35 星降る海岸に纏わるエトセトラ
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お互いに、同じ願いを抱いても
それが形になるかはわからない
そういうものでしょう、世界って
離れ離れになって、二度と会えないかもしれない
私にとってのお祭りは、別れるか繋がるか、決まる日なの
[お菓子の袋を、ごそごそ
あまいもの、何かないかなぁ、と思いながら]
知りたい事を知ろうとしたら、傷つくよ
世の中には、知らない方がいい事の方が多いんだ
それでも知りたいと思えるのなら
それはきっと、志乃せんせーの強さだと思うけれど
ああ、駄目か…。
[あれから2、3回押し込もうとして押し出されて結果力及ばず座している。必死さから彼らの表情の変化をうかがうことは出来なかった。]
ぬ…かくなる上は。
[この村に来て主に刀から鍬に持ち替えたとは言え、刀そのものを捨てたわけではなく、それを差していることもある。
たった一度だけ使って、その後もう二度と使うまいと決めたそれに手をかけようとして。また手を離した。]
やめろ。
それだけは駄目だ。
それこそが駄目だ。
[息を静かに整える。]
どうだろうね、誰かがそう、しているのかもね
少なくとも私は、なんで、の回答を知っているけれど
それを語る事が出来ないの、ごめんね
[ごめんなさい、と言う志乃先生
私は、傷ついてはいないけれど]
答えを知ったら、傷ついてしまうし
答えを聞いたら、苦しんでしまうし
答えを覚えたら、忘れてしまう
それで構わないなら、教えられるけれど
どうせ、夕ちゃんには話してしまったし
一人も二人も、かわらないものね
…わたしは、この村のことしか知りません。
せかい、なんて言われても分からないわ。
この海の向こうのことを言ってるの…?
朝ちゃんは、ガイジンさん…なのかしら…?
[少女が話す内容のほとんどを理解することができずに頭を抱えた。
必死に搾り出した答えは、海の向こうに帰るというもの。]
傷つくから知らないは理由にならない。
知らないことで傷つくから。
それは強さではなく、人の欲です、きっと。
……朝ちゃんの言いたいことがわたしは分からないです…。
[お菓子をごそごそとしている姿を見ながらそう告げる。]
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