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死んで 虚無感を残すのも
生きて 苦しさを抱くのも
もしかしたら
殆ど 変わらないのかもしれないけども
3.75グラムの重たさのせいで
天秤は釣り合ってくれないんだ
[ 嬉しそうだったって。なんだよ。
柊の残していった言葉が、
ゆる顔の猫を思い出させる。
すきだ、なんて、口には出来ない。
可愛いなんて、言えやしない。
女々しさの一切を排した形が、
おさまりの良いものであったから。
振り払うように、頭を揺らした。 ]
少し、外に出るか。
[ エナメルを引っ掴んで、立ち上がる。
冷えた空気を吸い込んだら、
淀んだものも入れ替えてくれる。
扉を抜けたら、真っ白い息塊が広がった。
柊が戻ってきていた。
他のみんなはどうだろう。
戻っていたとして、
病院に集まるとは限らないのだけども。 ]
[ まだ、あちらにいるのだろうか。
また、あちらで死を迎えたのだろうか。
ぼんやりと考え込みながら、
大きな歩幅でのったりと歩いていた。ら。
ふと、目をやった小さな建物。
喫煙所と書かれた窓越しに、
見知った色があったものだから。
……轟木。
帰ってたんだな。
[ 普段は立ち入ることの無い場所に、
扉を潜って足を踏み入れた。
片手にある煙草を見て、
苦笑いすれども、咎めることはしない。 ]
[ 人を縛る権利なんてない。
誰かを咎める権利なんてない。
ましてや、
距離感を取り戻せないまま、
初めましてのふりをした相手に。
湧き上がるこれは、たぶん、
罪悪感って名前をしてるんだと思う。
口にしない ごめんね を 押し込んだら。
クラスメイトを案ずるような、
そんな顔の形を きちんと作れたはずだ。 *]
メモを貼った。
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(206) 2019/06/17(Mon) 00時頃 |
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ただいま
[ 病院でクラスメイトにただいまを言うのは、
なんだかちょっぴり変な感じ。
こんな機会、もう無いかもしれません。
私も、コーヒーにしようかしら。
どのコーヒーにしようかな。
怪我のしていない指先がうろうろ。
無糖と、微糖と、加糖と。
一つのメーカーだけで沢山あるんだもの。
あ、コーヒー飲んだら眠れなくなる。 ]
[ ひいらぎ君は、彼女……元、彼女の事
好きだったって。会いたかったって言う。
ココアのボタンを押しながら、頷く。 ]
うん
[ もし、ね。誰に何を言われたって、
貴方がそうだと言うのなら、そうだよ。
続くお別れした、という言葉を聞きながら
指を焼くような熱さの缶を、拾います。 ]
[ 女の子が何を考えてるか分からない
なんて、初心なこと言うので、笑っちゃう。 ]
男の子でも、分からないわよ?
よう君がどうして死のうとしたかも、
だって、分からないじゃない
[ あ、実は、分かってるのかしら。
分かっていたら、この例えは通用しないけれど
分かってないにこのココアを賭けましょう。 ]
どんなに愛したって、
何を考えているかは、分からないもの
[ 何を考えている何て。
どれだけ、愛したって。
どれだけ、依存させたって。
ああ、そういえば。って、付け足します。 ]
……イヤホンよりメガネの方が、
かっこいいよ、似合ってる**
[白い指先がホットココアの缶を取るのを
ぼんやり眺めながら、
確かにそう
関係あるかなぁ、と思うキーワードはあれど
今回の件と関係ないと言われればそれまで。
紫苑は養の事を何も知らない。
いや、彼に限らず、
他人のことを殆ど知らない気がする。
だって俺、エスパーじゃないし。
言われないことを察する能力なんてない。]
宮古ちゃんは知ってる?
養くんが死のうとした理由。
[なので、ホットココアを勝ち取ることは無く
紫苑はそう問うて
冷めつつあるコーヒーを啜るだけ。
それでも、眼鏡が曇って視界が悪くなるので
案外不便だなぁと思いつつも、
褒められて
嬉しいなぁ。
惚れた?……なーんてね。
[嘘、と紫苑はくすくす笑い声を漏らして
コーヒーを飲み干した。
缶を無造作に放り投げる。
カラン、とゴミ箱の中に軽い音が響いた。**]
メモを貼った。
[病院と、その周りにはなじみがない。
うーん、ってうなりながらあちこち歩き回ってどうにか自動販売機を見つけた時、
先客のふたり――柊と宮古はそこにいただろうか。
そこにかれらか、そのどちらかがいたのなら。
柊とはもう挨拶したから軽く手を振るだけにしたけれど、
宮古とこうして顔を突き合わせるのは――校舎を去ってからはじめてのことだったから、]
やっほー。……よく眠れた?
[なんて、妙な挨拶をしていただろう。
3人がかりで運び出した毛布。
それを使って眠れてたのなら。
ちょっとはいい夢を、見ていられてたらいいんだけど]
[先客がいようといまいと、やることは変わらない。
イロハは自動販売機に粛々と千円札を突っ込んで、
ミルクティーと、ココアの缶の下にあるボタンを一回ずつ押して、
あとは淡々と出てきた缶と、お釣りのお金を回収した**]
メモを貼った。
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