219 The wonderful world -7days of SAIGAWARA
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2017/06/24(Sat) 00時頃
[ 隣にいたから、分かってるつもりだった。
リョウは一度も、諦めた事なんてなかったって。
―― だから、勘違いしていた ]
生きている方が素晴らしいなんて、
アタシは説くつもりは無いわ。
…… アタシは、
リョウは「生き返りたい」って
思ってるんだと、思ってたから。
[ 最も、それを彼女が望まなくても、
きっと、同じことをしただろうけど。
苦々しく伏せる目は、
彼女の袖の下の蛇の事には、気付けない ]
アタシには、リョウのお母さんを
蘇らせることも出来ないし、
リョウの家に居場所を作ってあげる事も出来ない。
居場所なんて大層な物にもなれないでしょう。
精々、止まり木がいいところよ。
[ “王子様”なんて柄じゃない。
だって本当の“王子様”なら、
“お姫様”を苦しめるやつをやっつけて、
願いだって叶えてくれるでしょう?
自分は王子様どころか、
友人でも恋人でも兄妹でも家族でもない。
少し奇妙で、一時的な ―― 隣人だ ]
でもね、アナタの意思は尊重するわ。
もし七日間生き延びて、
リョウが生きたくないって願うなら、
…… その時は、お別れしましょ。
[ 目を逸らさずに、真っすぐに彼女を見つめる。
だけど、きっと。少しだけ、声が震えた。
彼女の人生は彼女のものだ。
無理に生き返らせても、
生きる意志が無ければ、結末は同じ ]
でもね、アタシはアナタに生きて欲しい。
ここで終わってほしくない。
生きて、またアナタと会いたいわ。
リョウはアタシが死んだら
嘆く人がいるって言ったけど、
リョウが死んだら、アタシは悲しいわ。
…… それは、覚えておいて。
[
何日間か幸せだったと、彼女は言った。
彼女の一番の願いが叶わなくても、
充分生きたと言えるくらいの幸福が、
この数日間で彼女の中にあったのは確かで。
それは、この死者の世界の中だけじゃなくて、
生きてる世界でもきっとある。
それでも、この想いが届かない時は、]
でも、もしリョウが死を選ぶなら、
―――― 忘れて頂戴。アタシの事も。全部。
[ “死”を望むリョウの妨げになりたくないから、
その時は未練なんて一片も残さず、
リョウが望むままに、願いを叶えて欲しい。
( 例え、二度目の喪失になろうとも、
彼女にすべて忘れ去られようとも、
それでも、自分だけは覚えていようと決めた )]
アタシもアナタに生きる権利を渡す。
エントリー料も取り返す。
その上で決めたなら、
アタシはもう何も言わないわ。
[ だから、それまでは考えて、と。
これは願いでもない、ただの、我儘だ。
そして、考えていた、“ 自分が、彼女に出来る事は ”
それは、無理やりこちらを向かせることではなく、
“手を差し伸べる事”だと、思う ]
|
…期待してるとこ悪いけど、 あいつにそんなもんはねぇなァ。
[>>47 あまりにも直球すぎて数瞬間が空いた。 そこまでバカ正直に聞かれると 少しは答えてあげようかなーという気がしなくもないが。
残念ながら、思い浮かばないものは浮かばないのだ。 俺にとっても、あの娘は強く簡単に打ち破れるような そんな存在ではないから。>>34 ]
(@47) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
…… リョウのそのシュシュ。
お母さんから、貰ったのね。
[
「シュシュは。無くさないで。」
「お母さんを蘇らせてくれるの?」
それだけ聞けば、分かってしまう。
本当に、とても大事な物なんだって。
あの時、血塗れになったのはドレスで良かったって、
そんな事を思いながら、ぽつり、独り言 ]*
|
