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[己の罪の末路だ。
真に焼かれるべきは、この愚かな男じゃなかったか。
自分に───彼に手を下させてしまった。
彼にも、あの子らにも。
ではこの罪をどうしたらいいのだろう…
こたえを求めて、ゆらり頭を巡らせる。
向かうべきところは一つだろう。
マーゴットに、死なせてしまった娘に貰った
なけなしの勇気を手に、目を上げる。
生前避け続けてきた”彼”のところへ。
幽霊はゆらり、彷徨い*はじめた*]
メモを貼った。
メモを貼った。
― まどろみの中 ―
[ うつら、たゆたう意識。 ]
[ 誰かが咽び泣く声が聞こえた。]
( マーゴット。
そうやってすぐに泣くんじゃない。 )
( ……マーゴット。 )
[暗闇の中、白い手首をぎゅうと握って、
抑えようとして、
その幻影は男の手をすりぬける。]
[――そうして、響き渡る泣き声に耳を塞いだ。]
[
それはラディスラヴァの嗚咽に聞こえた。
それはメアリーの「やめて」という声に聞こえた。
それはグレッグの「叔父さん」という声に聞こえた。
それはサイラスの萎れた声に聞こえた。
それは「ヨハネス」の血を吐くような叫びに聞こえた]
(泡を吹かせるのは此方のほうだったが)
(置いて逝く方も悔しい事を、君は知らない。)
[ そしてまた、それはあの日背を向けた友
声無き泣き声のように、聞こえた。]
( ……キャサリン。)
(僕は、どうすればよかったんだろうか)
[彼の涙を拭うものは。
ただ。妻のたおやかな白い指先であるべきだった。
――奪ったのは自分だ。医者の顔をして
何一つ守れはしないこの自分だ。]
(……泣いているのは、誰ですか。)
( 心の痛みに効く薬はありませんか。)
[噫、患者が沢山いるのに、
男はそれを救う術を 一つも持っていなかった。]
( 必要なのはきっと誰かの温もりで
そしてそれを与えるのは、
自分の役目では ない。 )
[知っている。よく知っていた。
ならば、どうすればいいかわからなかった。
だからこそ、あの時。
そして彼に「誘われ」た時。
男は、優しさと反対の道を行った。
あの家族から更に父を奪う事になると知りながら
大義名分をたて、信じた道を進む事にした。
話し合うこともあるいは出来ただろうに。
うらまれることなど重々承知だった。]
[――……「村医者」を罰すならば、
一番最後につるし上げればよかったのだ。
すべての罪を押し着せて、
「疑いあいを唆した、こいつこそが大罪人だ」と
そう云って処罰してしまえばよかったのだ。
それを予感し、受ける覚悟すらあった。]
( ……残念だったね……。)
[それとも、「裏切りもの」たちは
(それが男の予想する彼らだったならば)
あの火刑で少しは、溜飲が下がったのだろうか。
そうならばいいなと思う。
きっと、生きる限りそうではないんだろうなとも思う。
罪は人の心にすまうもの。
けして、逃れられはしないものだから。]
[
夢の中に彼の背を見た。
無邪気に声をかけていた時は最早遠く
降り注ぐ雨の中立つ彼の姿は
一層、孤独なように思えた。 ]
( ……ルパート。 )
( ………………、僕は)
[ 聞き覚えのある足音が聞こえた。 ]
― 現実へ ―
[目を開ける。
顔も体も、依然として真っ黒な影のまま。
( ……足音。)
視界の端に、蒲公英が揺れていた。
白い綿毛が風にそよいでは、
( ……噫、聞きなれた、足音だ。)
一つ、また一つと飛んでいく。]
タンポポの綿毛を一息に吹き飛ばす。
――種が残らなければ、恋が叶うんだと。
昔、よく遊んだ人間の子が言ってたよ。
[彼女はとうの昔に亡くなったが。]
[影は前を向いたままそういうと、
ずるりと立ち上がり、
彷徨う幽霊の目の前に立った。
自分が抉った首の惨状がそのままなのを見ては、
虚勢の様な笑顔を浮かべる。
全て黒く塗り潰された顔では伝わりはしないが]
…………やあ、ルパート。
[そう、静かに元友人の名を呼んだ。*]
