160 東京村
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[鞄を持って、料金を支払うとネットカフェを出た。 時間を確かめようと携帯を取り出して、 自動的にまたTwitterが立ち上がる。]
[TLを見ると友人がまた新しくRTをしていた。 「アイリス失踪の犯人は、顔に痣がある女」>>3
それを送った人物が、 昼間の鏡を恐れていた客とは知らぬまま。青年は短かなその文をさして信じてもなさそうに眺めた。 ネットに書かれたことなんて、信用すべきものではない。
…そう思っているはずなのに。
二度は見たくないと思う、どこまでも悪趣味な あの二枚の画像が、なかなか忘れられない。
画像のあの現実感と、ありえないという現実。 そのずれがじわりと寒気を呼ぶ。]
(142) 2015/06/04(Thu) 01時半頃
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[携帯を数秒眺める。 携帯は静かに黙ったまま。震えることもない。
青年は、携帯から顔を上げた。
度重なる緊張からの疲れを感じていたが 一つ息を吸って、気にしないことにする。]
(143) 2015/06/04(Thu) 01時半頃
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[向かう足は家に帰る際によく使う南口ではなく、東口。 コインロッカーの前に、どこかの職員が、二人立っていた。
すれ違う時に何やら話しているのが耳に入る。 気味の悪いシールだの、悪戯だろだの 点検はだのの言葉が聞こえた。
どうやら、コインロッカーの管理会社の職員のようだ]
[昼間に来た客が、奇妙なシールが 駅にもあったと言っていたのを思い出す。>>1:5 これだろうか。と青年は首を傾げた。その話とは違う、新しく増えていたものだというのを、青年が知る由もない。
こんな人の集まる場所で。仕掛けたやつも大胆だな、と 二人の背中を横目に歩いていく**]
(144) 2015/06/04(Thu) 01時半頃
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―新宿駅 東口近辺―
[遠くにアルタ前の交差点が見える。 いつもと変わらぬことなく…いや、いつもより少し多いくらいに人が溢れていた。携帯を眺めながら歩く人が多い。 そこを駅から遠巻きに見て、青年はひとつ固唾を飲んで喉を鳴らす]
……
[携帯に電源を入れる。 Twitterでワタヌキの連絡先を探し出すと タッチパネルを操作して、DMを送る。]
「お疲れ様です、ワタヌキさん 昼に会った子、連絡先聞いてもいいですか?」
[画面に打たれたのは短い文章]
(233) 2015/06/05(Fri) 00時半頃
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[送信して、画面を見る。 携帯は未だ黙ったまま。震えることはない]
[携帯をポケットに入れて、 青年は交差点に向けて歩き出した。]
(237) 2015/06/05(Fri) 00時半頃
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―新宿駅 アルタ前交差点―
[交差点の先で、知った顔を見た。 シフトの終わり間際に来た客>>145だった。 本当はもっと早く来るつもりだったのに 中央線が止まった影響で、 来るのが遅くなったと言っていた。]
[どこかうつろな様子をした客を、 細い目でじぃ、と眺めた後。 青年はへらりと客に笑いかける。
細目の奥は、昼にひなこに向けた目と同じような。 よくよく見定めるようなを色していた。]
(249) 2015/06/05(Fri) 01時頃
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…あれえ、お客さん。 どうしたんです? だめすよ、こちは。 あぶない”から。
[まるで海を漂うようにふらふらとして、 うつろな様子の彼に笑顔で指示したのは、交番から遠い道。
彼は分かっているのかわかっていないのか、 青年に返事することなく、ふらふらと 青年の指示した道へと消えていく。]
(250) 2015/06/05(Fri) 01時頃
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[…彼の目には今、世界がどう映っているんだろう。
―――それを理解する気も共感する気も、 青年には一切無く。
店で会った時とは違う、彼の変貌ぶりを へらへらと楽しそうに笑いながら眺めているだけ。]
また、おまちしてますんで。
[昼間、働いていた時のあの調子と変わらぬまま。 青年は笑顔で、彼の背中を見送った]
(251) 2015/06/05(Fri) 01時頃
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[客の背中が、人ごみと夜の暗さに消えていくのを見届けて 携帯を再び確認する。ワタヌキからの返信があった。 そこにかかれた番号をじい、と眺めた後、 ぽつぽつとタッチパネルを指で弾く。]
「風呂入ったらまた来てください ビール一杯くらいならサービスします
助かります 言い訳失敗したら一緒に謝ってくださいね☆
あと、妹より小さい子に仕掛けんのは ちょっと。。」
[本人が喋るよりも よほど流暢そうな日本語が綴られている。]
(262) 2015/06/05(Fri) 01時半頃
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[返ってきた返信を眺め、最後の返信に 細目をさらに細め小さく笑う。
交差点を再び見る。 そこに少女が惨殺された跡は 何度見ても、どこにもない。]
[青年は交差点が見える位置の道路の端に腰掛けて、 道行く人々と野次馬達の中で ありもしない惨殺現場を眺めている。
その手には携帯を握りしめたまま。**]
(280) 2015/06/05(Fri) 03時半頃
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