246 とある結社の手記:9
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─回想、四日目:ユージンの部屋─
[部屋の中にはもう死体はなかった。麻袋に詰められて、結社の手で外に運び出されて、──ラルフの手により掃除をされて。
生きているものの目には、宿の一室。
それだけのものに見えるだろう。]
[ことりと、ピスティオの手で
グラスが置かれた。]
[──ユージン、と名前を持った男と、
同じ形をまだ保った"それ"は、
グラスを挟んだテーブルの向こう。]
ぃ
…
ゥ…
[呻きながら。
暗がりに蹲って、いる。]
『俺っちさあ、……ひとつ。
ひとつ、ユージンに言い忘れたことがあったんだ。
ほら、前に聞かれたろ?人狼が怖いかって。
俺っち、怖いって返した。
そりゃ怖いだろ。
…怖くなかった?こんな目に遭わされてさ。』
………………。
[床のシミは、答えない。ピスティオが語る間、だらりと頭を垂れて、蹲っている。腕は投げ出されたままだった。]
[宿の部屋に、男のいた痕跡は薄い。壁には、いつもかぶっていた彼の帽子だけがまだ残っていた。]
『でもさあ、
… でも。 憎いとかは、よく分からなくて』
……………
[答えはない。]
『憎いっていったら憎いんだよ。
今はさ、奥様を殺したやつらが。
多分ユージンも。パティもさ。
憎たらしいって思ってる。
人間をさ、いやもしかしたら人狼かも知れないけど。
どっちでもいいけど、嫌なのは嫌だなって。
そんな風に──…、 そのくらいに、思ってて。
嫌、なんだよな。
なんでいきなりみんな、人狼の「やつら」とか言うのかな。
なんで「あいつら」なのかな。
なんで「一匹」なのかな。』
[憎たらしいと思ってたわけじゃなかった。
他からどう見えたかは知らない。
人殺しってだけなら、
自分だって同じだし。
ただ。人狼については。
──── わからなかっただけだ。]
[人を殺すことを、人を食べることを。
どう考えているのか。
悩んでいるのか、苦しんでいるのか。
なんとも思ってはいないのか。]
[サイモンを殺して、マリオを殺して。]
[にんげんを食べることを]
[───どう思っているのか。
わからなかった。]
[せめて、悲しんでいるなら、
助けたいと思ったかもしれない。]
[(ああ、だって 大事な人を失うのは。
人間だって。人狼だって。きっと、)]
[せめて、苦しんでいるようであるなら。
納得できたのかもしれない。]
[(オレは、自分の罪を、贖いたかった。
───許されたかった。)]
[部屋には、ピスティオの言葉がだけがある。赤黒く変わった姿は視認されない。]
[ここは さむい]
『みんな仲良かったのにさ。
いいやつら、ばっかだったのに。』
[ ぼた ]
[ああ。目の前が、真っ暗だ。──目の前が暗く濁って、意識が混濁する。熱いような痛みと、氷のような寒さだけが否応なしに意識された。
『なんで…いきなり隣のやつを化け物扱い出来るんだろ?』
[ぼたた と、暗がりに血が落ちる。喉から声の代わりのように。腹からはまだ血が染み出している。寒い。どんどんと、感覚が冷えていく。]
[サイモンと、同じように。
そこにいる男の姿は
殺されて、命を落として、──無残なものだった。]
[死者を見ることもない、生きた人の声が、部屋の中 ──殺される前の『ユージン』に向けて零され続ける。]
『…こんなことを言ってたら、また変って思われるかな。[いたい]
やっぱりお前は人狼の仲間なん[さむい]だろって怒られると思う?』
[ぼた]
[ぼた]
『怖いけど、嫌いじゃない。
憎たらしい[たすけて]けど、怖くない。[ゆるして]
そういう話。』
[いたい] [あつい]
[ゆるして] [ゆるされない]
[さむい]
[いたい いたいごめんいたいいたいたいごめんなさいゆるしていたいたいつぶれる脳がひしゃげるごめんなさいごめんなさいごめんなさい]
