266 冷たい校舎村7
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[ その扉を開けるべきか否か、 どちらが本人の望みかなんて、 僕には分かりようのないことだけど、
僕が死んだら、あのがらんとした、 人形ばかりが並ぶ体育館の、 隅っこでいいから、置いといてほしいし、
……そんなときがきたらの話。]
(79) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ とにかく、何か引っかかりがあって、 なかなか開かない扉に僕は力を込めた。
力自慢ではないので、 高本くんなり、第三の生存者なり、 ご協力いただけると嬉しいのですが。
そうしてこじ開けた先に、 長いみつあみの人形を見て、]
……田所さんだね。
[ ──と、僕は言う。
なぜか、寒かったのかな。と僕は思い、 数秒後、それはその人形の腕が、 自身をきつく抱きしめているからだと気付く。]
(80) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ 昨日、遠くなくてよかったと言いあって、 腕を振るわせていた姿を思い出して、 僕は思わず苦笑する。4階は遠いよ、田所さん。*]
(81) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[嫌だったのかな。
宇井野はなんとも言えない顔をしていた。
肯定でもなく否定でもなく、
帰って来た問いに紫苑は微笑む。]
正直、見える訳じゃないけど、
ネコちゃん、嬉しそうだったからね。
[嘘。女心すら分からない紫苑に、
ぬいぐるみの気持ちが分かるわけない。
でもまぁ、良いんじゃない?
少なくとも、紫苑はあのネコを可愛いと思った。]
良いよね、ネコちゃん。
俺も好きだよ。
[猫か犬かと言われたら犬派だけれど、
まぁ、それはさておき。]
[話の腰を折られてか、
突然の宇井野とネコの取り合わせに驚いたのか。
呆気に取られていた灰谷も
飲み物を買いに行くらしい。
そっちの方向、自販機あったっけと思いつつ
紫苑は彼女の向かった方向とは
少し逸れた場所へ向かう。
あったかいコーヒーか紅茶が飲みたいなと思う。]
[ガコン、と自販機が音を立てる。
飲み物が勢い良く落ちてくるこの音を
紫苑は余り好まなかった。
びっくりするし、容器凹んでたりするし。
閑話休題。
コーヒーを冷ましつつ
紫苑はスマホを取り出した。
通話アプリが大量の通知を告げていた。]
[その相手が誰かだなんて言うまでもなくて、
自分を引き留めるような言葉が並んだ通知を
紫苑はふぅんと感心したように眺める。
振られた時には、
これくらい泣き言を言ってもいいらしい。
自分の過去を省みつつ、
別段気が重くなることは無かった。
吹っ切れた、ってやつなのかもしれない。]
悪い子だなぁ。
[度のない眼鏡の下で、紫苑は笑う。
生憎と、国語の教科書と同じで、
文字を並べられてもピンと来ない。
むしろブロック忘れてたなぁって、
親指を画面の上で滑らせた。
薄情?はて、どちらがだろう。
雑音は未だに耳から離れないのに。]
……バイバイ、はるちゃん。
[光る画面に紫苑は告げる。
多分、言葉とは裏腹に
チャシャ猫のように口角が上がっていた。**]
撫でて欲しいのなら撫でてあげた。
痛みが欲しいなら痛めつけてあげた。
愛でないと言われても、
罪であると言われても、
私には理解できないの。
[ 傘に、手を伸ばしかけたのは
夢の中の大雪が、印象深かったからかしら。
でもね、もう必要ないんだもの。
あの世界でだって、持っていなかったし。
玄関から一歩出た私の手に、青い傘は無くて
夜の風の冷たさに、冷え切っていくだけ。
やっと、あの子が死んでしまった実感を
得たけれども、どうしましょうか。なんて、
考えても、飼うことをやめる気はないの。
悩んでいたことに踏ん切りがつけれたって、
私が私なのは、変わらないんだもん。 ]
[ 明るい道を選んで、夜を歩いて行きます。
怖い人に襲われたら、病院に着けないし。
足取りは重くって。重くって。
誰かを飼っているときよりも、重くて。
立ち止まりました。独りきりは、息苦しいので。
公園の街頭が、私の影を創り出していて
不意に消えたりするのを、眺めていると、
不意に、腕を掴まれて、驚きました。
ええ、ああ。貴方は。
いつかの、公園の小学生。
ついさっき、マネキンを見たから分かるわ。 ]
……背、伸びたね
[ 受験の時、だから三年前かあ。私は笑います。
まだまだ伸びるんだろうけれど、十分。
彼は、腕を、振り上げて。
あら。殴るのかしら。何て眺めていたけれど、
結局力なく、降ろしてしまいました。 ]
[ 俯いて、顔を上げて、また俯いて。
彼は、小さな声で話し始めました。
その後保護されたこと。今は親戚の家に居ること。
そこでは良くして貰っていること。
あの日、私が二度と帰らなかった家で
どんなに寂しくて、辛くて、憎い気持ちになったか
……という、ありふれたこと。と、
それでも、あの親から遠ざけて、助けてくれて。
一生忘れられないほど、感謝していること。 ]
[ まだまだ拙い、何歳も年下な子供の話を、
私はふんふん と聞いてあげました。 ]
それだけ?
