253 緋桜奇譚・滅
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「くっ……残念無念じゃ、」 「おんしが毛ほども育っていれば」
[ひっきりなしに降りしきる雨は遠慮の欠片もなく 濡れ鼠になった娘を冷やし、 落雷により生じる上昇気流が 鬼火を天へと運んでしまう。]
「「体型がぴっとり浮き出て モロ見えだというに!!」」
[最期の刻が近づいても、 ―――変わるものは、何もない。]
(95) 2018/11/15(Thu) 21時頃
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「いつまでそうして」 「いられるかのう!」
[童女が回避する度に瓦に刺さり帯電していく雷。 躱しても躱しても、結局のところは 蓄積されていくだけに過ぎない。
蛇のように伸びたかと思えば、 兎のように跳ね上がる。
跳ね上がり、足元を狙う頻度程度も不規則で まるで、大海原の荒波のよう。 バヂバチッと火花散らしているあたり、 それとは本質の違うものではあるけれど。]
(96) 2018/11/15(Thu) 21時頃
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[事態は優勢 ――されど。
右の天狗が 左の天狗が
少しずつ透けていっているのが解るだろうか。]
「潮時じゃのう」 [雷鞭を弾ませる速度は絶えず。 けれど。 尽き――――をこの身で悟る。
一帯に留まる全ての雷を操るべく、 二体の天狗が地に団扇を指して。 最期の一撃を練っている。]
(97) 2018/11/15(Thu) 21時頃
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「へいもの店主に伝えよ」 「水羊羹は墓前に頼むと」
[あれはまた一度味わってみたいものだった>>3:30]
「三峯の店主に伝えよ」 「これからも京の町を守れと」
[それから――]
「伽耶には、 すまなかったと」
[これまで追っていた黒い犬に届ける。 それは童女にも聞こえているのだろうが ――――――]
(98) 2018/11/15(Thu) 21時頃
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[遣いに出した木葉天狗。 恐らくや、じき戻るであろうが。 なにを伝えずとも心は伝わっているだろう。 いつも、ありがたかった。]
「荒れ狂え竜巻!」 「轟け雷電よ!」
[殆ど透明となった二体の天狗。 家屋を半壊させるほどの暴風吹き荒れて、 雷の波が一気に突き上がる。 童女を狙い―――――されど。]
(99) 2018/11/15(Thu) 21時頃
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[どちらも、触れる前に霧散する。 何事もなかったかのように。
雨雲は晴れ、穹もまた元の通りに。 二体は一体に戻り、火達磨となり地に墜つ。 小柄な爺の身体は、じゅうじゅうと燃えていく。]
呆れるほど長く生きたが、
―――されど、良き一生であったよ。
[火炎の中で童女を仰ぎ見、薄く微笑った]*
(100) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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[手探りで、縋ろうとした黒い手は彼女を捕えられず、 締めることも、抱くことも叶わず。>>92
降ってくる下駄をかわすことは出来ない。 身に数多の衝撃を受けながら、火気は纏う水流の前に掻き消えた。]
痛いわ 痛いわ。
やっぱり貴女、私を虐めにきたのね。
貴女も真っ黒に汚れてみればいいのに。 死ぬよりも辛い羞恥が、 貴女にはあって?
[一息には殺さない。 ちょこまかと飛び回る声の元を捉えるにはどうすればいいか。]
(101) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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[黒い水柱をいくつも立てる。 次に返答があれば、声のする方にと網のように投げ、 覆い被せるつもりでいる。
貴女だけ綺麗なままでいるなんて、 冷たい臭い水に溺れて、 死んで*]
(102) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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虐めにって、そう言う訳でも無いのだけれど。
[困ったように笑い。 けれど、結果として戦う事にはなっているのだから。
死ぬよりも辛い羞恥と言われても。 生憎とこの唐傘お化けには思い当たらず。
とは言え、この言葉は相手に自分の居場所を教える形になってしまっていた。 彼女が音を頼りに攻撃しているとは。 知る由も無く。]
(103) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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――ッ
[黒い雨が降り注ぐ中。
避けようとして間に合わず。 結果、唐傘を傘として利用するのだったが。]
ぐっ……痛い……じゃないのっ。
[まあ、どっちも本体と言う事は。 ダメージも当然来るわけで。
やられっぱなしにも行かないとばかりに。 大きく飛び上がっていた。]
(104) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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さっきはまだ、足りなかったみたいね!
