255 【ヤンストP村】private eye+Violine
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………そうだね。
[――、ぼそりと呟く声に 私は小さく頷いた。
そう、だね。って嘘をついた。 連れられる先は、街はずれの小さな家だ。 それは私たちの家によく似て、でも、違う形の家。 此処は、お仕事で使っていたものなんですが
―――『旦那さまがまた会いにきますが、 それまでは、ご自由に』*]
(20) 2018/12/10(Mon) 22時頃
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[良い人のように。 オズワルドという男は、黒い車から 二人をおろし告げた。ただし、街にはでないこと。 かくまえるとはいえ、自警団に見つかればどうしようもない そう言い残せば、必要なものがあれば電話を。
と、食材や日用品はあることも知らせ ――――離れていった**]
(21) 2018/12/10(Mon) 22時頃
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[背がベンチの背凭れに触れた。
後から思えばあれは逃れようとしたのだと思う。
だが己の手は彼女を突き飛ばしたりはしなかった。
足は利かないが手は無事で、傍らに杖だってあった。
イルマに介護で鍛えた力があっても、
毎日の配達で鍛えた体力バカの男に叶うはずもない。
だが、それでも突き放すことはできないまま。
囁きが落ちて抱き寄せられて、
鼻先に柔らかな丘陵の感触が布越しに伝わり、瞠る。
ああ、女の子だよな。
なんて関係ないことを過ったのは、
寧ろ、余裕が無いからだろう。
食べるってなにを言っているんだ、と、
深く考えるのを拒否したからかもしれない]
[沸いた体調不良の意味。
珈琲も栄養剤も悪くは無かったのかなんて、
そんなコト考えてしまえば、きっと。
胸元に顔を埋めたまま首へ突き刺さる刺激に、
僅かに柔らかみに顔を押し付けたのだけが抗いで。
意識は滑るように泥濘に沈む。
その先をどうしたのか知る術などなく、
夢の一片すら見ることのできない深い眠りへ]
─隠れ家?─
[曖昧な感覚の中、息を吸う。
──喉を引き裂くような痛み。
慌てて吐き出す。
──そっと吐いたおかげで痛みは和らいだ。
皮肉にもその痛みが覚醒を促し、瞼を開ける。
どこだろう、と過るのは、不安からだった。
その不安が間違いだったのを知るのは、
足を繋ぐ重みに捻った足首の痛みを思い出し、
それから繋がれた事実を知ってから。
無論のこと、その凶行を行った主のことも、
どうしてこうなったかを思い出せば不安は散る]
……イルマ
[掠れた声で名を呼んでベッドから上身だけを起こした。
意識のない相手は体重以上に重く感じるはずで、
これをイルマの細腕で為したなら相当疲れただろうと、
状況に釣り合わない心配もじわりと響く声音。
まさか協力者がいるなどとは思いつきもしない]
イルマ
[もう一度、今度は静かでしっかりとした声で呼ぶ。
喉が痛い。足も薬が切れたかまた痛み出した。
腕の擦り傷はその痛みと混ざって、
気にならない程度の苦痛だったが眉だけは寄せる。
呼ぶ声音は日常より穏やかだった。
憐れだな、と、自嘲の響きを押し隠しているが、
その片鱗を知るには瞳を覗き込まねば無理だろう。
あるは一挙一動、常から己を監視し続けたなら別だが。
目に見えるものだけが真実とは限らない。
それを忘れるくらいには彼女を信頼していたのだと、
今更ながら知ったことには、そんな自嘲しかない]*
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[出て行けと言ったのに、声が近くに聞こえた。 だが、無視をする。 よくわからない女と関わり合いになりたくない。
この女が本当にサイラスの友人か。 それすら疑いたくなってく―――]
