204 銀花の咲く路、灰白の世界で君を想う
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──→ 駅前のデパート ──
[ 海と別れた後、 私は駅前のデパートに来ていた。 もちろん、クリスマスプレゼントを買うため。 ]
( やっぱりこれ…かな )
[ 手にしたガラスの箱には “Twinkle, twinkle, little star"の文字。 雪の結晶があしらわれたネジを回せば きらきらぼしの素朴なメロディーが流れる。
……そう、私が選んだのはオルゴール。 ]
(351) 2016/12/18(Sun) 01時頃
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[ 手のひらサイズで、デザインもシンプルなそれは 他のオルゴールよりもかなり安価で 予算もオーバーしてない、はず。 ]
( いらないって言われたらどうしよ… )
[ そんな不安もあるけれど おほしさまを見上げるサークルだもん きっと喜んでもらえる…よね。 ]
(352) 2016/12/18(Sun) 01時頃
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[ 綺麗にラッピングされた紙袋を手に 私はデパート内をウロウロ。
綺麗な女の子に暴言を吐く輩を見かけることは、なく もしその場に遭遇していたら>>332
「 ぼけっとしてるのはどっちよ 」
……なんて、噛み付いてたかもしれない。 ]
(355) 2016/12/18(Sun) 01時頃
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[ ふと、立ち止まったのは 女の子らしい、キラキラしたお店の ショーウィンドウの前。 ボルドーの綺麗なワンピースに思わず目を奪われれば ほぅ、と小さなため息が出る。 ]
( いいなぁ…… )
[ 自分とは無縁の世界だ。 とてもじゃないけど、 あれを着た自分が想像できないし きっと、いや絶対に似合わない。
店員さんが中から出てきて試着を勧めるけど ぺこぺこ頭を下げてお断りした。 ……けど、すぐに離れることはできず ガラス越しの輝く世界を、 私はじっと、見上げていた。 ]
(363) 2016/12/18(Sun) 01時半頃
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[ ぼーっと、ショーウィンドウを見つめていれば 聞き覚えのある声に名前を呼ばれて>>367 私は大きく肩を揺らす。 ]
うぇ、あっ……里咲!
[ 咄嗟に振り返れば、そこには後輩の女の子。
できればこのタイミングで 知り合いに会いたくなかった…
そう思いながらも、 彼女が近くへ寄ってきたなら笑みを向けて。 ]
(369) 2016/12/18(Sun) 01時半頃
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お買い物? あ、クリスマスプレゼントでしょ
私もなんだー
[ 手にした紙バッグは背に回して にひひ、と悪戯っぽく笑う。
ショーウィンドウを見つめる横顔には ]
( 里咲ならこういうの、似合うんだろうな… )
[ って、ほんの少し、羨ましさを瞳に滲ませて。 *]
(370) 2016/12/18(Sun) 01時半頃
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うん、もう買っちゃった 里咲のプレゼント、楽しみにしてるね
[ 全然決まらないって言葉には>>372 頑張れって笑いかけて。 どうにか話題を続かせて ショーウィンドウへの視線を はがしたいところ……だけど ]
(374) 2016/12/18(Sun) 02時頃
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へ?あ、うん…かわい…… えっ!?ちょっ、まっ、
りさ…!
[ ゆるく掴まれた腕を振り払うことはできず 少し小声で、待ったをかける。 けど、お店の人がまた にこやかにこちらを見るものだから 「み、見るだけ…」と縮こまって おとなしく店内に入るのだった。 ]
(375) 2016/12/18(Sun) 02時頃
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( ………かわいい… )
[ ショーウィンドウにあったのと同じ 綺麗な色のワンピースを見れば やっぱり自分が着るべきではないと ……そう、感じてしまう。 ]
里咲こそ着ないの?こういうの 絶対似合うよ、かわいいもん
[ 一着手にとって彼女に合わせてみては うん、やっぱり と頷いて。 *]
(376) 2016/12/18(Sun) 02時頃
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……っな、
[ 小さく呟かれた言葉に 頬に熱が集まっていくのを感じた。 私は髪でそれを隠すように下を向き 消え入りそうな声でつぶやき返す。 ]
(383) 2016/12/18(Sun) 02時半頃
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一緒に!? いやでもほら… 私今日あんまりお金ないし 買わないのに着るのも申し訳ないし……
[ だめかな?と見つめる仕草はズルい。 ぐ、と詰まるけど でも…やっぱりだめだよ。 一緒になんて着たらもっと虚しくなっちゃう。
どこまでも卑屈な私は 眉を下げ笑いながらふるふると首を振ると ワンピースを元に戻して ]
(384) 2016/12/18(Sun) 02時半頃
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行こ、
[ ワンピースの裾を握る里咲の手を取り、店を出た。 そのまま中央広場のツリーの前へ来れば 振り返り、パッと手を離す。 ]
あ、の…ごめん、里咲 勝手に出て来ちゃって…… ま、また今度にしよ?
[ 今度っていつ? そんな言葉を心の中で返しながら、また笑って。 それからひとつの疑問を口にする。 ]
(385) 2016/12/18(Sun) 02時半頃
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ねえ里咲、 なんで“ ニモ先輩 ” なの?
[ ずっと気になってたこと。 “ 加奈子ちゃん ”から いつのまにか変わっていた呼び名。 あの頃から少し距離ができてしまったみたいで 私は少し、寂しかった。 *]
(386) 2016/12/18(Sun) 02時半頃
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………そっか
[ 悩んだような様子のあと ようやく出された答えに、>>390 私は小さく、それだけ返した。
“ みんなが呼んでる ” それもそうか。 あえて加奈子と呼ぶ必要だってないんだし。 私の問いで、彼女を悩ませてしまっただろうか。 少しだけ申し訳ない気持ちになって ごめんね、と視線を落とした。 ]
(394) 2016/12/18(Sun) 03時半頃
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買い物、邪魔しちゃったかな そろそろ帰る?遅くなっちゃう
[ 彼女が頷くなら 一緒にデパートを出て、 どこか最寄りまで送っただろう まだ残るというのなら 気をつけてね と残して別れよう。
でもその前に もうひとつ ]
(395) 2016/12/18(Sun) 03時半頃
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────……
[ 去り際にかけた言葉は 彼女の耳に届いただろうか。
冬の夜空の下 私はひとり、路を歩く。 *]
(396) 2016/12/18(Sun) 03時半頃
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[ ひとりの帰り路、 煌めく街のイルミネーションのなか 白い妖精が舞い降りてくる。
私にはその光景はまぶしすぎて 目をそらすことしか、できない。
ふわふわ ふわふわ 舞い降りてくる白い妖精に 願い事
]
(397) 2016/12/18(Sun) 03時半頃
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[ どうか秘めたこの想いの上にも 白い雪が降り積もりますように 誰にも見つからないほどに
深く 深く **]
(400) 2016/12/18(Sun) 03時半頃
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