14 学校であった怖い話 1夜目
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[生きた人たちがいる世界―私たちを見ることが出来ない人たちのいる世界―をみる。そして、不安に襲われる。本当に、鬼を全滅させることが出来るのだろうか。残った人が、生きて通常の世界に戻れるのか。]
……。柄にもなく、考えるものじゃないね。
[ぼんやりと、残された人たちの葛藤を思うと、心がざわめく。暗いイメージを必死で頭から外し、じっと事の成り行きを見つめる。]
オスカーくん、来ちゃったんだね
[...は音もなく顕れる。
閉じきられた教官室の扉を、わけもなくくぐり、
ホリーの隣、オスカーと逆側にホリーを
囲むようにして座った。パティはホリーを
糾弾している。ホリーは青ざめた顔で否定していた。
同じ死者でありながら、放心したようなオスカーの目に
自分が映っているかはわからなかった]
あなたには
[来て欲しくなかったのに、と続けようとしてやめた。
100%本当かと言えばうそになってしまうかも
しれないし、この場に適切とも思えなかった。
痛々しく落ちた肩に手をのばし触れようとしたが、
それもできなかった]
あなたは死んでしまったけど。
でも「本当のホリー」は生きてる、んだよね?
なら、 ……よかった んだよ
本当のホリーは、痛い目にも怖い目にも、……
あわないって ことだよね
[悲しい目にもあわない、とは言えなかった。
短い間しか過ごしていない「偽者のホリー」
だとしても、あんなに絆を見た姉弟の
弟が亡くなって、傷つかない「本物のホリー」では
決してないだろう]
私やオスカーくんは 死んじゃったけど
ホリーは 生きてるんだよ
それだけでも ラッキーだよ 私たち
[下手な慰めだった。それでも、ぬくもりを喪った
魂は、冷えた双子の片割れのひとつに
不器用に寄り添おうとした]
―回想 ???―
>>+8
[胸のうちの空気を大きくため息にして吐き出した。
仮初の形をなした霊体の胸は、病を得た肺と違い、
上下するだけで物理世界に何の対流も
起こせはしなかった]
そっか ………誰かわかれば オスカー君が
生き返るわけじゃ ないんだよね だったらいい
[自分を手にかけたのが誰か等、
輪を掛けて遠く思えて、目線も遠くなった]
コックリさんと ノックスは違うんだね
呼び方と 性別も関係ないんだね
やっぱり 見てるしかないのか
[そっか。とつぶやいた。去るコックリさんを
見送って、...も闇に溶けるようにして消えた]
―回想・ 了―
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[パレットナイフを手にホリーに近づくパティを見て、 その進行方向を塞がないように咄嗟に一歩引いた]
――わかってるんだよな。間違えたら、ただの人殺しだ。
[そう告げる唇は、少し震えていた]
いや、そういう意味では、マリアンヌさんを死なせた時点で俺もそうか。 …正義。そう言い切れるお前が、少し羨ましいよ。
(84) 2010/07/26(Mon) 01時頃
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[死を覚悟したパティの発言を聞き、気おされたように体が揺れる。 何か言おうと口を開いて――ぐ、っと言葉を飲み込んだ]
…今、間違えたら。恐らく「ゲーム」は俺達の負けだ。
[しばし黙り込んだ後、やっとの思いで口にしたのはそんな言葉]
――臆病だな、俺は。 選ぶのが怖い。間違えるのが怖い。…死ぬのも、怖い。
[小さく呟いた言葉は、周囲には聞こえただろうか。 その視線は未だ迷いがあるようで、二人を真っ直ぐ見れなかった]
(89) 2010/07/26(Mon) 01時半頃
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……アイリス、さん。
[自分の反対側、ホリーの隣に現れた彼女に、目を向ける。
不自然なまでに緩慢な動きは、
アイリスの言葉にどう返せばいいのか、分からなかったからか。
謝罪も、感謝も、それ以外の言葉も、口から出てこない]
来ちゃい、ました。
[少しだけ、困ったように微笑う。出来損ないの笑み。
あなたには――、その続きを想像することはオスカーには出来ず、
やはりまたぎこちなく視線を外し、少し離れたラルフを眺める]
うん、"ホリー"は生きてるから。
憎たらしくて、いつも僕を兄扱いなんてしない奴だけど、
――……よかった
[霊魂の身体のはずなのに、寄り添うアイリスの温もりを感じる。
それは気のせいなのかもしれない。
それともこの状態では、気持ちがそのまま空気に現るのだろうか。
つう、とひとつ涙が頬を伝い、
ホリーの姿をした"彼女"の手の甲に落ちて、消えていった]
……ありがとう。アイリスさん。
[何度も何度も唇だけを迷わせて、それだけを。
その時に向けた微かな笑みは、偽物ではなかっただろう]
―現在―
[テッド達が教官室へと戻ってくる。
そこにはマリアンヌやコックリの姿もあっただろうか。
じっとパティが"彼女"を糾弾するのを見ていた。
そうしないといけないというように、強い色を瞳に浮かべて]
今日は、誰も、来ませんように。
[殺されないで、現実世界へ、と願う。
ホリーの姿をした"彼女"が刺される瞬間も、目を逸らさない。
ただ、ただ、強く奥歯を噛み締めていた。
傍らにまだアイリスが居てくれたなら、唇の震えに気付くだろうか。
――ふいに過ぎる感情の、理由は]
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………っ
[狐狗狸の時とは明らかに異なる光景。 人と人の殺し合いが、目の前で繰り広げられている。
一歩、二歩、後退していくとすぐに背中は壁に張り付く形になる。 がたがた震える肩を両手で抱いて、視線は床の一点を見つめていた。 二人が戦う様子をうかがい知れるのは、耳に届く音だけ]
――俺は、怖いよ……
(94) 2010/07/26(Mon) 02時半頃
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