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うん、でも猿轡はした方がいいね。
手も括っちゃおうか。
その顔も可愛いよ。
好きだなぁ。
うん、私はピスティオが好き。
例えピスティオが私を嫌っても、好き。
それは変わらない。
それとね、もう一つ大事な事があるんだよねぇ。
私はもう我慢したくないの。
[差し出された腕。
彼はこの腕で私を殴ればいいのだ。
そうすればか弱い女一人。
簡単に倒れるだろう。
少なくとも彼の望まないであろう事を。
多少の時間とはいえ阻止する事は出来ただろうから。
私はベッドから立ち上がって。
注射器はテーブルの上に置いた。
それから別の注射器を取り出した。
それは採血をして輸血をする為の道具一式。]
輸血でもダメかな?
ダメならダメでいいの。
大人しい方法は止める。
それだけ。
私はあなたと一つになりたい。
我儘だし自分勝手だし。
置いていかれる方の身を考えろって。
そう言われたらごめんねぇってなるんだけど。
だから、少しだけ我慢してねぇ。
[これで抵抗されるようなら。
次は強硬手段を取ろう*]
メモを貼った。
メモを貼った。
…………………… っ、
[
顔が近づいてきたものだから。
避ける間も無く、口の端に唇が落とされる。
顔に熱が上がっていってしまうのは、
昨日の強引さとは違う優しさが、
あったからなのかもしれない]
…… 最初から、ちゃんと。
気付いていてくれれば、よかったのに。
[拗ねたように、唇を尖らせた。
無茶を言ってるってのは分かってるけど、
最初から気付いていてくれれば、
あたしは怖い思いをしないで
済んだんじゃないかって、気持ちはあって]
違うよ。
お前が願う程に俺は『俺』を捨てていく。
お前が好きだって言った男は、
お前がお前だけの願望を叶えようとしたら、
その度に居なくなるってだけの話だ。
お前を嫌いも好きでもなくなって、
それでいて、お前のことを信じていた俺自身も。
そんな俺を見捨て、削っていく。
[言葉を重ねて、口端を歪めて息を吐く。
笑いと評するには歪で、諦めというには楽しげに。
憎悪も情愛も執着に過ぎない。
未だ好意に留まる感情は砂の城のように、
波に攫われた瞬間崩れてしまいそうな脆さだ。
だから、拒絶を、望まない形として表した。
従順に腕を差し伸べておきながら、
伝える言葉は一種、脅迫に近い懇願でもある]
…… 今度は、ちゃんと。
愛してくれないと、やです。
[
その言葉に絆されてしまうんだから。
あたしってのは単純な女だと思う]
昨日みたいなことしたら、
そーさんなんて知りませんからね。
[また昨日のように、
あたしを、『道具』として扱うなら。
心を、置いてけぼりにするのなら。
その時は―― どうしよう。
とりあえずは、怒るんだからねって思ってるけど*]
メモを貼った。
人が完全に死ぬ瞬間って、
記憶から消えてしまった時らしいな。
お前は奪われるのは嫌だ、
置いて逝かれるのは嫌だっつったけど……
[なら彼女は願望をトリガーにされて、
執着を抱いた相手から失われていくとするなら?
この場にいる肉塊だけで満足ならば、
もうそれは、自分が自分である意味もないだろう。
彼女の幼馴染は、少しずつ、確実に、居なくなる]
[注射器の置かれたテーブルに視線を投げ、
眉根を寄せて、次いで取り出される道具を見た。
輸血。輸血か。
混ざり合う願望はそこ迄なのか。
もう少し他の方法だってありそうなのに。
けれど言葉を綴るための喉は僅かたりとも震えず、
イルマの瞳に視線を移して、唇を結び、聞く]
俺も、お前のことは、好き”だった”。
[最後まで聞いて返す言葉はそれだけ。
我慢をする気はなく、鎖を鳴らして足を引く。
痛いな、と眉を寄せながら。
安静を言い渡された筈の足に無理を加えて、
致命的となり此処から逃れても、
食用となるだけで未来は昏いと知っている]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
ちゃんと……ですか、ちゃんと……。
[
ノッカがくれた温もりが、
ノッカの大切さを教えてくれたのだ。
未だに「愛」というものの示し方は分かっていないことが多いので
それは、困ります。
自分は貴女の「心」が欲しい。
自分も愛して、貴女にも愛してほしい。
[だから――]
ノッカ……至らぬ点もありましょう
だからしてほしいことがあったら、
教えてください――差し詰めは……
[自分はノッカの頬へと手を添える。
優しく頬を撫でながら、
目を細めて、
おはようございます――のキスからで
[それは朝の挨拶で。
そして新しい関係を築きたいからで。
そうした時の始まりは、口づけで良いだろうか。
自分はノッカの瞳を見つめたまま、
唇を近づけて――不機嫌な唇はなおるだろうかと重ね合わせようとした*]
メモを貼った。
ふふ、好き、だった、かぁ。
[少しでも好きだと思われてたのなら。
それだけでしあわせな事だろう。
少しでも混じり合う事が出来たのなら。
それはもっとしあわせな事だ。]
ピスティオは魂の重さを信じる?
