273 魔性の病院【R18ペア】
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[部屋を出る直前、ふと食事の乗ったワゴンに目が行った。 彼の食事には適さないなら無用の長物だし、自分にとっても必要ないものだ。 放っておけば誰かが片付けるだろうが、わざわざ魔王が用意させたものというのが気になって覗きこみ、チーズをひとかけ口にしてみる。
要は、好奇心に負けたのだった。]
(55) 2019/12/11(Wed) 11時頃
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黍炉は、その味は…1
2019/12/11(Wed) 11時頃
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[口に入れた瞬間、動きが止まった。 これは一体何なのか。 今までに味わったことのない旨味が口に広がり、感動すら覚える。 世界に色が付いたよう、とはこのことか。
舌を喜ばせた豊かな風味が喉を下れば胸の奥から喜びがあふれるほど。 これほどの滋味に出会えた幸福に身体が震える。]
………。
[未知の感覚をもたらしたチーズを暫し凝視した後、そっと皿に戻す。 そもそも吸血鬼である己は血以外の味をあまり感じないのだ。 なのにこれほど美味と感じるのは、おかしい。 なにか術が掛かっているに違いなかった。
単に魔王の歓待の印であれば申し訳ないが、そうだとしてもこれは病みつきになる危険物だ。 君子危うきに近寄らず、と今更のような言葉を呟いて、病室を後にした。*]
(56) 2019/12/11(Wed) 11時頃
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─ 魔王の部屋 ─
[入院患者たちに振舞った特別料理は、フルコースで魔王に供されてある。 贅を尽くしたそれらの料理を味わいながら、時折青年に投げ与えて食べさせる遊びをしていたが、ふと思いついて黒髪の青年を呼び寄せた。]
余の手から直に食べるを許す。 舐めてみよ。
[許可の言葉に青年は満面の笑みを浮かべた。 指先に肉片を乗せて差しだせば、飛びつくように咥えて指までしゃぶる。 丹念に舌を使う青年の肩から肉が盛り上がり、肌を突き破って真っ白な翼が広がった。]
(57) 2019/12/11(Wed) 23時半頃
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[天使のような美しさという言葉は、魔界では賛辞にも悪口にもなるだろう。 白い翼を背負った青年は確かに無垢を感じさせて、天使という比喩に相応しい。
今宵の遊びは、翼を毟るところから始めよう。*]
(58) 2019/12/11(Wed) 23時半頃
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