191 The wonderful world -7 days of MORI-
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── 記憶:■の喪失 ──
……かーさん。
[ 記憶の中の母さんは、いつも、
空っぽの部屋の窓際にいて、
たまに、おれが声をかけると、
いつもにこにこと笑って、振り返った。
中学に上がって少ししたころ、
卒業前にはちんちくりんだった制服に、
おれは、”着られてる”って感じで、
とうに親戚には愛想をつかされた父さんたちが、
たまに、”見捨てるには惜しい”かつての知人に、
声をかけたりしているのも、知っていた。]
母さんたちの幸せに、
カンケーないひと巻き込まないでよ……。
[ 両親が、かつてお隣さんだったきみたち家族に、
そういう気もちを抱いているのも、知ってた。
”とてもよい人たちだったのに 残念だなあ”
っていう、言葉の意味とか、
包丁もない台所とか、鍵をかけたことのない玄関とか、
うちとよその家が、どう違うのかとか、
いつもうちに満ち満ちている幸福は、
たぶん、ふつうのソレじゃない、とか。
そのころのおれは、だいたい理解していて、
おれの言葉なんて届かない世界にいるひとに、
疲れた声を投げかけてみたけれど、]
「 きっとまだ、気づけないだけね 」
[ いつか届くわ。今はあのひとたちの分も祈りましょう。
と微笑んだ母に、なにも言わないで。
確か、それが、最後の”おねだり”で、
おれの声さえ届かない世界のあんたの声は、
たぶん、この世のどこにも響きやしない、って、
思った記憶は、すごく、遠くて、他人のモノみたいで、]
[ ── どうして、おれは、口をつぐんだんだろう?]
.
── 巻き戻し:6th day ──
[ なにかがぶつかった、って感じ。
はじめてひとに殴られた感想なんて、
頭のついてこなかった一瞬じゃ、たぶん、そんな感じで、
頬骨のあたりが熱いぞ、という感覚と一緒に、
ようやく、驚愕の事実が追いついてくる。
── きみがひとを殴った!
驚きはそこにあった。
恐らくおれは、ポカン、としていて。
恐ろしく「失望した」って顔のきみに、
率直に言えば、恐怖した。
きみに、か。
きみが尋常じゃなく怒っているらしい、ということにか、
それが、どちらだったにせよ、
きみの言葉が、すぐに頭に入ってこないくらいには。]
[ ── さて、きみの声を、言葉として、
頭の中に取り込んでみても、はて、
なんだか、ばらばらとなってしまって、
やっぱりおれは、ただただ”意味がわからない”って顔で、
きみを見つめ返していたのだと思う。けど。]
── おれは、ただ、ネルに生き返ってほしくて。
[ きみを、ありとあらゆる脅威から、
今度こそ、遠ざけなければいけないと思った。]
── ネルも、がんばって、生き返ろうって、言ったから。
[ ゲームのルールの中に、生きただけだと思うのだ。
この世界で、おれが、きみのためにできること、
探していたし、できることはなんだってしたいと思った。]
[ なにが、かはわからないけれど、
きみの反応か、きみの言葉か、なにか、
なんだか、ひどく恐ろしくて、
── きみのためなら、なんだってする。
その思いにのっとって、このゲームのルールの中で、
正しく、ゴールを目指していたはずのおれは、
ゲーム6日目、終盤を迎えてとうとう、
きみの様子を伺うように、眉を下げて尋ねることになる。]
……おれ、なんか、おかしいこと、言ってる?