…。ま、アレだな。 メールにもあるとおり、 あいつは『魔術師』――マジシャンだ。
そしてタネも仕掛けも世界の裏と表もあるのが、 この世界の不文律(おやくそく)って奴よ。
[ ひょい、とブルースカルバッジを掌にのせて、 それをふわりと宙に浮かせてみせる。
別に俺は魔術師でもなんでもない。 それでも、サイキックのことを知らなければ、 これもまた“種も仕掛けもない”手品に見えるかもしれない。]
(@48) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
|
── 道中 ──
[ スクランブル交差点からの移動中。
最後の舞台となったシアターへと向かうなら、 きっとどこかで、いつか見た顔>>42>>50を見た。
自らを魔女の名で呼んだ少年が、 あまりに華麗なビフォアアフターを遂げていて、
(── ゴシック趣味のスノーホワイトなんて、 まったく、聞いたことはないけれど )
死神は、意地悪な魔女よろしく、 ひとつ、つくりあげた土くれを従えて、 矢で射抜いてやろうと思ったのです。
ラヴェンナ。その名を呼んだのは、あなたです。 あなたの目にうつるままに振る舞って差し上げる。]
(@49) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
|
[ 心のない土色の塊は、 死神の意のままに、矢を弓に番えて、
── けれど、スマホが震えたものですから。>>33
死神の意識はふいと逸れて、 土くれは矢を射るタイミングを見失って、
ああ、そういえば、 魔女の差し向けた追手も、毒リンゴも、 結局のところ、真の意味で、 白雪を消し去ることにはならなかったと、 確か絵本にはそうありました。
映画では──、どうだったのでしょうね。]
(@50) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
|
[ ── あら。
なにか、毒気を抜かれたように、 ぱたりと腕を下ろした死神に、 呼応するように、土くれ人形は消えて。
まあいいわって、見送ることにしたの。
どうぞ、いってらっしゃいな。
悪い魔女と違って、奇術師の制し方なんて、 絵本も映画も、教えてくれやしないでしょうけれど。
彼らが振り返ればきっと、 ラヴェンナは笑みを湛えてそこにいる。**]
(@51) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
(暗黒を照らす灯台だろうとも、
その足許ばかりは闇に紛れてしまうように。
直ぐ傍にある近いものほど、
傍に寄る為の溝は深いのかもしれない──、)
[身動ぐ男の頭はそのような事を考えるほど、
働いているわけでは無かった。
唯、その名があっていた事に微笑んで、
”今度は”記憶を失くしていなかったことに安堵しながら
緩慢な仕草で、漣打つ睫帳毎、目を擦り。]
……嗚呼、お早う。 榴斗。
[覗き込むようにして傾がる玻璃の彩を、
己の黒曜の鏡面に照らし返せば、そのかんばせへと
手を伸ばし掛けて─── …… 留めた。]
(百年待たせたにしては早くの目醒め、
然れども夢から夢へと醒めたのかも知れ無い と
思うこころは何処かにあったとしても、
………また、うたかたを視ていても、いまは。)
はは、 まぁ、だろうなァ……。
(「……モラトリアム、ってやつなんだろうか。」)
[この先に待ち受けているものを如何にも、
ひかりとは取れずに淡く引き伸ばした息の末。
(そのうちに。この夢遊めいた刻も
消えてしまうんじゃあないか。)
浮揚する泡沫の思考を、───放り出した。]
|
…ばぁか。 そこは簡単に教えるわけないだろ? 魔術師にとって手品のタネは命みたいなもんだしな。
[ そうしてヒナの答えを聞けば>>51 ]
そっか……そういえばさァ、 シュウトは、好きな奴っているのかァ?