[ ぶちん ]
[ あ。 ] [ … くらい ]
『あんたがもし生きてて、奥様を殺したって思ったら、やっぱりこんな風に話は出来なかったかも知れないけどさ。』
[ ああ。 ] [ なにも ──なにも。 ]
[ もう きこえないや ]
[飲む人間のいないグラスに向けられた語りかけが終わる。
答えが響くことはない。
そこには、生きた者と、
殺されて死んだモノがいた。]
[人間と人狼なんてものより、ずっと明快な線引きだった。]
[ ささげられた宿屋の娘の祈りにも、語り掛けにも返る答えはない。食べられたいという言葉にも、何も。]
[ぼとん] [ぼと] [暗がりに、男の首が、腕が転がった。]
[血まみれの姿は、まるで融解でもするように、
ぐじゅぐじゅの肉塊になって、影の中に落ちていく。
もう何も、考えられることはなかった。]
[そうして、ばたん。と部屋のドアは。
生きた者の手で閉ざされる。]
[しん、と部屋の中は静かになった。]
[のんきで軽薄で、陽気な声は、もうどこにもない。]
[机上に綺麗なままの酒入グラスだけが、
*ひとつだけ、取り残される。*]
/*
ヤベー(+36,+38)
このままだともっかい吊られる!
そうだゆるふわしてごまかそう(^3^
/*
涙や悼む手で血が洗われるの、めちゃくちゃにいいですね…
―朝―
[部屋で結果が出るのを待っていた。
ただ静かに、ベッドに座って。
賽の目がどう出るか。
勝ちの目が出たら、あとをどうすべきか。
しかし――複数の足音と、この部屋の戸が叩かれる音。]
……賭けに、負けたか。
[諾々と、部屋を出る。
結社の男たちに囲まれて。]
……なあ、仲間たちに手紙を届けてくれないか?
……だめか?
そうか……ならいい。
[別に、あそこにもう家族がいるわけじゃない。
残した女がいるわけじゃない。
ただ……俺は何かを残せたか。
そう思ってしまうだけ。]
[階段を降り、ロビーが見える。
二十年来で懐かしく思った宿のロビー。
もう、二度とこの目にすることはない。]
[ロビーを通り、玄関口へと促される。
その間に振り返って、一度ぐるりと見てみた。
感慨深いわけじゃない。
もっと自分に何が出来たろうと、悔いるだけだ。
何かひとつ、何かもうひとつだけあれば、違う結果になったかもしれないのに。
今このときになっても、そんなことを考える。]
[これから『処刑』されるというのに、随分落ち着いていたと思う。]
処刑なんて……随分楽させてもらうんだからな。
それで泣き喚くなんて、出来ないよな。
[俺が守れなかったひとたちに祈る。
俺でなければ助かったかもしれないひとたち。
狼の牙は、爪は、随分痛かったろうから。
苦しかった、哀しかった、冷たかったろうから。]
[逆らうつもりはなく、外へと足を向ける。
ああ、大きな外の明かりだ。
眩しいなあ。
太陽ってな、こんな良いものだっけか。
そういや、仲間の歌にもあるよなあ。]
――だけど……それでもなあ。
俺は、あんたらが憎いよ。
[周りを囲む結社の男たちに、こぼした。]
[自分は生まれから流浪の民だ。
一つところに留まらない俺たちは、人狼の疑惑を受けてもさっと通り過ぎるだけで事は済むんだ。
――彼らさえいなければ
……お袋は死なずにすんだかもしれない。
……その恨みを晴らそうと、親父が『人狼狩り』なんてしようと死ぬことも、なかったかもしれない。
……俺の命を救ってくれたあの『守護者』も、平穏に生きられたかもしれない。
……この村の気の良いひとたちが、苦しみを背負わず済んだかもしれない。]
なあ……何もかも、あんたらが悪いってことに、していいかい?
[――だめだよなあ。
俺、弱っちいからさあ。]
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