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[さあさあ、行った行ったと背中を押して洗面所に押し込んで戸を閉めた。
焼きたてのトーストの良い匂いがする。こいつにブルーベリーのジャムを塗りたくる。
やっぱりこのジャムはブルーベリーの粒がでかくて良い。口の中が涎にまみれた。
コーヒーとトーストを机の上に置いといて、ミルクとスティックシュガーはお好みで。]
飯の準備出来たんで、いつでも良いッスよー。
ほんとうの、わたし?
[新井さんの言葉を繰り返した。
なれる? 女の子に?
本当の私は……本当の、私、は。
言葉が見つからなかった。差し出された服を黙って受け取って、慰めにならない、という言葉にただ首を横に振った。
背中を押されるまま、洗面所に入って、扉が閉じられる]
着替えなきゃ。
[やっとのことで私はそう呟くと、のろのろとスウェットを脱いだ。
洗面所の鏡に、途方に暮れたような顔をした私が映ってる。
短い、洗っただけの髪。化粧っ気のない顔。さらしに押し潰された胸元だけが、必死に女だと主張してるみたいで、浅ましい、という言葉が浮かんだ]
嘘。
[耳元に落とされた囁きに、今更そんな返事をした。
そんなの嘘だ。嘘に決まってる。だけどその言葉に縋りたい気持ちが自分の中にあることを、私は認めた。
縋りたい。信じたい。それが本当なら、どんなにいいだろう]
[髪を梳かして、顔を洗った。冷たい水で落ち着きたかった。
セーターを着て、迷う。ピンクのスカートと慣れたジーンズ。
どうしよう。
扉の向こうで、準備ができたって声がする。早く行かなきゃいけないのに。
悩むことなんて、ないのにと思う。慣れたジーンズを用意してもらえたのに、私は何を躊躇ってるんだろう。
だって……だって。
そっと、扉を開ける。パンの焼ける香ばしい匂いが届く。
スカートを履いた足が、震えた]
[洗面所の方から気配がする。ああ、準備出来たんだな、と言うかデニムのタグ切り忘れてたな。
切ってなかったら洗面所のハサミ使わなかったんだなーとかなんとか、折原さんを見る前に思ってた事が全部吹っ飛んだ。]
え……。
[まごう事なき美少女(主観)がそこにいた。俺が今コーヒーを注いでなくて良かった。数秒フリーズしてしまった。
ようやく動き出した口からは、あー、とか、えーとか、言葉にならないような言葉が漏れ出て。]
すげえ……綺麗で、可愛いッス。
[やっと、月並みな言葉が出てきた。ていうか思った通りじゃなかった。それ以上だわ。
俺が拉致した犯人だと言う事も今はすっかり忘れて、感極まって抱きしめてしまう。]
良かったッスよぉぉ、ホント、勇気出してくれて!
俺、感動しました! 折原さん、いや芽留さん!
[男泣き二秒前くらいで、俺のした事と状況が頭の中に戻ってきて、はっと離れる。
おかしいな。ただ、この人を俺が可愛くしてやるって思って、彼女の意志を無視して拉致ってきたのに。
なんだこの、感動ホームドラマみたいな俺の感情は。わざとらしく咳払いをして、飯にしましょうって促す。]
うーん。やっぱサンダルのオレンジマーマレードは最高かよ。
[トーストに塗ったマーマレードが最高に美味い。さすがおフランス。
今日は、ドレスの型紙作りをしよう。
高校の時、従姉妹に教えて貰ってドールの服を作ったことはあるから、それを大きくすれば、多分、多分なんとかなるだろう。
今はネットで調べれば何でも出てくる。だからきっと大丈夫さ。]
折原さんの為に、綺麗な赤のドレスを作りますよ。
あ、もしその時暇ならフェルト手芸をやるとかどうスかね。
入門書と材料はその辺に、ああ、不細工な羊は気にしないでください。
[材料の中には、あの黒猫と同じ黒いフェルトの端材が混ざっている。]
メモを貼った。
[私の方を見た新井さんが、固まった。途端に私は後悔する。
やっぱり着るべきじゃなかった。おかしいんだ。似合ってないんだ]
ごめんなさい!
