105 CLUB【_Ground】
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─鴬の巣立ち─
[目隠しに触れた指を、イアンの手が留める>>149。 頷いて、一歩前に出るイアンとは逆に、一歩下がった。
緊張が如実に伝わるレイの声>>154が、 鴬の名を呼ぶ瞬間、 甘やかにほぐれたのを、彼自身気づいているのだろうか。
その瞬間、ティーは直感した。 この出会いは、イアンにとって幸いである──と。**]
(@90) 2013/12/19(Thu) 23時半頃
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−研究ルーム−
[動物たちの食事の片付けを終えて、研究ルームにひとり。
雨音も届かない。ただ計器の駆動音が響くだけ。 教会の様子はここのモニターではわからない。 どこを見るでもなく、視線を漂わす]
……?
[不意に届いた通信。一方的に喋ってぷつりと切れた。 両の目に浮かぶは惑い。逡巡の果て、思い立って歩き出す]
(@91) 2013/12/19(Thu) 23時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/19(Thu) 23時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 00時頃
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[たどり着くのは、引き渡しの部屋の前。 中に人の気配がする。もうその時は始まっているのだろう]
……、
[まだ迷いはある。けれど]
テッド……、
[これは、研究者としての自分の、けじめでもあるから。 じっと、その場で時を待つ]
(@92) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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[送ったメッセージに気づいたのだろう。
しわがれた声の短い礼を聞き、 複雑な心中に、ティーの眉が一瞬震えた。]
(@93) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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[また、時をおかず送られてきた たった四文字分の音声に、ほ、と吐息が漏れた。]
(@94) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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フランクは、通信で届く動物の声に、救われた気がして。
2013/12/20(Fri) 00時頃
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[視線は、合わされた。 男はそれをガラス板に反射させると、踵を返す。 二人の世界を壊さぬように、扉はゆっくりと開かれた。
――――音など、立てない。]
(@95) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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─鴬の結婚式─
[語らない椅子と、目を伏せた研究所員と、 目立たぬように設置された監視カメラが証人の “幸せな結婚式”は、つつがなく執り行われた。]
あー……ん゛ん゛ッ。
[多分、存在を忘れられているティーは、 このままだと終わらなそうな抱擁に咳払いで割り込んだ。 部屋はひとつしかない上に、今日は予約がもう一件。]
お取り込み中もうしわけないんだけどぉ、 早速、イアンを連れて退室お願いね。
[金は、部屋へ通す前に店員がレイから受け取っている。 あとは連れ帰るなり、店へ戻るなり。 もう、イアンを人間から隔離する必要もなくなったから、 レイの好きにしていいよ、と伝えて二人を送り出した。]
(@96) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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[気づかれる事のないよう、若しくは気付かれても追いかけられぬよう。 男は素早く扉の向こうに身を滑り込ませた。]
――――は、は。
酷く、疲れた顔をして。 息を吐き出し、浮かべたのは自嘲。 大声で笑い出してもよかった、やりは、しないが。 吐き出したのは小さな声だけであった。]
……っ!
[自分が呼びつけておきながら、そこに部下の姿があって。 男は一瞬、しまったという表情をするハメになる。 ゆるやかに、表情を戻し。]
見送り、よろしく。 虎に呼ばれたんで、仕事してくる。
[装えただろうか、“上司”の顔は。]
(@97) 2013/12/20(Fri) 00時頃
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……っ、
[音もなく扉が開いて、中から上司が現れる。 終わったんだ。そう知れて、中に視線を投げようとして]
……おっさん?
