241 The wonderful world -7days of KYRIE-
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[立てる?と差し出された手を握れば なんとか起き上がり膝をつくことができるだろう。]
だって仕方がないだろう。 私のサイキックは音単体だけでは たいした威力が出ないんだ。
カンガルーから君を守るためなら、 これくらいは……
[そういって目線を落とし、 身体についた汚れをはらって。 彼女の手にある赤い果実を見れば、 ニッコリと笑って見せただろう。]
(178) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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[声を潜めるニーナには同意して、 お言葉に甘えて背中に乗らせてもらう。 どちらかというと華奢なほうの私の身体は ニーナ程の力があれば難なく背負えるだろう。]
すまないな。よろしく頼んだ。
[ニーナの背中にしがみつき 西のほうへ向かう足取りを考えれば。
……あぁ、なるほど。「めいかい」珈琲店か。]
(179) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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−盟海珈琲店−
[隠れ家のような雰囲気の喫茶店には 香ばしいコーヒーの香りが漂う。
ミッションの文章の解釈が合っていれば ここに果物を届ければいいはずだが。 果たして中の雰囲気はどんなだったか。]
(180) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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[さて、入ったお店の中は、 ______何故か重苦しい空気が流れている。
若いマスターと、カウンターには 2人の客>>#11がいるようだが 何やらその姿は哀愁漂うもので。
原因の一つはメニューにあるらしく、 お店のお品書きを見れば、 あるデザートに横線が入っている。]
(198) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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……あぷふぇるしゅとぅるーてる?
[みたことのないカタカナに首を傾げる私に、 ニーナはすかさず簡単な説明をしてくれた。 どうやらアップルパイのようなもので、 マスター曰く贔屓の取引先が潰れて 林檎が手に入らなくなってしまったそうだ。
そして事情を知らずに遥々やってきた男性が 肩を落としていると聞けば。 私はちらっとニーナと目を合わせ>>194]
だったら、このリンゴ使ってくれ。
[そう言ってニーナから渡されたリンゴを 若いマスターに差し出した。]
(199) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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[ニーナのほうはどこかで見覚えのある 黄色い男性>>#12に話しかけに行った様子。
そりゃあ勝つときもあれば負けるときもあろうて。 ……ジェネシスは実は私もよくわからないけど。 そんな風に内心励ましながら。
まあワラワラ寄ってたかるのも悪いし、 私は少し離れた席で適当にコーヒーでも頼んで 暫し体を休めていただろう*]
(200) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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−盟海珈琲店→−
[店を出れば、ニーナは早速 東のバナナストアへ向かうという。 ……バナナストアって、確か東エリアの しかも最東端にあるんじゃなかったっけ?
しかし先程の戦闘による身体の傷、 少しばかりこのままでは心もとない。]
すまない、私は少々兄間薬品に 立ち寄っていくつもりだ。 完全に私用だから、君は先に バナナストアに行っててくれないか?
[蕗之原ストリートを東に行くならば ちょうど道中に件の店はあるだろう。 私はそこでニーナを見送り、 店内へと入って行く**]
(202) 2018/05/22(Tue) 12時頃
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−兄間薬品−
[ニーナには強がっていたけれど、 怪我のほうは予想以上に思わしくなく。
よく見ると、みぞおちはもちろん タックルをかました際に肩にできたアザや 転がったときにできた傷なんかで 身体は思ったよりも満身創痍だった。
手当たり次第に湿布と鎮痛剤、 消毒液と包帯は昨日怪我した相方の分まで買って。 高所に手を伸ばせば、それだけで みぞおちの辺りに鈍痛が走る。
それでも人前でしかめっ面は見せず。 何よりもこの少女負けず嫌いだったから。**]
(205) 2018/05/22(Tue) 12時半頃
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[パートナーの吐息もものともせず
雑に飛び掛った男の突進も見事かわして
ピグノイズはつったかたー!と。
どこかへ見えなくなってしまった。]
…………
[俺はというと、水族館の入り口にて
地面に突っ伏して動かなくなっていた。
(生きてます)(死んだが)]
――ぐぞう…あのブタ、
なんか食いもんで釣ったりでもしないと
あの素早さ……今の俺には辛いものがある。
[参加者だったときは手足が燃えましたので
擬似的な身体強化も出来ていた。
試しに寝転んだまま掌に力を込めて開いてみると
灯ったのは可愛らしい掌サイズの炎。
ぽいっと放ろうものなら空中で消えた。儚い。
思えばパートナーも不服そうにしていた。
今までより確かにサイキックが弱体化している。]
[―だが、確かにまだ炎は消えていなかった。
内側で燃え続けている。]
仕方がねぇな…。
こうなりゃ生身とこれでやれるだけやるか。
[よいしょ、と身体を起こして
土がついていれば軽く払う。
それから、いつものようにパートナーの傍に行って
作戦会議を始めよう。]*
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−兄間薬品付近・路地裏−
[私は、人通りの多い交差点ではなく、 ほとんど人の通らない細い路地裏を選んで バナナストアへと向かっていた。]
(222) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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[雑踏で賑わう現代の都会の裏側、 ほとんど陽の当たることのない静かな路地。 私の歩むローファーの音だけが カツンカツンとコンクリートに響く。
目につくのはゴミか落書きばかり。 参加者はおろか死神の姿すらそこにはなく。
この身体で参加者に会いたくないという警戒心が 私を路地裏へと向かわせたのかもしれない。]
(223) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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[……しかし、私はそれに囚われるあまり 大事なことを失念していたのだろう。 警戒すべきはもっと他にあっただろうに。
______さらに入り組んだ薄暗い道で ビル影から突如として現れた黒い影。
深い漆黒を纏ったウルフは 僅かに口元に光る鋭い牙を向け 少女の中段目掛けて襲いかかった!]