やっぱり私、着替え……、
[る、って。そこまで声にならなかった。新井さんに抱きしめられていたからだ。
えとか、うとか、あとか、私は声にならない声を出すことしかできなくて、あわあわしてる間に、なにやら感極まっている様子だった新井さんは冷静さを取り戻した。私の体を離し、何事もなかったようにご飯を勧めてくる。
勧められるまま、うん、って席につきながら、私は動揺していた。
私、新井さんのこと、突き飛ばさなかった]
[二枚用意しておくと言われたトーストだけど、正直私には二枚でも多かった。
だけど、残すのはもったいない。無理やり食べた。
コーヒーにはミルクをたっぷり、砂糖は入れない]
赤いドレス、ってなんだか凄そうだね……?
[私に似合うとはとても思えないんだけど。しかもスカートでこんなに勇気がいったのに、ドレスって。改めて考えるとものすごくハードルが高い。
でも私を拉致した主要目的がそれなら、仕方ない。一週間で返してもらえるという約束を守ってもらうためにも、あまり否定的なことは言えない]
おとなしいデザインの方がいいかな……。
[控えめにそう要望を伝えるに留めた]
フェルト手芸、って針でちくちくやるやつだよね。
[もちろん、カバンの中の黒猫さんのことを思い出す。贈り主はわからないままだけど、あの子の友達を作るのもいいかもしれない。
黒のフェルトは見えたけど、特に気にしなかった。定番の色だし、羊毛フェルトはそんな珍しいものでもない。
なにより、ちょっと残念な羊が目に入れば、新井さんはフェルトは苦手みたいだな、なんて結論に至る。
暇なのは確かだった。どんな子にしようか、本をペラペラめくって考え始めた**]
メモを貼った。
[ハトが豆鉄砲を食らったような表情、というのだろうか。
指先で困惑したように揺れる赤に、浮かぶのは最初の記憶。
初めて傷つけたのも、赤い目をした白いウサギだった。
重なる色に、何だかひどく泣きたい気持ちになって、
困惑した様子の少女
未だ怯えた様子の彼女に、目線を合わせるようにして、
その顔を覗き込んだ。
あぁ、なんとまぁ、綺麗な赤色なんだろう!
渇きを訴える喉を誤魔化すように、ごくり、唾を飲み込んだ。]
驚かせて悪かったね。
まずはさ、朝ごはんにしようか。
卯月ちゃんは、コーヒーと紅茶、どっちが好き?
[開口一番の問いかけは、この場に似つかわしいもの。
けれど、勿論、これだけで終わるはずもない。
少女が抵抗するようなら、笑顔を張り付けたまま、
言葉を付け加えようか。]
“また”、食べてくれないなら、
今度は、無理矢理にでも食べさせるけど。
あんまり、乱暴な真似、させないでほしいな。
[一時の感情とはいえ、彼女を連れてきた以上、
自分だって、それなりの覚悟はしている。
それでもやはり、出来ることなら、穏便に済ませたい。
ねぇ、これってやっぱり、矛盾しているんだろうか。]
[彼女がそれでも動こうとしないのであれば、
少し冷めてしまったサンドイッチとスープを、
床に転がっている彼女の元へと運んでやる。
他者の警戒心を解く方法なんて、
人と距離を置き続けてきた化け物には、少々難しすぎるらしい。**]
え、赤いドレスって上品じゃないですか。
ほら、レッドカーペットとか歩いてそうな。
[おとなしめなデザインというか、逆に派手なのを作るには、技量が足りないと思うんだよな……。
まぁ、折原さんがそう言うならそうしよう。]
あ、食器は下げときますんで。くつろいでてくださいね。
っしゃ。やるぞ。
[貴方を着せ替え人形にしたいの集大成、赤いドレス。
ぼんやりとしたイメージを、筆先に落としていく。
やっぱり、作っていれば高校生の頃にドールの服を作ったのを思い出す。
従姉ちゃん、俺に色々教えてくれてありがとう。さあ、頑張ろう。**]
