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─とある夏の話─
[夏は夜。月のころはさらなり、やみもなほ
ブルーライトの多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ずっとうち光りて行くもむなし。
バグなど出るもむなし。]
[どっかのアプリのパクリみてーな企画が通って
適当にこなす傍ら、社長が昼間の空調を浮かそう
と言うから夜仕事することになった。]
[それなりに暇だから、と始めたフィリップの言葉覚え。
うまく行けば小遣い稼げるかなーと思えば
普段よりは愛想よく笑いかけてやる。
そうすると、馬鹿のひとつ覚えみたいに言葉を喋るもんだから
俺は端末のレンズを向ける。]
[ヒトの真似事するインコを見ると
言わされてる感満載の彼にわずかばかりの憐憫を。
他の大多数は下心だ。
なんたって、言わせてるのは他でもない、この俺。
そんなことを賢しく察したのか
いつしかフィリップはレンズの前で物言わぬ置物と化した。]
[夏の終わりにわずかばかりの憐憫の残りがそっくりそのまま怒りに変わった。]
【人】 忍者隊 ジェームス――中央区901前―― (153) 2016/06/14(Tue) 00時頃 |
─とある秋の話─
[秋は夕暮れ。夕日のさして画面の反射したるに
間借りの寝どころへ行くとて、三時四時
二日三日など飛び戻るさへ哀れなり。]
[急に仕事が増えた。まあそれは良いことなのだが
大して高くもない報酬を振りかざして相手は
傍若無人に納期を変え注文を変え。
納期の迫った焦りから発注ミスやメールの確認ミスが続く。
周りの足場がぼろぼろとなくなっていくような。
手詰まり感に息が詰まる。
仕事をしなくては、やればやるほど首が締まるような思いだが
それでも仕事をしなければ挽回はあり得ない。
進むしかないのだ。]
メモを貼った。
【人】 忍者隊 ジェームス 親が子に愛を…… (154) 2016/06/14(Tue) 00時頃 |
…………輝にいが、同じ目にあったら…
……………………。
[
思い切り、反論できない問いが来た。
もし自分が死に掛けていて。
もし、それを狙う皆方が殺されたら。
あぁ、そうだ。
綺麗ごとなんてきっと、言えない。
自分も、その相手を狙うだろうなと。
そんな事が、容易に想像がついて。
でも、今の皆方は止めないといけないと。
適切に誘導できるよう、言葉を飾ろうと懸命に考えて。]
…本人、ぶっ殺になる。きっと。
[俯き、背中をむいてぼそりと答える。
若輩者には、結局、本心を告げる事しかできなかった。*]
[疲れて自宅に戻ると期待を内に孕んでいるなど気づきもしないうちから、件の言葉を受け取る。この男にとって一番の地雷。
この春からずっと抱えていた細やかな不満が
たまりにたまって、この小さな穴から勢いよく噴出するのだ。]
[激昂のまま酷い言葉を口にする。
けれど頭の中ではもっとひどい言葉を思い浮かべていた。
預かった命を、俺は自分の人生の荷物としか思っていなかった。]
[秋の終わりに苛立ちを通り越して無関心を決め込んだ。]
─とある冬の話─
[冬はつとめて。デバッグ作業はいふべきにもあらず
データのいと白きも、またさらでもいとむなしに
納期など急ぎこなして、取引先わたるも、いとつきづきし。]
[寒いと思って暖房をつけてやったがために
家にいないにも関わらず光熱費はかさむ。
全くもって無駄だ。俺は命をすり減らして
あいつの暖房代を払っているのかと思うとまた虚しい。]
[そういえば最近大してフィリップに構ってねーな。
はー、インコって後何年くらい生きるんだろ。
そんなことを思って、こたつで寝て風邪ひいてを
繰り返している間に冬は過ぎていった。]
[冬の終わりにまた春を知る。
少なくともフィリップは春よりは抜け毛が増えたし
目つきが声がどこか刺々しい気すらした。]
本人を殺しても、アイツへの報復にはならないさ。
[それは、つまり狙うのは、その相棒]
俺は、俺が死んだところで、
自分がロクでもないから、あっさり受け入れるさ。
だが、お前が殺された。
これは、許せない。
アイツにも同じ目に遭ってもらう。
[自分たちの立場でも、モリ区は視認できる。
となれば、コンポーザーを追うしかない]
俺をとめたいなら、
お前も頑張るんだな。
[それは、コンポーザー戦では、最終的には個人戦になることを意味している。]
メモを貼った。
[ぼわりと霞のような意識が浮上して
またかつてのトリの形を作ったのは
聞いたことのある叫び声
[ぱちり、目を開く。]
[裂けたはずの眼球は元に戻ったのか
視覚情報を伝達しているようだ。]
フィ、リッ……プ?
[命の叫びとも呼べるその言葉を
ぼんやりとした頭の端に留めて。
俺、あいつに言ったっけ?
「一緒にいる時間、増やしてくれる」
考えがテレパシーでダダ漏れていたことを
寿はまだ気づいていない。]
[追って、フラッシュバックする映像はゲームに負ける直前。
コマ送りのように笑顔で口を開く俺の姿と
横から大口開けて飛び込んでくる鮫のノイズと。
それは俺ではなくフィリップで。
彼が喰われて、このサバイバルゲームに敗北したこととなった。]
バカヤロウ……!
