105 CLUB【_Ground】
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[見つめる視線に眉をへにゃりと下げた]
ありがとよ。
[人間には、愛玩動物たちとは違うプログラムがある]
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[あい。
文字を目で追いながら 唇で音をなぞってみる。
子供用の辞書に書かれたそれは やけに簡潔で、シンプルだ。
もっと一途だったり、かけがえないものだったり ふかい、思慕をあらわすものだと思っていたし、 きっと大人用の辞書にはそう書かれている。]
(@21) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[寝台の上でころころしているうちに、 いつの間にかイヤホンマイクは外れていて、 フーからの通信を聞き逃した。
たぶん、逃げたい、という気持ちがあったのだろう。 濡れていない毛布の海は とろとろとした眠気を連れて来て、 抗うべきなのだろうが、ティーはそれに抗わなかった。]
(@22) 2013/12/23(Mon) 09時頃
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[傍のぬくもりを感じながら、しばしのうたた寝。
リムジンが止まったのに気づいて、目を開ける。
気付いたのは握ったままだった片手。
何処か気恥ずかしそうにはにかんで手を離し、
歩くのが苦手な君に手を貸して車を降りる。
都市からかなり離れた、郊外の誰も知らぬ湖。
あたりを包む森は、枯れ枝に積もった雪が夜桜のようにも見える。]
此処だよ。
[地上が暗い分、空には満天の星。
そこにひっそりと建つのは、曽祖父が愛人のために建てた、ささやかだけれども配慮の行き届いた愛の巣。
危なっかしい足取りを支えながら、中へと迎え入れる。]
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[あいと愛。 簡素と複雑。 子供と大人。
シンプルだったものに あれこれと余計な意味を足して なんだか貴重で尊いもののように思わせるのは そうあれかしと大人が望むからなのか。
あさい眠りにたゆたうティーの脳裏に 四文字のアルファベットがゆらゆらと揺れていた。]
(@23) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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[まどろみはじめていくらも経たないうちに、 ティーは目を覚ます。
社会人はそうそう逃避してばかりもいられないのだ。
まばたき二つのあと、ティーは飛び起きた。
やばい、減俸。]
(@24) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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ああ、ただいま。
[出迎えに来るというか…待ち構えていたのは、住み込みの女中三姉妹。
老夫婦と姦しい娘たちがあたたかい夕食の支度をしてくれていたりとかして、給仕の間も隙あらばシィに質問攻めだ。]
そんなに一遍に聞かんでやってくれよ。
はじめての長旅で疲れているんだから。
全く困ったものだ。
すまないね、お喋りなところ以外は良い人たちなんだけど。
[呆れて苦笑いしつつ、よく煮込まれたシチューを口にする。]
うちの味は口に合うかな?
好物などあれば、作る様に言っておくが。
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[誰もいないと、という先入観で見れば、 動かない毛布の山はただの毛布の塊でしかない。
住人の去った部屋をモニターで見るフーに ティーのサボりが気付かれなかったのはそういうことだろう。]
(@25) 2013/12/23(Mon) 09時半頃
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[和やかな夕食を終えてのんびりとしていれば、
風呂と寝室の準備が出来ていると、女中の一人から耳打ち。
あまり血色の良くない肌が、カッと上気する。]
…ばっ、お、おまえら…ッ!!
[意味ありげに笑いながら使用人宅へ女中たちが帰れば、今度こそやっと二人きりだ。]
全く。
あぁ、えぇと…
そうだよな、初夜、ということに、なるよ、な。
[あらためて口にして、すっごい恥ずかしかったか顔を覆って。]
……いく、か?
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[端末を見れば、 客の帰宅を告げる店員からのメールが入っていた。
胸の奥でなにかがさらりと零れ落ちる音がする。 毛布の海から眼鏡を拾い上げ、かけた。
透明な硝子レンズは、 なにもかもを氷の下に閉じ込める。
虚(から)っぽだった場所が、 虚(から)っぽに戻っただけ。
ただ、それだけ。]
(@26) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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[多分、サボった罰に掃除のひとつも命じられるだろう。 言われる前にやってしまおうと、 自分で乱した毛布をたたみ、 辞書や、他にも床に落ちているものがあれば、 それもきちんと棚に戻した。
ホレーショーの部屋へ向かうフーと すれ違わなかったのは幸いか。
気は向かなかったけれど、 チアキの部屋へも向かう。 指先が扉に触れるのに、わずかだけ時間を要した。]
(@27) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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[ゆったりと広い浴室と、大きな寝台のある寝室。
湖に面したその二つがドア一枚で繋がっているのは、
えぇ、そういう用途です、明らかに。
ちくしょう、曽祖父様のエロジジイめ。]
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─凍える夜─
[部屋の中央に、 一冊の画用紙と色鉛筆が並んで置いてある。 その横に、切り離された一枚の白。
入り口で、そこまでを認識して、足が止まった。]
…──。
[踵を返して部屋を出ようかと迷う背を、 まだ記憶に新しいチアキの声が押した。
「あとで、見てね!」 かれはそう言っていた。 約束した、とも。
きっと一生懸命描いたんだろう。]
(@28) 2013/12/23(Mon) 10時頃
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[浴室と寝室の大きな窓からは、湖面へと映る美しい月が見える。
契るならば、今夜が相応しいとでもいうように。
けれど…
脱衣所で服を脱ぎかけて、止まってしまう指。
躊躇は羞恥からではなく、
あの時、見せしめに刻み込まれた、無数の傷痕のせいだった。]
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[距離が近づくと、 真っ白な画用紙はやっぱり真っ白なままで
あれ?
