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褒められてる気がしねえ。
……そうだよな。
ほんとに、忘れてたのかもしんないし。
[ 礼一郎も、葉野の悪癖なんて知らない。
冗談のセンスがないってことは知ってるけど、
常習的なものなんて知らずに、同調する。]
うん、俺と話したときも、
ソーマ、自分は大丈夫だって言ってた。
[ 礼一郎はそれがうれしかったんだよね。
少しだけ気分が浮上する話。
続く言葉も、礼一郎にとってはそう。
……へえ。
言われてみりゃ、確かになあ。
俺、全然そんなこと言ってやれなかった。
レイは、おまえは違うって言ってくれたのにさ。
……福住、ほんとよく見てるよな。
だからあいつが一緒にいるんだろうけど。
[ 寄ってくる女は俺の顔しか見てない! なんて、
あたりまえのように言ってた氷室を知ってるから、
礼一郎はなんだかちょっとうれしい。微笑む。が、]
……て、は? 喧嘩してんの?
ンなことで胸張んな。マジかよ。
そのテンションで言えるんなら、
ハイハイ当事者でがんばれ。
……って感じはするけど。
[ 心配の種が増えたって、
礼一郎はちょっと苦い顔をしている。
あいつ、あいつなあ……って、
氷室のほうの過去の所業を思い出して呻いた。
もちろん悪いやつじゃないけど、
すげえ良い友だちだと思ってるけど、
見ててハラハラするとこあるよね、氷室って。]
ま、友だちだからな。
だから、福住が無事に帰ってるだけでさ、
あいつらよかったーって言うよ、たぶん。
[ そりゃ心配はするでしょう。って、
礼一郎は責めるんでもなく微笑んでいた。
飯、うまかったよなあ。
[ って、礼一郎はそっと話を逸らす。
照れるじゃないですか。というか、
ほんとに礼一郎、あんまり仕事してないです(笑)
とはいえ、過ぎる謙遜は鬱陶しいよな。
それなら、「 どーいたしまして 」って言って、
言ったんだけど、カミングアウトが急すぎる。
……あーーー、
もしかしたらそうなのかなって、
ちょっとだけ、ちょっとだけど思ってた。
でも、人の好き嫌いなんてさ、
誰にでもあるもんだし、謝んなよ。
つーか、俺が気づかないうちに、
なんかしてたのかなって……、
[ そうならごめんなって、
礼一郎は先回りするように謝って、
それから、穏やかな口調で尋ねる。]
それもさ、
詳しくは聞かないほうがいい話?
[ 別に、無理強いするわけじゃないからねって、
流れてく話題にはしっかりと乗っかった。
ユキもソーマもレイも、
友達思いの良いやつだし、
やさしいし、頭がいいし、大丈夫。
……だと思うけど、
まあ、レイが心配なのはわかる。
[ 同調するようにうなずきながら、
礼一郎はいつしか福住を追い抜いていた。]
そ? わかった。
冷えねえうちに中入れよ。
[ 体調崩すと元も子もないぞ。
……とは、さすがに言わなかったけど。
ひらりと手を振って、ひとり足を進めた。*]
メモを貼った。
──現在/病院──
[ 明るい。
外から見ていたのより、
ずっと明るい建物の中に足を進める。
履きなれたスニーカーは、
別に足音をうるさく立てるでもないけど、
そこがあまりにしんと静かな空間だから、
礼一郎の歩みは少し、慎重になってしまう。]
[ 明るい空間に、何名かの友人がいる。
礼一郎はそれをちらりと見ながら、
椅子に座るのはなんだか気が引けて、
邪魔にならない場所に立つことを選ぶ。
立っている友人のもとへ、
静かな歩調で歩み寄っていって、]
……綿津見は座んなくていいの?
[ とっさに適切な挨拶が見つからず、
こんばんはも何もなく、礼一郎は声をかけた。
こんばんはおかえりただいま。
どれもなんかちょっとしっくりこなくてさ。
なんでもないことのように尋ねて、
「 もう結構待ってる? 」って、
友人の状況を気にするようにさらに質問を重ねた。*]
メモを貼った。
―― 現在:病院前 ――
寝起きだったからだよ!
[ 肝座ってんな。
褒められたけど、実情はそんなものじゃない。
そういうことにしておけばいいのに、正直に白状した。
緊張しながら朝ごはん食べるなんて美味しくないし。
その結果一口かじっただけで朝ごはん終了したけど ]
僕は6階までと、あと地下は見たけど、
体育館が増えたらしいっていうのは見てないな。
[ 見に行った方がよかったのかなあ、と誠香は思う。
天井や壁のインクの意味が分からなくて、
ただ閉口しただけだったけれど、
そういえば、紫織はCG研だった。
チラシのデザイン、アドバイス貰ったじゃないか。
インクと縁のあるのは、紫織だった ]
褒めてるって!