[ それだけ……と、力なく返す彼の声を聴いて
にっこりと笑いながら、腕を振り解きました。
だって私、貴方に用は無いんだもの。
足はね。相変わらず重いけれど、歩き出して。
公園を置いてけぼりにしちゃいます。
彼もきっと、すぐ帰るわ。ばいばい。 ]
[ 私が救いだと。良い人だと思ってしまったのなら
それは、残念だけれど、錯覚でしか無くて。
だって、自分の所為で人が死んでも
どうとも思わない人間を、どうすれば
良い人だって、言えるのかしら?
だから。私は、どうしたって悪い人ですから。
寂しいなんて、どの口が言えるのかしら?
病院への道を、歩きます。
澄んだ空気が、心地良い。 ]*
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―― 男子トイレから生物室へ ――
トイレっていうのは、しのびないからな。 ……時間、あるといいけど。
[颯太を模したマネキンを一瞥して ふたたび、京輔とふたり 血塗られた道しるべを辿る。
赤い痕を追いかけているうちに、 奇妙なことが起こった。 黒いペンキを踏みつけたような足跡が 廊下に突如現れたのだ。>>4:298
不気味な黒い足跡。 それを追うように点々と続く赤い血痕。 そうして道しるべはふたつになった]
(82) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[黒い足跡は、4階の生物室の中へと 吸い込まれている。
血痕は、その前を通り過ぎて>>35 さらに廊下の先へと続いていた。 俺は迷った末に、 黒い足跡の終着点へと足を向けた。 ひとりで扉を開けようとする京輔だが、 立て付けが悪いのか開かないようだ>>80]
(83) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[なんだか期待するような目で見られたので、 京輔と共に扉を開けようとする。 俺も別に、力自慢ではないんだけどな]
せーの、
[がらり、と音を立てて扉は開いた。 そこにいたのは、三つ編みの女生徒のマネキンだ。 自分を抱きしめるような奇妙な態勢に、 思わず眉を寄せて]
ああ、田所だな。
[京輔の言葉>>80に、頷いた]
(84) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[チャイム毎に2人がマネキンに変わる。 その法則が適用されるのならば]
今この校舎にいるのは、 俺と京輔、そして葉子。 あとは――……
[小さく、喉の奥が鳴った]
(85) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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――――拓海、か。
(86) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[いっそここにあるマネキンが 拓海であったらよかったのにと思う自分がいた。
だっておかしいじゃないか。 寝床から消えた拓海。美術室の壊れた展示。 奇妙に美術室から続く血痕。 そして、マネキンから類推される残留者。
ああ、本当に嫌になってしまう。 昔からこういう悪い予感は当たるんだ]
(87) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[嫌な考えを追い払うように、小さく首を振る]
田所。それじゃあ。
[あのときと同じ別れの挨拶>>4:208をして 俺は生物室を後にしただろう。 そうして、廊下に点々と続く血痕に目を向けた]
(88) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[廊下に出て血痕を追いかける俺たちは 森でパンくずを道しるべに彷徨い歩いた ヘンゼルとグレーテルにも似て。
辿り着いた先にいる魔女は――……]
(89) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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[血痕は、まっすぐに 3年1組の教室の中へと吸い込まれて消えていた]
京輔、血痕が……。
[難しい顔をして、隣にいる京輔を見遣った。
もしも背後の階段の踊り場から 見知った顔の女生徒が上ってくるのならば、 やはり硬い表情を向けることだろう]**
(90) 2019/06/16(Sun) 14時半頃
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R団 タカモトは、メモを貼った。
2019/06/16(Sun) 14時半頃
R団 タカモトは、メモを貼った。
2019/06/16(Sun) 14時半頃
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──食堂 → 美術室 → ──
[ 「朝食」には手を付けず、階を上がる。 広いお化け屋敷を歩くみたい。
夢幻病棟 ならぬ 夢幻校舎
どこに何があるか、 何が飛び出してくるか分からない。 そんな2階で見つけたのは、血の跡 ]
美術室…………?
[ 中に続く血の道にまた、恐る恐る扉を開く ]
(91) 2019/06/16(Sun) 15時半頃
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