[小さな、声。見たこともないような表情。 目が合うと、広がる困惑]
あの、
[問いかける前にその顔は元に戻ってしまって、続ける言葉をなくしてしまう]
……わかった。
[頷いて、その後を引き継ぐ。 けれど一瞬見えてしまった表情は、心に刺さって離れなかった]
(@98) 2013/12/20(Fri) 00時半頃
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[>>181>>182うわぁ。
目の前でかわされるくちづけを 思わず凝視してしまってから、慌てて目を逸らす。]
……うん、 ティーだよ。 はじめまして、イアン。
[その後、近付いて来たイアンに、 眼鏡の奥のアイスブルーをにっこりと細め、 初めて目を合わせて微笑んだ。]
どういたしまして。 お幸せに、ね。
[こんな言葉は間違っているのかもしれない。 けれど、目の前の二人には、 これほど最適な言葉はない気がした。]
(@99) 2013/12/20(Fri) 00時半頃
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[部下の困惑が見える。 それでも問いかけられなかったことは、本当に有り難かった。 今問われれば、どんな事を口走るか、わからない。]
――――――。
[壁でも殴れたら、晴れやかになるだろうか。 男自身の身体に痛みでも与えれば、忘れるだろうか。
赦されない事を、二度も繰り返し。
首から銀を下げる権利も、資格も、何もかも、今の男にはなく。 引き千切る為に伸びた指先が、金属(おもい)を断ち切れる事もなく。 激情を昇らせるほどの若さもなく、次第に訪れる冷静な雨音。 触れて、咥えていない煙草のフィルターを噛み潰して。 濡れて冷たくなったスーツと、何もしみこんでいない白衣を翻し歩き出す。]
(@100) 2013/12/20(Fri) 00時半頃
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─シーシャの部屋>>187─
──あぁ。 幼稚なんて言葉、よく知ってるねー。
[シーシャの答えに、にこーっと目を細め]
いいよ、うそ、ついてでも、 ひとりでいたくなかったんでしょ?
おかしいなぁ、 ペットは基本的には、素直な性格のはずなのにねぇ。
[どうしてこんな天邪鬼になったんだろう、と からかうように言って、続きの棒読みを聞く。]
(@101) 2013/12/20(Fri) 00時半頃
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―寮・虎の部屋―
おい、虎。 大丈夫か?
[そこへ着く頃には、既にいつものように心は凪いでいた。 長く生きればそれだけ、そんなふうに自分を押し殺す事を身につける。 大丈夫かと問うのは、通信に乗せられた声があまりにも泣きそうな音であったためだ。 扉をノックし、声があるようならばゆっくりと足を進める。]
(@102) 2013/12/20(Fri) 00時半頃
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……うん。
[最後にやっと聞けた、 簡潔な要求に ティーも短く頷いて、毛布に近付いた。]
さわるよ。
[言葉にしてから、シーシャの髪に触れる。 さらりと髪を撫でて、 頭のかたちをなぞるように、 首に手を滑らせた。
しゃがみこむように肩の高さを合わせ、 ゆっくりと身体を寄せる。
ひんやりとした肌が、心地好くて、 労るように頬ずりをした。]
(@103) 2013/12/20(Fri) 01時頃
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[一度飲み込んだ言葉。けれど、表情を繕っても張り詰めた気配は伝わってくる。 問いを飲み込むべきじゃなかった。そう思って、口を開くのに]
……、
[頷くしか、なかった。何故、をたくさん抱えたまま。 垣間見えたそれは、見過ごしていいものだったのか。いつか触れることはできるのか。
わからないまま、足音の遠ざかるのを聞いていた]
(@104) 2013/12/20(Fri) 01時頃
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[返るのは小さな声、猛獣たらん弱い音。 部屋の真ん中に座る身体は、割と長身である男より大きく。 それなのにどこか、縮んで見えた。]
悪いな、朝濡れてそのままだ。
[もう滴り落ちる雫はないが、匂いは消えず。 雨垂れが叩くリズムはこの部屋に聞こえるだろうか。 ざあざあとではなく、はたりはたりと。 男の耳には、そんな音が聞こえている。]
雪になるかも知れん。 うちのオーナーが言ってた。
[ゆっくりと傍により、虎の横へと座った。]
(@105) 2013/12/20(Fri) 01時頃
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[残された子たちの心が 見えない棘で傷付けられて 血を流している。
近く、 感じるだけで、こんなに痛いのに。
傷つけているのは 紛れも無い自分たちだなんて。]
───〜…。
[シーシャの冷たい身体を しっかりと抱きしめてやりながら、 ティーは微かに、 震える吐息を肺の外へと追い出した。]
(@106) 2013/12/20(Fri) 01時頃
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[カメラに映っているのはシーシャの顔と ティーの背中だけだから、 客からは、ティーがどんな顔をしているか 見ることは出来ない。
シーシャの赤い瞳は 目隠しの下。
だから今、かたく目を瞑ったティーの眉が 泣きそうに寄っていることを 知っているのも、ティー本人だけ。]
(@107) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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[シーシャがいいと言うまで、 ティーはシーシャの髪を撫でていただろう。
いたずらに鱗に触れないよう気を払いながら 子供をあやすリズムで ティーの手はシーシャの背を叩き続けた。]