ナチュラルにフォローとか
気遣いの言葉が出るってこと。
委員長だなって思っただけだよ。
[ 褒められてる気がしなかったらしいので、
解説を添えた。
誠香はこんな嘘はつかない。
もっと取り返しのつかない嘘はついてるけど。
そんな誠香に、紫織を嘘つきと責めたりなんて
できるわけもない ]
連城はほんといいやつだよなー……。
[ 自分は大丈夫だと言ってた、という連城の話に、
誠香はそんな感想をこぼす。
そう、連城は情に厚くて健全な空気が出ていて、
だから誠香だってさらっと聞けたのだった ]
[ 怜との関係を褒められるのは、
なんだか妙にむずむずする。
なんというか、阿東に裏がなく、
純粋に褒めてくれている感じがするのが分かるから、
余計に。
そんな大層なものじゃないのになあ、と思うわけで ]
んー……氷室は、向こうから僕に聞いてきたんだよ。
校舎の様子がおかしいってなって、割とすぐくらいに。
氷室は結構最初の頃から、あのメールの送り主を
探そうとしてたから。
別にそんな大層なことしてないよ。
ふつーに友達付き合いしてるだけ。
友達なんだから当たり前じゃん。
[ 謙遜でもなんでもなく誠香はそう言ったけど、
続く言葉で阿東の顔を曇らせてしまった。
ごめんなさい。とは正直思ってない ]
大丈夫。悪いのは氷室だから。
帰ってきたらがっつり罵倒して
説教するって決めてるから。
[ 堂々と言い放った。
なにしろこっちには辰美という強い味方がいるので、
負ける気がしない。
しかし、喧嘩の件と誠香が心配をかけたって話は
別の話なので、そこは申し訳ないなと思う ]
他人事みたいに言ってるけど、阿東もだからな?
きっと阿東のことも心配してるよ。
[ まさか泣かせてしまったとまでは想像してないですが。
お互い罪作りですね ]
[ 絶妙のタイミングで
さりげなくカミングアウトしたつもりだったけれど、
やっぱりさらっと流れるなんてことはなかった。
しかも気づかれていた。
誠香はとてもばつが悪い ]
あー……気づいてたんだ。
いや、好き嫌いとかそういう問題じゃないし、
阿東に落ち度は全くないんだ、ほんとに。
[ 詳しく聞かない方がいいか、と気遣われて、
少し躊躇って、けれど結局首を横に振った ]
……僕さ、おにーちゃんがいたんだよ。
うん、いたんだ。過去形な。
すっごく仲良くてさ。
でも、3年前に、……事故、でさ。
なんとなく、阿東と雰囲気が似てたんだ。
そんな気がしたんだ。
だからさ……思い出しちゃうから、苦手だった。
けど、勘違いだったかも!
なんか今日は、あんまり似てる気がしないし!
[ ちゃんと話せた。
兄の話はずっとクラスメイトの前では封印してたけど、
ちゃんと話せた ]
[ とっとと話題を変えようと、少々強引に変えた流れにも
阿東はちゃんと乗ってくれた。
そして、同意されてしまった ]
……だよな……。
時々強引で馬鹿だから心配だよ……。
[ 校舎内時間で昨夜から、友人への暴言が止まらない。
信じているけど。
そんなことを考えたから、振り返ったのかもしれない ]
ありがと。大丈夫だよ。
[ 冷えないうちに、という言葉に頷いて、
一足先に中に入っていく阿東に手を振った* ]
メモを貼った。
[ 開けたいのか開けたくないのか、
多分どっちでも良いのかも。
ぼんやりしてたり、夢中になったりすると、
手元の食べ物食べられなかったりするよね。
かりかり、かるーく、
数度引っ掻いた後に、
─── いいんちょ、
[ あっ、って感じで、すがたを見上げた。
こんばんはおかえりただいま。
の、どれを言うのが良いのかな。
いっそおはようとかが一番良い?どうかな。
どれもちょっと、呑気だったりしますかね。
でも、うん、おはよういいんちょ。
お互い血まみれなんてことがなくて何よりです。
足跡も無くて、
足音だってべたつくものじゃない、現実世界。 ]
……なんだろ、待ちきれない、って言うのも、
ちょっとおかしかったりするけど……。
そんな感じ、かも?落ち着かない、みたいな。
[ ……失礼な言い方をしてしまえば、
結末をいち早く知りたいような、そんな感じだ。
座ってたって変わらないけれど、あたしは、
すきなみんなのこと、
きっと、落ち着いて待っていられない。 ]
[ なっちゃんと、喜多仲君の後に来たよ。
ちかちゃんはおんなじぐらい。
なんて足してみるけれど、どれくらいなんだろ?
時間見て来たわけじゃないから、ちょっと曖昧。
夢の中と違って、
こっちはちゃんと一分一秒進むのにね。 ]
[ 座るのは、いいかな。
いいんちょは座らない?って、
あたしからも聞いてみよう。
なっちゃん……の、マネキン発見のときには、
大変苦労をかけました。あたしはなんとか元気です。
両手があいたら、もしかしたら、
ばっちりダブルピースきめたかも。
……冗談です。でも写真映えする自信はあるよ。
閑話休題。
手を塞いでる ぬくい缶を撫でつつ、
─── そういえばさ、なんて、呟きひとつ。
問いかけに重ねるみたいに。 ]
いいんちょも、
最後までいられないひと、だったんだね。
[ ちょっとだけ上にある、いいんちょの顔を見ている。 ]
……あ、えっと、否定じゃないよ。
単純に、終わりになった映画館には
いられなくなるとか、
座席が足りなくなるみたいな感じ……って、
しおりちゃんとそんな話、あっちでしてたの。
それで……あたし、なんとなく、
いいんちょはずっといるんじゃないかって、
どこかで思ってた。から。
![]() | 【人】 CC レイ
(179) 2020/06/23(Tue) 00時頃 |
[ いいんちょのイメージは、"委員長"だし?
なんとなく、ほら、
こういう時どうしたって任せたくなるって、
フツーのイメージがあるわけで。
多分、そういうのが良くないのかもしれないけど。
例えば、もし、エンドロールの一番最後まで、
残ったひとたちに理由があるとするなら、きっと、 ]
![]() |
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