[ 以前同じようなことを、ヒナに聞かれたなァと。 そのときのことを思い出しながら。 ]
なんなら、俺に耳打ちで教えてくれても構わねぇんだぜ? 教えてくれたら、ヒントを教えることを考えなくもない。
[ 遠回しに教えるとは限らない、と示しているがさて。 ]*
(@52) 2017/06/24(Sat) 00時半頃
|
……もっと、恨み言を言われるかと思った。
( なぞられる鏡合わせの言の葉を、
くすぐったげになぞりながら、身を起こす。
きみの邪魔になっていたと思った重みを、
惜しまれる事なんて、知りもしねえから。 )
[はは……、と消えてゆくばかりの
名残雪めいた笑声とともに振られた被りを眺めながら、
する事も、できる事も、なにがあるとも知らぬからこそ
雑踏のなか、深に取り残されたような静謐さに
寂寞のようなものを想い、─── …。]
( きみの背に翼がないのを、見る。 )
……、 きみは、あの後、───。
( 厭、と首を振ったのは。
一重に、この夢のつづきを
壊したくなかったから───。 )
……如何しような。 これから。
[他に誰ぞ、気づくものは居ないのか、と。
巡らせた果てに呆けたような吐息が、もうひとつ。
背に解けた濡れ羽色を鬱陶しくも感じて、
細い一房を指に絡めた。]
(……なんで切ってなかったんだっけなァ、
なんて、呑気を考える頭ばかりは健在だ。)*
[ もし、ここで
死が悪いことだと言い切り、
更に生の尊さを語られでもしたら、
生きている方が素晴らしいとでも押しつけられたら、
私は蛇を差し向けて、ここで共倒れしていたと。
そういう確信があった。 ]
[ 蛇の力が緩む。
死んでいる筈なのに、血の巡る感覚。
ああ そうか。
……勘違い、させていた、のか。 ]
[ するり、するり、
蛇で柔く自分を抱きながら語るのは、 ]
…シーシャが飛び出してきて、
シーシャは死にたく無さそうだった。
蛙は邪魔で。
あの時手を取ってくれた相手を置いて、
先に自殺するほど、私 卑怯じゃない。
それに、
……誰かの記憶に残りたかった。
"生きている"思い出が、欲しかった。
物理的な話じゃない。
…精神的な、意味で。
愛して欲しいとは言わないし
生き返って欲しいとか言われるよりも
私は此処に居るんだって覚えていてほしかった。
何日間か、たとえ一瞬でも
私が本当の意味で この世界で生きていたこと、
死神とか言う奴に会って、
甘ったるい苺食べて、謎を解いて、
あちこち走って、…ロリータなんて着ちゃって、
マブスラやって、写真撮って、
鎖振り回して、……本気でやりあって、
そのたったひとつだけでいい。
誰かの記憶に残っていれば
それだけで良かった。
だから、── もう、いいの。
死んだあとにしては、幸せすぎた。
これ以上望んだら、望んじゃったら、
また十何年も苦しむ羽目になる。
[ なんて ぽつ ぽつ、
お互い語る、けれど。
シーシャは、そんなこと、言ってくれるけれど。
声が震えているの、分かったよ。
何時も明るいから尚のこと。
…何かが抜け落ちた、みたいな
そんな心境は消せやしないけれど。
なんだか ね。
パートナーが目の前の相手で良かったと
そう思えたのは、多分、確かで。
…ゆっくり 息を 吐く。
俯いた先、
境界線の向こうには、行けない。 ]
それと…それは……
無理かなあ………
[ 忘れろ、って。
たった数日間、されど数日間。
捨てるには印象に残りすぎた。
それに、── 未練、なんて そんな。
シーシャの望みを抱いて消えることは、
未練、ではなくて 幸福な思い出、だよ。
私はUGで幸せだった。それは、確か。 ]
[ 続く、── そう、だな。
言うなれば我儘みたいな、
そんな言葉には 眉を下げて笑んだ。
仕方ないなあ って 顔。
私も大概子供だけど、
もしかしたらシーシャも案外、とか
そう思ってしまったのは …そう だなあ。
私の決意はきっと変わらないと、
思っているからかもしれない。 ]
[ ── と。 ]
[ 腕の蛇も大人しくなったところで。
今度は何を、と思えば、
私のシュシュのことだった。
私は明らかに疑問符を付けて、 ]
…ううん?
知らない誰かから。
お母さんはもう
寝たきりみたいなものだったから、
……こういうの、選んでくれる余裕もなかった。
[ 言いながらするりと解く。
ゴムも一緒に取ったから、
ふわ と 何時かより伸びた黒髪が広がった。
ゴムは手首に引っかけて、
線の向こう側から、青いシュシュを手渡す** ]
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