【人】 FSM団 ミナカタ[伝う涙を見ればそっとハンカチを差し出して。>>3:78 (5) 2017/01/21(Sat) 20時半頃 |
[ 碧眼と視線が合う。
覗き込まれる、みたいな
そんな動きだったものだから、
僅かに身を引いた。
遠くで鎖の音がする。
動く喉元に赤色が動いたのは、
一瞬のこと。 ]
[ 黙り込む卯月と反対に、
この状況を作り出したらしい彼は喋る。
その内容は いくら馬鹿な卯月でも
理解することが出来た。
―― この人だ。
家の前、ぶら下がる紙袋の差出人。
知らぬ誰かの、料理。
空いた両の腕は
卯月自身の、細い体躯を抱く。 ]
[ 彼がどうして
卯月にそんなことをしたのか。
…そこまでは 分からなかったし、
卯月だってこれ以上乱暴されるのは
勘弁願いたかった。
ただ、それでも
"食べさせられる"ことが
こんなことをした彼の望むことだとしたら。
大人しく従うなんて発想に、
とてもじゃないけど、なれやしない。 ]
[ だから卯月は静かに首を横に振って、
そのまま床に、座り込むだけ。
きっと料理を差し出されたとしても、
それがどれだけ美味しくて
卯月の大好きな母の味に近かったとしても、
頑なに口を閉じたままだ。
彼に聞こえない程度、
小さく鳴った腹の音は、知らない振りをして。 ]
メモを貼った。
[……うし、こんなもんか。後はこの通りに作れば出来るだろう。
何日かかるか。頑張らねば。
ふと折原さんを見ると、フェルトにちくちくと針を刺しているのが見えた。
折原さんは手先が器用なのかな。]
フェルト、どうスか?
[びっくりさせないように後ろからそっと手元を覗き込んだ。
ついでにお腹の辺りに手を回してみた。ニットが暖かい。
こう、ちょっと温もりが欲しかったんだと自分に言い訳しておいて。]
なんか良い抱き心地ッスね。ニットのおかげかな。
マジ、あったけーッス。
【人】 受付 アイリス
(8) 2017/01/21(Sat) 21時半頃 |
【人】 本屋 ベネット[結局申し訳なさが勝って向かった店では、 (9) 2017/01/21(Sat) 22時頃 |
メモを貼った。
【人】 しーさー カミジャー―コンビニ― (10) 2017/01/21(Sat) 22時半頃 |
困ったな。
もう、作っちゃったんだけど。
[座り込んだウサギの姿に、嘆息。
無理矢理にでも食べさせるとは言ったけれど、そんな脅しのようなことをするのは気が乗らない。今はね。]
俺がいると落ち着かないっていうなら、
ここに置いておくから。
帰るまでには食べておいてね。
[一応、ちょっとだけ、レストランの方にも、
顔を出さないといけない。
しばらく、修行の旅に出ますとか、なんとか。
適当な言い訳は、ウェイターには通じないだろうけれど、
問い詰めるようなこともしないだろう。]
【人】 しーさー カミジャー―コンビニ― (13) 2017/01/21(Sat) 23時頃 |
[立ち上がったところで、
少し離れたところから、ガシャリと金属の音がする。
その主は、部屋の隅で飼っている、
小さな白いウサギ。
卯月に似た色合いではあるけれど、
彼女より遥かに小さい生き物に、
赤い眼差しが向くなら、
籠を彼女の近くに運んだ後、部屋を出ようか。
どうせ、どちらのウサギも、逃げられるわけが無い。**]
メモを貼った。
【人】 銀河ギャル キャンディ[雨が振りそうだからって、普段はしまってある傘置きを店先に置く。 (14) 2017/01/21(Sat) 23時半頃 |
【人】 銀河ギャル キャンディ[店長さんの家なんて知らないし、傘も必要ないような距離なのかもしんない。 (15) 2017/01/21(Sat) 23時半頃 |
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