266 冷たい校舎村7
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[それから、 生きて、に、生きろ>>274、が積み重なる。 かちゃりと置かれたガラス絵は、 あの思い出の場所の絵の欠片だった。
あれ、拾ってきたの、 なんて間抜けな質問がでそうになる。 許せよ、今の俺は正気じゃない。
がっと左手が壁から引き剥がされた。 キョースケとは違う強引さで、 悟が俺を引っ張ってる。]
(297) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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……悟、お前のそんな顔、初めて見たよ
[生きろ、って命令形をもう一度聞く。>>276
「俺と一緒に生きるのが当然だろ」って 平然、というより「なんでそうしないんだ」って 男の子が駄々をこねてる表情に見える。 必死だから、なんだろうな。
でも、それを冷静に指摘してやる頭なんか 今の俺にはありはしないんだ。]
(298) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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いつかの公園の景色が頭から離れない。
(299) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[悲鳴みたいな嗚咽だけ、ぽつぽつと零して 両手が拘束されてちゃ涙さえ拭えやしない。 困ったな。]
(300) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[ぐらぐらと揺れる心を引き止めるように ふわり、と暖かくてやわらかいものが被さる。
俺はそれに目を見開いて、 それを乗せたひと、に、思いを至らせた>>288 また涙ばっかりあふれてしまう。] ヨーコねーさん……… 俺たち、まだ、おんなじ……?
(301) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[おんなじかなあ。 まだまだ、同じでいられるかなあ。>>283
俺はあなたを置いて駆け出してしまったけど 自殺なんかしてしまったわけだけれど あなたは、俺にこうやってブランケットをかけてくれて
埋まってていい、って、声をかけてくれる。
もう随分と、俺はそれが欲しかったものだから 欲しかったものを人に与えていたのだから 与えられる優しさが苦しくって痛みさえ感じてしまう。 震えるからだにブランケットの感触がただただ優しい。]
(302) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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「おんなじ」を信じた子供達が遊ぶ銀世界を思い出して
(303) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[そうしてまた、言葉が降り積もる。>>290 降り積もって積もって、……雪解けをもたらす。]
(304) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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なんだよ…… 生きて生きて生きてって……!
そんなに道連れにしたいかよ…… みんな、ばかだ、ばかだし………… ……俺が、一等馬鹿だよ、……っ ちくしょう、
(305) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[荒い息を整えないまま、 無理やり手首をつかんだ手を引き剥がして 無理やり、悟とキョースケの手を握る。 そうして、きつくきつく握った。
誰かのためにと整えられた手に 切り傷があったって構いやしない。
人間の頭の中には地獄があって 君たちは俺をその地獄にとどめていこうとするので 生きて、と奇特なことをいうので その強引な手に、俺の爪痕がつけばいいと思ったんだ。 ……特に悟の手には。
精神世界だからついてもきっと意味はないけど。]
(306) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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わかっ、たよ かえ、るよ………… 皆がいるとこ、……っ、帰るよお………!
怖いよ。やだよ。痛いよ。でも、 生きる道、探すよ、>>250
生きて、やるよ………… 生きれば、 それで……いいんだろ……!
(307) 2019/06/17(Mon) 09時頃
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[…………なんてな。 わかってるよ。頼みを聞いているようで 君たちに縋ってることくらい。
ただ、へたくそなので、 多少の痛みが伴うことは、許されたい。
そうして、俺は君たちに縋ってから……
泣き崩れてしまって 手を握るどころでもなくなってしまって より手近い場所にいたキョースケに 縋りつくように抱きついた。]
(308) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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[……。
…………。
泣いていられる時間は、そうたくさんはなくて]
(309) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……………
[ブランケットを頭からかぶった俺はふらりと立ち上がる。 本当は心ゆくまで埋まっていたいんだけど、 そうもいかない。 それは現実世界に持ち越しだ。
自分の顔を隠すように、 ブランケットの端を持って押さえながら 暗くなりゆく校舎を見た。]
(310) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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……ありがとう。
[と、皆にひとこと、ぼそりといってから]
(311) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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…………。 田所さんと颯太、…………。
[と、ハートのぬいぐるみ。