(225) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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……っ!!
[私が気付いた時には既にゼロ距離で。
咄嗟に防御の構えを取ることもできず、 右足を踏み込んで回避を取ろうとする______]
(229) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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[その刹那。再び体芯に襲いかかる鈍痛。
一瞬硬直した身体は黒い影を交わしきれず、 ケモノの鋭牙は一瞬で右腕を紅に染めた。]
(230) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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きゃっ……!!
[血飛沫と共に、鋭い痛みが身体を襲う。 腕を見れば、牙による亀裂が2本。
着地したオオカミはまだ物足りなさそうに こちらを睨みつけて威嚇している。
もちろん奴を倒さなければならないが、 まずはこの傷をどうにかしなければ このままでは出血多量で倒れかねない!
私は急いでオオカミから距離をとり、 転がった包帯を拾って止血をした。]
(231) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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[ひとまず落ち着き体勢を立て直せば ようやく相方にテレパシーを試みる。]
兄間薬品の近くの路地裏に来てくれ。 ……正直マズいかもしれない。
[それでも、詳しい状況を話す暇もなく 二度目の襲撃が飛んでくれば、 今度は虹色の幕でなんとか交わして。]
とにかく急ぎだ!!
[それだけを伝えて、オオカミの方に向き直った。**]
(232) 2018/05/22(Tue) 18時半頃
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−回想・叶わぬ願い−
あー。あー。
[恐る恐る、それでも期待に胸を膨らませて 少女は声を発した。]
(249) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[少女は二度目の手術を受けた。 今度の手術は、人工声帯を取り付けて 喋れるようになるための手術だった。
結果は見事成功。 少女の喉には新たな声帯が取り付けられ、 再び喋ることができるようになった。
家族も医者も友達も、 みんな少女のことを祝ってくれた。]
(250) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[ある日家族がお祝いパーティーを開いた。
『良かったわね!また歌が歌えるわね!』
お母さんは涙を流してよろこんだ。 お父さんはご機嫌に酒を飲んでいた。
けれど、みんなが盛り上がる中で 本人は仏頂面のままだった。]
こんなのただの電子音じゃないか! 感情も何もない。私の声じゃない!!
[少女は突然手に入れたての声で叫ぶと、 バタン!!と大きな音を立てて 自分の部屋に閉じこもってしまった。]
(251) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[少女は暗い部屋で泣き叫ぶ。]
誰が私の声を奪った? ______私の声を返せ!!*
(252) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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−現在・死闘−
はぁ……はぁ……
[私は顔を青くしながら 1匹の漆黒と対峙する。
オオカミが爪や牙を立てれば、 こちらも負けじと五線譜で応戦。 しのぎを削るギリギリの闘いの中で、 相方の姿はまだ現れず。
私は死ぬわけにはいかない。 声を諦めるわけにはいかない。]
(253) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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うああああああああああ!!!
[どんどん身体が蝕まれていく中で、 少女は残された力を振り絞って五線譜を生み出す。
それは少女の周りをただよい、 少女は五線譜を纏って音と一体化した。]
(254) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[フッ______と一度息つけば、 少女はしゃがみ込んで。 覚悟を決めるようにして。
そして痛みを我慢しながらも 力の限りローファーで地面を蹴り、 遥か上空へ飛び上がった。
少女と共に纏わり付いた五線譜も 虹のスプリングを描いて。
そして少女の目がオオカミへ狙いをつければ。
2つの音が重なる時、 初めてハーモニーが生まれる。]
(255) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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ブラックシャウト・ハーモニクス!!
[虹のスクリューを纏った少女は 一気に地上めがけて飛び込んだ。
それは錐揉みしながら、 オオカミ目掛けて一直線に加速する。]
私は!!歌を!!諦めない!!
(256) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[まさに少女が音と化し、 W音速Wへと辿り着いた時。 少女が勢いよく着弾すれば、 五線譜は弾け飛んで虹色の波と化す。
楽曲のフィナーレが路地裏に響き渡れば、 後に残るのはクレーター痕と少女のみ。]
(257) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[少女に余力はなかった。]
はぁ……私はもうダメだ…… ちょっと休ませてくれよ……。
[顔面蒼白で呼吸もままならぬ少女は、 バタリと壁にもたれかかり、力なく崩れ落ちる。
たしかにオオカミは倒した。 しかし、それは群れの僅か一角に過ぎない。 少女の虚ろな目にうつったのは、 自分を取り囲む7匹のオオカミ達。**]
(258) 2018/05/22(Tue) 21時頃
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[ 豚という生き物は、
自分たちが想像するより
ずぅっと素早いのかも知れない。
パートナーの健闘もむなしく、
冷凍豚を逃れたノイズは何処かへ行ってしまった。
多分もう追いつかないな、と、
参加者"だった"ころより幾分か温くなった頭で考える。
指先を口元に添えて、
隣のパートナーを碧でちら、と見た後、 ]
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