と思ったけれど、 もっと近付いたら、二枚重なっているのに気づいた。
何も描かれていない真っ白な画用紙の下に、 チアキの尻尾の色と同じ色の 茶色い色鉛筆で書かれた、 ちいさな文字の、おおきな手紙。
拾い上げて、 一番上に書かれた自分の名前を読んで、眼鏡を外した。]
(@29) 2013/12/23(Mon) 10時半頃
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……―― 、 !
[少し、情けない顔で、告げられる礼。
わけも分からず、胸が締め付けられて――]
[テッドには、どんな顔も隠すこと無く
情けなくともこれが自分なのだと見せることが出来る。
恥ずかしいものは、恥ずかしいのだけど
偽らざる本音をいくつか落として]
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[いっぱい練習したのだろう文字は 拙さは残るもののとてもきれいで、読みやすい。
すんなりと頭に入って来て まるでチアキが読んでいるように、 あの声で頭の中を流れてゆく。]
(@30) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[工場から出たことのないチアキにとって 低い天井の限られた生活フロアが、 かれの世界のすべてだったことは想像に容易い。 変わっていく不安に、よく耐えたと思う。
こわい、と零したちいさな声を、まだ覚えている。
自分が、ひとときでもその不安を 和らげられたことが嬉しかった。]
困ってなんて──いなかったよ。
[目の前にいない相手に、ぽつりと呟く。
怖がらせたくない。 不安を取り除いてあげたい。 寒さから守ってあげたい。 傷つけたくない。
考えていたのはそればかり。]
(@31) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[だからあの時、 縋るようなかれの問いに、頷けなかったのだけれど。
それを今も、かれのためには、後悔していない。 あの時頷いていても、何も変わらなかったと、 サムの選択を知らないティーは思う。]
(@32) 2013/12/23(Mon) 11時頃
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[前とおなじに戻っただけのはず。
なのになぜか、 前より広くなってしまったように感じる胸の虚(うろ)を、 吐息ひとつで誤魔化して、ティーは先を読み進む。**]
(@33) 2013/12/23(Mon) 11時半頃
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[斬られた痕、抉られた痕、煙草の火を押し付けた焼印の痕。
癒えてもいまだ残るそれを赤い目はどんな風に見ただろう。
それでも作りものの生き物は、かけられた魔法に操られて、愛してしまうのだろうけれど。]
情けないね。
裏切られて酷い目に遭ったから、今でも人間が怖いんだ。
だから、それでも愛して甘えさせてくれる、そんな相手が欲しくて君たちを買おうとした。
狡くて浅ましいとわかってはいるけれど、
それでも俺は……。
だからその分、最期までずっと共に生きて、全力で愛するから。
辛い時、眠れない時、君に甘えさせて。
【一週間前】
[頬に口づけられれば応えるように軽くその果実を食むように唇を食べた]
可愛いことしてくれるじゃん
[抱き抱えたまま空室の部屋へ運ぶ
しばらく慣れるまで共に寝るつもり]
[落とされる、本音。
聞きながら、耳を傾けながら
時折、髪を撫でるようにしながら]
【自室 】
[ちあきをいつもの通り撫でる。そしてふと、思いついてちあきに尋ねてみた]
そうだ、お風呂に。露天風呂いくかい?
[敷地は広いので誰の人影も見ることはないだろう
スリッパを渡せば案内する]
【邸宅 露天風呂】
ここかな、ここで脱いで中に入るといいよ
脱げるかい?
[室温は温かくしてある。彼がもし恥ずかしがるなら脱がせてあげるつもりで軽く引き寄せてキスを落とせば戸を開け中へ入る。]
滑らないように
[そう忠告すれば冬の寒さを伝えるように弱くあげる湯気の先。
大理石でできた風呂へ]
[髪を撫でられる、そんなささやかな行為も嬉しくて
呼吸が落ち着いてからもずっとくっついたまま。
本当はシャワーを浴びて、シーツも変えて
最初の夜くらいはきちんとしたかったけれど
このまま、甘えてしまうつもり]
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