―――っぐ
[瞬間に、項に電流が走る。 激しい痛みで、膝から力が抜けた。 そのまま倒れ込みながら背後に視線をやる。
――女の手に、何かの機械が握られていた。]
(22) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[視線はそのまま女を通り過ぎる。 その先は、開け放されたままの扉。>>14
時刻は夕暮れ時。 夕食の買い物客、帰宅を急ぐ学生、飲み屋に向かう勤め人―― 様々な人が行き交う、賑やかな日常の雑踏。
そこへ向かって、手を伸ばした。]
――助、け
[指先は痺れ、這う事すらままならず、店主はその場で気を失う。 店内の非日常の光景から、日常は遠く――*]
(23) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[タオルで髪をぽんぽんと叩いて湿り気をある程度取っている間、
自分の唇はタコになっていた。
先ほどから眠たそうにしてはいたけれど、
この収まりのつかないモノで一晩居ることになると思うと億劫であった。
ただ、タオルを取ればそこにはいつもの自分を見せていて、
身体を拭くに任せてくれるのだからと楽しみながら身体を拭いていった。
お股は特に優しく丁寧に。
タオルの感触が擽ったいかもしれないけれど――]
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ああ。 お前に罪は無いから。
[>>16矛盾であるものに聞こえたかもしれない。 しかし、その矛盾をうまく言葉で伝えられない。
家族を奪うと突きつけられた時に フローラを妹だと自覚してしまった事は 恨んでいても好きだという矛盾と>>17 似たようなものかも知れないと思ったもので。
妹が震えているのは寒さからでは無く>>19 残された日数しか共に居れない現実に>>18 怯えているのかもしれない。
今は、――消える事が外で死ぬ事が、 アポロにとっての望みとは言い難い。 自身が居なくなった後、妹の無事が保証される 確固たる約束など、結ばれていないのだから。]
(24) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[掠れた声が名前を呼ぶ。
私はゆるりと振り向いて。
その姿を確認すれば微笑んだ。
もう一度名前を呼ばれて側に寄る。
表情が少し強張っているように見えた。
この状況のせいなのか。
それとも怪我が痛むせいなのか。
彼が内心でどう考えているなんて。
そんな事分からない。
分かっていればこんな事しているわけがない。]
[私はただ彼を愛しているだけ。
私はただ彼と離れたくないだけ。
私はただ彼に食べられたい。
私は彼と一つになりたい。
ずっとずっと一緒にいられるように。
父と母がそうしたように。
私は兄のようにはらない。]
どうしたの?
傷が痛むのなら鎮痛剤を持ってくるよ。
喉が痛いのなら水を飲んだ方がいいねぇ。
[腕は動くからグラスに水を注ごう。
私は一度立ち上がって水を持ってきて。
それからベッドに腰掛ければぎしりと音がした。]
今日は何が食べたい?
食欲がないならポタージュがいいかなぁ。
肉料理はね、まだ早いと思うんだよねぇ。
そうだ、トマトのスープにしよう。
真っ赤な、トマトのスープ*
[ノッカの身体を拭き終われば次に自分の身体を拭いて、
その身の胸元にタオルを巻きつけると自身は裸体のままで再びノッカを横抱きに抱き上げて仮眠室へと向かった。
仮眠室に到着すればベッドのシーツをはぎ取り、
新しいシーツを敷いてノッカをベッドの上に乗せた。
乾いた清潔なタオルをノッカに差し出して、
後ろ頭を掻く]
ノッカ、こんな愛し方だけどね
自分は愛したいって思うんだよ?
[言葉にするのは難しい。
ノッカを離したくないと思ったのだけれど、
どうやってそれを伝えるのかが分からない。
結局は、口をへの字にされることしかできないのだけれど――]
寝るときは、どんな服を着ます?