[ 口にしてようやく知る。ああ、そうだ。
記憶が、過去の自分が、
理解できなくても、違和感だらけでも、
ふつうの幸せはうちにはなかったよ、って、
そのことだけは、きっと、知っていた。*]
|
ん だれ、 かな。
[ラーメン失楽園へと向かっていた、ノイズ<キャンサ>の群れが、 宵越屋方面へと方向転換。 つまり、誰かが、宵越屋へと近づいて来たということで。>>26 カニの脚は、彼らへと追い付けるか、どうか。
フェンスに腰かけて、傍らの狐を撫でる。]
(@10) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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[端末が震えた。 本日、最後のミッション内容が目に入る。 だが頭に入らない。
談笑のようなグループ会話も、何もかもが他人事のように感じられる。…否、何も感じられない。]
………
[何故動けない。 死んでもいいと言うのか、私は]
(@11) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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[一人でいなければ、瓦解してしまいそうで。 誰かと触れ合うことで、乖離してしまいそうで。
死神として生を受けたその瞬間から、孤独であろうと]
…………
[――花が、咲きそうだ。 留める術を、男は知らない]*
(@12) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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[拳に、確かな手応え。思わず怒鳴はほくそ笑む。
しかし、猫が火達磨になったのも一瞬のこと。
“猫だった物体”は、炎の中で千変万化を繰り返して。
やがて巨大なクマへと変化した]
……はっ、マジかよ。
本気の一撃をぶちかましてやったっていうのに。
[乾いた笑いが漏れて。
やばい、敵わねえかもしれねえ。
圧倒的な実力差を、びりびりと肌に感じる]
―――――ッ!
[クマの剛腕が、怒鳴の眼前に迫った。
咄嗟にバックステップで避ける。
緩慢な動きのそれは、怒鳴の頬を掠めた。
つ、と赤い線が引かれて。
そこから、ぽたぽたと血液が流れ落ちる]
わざと、手加減しやがったな。
[血を拭うこともせず、怒鳴はクマを睨みつけた]
……何もかもが気に食わねえ。
[その声には、怨嗟の響きさえあった]
ソウルの統合により産まれる概念……だァ?
[コイツは。命を、何だと思っているのかと。
コンポーザーの回答に、怒りが込み上げてきて]
テメエのいう“ゲーム”とやらに参加しているのはな。
俺みてえな、小悪党だけじゃねえんだよ。
[怒鳴の声が、震えた]
泥棒のくせして、世間知らずで優しい女もいれば。
ムカつくけど職務に熱心な、正義感溢れる警官もいる。
[今までのことを思い出すように]
女助けるためにヤクザに喧嘩売った兄ちゃんもいれば。
若くして亡くなった、学生のカップルだっていやがった。
[とめどなく思いは溢れて]
人畜無害そうな顔して口の悪い、鳥と飼い主もいれば。
相棒を生き返らせるためには犠牲も厭わない男もいた。
[視線を、小津に向けて]
そして―――
借金まみれでどうしようもない男だけど。
奥さんも子供もいて、どこまでも優しくて。
俺なんかの為に泣いてくれる。
そんな、とんでもねえ甘ちゃんだって、参加してるんだ。
おい、コンポーザー。
テメエはそんな参加者たちが命すり減らして。
必死こいて頑張ってる姿を見ても何も感じねえのかよ。
[怒鳴の拳に再び炎が宿った。
しかしそのパンチは、クマではなく―――木製の床へ。
忽ち炎が一面に広がり、狭い店内に煙が充満した]
―――小津、一発ぶしかましたれ!!!
[カチコミにいくぞ、と言わんとばかりに。
相棒に指示を飛ばす。
なあ、お前もコイツに一発かましてやらねえと。
気が済まないだろう?*]
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「――私はただ、貴方に生きてほしかっただけ」
[同胞たちは皆、マスターのもとで、もしくは自分の考えのもとにタワーへと、近くへ赴いているだろう。
……――私は。私はどうしようか]*
(@13) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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― 7day:スクランブル交差点 ―
[死神のゲーム最終日 ミッションのメールを見ても、それが最終決戦である事くらいは理解が出来た 嗚呼、生きてる。身体は痛いし、最初見た無垢な姿は無く。走り回って髪はボサボサ。それは今整えたとして 身体中傷だらけだし、腕の昨日の切り傷は何故か処置が施されている 多少の火傷や、赤く染まったワンピース。7日間のゲームが命賭けであった事がよくわかるくらい]
最も天空に近い場所 引導を渡せ 待ってる…か
[挑戦状のようなそれは、昨日行った場所を指していた 444mのモリ区一番高い場所、MORIスカイタワーは中央区であるスクランブル交差点からでも目立って見えた]
(30) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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行こっか、ごーちゃん 終わらせなきゃ。インコさんも、怒鳴さんも きっと居るから
[きっと、生きてるから。そんな希望はもう叶わないって心のどこかでわかっているのに 口に出して、自分を奮い立たせなくてはやってられなかったから 一度髪を解いて、腰まである髪をふるりと振ってから、再度ウサギの耳のように結び直す]
勝って、生きて。生き残って 私も頑張るから
[顔を叩いて喝を入れてから、彼の手をそっと取ってみようと*]
(31) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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今更だな。 なんの準備がいるんだ?