21グラムが肉体から抜け落ちるんだって。
馬鹿馬鹿しいよねぇ。
人間の生は”意識”だよ。
意識があるから人間は生きてるんだって。
そう実感するの。
だから寝てる時は死んでるし。
脳死もそれは死んだと同義だし。
[シリンジから伸びたチューブの先に細い針。
自分の左腕の血管を探る。
ここだろうと当たりをつけて針を刺す。
でも上手くいかない。
何度も何度も失敗して。
左腕は針の痕が沢山。
血もたらりと流れている。]
私は何時だって死ぬ事を考えてたよ。
何時かは死ぬんだから。
だったらその時は好きな人に食べてもらおうって。
[もう面倒くさい。
私はナイフに持ち替えて。
ざっくりと腕を切りつけた。
だらだらと銀色の皿の上に赤い水溜り。]
結局それも叶わないから。
無理やり一つになっちゃおうってなったけど。
まあ、これも悪くないかな。
だって愛は与えるものだもの。
[与えられるものではない。
だって父と母はお互いを選んだ。
私を置いていった。
兄はお義姉さんを選んだ。
兄は一人でいってしまった。]
喜ばれたいわけじゃないんだよ。
私が嬉しいだけ。
[皿の上に溜まった赤い水をシリンジで吸い上げた。
無抵抗ならその腕に針が差し込まれる。]
好きだよ、好きなんだよ。
本当にそれだけ。
どれだけ好きでも子供たちには敵わなかったから。
だから慣れちゃったな。
一番になれないの。
[注入された量は20cc程度だった。
左腕からは出血したままだったから。
中に入ったモノよりも彼を汚す赤の方が多かったぐらい。]
[針が腕から抜かれると。
手から注射器が滑り落ちて。
床の上で音を立てて割れてしまった。
私はそれを気にせずポケットから小さな鍵を取り出して。
それをベッドの上に置いた。]
好きなところに行っていいよ。
ああ、でもその足だと歩くの難しいかなぁ?
でも気持ちがあればどこにでも行けるよねぇ。
どこに行っても。
ずっとずっと私が一緒なんだって思うと。
……嬉しいな。
[頭がくらりとする。
血を流しすぎたのだろう。
止血もしてないから。
段々と意識はぼんやりとしてきた*]
[
そーさんが気付いたのは、きっと。
シャワールームでのあの時だってこと。
逆に言えば、それまでは『わからなかった』。
知らなかった、忘れていた―― 、
なんとでも言えるけども。
だから。まぁ、いいか。なんて。
思えてしまうのは。
少なからず、今までのそーさんに
好意を持っていたこともある。
『やさしいおにーさん』に
初恋を抱かない少女なんて、そうそういやしない。
つまりは、そーいうコト]
あたし、そーさんのことは、キライじゃないです。
でも、とっても怖かったです。
……だから 、
[
落とされる口づけを、
あたしは避けることはしない。
不機嫌な唇は、小さく弧を描いて。
重なった唇が離れた後で、
あたしは、再び言葉を紡ぐ]
だから。今度は、優しくしてくださいね。
[約束ですよって、へにゃりと笑う。
昨日のような、召集を受けた人々のような、
あの笑顔ではなくって。
ちょっとだけ、幸せそうな。
これからの未来に、期待をしているような。
そんな笑み、だったと思う*]
[彼女は、服を作るという]
[セイルズは元より人の機微に疎い自覚があったけれど──睨まれたために尋ねられられなかった、彼女が俯いた
分かった。
……その、何が要るか良く判らないので
そこもまた、教えて欲しい。
[針と糸は分かるのだが、それ以外にも確か種々の道具がなかったか]
[──ああでも、こうして彼女と話していると、いかに自分がものを識らないのか痛感する。
これまで日常生活に困っておらず、仕事柄公共事業になる類のものについては一通りの知識があると言えど、触れてこなかった分野というのは確かにあって──そういう事柄は、ぽかんと空白になっているのだ]
本当に、貴女がいないと駄目だな、私は、
[困っているのに、ついつい笑ってしまう。
また彼女に睨まれるだろうかとも思ったのに、中々止められない]
──ああ、そうだ。
後はシャツが要るんだったか。
[そうして会話の続きに戻るには、彼女が俯いていた
[あてもなく探すのも時間がかかるから、彼女のサイズは知っておきたい。
セイルズがここに居てもいいだろう、彼女を着替えさせない方法で]
[着ていたベストのボタンを外す]
ああ、これなら大丈夫だろう……か?