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![]() | 【人】 手伝い クラリッサ[広場を抜ければ、焼け焦げた教会が目に入った。昨日とは違うその姿に、小さく息を呑む。] (266) 2015/05/18(Mon) 20時半頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ―― →宿屋裏手・小屋 ―― (267) 2015/05/18(Mon) 20時半頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ[小屋の中は、夢で視たものと同じ風景だった。 (268) 2015/05/18(Mon) 20時半頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ 私が夢で視たのは、メアリーと……、 (270) 2015/05/18(Mon) 20時半頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ[それからグレッグと少し話して、小屋を後にした。 (275) 2015/05/18(Mon) 21時頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ
(280) 2015/05/18(Mon) 21時半頃 |
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![]() | 【人】 手伝い クラリッサ[背にかかる声は>>290低く、一瞬何を言われたのか分からない程。 (311) 2015/05/18(Mon) 22時半頃 |
メモを貼った。
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ[一瞬、唸り声が止んで。 (328) 2015/05/18(Mon) 23時頃 |
![]() | 【人】 手伝い クラリッサ ――メアリーッ! (329) 2015/05/18(Mon) 23時頃 |
![]() |
[ゆらり、幽霊の行き着いた先は懐かしき木の根元。
死出の道行にも見かけた、一本の木の下に
…─────、
[ひゅう。と、喉から開いた穴から空気が抜けた。
これではタンポポの綿毛は飛びそうにない。
向こうを向いたまま、昔がたりを口にする黒焦げに、
そんな、他愛もないことを思って]
… スティー 、ヴ
[名を呼び返す音は掠れて聞き取りにくく、
ひゅうと空気の通る不快な音が混じる。
おかしいなと喉に手を遣れば、またそこから血が滴っていた。
少し眉を顰めてみる。
こんな姿を、また晒しに来たかった訳じゃない。
これでは、あまりにこれ見よがしではないか。
とはいえ向こうも黒焦げなのだから、これで丁度というわけか]
……………………………。
[ああ、やはり。彼を前にすると言葉を失う。
なんだ、これは死んでも同じか。
死んでも人は変わりはしないか…当たり前の話だろうか。
血を押さえるようにして、喉に手を当ててみる。
可笑しかった。こんなに穴から空気を吐いて、
なお、喉に言葉が詰まるとでもいうつもりか]
……………………。
… 謝りに、……───来たよ。
[長い沈黙の後、ひどく聞き取りにくい囁き声を風に乗せ。
一歩を踏み出しす足が、タンポポの上に重なった。
透き通る足の下、タンポポの白い綿毛が身体を抜けてふわり、闇に白く浮き上がる*]
メモを貼った。
メモを貼った。
[焼かれた体に未だ炎が燻るように
ゆらりと尾のような影が揺らめいた。
――かちり、と影の爪が一度鳴る。
(誰が彼を殺したのか)
ひゅう、と虚ろな空気が通う音。
(あの喉を抉り殺したのは自分)
つ、と骨ばった首から、ぽたぽたと血が滴る。
(あの血を掌で受けたのも、自分)
呼ばれた名と、続かない言葉。
(…………ああ、変わらないな、何もかも。)
彼が――ルパートが、何を知っているのか、
何も知らない影は、彼が眉を顰めた理由を
正しくは理解していない。
ただ、死んでもまだ痛いのか、と思っただけだ]
[長い長い沈黙の中、
影は、無い目でただ鳶色を見つめている。]
……………。
[ 彼が一歩。踏み出せば
花は折れることなく、綿毛を揺らすだけ。]
[ 何を、と思う。]
………… は。
[小さく息を吐いたのは、沈黙が重かったからで。
それから、小さく肩を竦めて、それは少し
憎たらしげな仕草に見えただろうか。]
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