せめて、体育館に運んであげなきゃいけない。 手伝って、って俺は呟いて、 誰がついてきたかは知らないけど 迷わずマネキンのところへ行く。
体はぼろぼろなくせして、 運ぼうとする動きだけ、やけに強情だった**]
(312) 2019/06/17(Mon) 09時半頃
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本当に。 ……そうか。 そうだといいなあ。
[そんなの、奇跡みたいだな、って 眉を下げて俺は笑った。>>313
それと同時に、やっぱり生きて謝らなきゃ。と考える。 なんてったって、みんな受験生なのだ。 人生ですごく大事なイベントが控えてる時に 同級生が自殺未遂なんて、困るだろうし
許されなくても何かいっておくべきなのかなって思って ……どう謝ろうかな、と一瞬困った。]
(328) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[今は、怖くない。 ……怖くねえよ。]
(329) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[縋りつけば頭を抱かれる。>>317 手をつなぐよりしっかり体温が伝わったので なんだか安心してしまった。]
……あったかい。 ありがと、キョースケ。
[なんだよ、俺、ちょろいな。
一瞬、俺は情けない笑みを見せて キョースケの背中に腕を回して縋ったんだけれども 少し恥ずかしくなって、
ありがとうを咀嚼しきる前に、 するすると腕を放して 相変わらず後ろをついてきてくれる気配が 嬉しい、って気持ちを隠すように 毛布お化けになっちまう。]
(330) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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レアだぞ。俺が泣くのは。 ……お前もか。
[俺も初めて見たよ、と高本がいうので 俺は少しだけじゃれるようにそう言い返した。
すかした態度かふざける様子か あるいは委員長らしい笑顔か その三択くらいしかなかったのに 悟は随分といろんな表情を浮かべるようになった。
それがとてもうれしい。 嬉しいんだけど、
強く強く引いてくる力に 俺はすごく安心してしまうのだけれど>>325]
(331) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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あで。やめろ 俺けが人。けが人。
[軽く小突かれて口を尖らせる。>>326 少し元気になった悟は、 随分と良い顔をしていたので、 なんだよ、って、俺は少し悔しい。
プライドがエベレストじゃないお前とか もうただのイケメンじゃねーか。戻せ。早めに。 いや、でもお前の性格の悪さは天然記念物なので やっぱ戻らなくていい。
ぐにゃぐにゃと毛布の内側で考え事をしながら]
(332) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[冷たい校舎を歩いていく。
四階にある田所さんのマネキンを抱きかかえて、 散らばる破片をかき集めて、崩さないようにして
あるいは、 三階にある颯太のマネキンを連れて行って ハートを、しあわせそうな猫の隣に連れてって、
随分暗くなった体育館で、 俺は少しの間、手を合わせる。]
(333) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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[あのな。ここでの死は、現実の死ではないんだよ でもな。死の夢は再出発を示すから]
……みんなにいいこと ありますよーに
[どの口が? といわれないうちに、俺はお祈りします。 この地獄に神様はいないけれども より良い明日を願うことは、自由だから。**]
(334) 2019/06/17(Mon) 14時頃
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──喫煙所──
[ 吐息によって口許がただ湿るだけの筒をそのままに、
ぼんやりと喫煙所の窓の外の景色を眺めていれば
塊になって動かないマネキンではない、
ひとりのクラスメイトの姿が視界に入る。 ]
ん、まあな
……要るか?
[ 彼自身にこの場が似合わない訳ではないだろう、
しかし制服というものはこの空間に異質だが、
敢えてか。オイル切れのライターでは灯せない、
火のない煙草を一本差し出して。 ]
[ どんな感情をしているのだろか。その顔は。
読み取り切れない、きちんとした表情を見ても
轟木楓太の表情は相も変わらず不愛想なまま。
差し出した煙草の行方がどうなろうとも、
ポケットの中へと手を忍ばせて別のものを探り。
やはり、2つ目のライターは見つけられない。
諦めたように溜息を吐けば、咥えていた一本を
箱の中へ押しやるように戻してしまおう。 ]
堅治、首平気か?
[ なんて、あのマネキンの姿を思い浮かべて
マフラーに覆われた首元を、ちらと横目で見る。 ]
お前、何か悩みでもあんの?
[ 何気なく吐き出された、帰ってた
それは、どこかであの冷たい校舎での出来事を
本物のものとして表しているようだった。
教室で、彼の机の上に残されていた一冊。
心理学の本を思い浮かべながら、何気なく問うた。
あれは、もしかしたら
ただの夢じゃなかったのかもしれない。
もしもあの死が再出発を示すんなら─── ]*
[ 本来ならば、
20を超えてから立ち入るべき場所。
制服という異質さは、
背丈一つで誤魔化せる。
歩み寄り、壁に背を預けた。
差し出された一本を見下ろして。 ]
……ん。
[ 持ち上げた指に、挟んで、受け取った。
吸いもしないそれは、
手慰み以上のものにはならないけども。 ]
[ 火がないのだろうか。
不愛想な形をした顔の、
むすりとした唇から離れた煙草が、
箱の中へ戻されるまでを見て。 ]
首か。
何てことねぇよ。
[ 自分のマネキンを見てはいないが、
大方、どうなっていたかは想像がつく。
さして痛くもない首。
なんとなしに、窓を見て。
マフラーをすこしだけ、ずりおろしてみる。 ]
[ 窓にうすく映る虚像。
首に、薄い絞め痕が残っていたけども、
大したことはない。
すぐに、マフラーを元に戻して。視線も戻して。 ]
……なんだ、藪から棒に。
[ 苦笑い。
悩みがあるようにでも見えたか。
よもや、あの本がそう思わせているなんて、
宇井野は考えもしないのだ。 ]
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