[脱いだそれを、そのまま彼女に羽織って貰って──というかいそいそと着せて、ボタンを合わせて確かめる。大きく皺が入って判り辛いが、胸囲が足りないということはなさそうだ]
[……セイルズに、先刻彼女の身体が跳ねた
ので、服のことを確かめている間、彼女の胸元を掠めた指も快かったのだけれども──その接触が彼女にとっても特別である可能性は、やはりすこんと思考から抜け落ちている]*
メモを貼った。
意見が合わないな。
[魂がもしあるとするなら、
それが磨り減っていく感覚の中で。
脳死が死んだと同じだというなら、
今まで抱いた想いも、その存在さえも、
興味を失くしていく現状をどう思うのだろうか。
過去では大事な幼馴染だった。
今はどうでもいい存在になっていく。
針が腕を貫き、傷ついて、
何か言葉を連ねて、刃が肉を切って。
赤が滴る光景を乾いて見る瞳は、
焦点を、イルマを見ずにどこか遠くへ置いている]
ふぅん
[好き。そうか。そういうものか。
腕に刺し込まれる針にヒクリと震えた喉が、
掠れた音を綴って、吐息混じりの反応。
失せていく興味と、
攫われ、端から崩れる、感情が、
自分のことながら他人ごとのようだと首を傾げて。
腹の奥からふつふつと湧く情に蓋をした。
腕から入る赤に欠片も興味を抱かない。
流れ落ちる赤にも何も感じない。
そうしようと律したわけではなく、
ただ自然と、抱いていたものが失せていっている。
なら、捨てていく想いに反し湧いた情が、
どんな名を冠しているかといえば]
[
触れ合うは僅か、感触を、存在を確かめるための口づけだった。
猪のように前しか見ないで生きてきた。
だから本質に触れようとしてボロが出たのだ]
ん……怖がらせて、すまなかった
約束しよう、優しく、愛すると――
[
心の臓が高鳴るのだ、温かさを感じるのだ。
――きっとこれが、守りたかった笑顔]
[言葉にして、約束を契る。
そうしてもう一度と、唇を重ね合わせた。
唇の触れ合いとは不思議なもので、
ノッカの唇の柔らかさや温もりを感じるとずっと触れていたくなる。
呼吸に配慮しながら口づけを続けていき、
頬を撫でていた手はゆるりと首筋を撫でていく]
怖く、ないかい?
[問いかけるのは自分が怖いからだった。
それは怯えであり、同時に躊躇いでもあるのだけれど――。
きっと、求めていれば自制が効かなくなることもあるのだから、
男とはそういうものなのだから――。
だから、時折そうして問いかけて、
問いかけては――]
[首筋を撫でる指先は、一度ふわもこのパジャマの外側からノッカの肩をなぞりいきて、
肩から指先へと手を伸ばしてその手を絡め取る。
そうして手を結びながら、
するり――背へと回していた手が居りて、
パジャマの裾をゆるりとたくし上げていった**]
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