(@108) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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[──よだれ、つけないでよ。
とは、言える空気じゃなかったので、 何も言わずに、したいようにさせている。]
(@109) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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[近付く体を拒否する事はなく、寄せられる身を抱き締めることも普段ならしない。 ただ今は、虎が寂しそうに見えたから。 ――――いや、そんな建前で温まりたかったのかも知れない。]
雪はな、
[空気中の塵や水分が集結し。 などと口を開くのを辞めた。]
花弁みたいな、羽根みたいな。 涙みたいなもんだ。
[全く違う三つに、虎は困惑するだろうか。 腕を伸ばし、頭を撫でてやった。 揺れる金属に、触れぬようにする仕草。 ああ、と男は頷いた。]
(@110) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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なれるよ
……きっと。
[質問の撤回を聞いても、 ティーは答えた。]
(@111) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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二人を買ったひとたちは どちらもやさしいひとだったから。
オレは、そう信じる。
[二人共、 たった数時間話しただけの、 来訪者。
それでも、 幸せな未来(ゆめ)は いつか壊れるもの(ゆめ)で終わらないと、 信じたくて]
だから、シーシャも、信じて───。
[幼稚な願いと笑われようと ティーはそう言わずにはいられなかった。]
(@112) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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[壁に凭れて、ずるずると座り込む。どうするのが正解だったんだろう。答えは見えない]
……正解なんて、ないか。
[自分が今ここにいることさえ、正しいのかわからないのに。
遠く雨垂れの音が聞こえる気がして、そっと懐かしい歌を口の中で口ずさむ]
(@113) 2013/12/20(Fri) 01時半頃
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難しかったか。
[どれも教えるには中傷的すぎた。 やはり小難しく雪の成り立ちでも話した方がよかったか。 そう思いながらも、虎はこのままでいいと、どこかそんな風に感じていた。]
“寂しい”ってのも、大事なことだ。 嬉しい、楽しい、そういうのを感じる為に さみしいのも、感じなくちゃなんねぇんだ。
[押し付けられる顔、それでも戸惑う色が見える。 痛むのは銀の下に刻まれた爪痕。 そのほうへ、虎の顔を引き寄せた。 ほんの少し、強く。]
(@114) 2013/12/20(Fri) 02時頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2013/12/20(Fri) 02時頃
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[冷たい身体へ体温を分け与えるような 冷たい肌に癒やされるような 二つの体温が静かにまじわる抱擁の最後に、 ティーはシーシャのこめかみに そっとくちづけを落とした。
素直になれない、なり方を知らない子には 言葉よりも、触れる肌のあたたかさで、 気持ちを伝えようと。]
(@115) 2013/12/20(Fri) 02時頃
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[そばにいるよ。 (たとえ新しい主人に買われるまでの間でも。)
こわくないよ。 (きっときっと、愛するのと同じだけ愛されるから。)
だから安心してと 願う気持ちは伝わっただろうか。
それからいくらかの時間を経て、 ティーはシーシャの部屋を後にした。]
(@116) 2013/12/20(Fri) 02時頃
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[つよがりの蛇の仔は、 きっと、不安を心に抱いていても、 なんでもないと笑うのだろう。
だから、部屋を出ても、 まだすこし心配そうに、ティーは扉を振り返った。]
…────、
[それから、端末に目を落とし、 軽く画面に触れて、唇を寄せる。]
(@117) 2013/12/20(Fri) 02時頃
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Raindrops on roses and whiskers on kittens...
[吐息のような小さな音。 気分の晴れない時に歌うのだと、教えられた歌。
昔はことあるごとに歌ったものだけれど、気づけば最後に歌った日を思い出せない。 それだけ必死だったのだけど、それでもこうして遠ざかってしまうものかと、これから『思い出』になる全てを想う]
(@118) 2013/12/20(Fri) 02時頃
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─シーシャの部屋で─
……うん、
……うん。
[やっと聞かせてくれた愚痴を、 最初はただ、頷いて聞いた。]
…………。
[──ああ。
シーシャの零したひとことが、 深く、ティーの心を抉る。]
(@119) 2013/12/20(Fri) 02時半頃
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