ならば。
[唐傘を広げ。
大口を開くと。 大量の火炎を降り注がせて。
纏う水流をそのまま干し上げんと――*]
(105) 2018/11/15(Thu) 21時半頃
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/*
こども に むた い をはたら く のはゆ るさな い
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[飛ばした網も彼女を捉える事が出来ない。>>104]
そう、ないの… 貴女に私の気持ちは分からないのね。
…でも、お姉さまなら────
[考えに耽る間に大口を開けた傘が身の周りの水分を焦がしていく。 身を焦がしていく。]
(106) 2018/11/15(Thu) 22時頃
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[焦げる。深い火傷。避けられない直接攻撃。 痛さにのたうつ尾が跳ねる。 滅茶苦茶に身を振る。 縮ませた身が、一度高く伸び上がって、干しきれない水場に飛び移ろうとする。]
お姉さまならこんな事しない! きっと私を助けてくれる。
ずっと子どもを探している、優しい人よ。 私をいい子だと言ってくれた お姉さま、 お姉さまに会いたい。 今、どうして───
(107) 2018/11/15(Thu) 22時頃
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凛、知ってる?
[お姉さまとは凛の店で会った。 凛の店の近くに宿を取ってると言っていた。 彼女ならいえが今何処にいるか知っているかもしれない。]
(108) 2018/11/15(Thu) 22時頃
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[凛に問う。 今目の見えない大蛇なら、表情は見えず、 どこかへ去ったと言ってしまえば穏便に済むかもしれない*]
(109) 2018/11/15(Thu) 22時頃
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/*
あら、あらあらあ らあ ら
ごめん な さいね 先に逝って し まって
最 期 に会え たらよ か った んだけど
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――いえの事ね。
逝ってしまったわ。 いえ、正確に言うと。
私がこの手で……
[それははっきりと。 そう伝えていた。
誤魔化すことだけは、してはいけないと。 そう考えているが故に。]
(110) 2018/11/15(Thu) 22時半頃
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こちらとあちらの扉を開くと言っていたわ。
悪いけれど。 見過ごせるはずは無いでしょう?
[最後の方が。
断定しきれないのは。 どうしてなのだろうか。
或いは自身の中に。 扉を開いてもって思いがあったのだろうか。
いずれにせよ、動きは先ほどまでよりも鈍くなってしまっていた*]
(111) 2018/11/15(Thu) 22時半頃
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[>>67へぇ、この姿でも分かるもんなのか。 流石は異国の妖だ……って、感心してる場合じゃない。]
いやぁ、生憎だけどオイラの店も、この騒動で、開店どころじゃなくってね。 できればこんな馬鹿げたことは早く終わらせて、またいつものように珈琲を淹れていたいんだけど。
[こいつで間違いないだろうなぁ、って分かっちゃいるんだけどさ。 できれば違ってほしいなぁって気持ちも、ちょっとあった。 なにせ、こないだ来店してくれた時は、慌ただしくて、ろくに話せもしなかったし。]
(112) 2018/11/15(Thu) 22時半頃
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/*
お姉さまの事をしってしまったらぁ。
どうなるのかなあ、わくわくするよぅ、愉悦。
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…………。
まぁ、そうだろうね!
[なんて淡い期待は、それこそ一瞬で。 言葉の最期の煙より淡く、消え散ったよね。>>68 緑色の稲妻なんて、見たことがない。 けど驚くより先に、反射的に後ろへ跳ねた。]
ッぶない危ない! 見たことない色の稲妻だ。
[避けたはず、だけど、地面越しに脚が痺れた気がするよ。]
(113) 2018/11/15(Thu) 23時頃
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/*
知った ら 悲 しんでしまう わね
そう したらもっと 伽耶 がきらう姿 になってし まうわ
そう なる前にお 胎に戻し てあ げたかった
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───────────────っ!
お姉さまが、 死んだ。
どうして。
[誤魔化しのない声音は、凛が嘘などついていない事を確信させて]
こちらとあちらの扉って事は、緋桜の…。 見過ごせる筈はないって
どうして。
(114) 2018/11/15(Thu) 23時頃
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お姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さま会いたい会いたい会いたい来て来て来て来て来て来て手を取って、抱きしめて、お願い────もどして
(115) 2018/11/15(Thu) 23時頃
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[多分犬たちじゃ、コイツには歯が立たないだろう。 眷属が無駄に殺されるのは、見たくない。]
オマエたちさ、ここはオイラがどうにかするから、凜と八手さんのところへ行って。 んで知らせてよ。
鴨川下流から町中へ至る途中で、祇園の屍の首謀者と遭遇、って。
[あっちに犬語を解する妖怪が混ざってたかどうか忘れたけど、もし伝わんなくても、何かあったことくらいは察してもらえるはずだ。]
さて。 オイラあん時、聞きそびれちゃったか聞き逃しちゃったか。 異国の妖さんさ、アンタ、なんて妖怪なんだい?
(116) 2018/11/15(Thu) 23時頃
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