アンナメニアッテ マダヤルノカ?
[零れた想いは彼には届いたのだろうか。]
―――!?
[皆方は、多分頭に血が上っている。
今、議論するのは火に油を注ぐのではないか。
そんな事を考え始めていたとき。
生命力に溢れていた叔父があっさり、生に見切りをつけていた事にとても驚いた。
思っていた前提からして間違え。
最初から、彼のゲームを遂行する原動力は相方の自分で。
だからこそ、そこまでの怒りを顕にしているのだと思い知る。]
……頑張るよ。
…輝にいがその…つもりなら…
それはもう………全力、以上で頑張る…さ。
[皆方の感情が良くない方向へ向かっている事はわかる。
わかっているけど、自分の言葉では届かないし、手を伸ばしても止められそうもない。
無力感に、声が揺れて目頭が熱くなる。]
輝にいが…自分のこと、ロクでもないとか…
死んでも……かまわないとか…思っていても…
俺……そんなの受け入れられねーし…
だから、自分も生き返りたいし…輝にいも生き返らせたい。
止めるから……輝…にい…絶対……止めてやるんだからな……
[「うっせー!それなら俺が止めてやる!」
いつものように、こう、強気に返したいのに。
そう言って睨みつけ、自身満々に宣言をして…それがいつもの自分だと思うのに。
自分と皆方の能力差は十分に把握できていて
心の中の冷静な部分が、普通に生き返りを目指す以上に困難だろうと囁いている。
結局、我侭を言って泣きじゃくる子供のような態度しか取れず
辛うじてそこまで言い終えると、後ろを向いた。**]
【人】 忍者隊 ジェームス[自販機でコーヒーを買った。 (172) 2016/06/14(Tue) 12時半頃 |
【人】 忍者隊 ジェームス 俺の親父も警察官でな、 (173) 2016/06/14(Tue) 12時半頃 |
【人】 忍者隊 ジェームス 親父がくれたものがあったんだが… (174) 2016/06/14(Tue) 12時半頃 |
【人】 忍者隊 ジェームス (175) 2016/06/14(Tue) 12時半頃 |
─スクランブル交差点─
[この馬鹿げたゲームが始まった頃のように
振り出しに戻った気分。
死んだ上に負けたのだから、可能性としては砂粒ほどしか
ないんだろうけど。
誘うように消えていったヒトガタ
追ってミタマ電機へと羽を広げた**]
つか、お前、どこまでお人よしなんだ?
俺がいい人間に見えるなら、勘違いだ。
俺は、まともなコトはしていない自信だけはある。
[これはあながち間違っていない。
まっとうな職を捨て、ヒモ生活をしているなど、
圭一の姉貴も散々、説教たれているのだ。]
だが、俺はな。
自分がどーでもいいってうワケじゃないの。
お前がどうでもよくないの。
その違い、わかってるか?
[死にそうなメソメソ声に、大きくため息をつく。
真面目でまっとうなヤツは、くよくよもするものなんだ。よく知ってる。]
メソメソしやがって
そんなんで俺を止めるって、ほんとによー。
[できるわけないじゃんオーラを態度で示しつつ、後ろ向く子に肩を竦めた。]
ったく、計算的にやってるのか、それとも素なのか。
お前は放っておけないやつだな?
[そして、後ろ首根っこ掴むとこっちを向かせた。強引に。そりゃもう。]
しっかりしろやぁあ!
自分が間違ってないって思うなら、もっとちゃんと言え。
[そして、ミタマ電機方面にずるずる連れていくのだった。
ええ、もう、強引ですよ。**]
─ミタマ電機─
[まぁ飛べるというのは便利なもので。
電気屋の上空へと飛べば
さきほどぼんやりと見えた人影がそこにまだあっただろう。
そんな誰ともしれない影にひとつ問いかけを。]
ヒトツ キキタイ
ナニガネライ?
シンダヤツニ コンナフウニ
イキカエルヨウイヲシテヤル ギリガドコニアル?
[片言の言葉は相手に伝わるだろうか。
インコの身で、言葉がうまく伝えられない
もどかしさよりも、疑問が上回る。
中学からつるんでたよく出来た同級生と比べられるのが嫌でこっそり決めた都内の高校(結局そこにも奴はいたんだけど)。その時から既に家は出て、一人暮らしをしてたけどそんな糞ガキの頃から都会に揉まれたヒトシの持論は「100%の善意で動く人間などいない」だ。]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
…――…――。
[まともな声にならないので、後ろを向いたままゆるく首を振る。
叔父が素行の良い人間に分類されていない事は充分に知ってる。
その事で母がよく、どうにかならないのかと零していた事も。
そんなところも含めて、「輝にい」だったし、今一番自分が生きていて欲しいと思う相手だ。]
…………!?
…違…い…
[背後で聞こえるため息混じりの声。
自分自身がどーでもいいと考えているわけじゃなかった。
まさに額面通りに受け取っていたので、少し顔が上がる。]
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