持ってきますよ
[その話は起きた後にしよう。
と――寝間着のリクエストを問いかけた*]
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[だから、今の望みは。 生きたいなんて薄い望みではなくとも。
妹がこの街で幸せに過ごす希望を得たい。
この偽善がどこかしこに潜み、 生贄を探し続けるこの街に そんな希望があるのか、知れないけれど。]
(25) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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―街中―
[キープアウト、キープアウト。 塞がれた道。提示された迂回路。]
あの、パンを買いに行きたいのですが……
[何処に行けば問うも、検索してくれとあしらわれる。 調べても出てこない事なんて、多いにあるのに。]
OK、近くのパン屋さんを教えて。
[首を振る。あの店には、もう行けないのに。 更新をされない情報。]
(26) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[ポストを見付けた。 少しだけ迷って、結局手紙を出すことにした。
更新をされない筈の情報。宛先。 孤児院に戻されても、無事に配達されるかは分からない。]
……そうだわ。区役所に行かなければ。
(27) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[紙袋を被らされていたもので、 此処が何処であるかは見当がつかない。>>20
あちこちにデッサンのアテを求め出向いているが ゲートに近い外れた区画なのかも知れない。 オズワルドの私有地のような紹介は受けたが それ以上の詮索をしてもあまり意味は無いのだろう。]
旦那様? [義母方の親戚だろうか。 一体、どんな益を求めにやって来るのか解らないが…。 後からの買い足しは出来るようなので>>21 一先ずは家の内装設備を見てみない事には解らない。 車椅子を動かし、その家へと向かおうか。]**
(28) 2018/12/10(Mon) 22時半頃
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[くぁ、とあくびを噛み殺す努力をする。
でも、あたしを抱えるそーさんの顔はすぐ傍だし、
あくびをしたことなんて、
すぐに気づかれてしまいそうだ。
綺麗になったベッドの上。
タオルを差し出されれば、
あたしはそれを受け取って、肩にかける]
…… そーさんは、たぶん。
わからないだけなんですね。
[器用なようで、不器用な。
何でもできる人だと思っていたけれど、
気持ちを伝えるのは―― 、
彼自身の気持ちを理解するのは、へたくそな人]
[だから、あのように
迷子の子供のような、顔をする
あの日、
公園で泣いていたあたしを慰めてくれたのは、
そーさんだった。
たとえそれが、偽りの面だったとしても。
あたしは、あの時救われた。
そーさんのおかげで、あたしは元気になれた。
なら、今度は―― ]
寝やすい服なら、なんでもいいです。
[でも、今は眠いから。
話をするなら、
もっと頭が回ってるときが良いと思ったから。
問いかけには、
あくびを噛み殺しながらそう答えた。
寝るときにジャージを着るような女に、
可愛いパジャマをリクエストするなんて発想は、
あるはずもない*]
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[…――アベル・サキヤマの、死亡届を出しに。]**
(29) 2018/12/10(Mon) 23時頃
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ん、わかりました。
下着はつけて寝ます?
[+51寝やすい服を思い浮かべて、下着の必要性を問うて一度仮眠室を後にする。
別段ノッカを一人にしても問題はないだろう。
逃げられる場所はどこにもないし、裸だからだ。
向かった先は大部屋の、シャワールームの反対側。
そちらに唯一ある扉を開けて中に入り、
少ししてから扉から出てきてまた閉じた。
その時には自分はシャツとハーフパンツを履いていて、
手にはふわもこしている着る毛布を持っていた]
[それはうさぎさんを模したようなもので、
着ると温かいし抱きしめても温かい。
一石二鳥な代物であった。
なんでもいいらしいのでそれを選んだわけだけれど、
仮眠室に戻ってそれを手渡したらどういうだろうか。
少しだけ楽しみであった。
もちろん、今夜は一緒に寝るつもりで、
ノッカを抱きしめて寝たいか選んだわけでーー**]
[当たり前だと言うように、
何度もうなずいた。
世間には下着もつけずに
寝る人もいるようだけど、
あたしは下着も服も着て寝る派だ。
その意を告げれば、
そーさんは部屋を出て行く。
ひとりになったあたしだけど、
別に、今は逃げるつもりも毛頭なくて。
静かになった部屋を、ぐるりと見回す。
あたしの部屋にあった物のいくつかが、
部屋には置かれていた]
……………………。
[つまり、あたしの部屋ってことなのかな。
知らない部屋だから、落ち着かないけれど]
違うだろ
[長い髪が揺れて振り向く姿は、
何時もより晴れやかな笑顔に見えた。
目に見えるものだけが真実とは限らない。
己の視界に映る モノ の全ては、
思い込みと想像その限界の枠内に収まっている。
とは、大学の時の授業で聞いた話だ。
きっとイルマへもそうしていたんだろう。
可愛いなと思う表情の裏側、その真実。
幼馴染が見せる笑いが晴れやかでも、
その内心を余す所なく暴くことができないのなら。
自分の都合のいい世界を、
無意識とはいえ見ていただけに過ぎない。
だから、もう一度]
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