[軽く答えるのは、事実。>>26 ここまで生き残る上で、必要なことはやってきた。 後は、同じことを今日もやるだけだ。
そう、北に向けて歩けば。]
(32) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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[何かしら響く音が、後方から聞こえる。>>@10 そうか、最後のポイント稼ぎ。 ゲームマスター以外も必死か、なんて。]
後ろからつけられるのは気分が良くないな。 ……今日は万全だぞ。
[振り向いて、剣を飛ばす。 たとえ堅くても、必ず柔い部分はある。 鎧の関節部分は堅牢にできないように。 そこを貫いていけばいい。]
(33) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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認められるまでやるのか。 限界まで根比べと洒落こむのか。
……さぁ、どっちだろうな?
[微笑み、ノイズの群れを剣で突き放す。 本調子の今、近づかれることはないだろうが。
このままであれば時間がまずいかと、パートナーである彼女を見て、問うてみる。*]
(34) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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……ん。
[灰色のスクランブル交差点で ぼうっと幽霊のように立っている男が一人。>>@11>>@12]
ヴェスパタイン?
[ミッションの事、死神の事を考えれば きっと話しかけている場合ではないのだろうが、 その様子がどうにも儚く見えたから 小さくその名を呟いた。
その声は雑踏に紛れたかもしれないし 何かを思案している彼の耳には届かないかもしれない。>>@13 俺は卯月に話しかけられる少しの間、そちらを見ていた。]
(35) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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[七日前よりも随分痛々しい姿で立つ白兎>>30>>31は その瞳にだけは強い光を宿して居るように見えた。 俺は眉間に皺を寄せて、 顔を叩いたりして己を奮い立たせる彼女を見守る。
頑張りすぎるなよ、とか。 言いたいことは山ほどあった。 けれどそれを今言えば、 彼女の勇気を挫くかもしれなくて、]
……ああ。 生き残って、生き返ろう。 ………………。一緒に戦ってくれ 卯月 [口下手にそれだけを言って、
重ねられた手を握り返し 歩きだす。]*
(36) 2016/06/17(Fri) 22時頃
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誰か、居た?
[低い身長で彼の目線に合わせようとしたけれど 何かわかるわけでもなくて、首を傾げた 生き残って、生き返ろうって言われて。きっと自分は一緒に行けないって思ってるから 曖昧に笑みを返しながら]
ん、行こっか! 場所はわかるよね?私は昨日行ったからわかるけどさ!
[とか、冗談半分に特に歩き出して 周りの参加者もきっと居たのだろう。昨日助けてくれた人も居ただろうけれど、よく見てはいなかったから 手を握られて嬉しそうに笑って]
(37) 2016/06/17(Fri) 22時半頃
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一緒に戦うよ、ごーちゃん 主犯に引導を渡す…んだっけ! 大丈夫、私にも出来るから!
[その手に力をこめて、目指す先は北区へと*]
(38) 2016/06/17(Fri) 22時半頃
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[いくら、甲羅が硬くても、 甲羅のない、柔い部分を突かれてしまえば、ひとたまりもない。 中々近づけなければ、何体かは鋏を投げるけども、それも弾かれてしまうか。
少しでも、カニの群れへと意識の向いているその間に、 四体のノイズ<フォックス>が、サッシ等の凹凸を利用して、宵越屋の壁を駆け下りる。 傘持ちは、それを追いかけるように飛び降りて、 ふわり、 降り立つ。]
(@14) 2016/06/17(Fri) 22時半頃
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………――
[男の名を呼ぶ声を、自分の能力は聴いた>>35]
[そうだ、そう。ヴェスパタイン。自分の名前は。 そして私は、死神だ。
もう死んでいるのだ]
………マスター。
[スカイタワーを見上げ、呟く。 幾何、八千代、沙音の名も続けて呼ぶ。自分の同胞達。寄せ集めとはいえ、仲間として端末で繋がりを持った者達]
すまない。
[ ぽつりと。 ]*
(@15) 2016/06/17(Fri) 22時半頃
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