うぞ!
[ ふつーに好きと言ってもらえるのは嬉しいが、 あの喜多仲ですら詫びに来たくらいだ。 僕って相当やばく見えてるんだろうなあ、と 自覚しているけれど改める気は以下略。 自分は無表情の癖に表情指南をしてくれた 辰美の指導の通り、怒っておく ]
(529) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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そんな感じだなあ。 今でも問題だって本当に思ってるのか、 正直わかんないや。
僕に指摘されて問題だって気づいたのか、 僕が意味わかんない、ってなったから、 とりあえず焦ってるだけなのかわからない。
デートの隠し撮りされた人の話をしたら、 自分だって言いだしたから、 デートって認識、あったんじゃないかな。
[ 辰美はフォローしようとしているが、>>502 呆然から怒りに移行した誠香の気はなかなか収まらない。 ああもう、ばーかばーかと罵倒してしまいたい ]
(530) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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無……?
[ ちょっとだけ見てみたいと思って慌てて思い直した。 深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。 なんか違う気がする ]
(531) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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[ ならいいんだけど、と息を吐きだす辰美に、>>504 そりゃそうだよ、と誠香は笑った ]
僕にだって、氷室は大事な友達だし。 そんな簡単に諦めるわけないじゃん。
[ 正面からぶつかって、もし駄目になったら、と思うと なかったことにした方がいいんじゃないか。 そんな臆病な選択肢が出るくらい、 誠香にだって大切だ ]
そうなんだ。ちゃんと話した方がいいよ。 話せないこともあるだろうけど、 それは氷室の中でまだ整理がついてないってだけで、 氷室が辰美のこと、信頼してないってことじゃないよ。
おー。辰美と一緒なら心強いな。 僕たちって本当に友達思いだよな!
[ お父さんっぽい……と思ったのは内緒だ ]
(532) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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[ 罵倒の許可も出た。わあ、お父さん頼もしい!>>505 ]
ヤキ入れた!? まじか。頼もしすぎるだろ。 よーし。
[ とてもやる気が出た。素直で単純なので。 落ち込んでいたのが嘘のように、 闘志がわいている誠香とは裏腹に、 なぜか辰美は固まっている>>506 ああ、なんだレンアイの話ね ]
ナンパ成功率100%とか言ってたけど、 好きな子に好かれなきゃ意味ないとも言ってたな。
[ 出会えないんだから仕方ないね。どこにいるんだろうね ]
(533) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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[ そんなことを考えていた誠香に、 思わぬ火の粉が飛んできた。>>508 まさか辰美の口から運命の人なんて言葉が出てくるとは 思いもよらなかった。言い出したの誠香だけど ] 運命の人なんて大層なもん、わかんないよ。 びびびって来るのかな? 経験ないなあ。
[ テレパシーもなければ、 ビビっと電気が走ったりもしません。 ぴぴぴもびびびもありません ]
(534) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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[ これ内緒な? と苦笑して、人差し指を立ててみせた* ]
(535) 2020/06/21(Sun) 23時頃
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―― 夜 ――
[ 辰美との内緒話のあと(ウルトラレアな笑顔を見た!) シャワーを浴びてから、保健室に戻った。 途中、誰かに会えば、おやすみーと挨拶をして。 保健室で眠る前、女の子二人だけになっちゃったね、 なんて紫織と話した。 購買での一件はまだちょっと触れられなくて、 別の話題を振る ]
帰ったら、みんなで千夏ちゃんに メイク教えてもらおうって まなっちと話してたんだよ。
[ そんなことを話して、眠りについた ]
(628) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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―― 朝 ――
[ ジャージから制服に着替えて、 身支度を整えて、保健室を出る。 足が向かうのは購買だ。 甘いメロンパンと微糖のコーヒーを買って、 これが今日の朝ごはん。 毎朝和食だったけれど、たまには悪くない。 なにより、お手軽だ。 いつもなら迷わず手に取るカフェオレは、 なんとなく選べなかったけれど。
学校に泊まるようになってもう3日目。 なんだか少し慣れつつあるような気がする。 このまま、ずっと続いていきそうな、 けれど、そろそろ誠香の順番が来そうな、 何とも言えない感覚がする ]
(629) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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僕がここにいる意味が、何かあるのかな。 意味があるとしたら、なんだろう……。
[ マネキンと交代したクラスメイトと、 まだ人間としてここにいる誠香。 その違いが誠香にはわからない。 誠香がここにいる意味があるとして、 “文化祭”の演者として、 役目を果たせているのか、誠香にはわからない ]
(630) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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[ 朝ごはん、どこで食べよう、と誠香は思って、 購買の近くの適当な空き教室に入る。 扉を閉めたことに、深い意味はなかった。 単なる癖みたいなもの。 いただきますと呟いて、ばりん、と封を開けて、 メロンパンにかぶりつく。
その時――――――――――スマートフォンが、鳴った ]
(631) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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……え? あれ?
[ ずっと圏外だったのに。 ここは現実じゃないはずなのに。 目を丸くして、誠香は、 ポケットからスマートフォンを取り出す。 鳴り続けるスマートフォン。 そこに、表示されている名前は ]
(632) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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…………!
[ さあっと血の気が引いた。 きっと今、誠香の顔は紙のように白い。
スマートフォンは、圏外のままだった。 圏外のままなのに、着信していた。 表示されている名前は、出版社の担当の人だ。 どうして。なんで。意味が分からない。 だって、ここは誰かの頭の中で。圏外で。 それなのにどうして。
電話をとれずに固まっていると、 呼び出し音は、やがて留守番電話に切り替わる]
(633) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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「次回作の進捗はいかがですか?」 「そろそろ執筆を再開してもらえないでしょうか?」 「できれば高校生の間にもう一冊」 「読者も待っているんですよ」 「あ、こちらに届いてるファンレター、 またそちらに送りますね」 「福住さん福住さん福住さん」 「まだですかまだですかまだですか」 「早く早く早く早く早く」 「新作を新作を新作を新作を」 「書け書け書け書け書け書け書け書け」
(634) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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うわああああああああっ!
[ 悲鳴を上げて、誠香はスマートフォンを放り投げた。 硬い音を響かせて床に落ちたスマートフォンは、 それでも壊れたように原稿の催促を繰り返し続ける。 書け! 書け!! 書け!!! 書け!!!! ]
ごめんなさい! 書けません! 書けないんです! 僕は、違うから! ニセモノだから! 無理です! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!
[ ガタガタとみっともなく震えて、 首を横に振りながら叫ぶ誠香の目の前に、 ひら、と何かが降ってきた。 一枚、二枚、三枚、 ひらひらと舞う白い長方形は、 よく見ると白紙の原稿用紙だった ]
(635) 2020/06/21(Sun) 23時半頃
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