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うあー、もう…… はー…
[拳は当たったかどうか。
がしがし、頭をかく。
自分はゲイルにひどいことをした。
それを見た辰次の怒り狂い方からして
何かあったんだろうと、
復讐まで、想像していた。]
… こんなんでいーのか…
[それともコレが一種の嫌がらせなのか。
ダメージがないとはいえないが。]
ぎゃん。
[なぐらりた]
…まー……お互いこんなんだし、
今更どーだって話でもないかなー…って。
いや、やるってんなら、やるけど、さ?
[刀は流石にないけど、拳だけでもその気になれば渡り合える。]
これが、観戦モードなのか?
無事 ……
生きてた時よか、マシな気分じゃあある…か…
[ヤンファの言葉に、首をかしげて。
幽霊みたいなこの状態も、一応正常なのか。]
ヤンファにだけは、声が届く…のかね。
ん…ちゃんと聞こえては、ないのか。
[ため息。
ベネットがぞわっとしてようがしらん。
やったのは俺じゃない。
辰次のせいだ。俺は知らん。]
…それも、そうか…
やれるんなら、そりゃ、…やりたいが。
[変な苛立ちも衝動も。
解放された今なら、スッキリやれるのではないか。
握ってみた拳は、ガストンよりは小さく見えて
変化に気づき、自分ぺたぺた。]
…あー…コレでやって、おもしろいのかね。
…ってより。ここでやりあうより先に
ゲイルとか探したほうが、いいんじゃねえの。
[今は割合冷静だった。]
え、何。ヤンファきこえてんの??
[おーい、って手を振ってみた。]
…あ、そうか。ゲイル…
グロリアとか、ラルフとかも…どっか居るのかな。
[姿を探して、ふわり。**]
[去って行くなら、辰次を見送って。
ヴェラやベネットが無事を喜んでいるらしいのを
複雑な顔で見た。]
辰次が、だよ、な?
[顔をしかめる。
見境のない、戦うだけの獣のようだった、
一方的に襲いかかった自分が無事で喜ぶなんて。
そんなまさか。]
[フクザツな気分を誤魔化すように
白いおばさんへまたくじを頼む。]
もう5回… や、いいや。
全部ひく。7回。
アイテムは、あいつらと共通だろう?
なんか、いいもんが当たったら…
[回復アイテムよりフィギュアのほうが多そうだが。
まあ気にするまい。]
[当たったのは
4.ロクヨン・ナユタぬいぐるみ
5.ケロみちゃんドリンクミラクル[[1d20 ]]
11.ロクヨン・アイリスリアルフィギュア
35.メアリー&ソフィアの紅茶缶
27.ケロみちゃんドリンク[[1d 5]]
28.ロクヨン・ガストンぬいぐるみ
50.モナリンモナカ
だった。]
……回復アイテム、あるし…うん。
紅茶…淹れられんのか?
[二つのぬいぐるみ。
先ほど重ねるなんてした
どこかのばかのせいで、やや目を逸らしつつ。
持って行って頼んだら淹れてくれるのだろうか。]
メモを貼った。
[食べ物が当たったとはいえ
死んでいるのに食べられるのだろうか。
そもそもゲームの中で食事というのも
おかしな感覚はするのだが。
聞いてしまった。]
………… とるにとす?
[凝視。]
[仮面の下がこうなってるなんて。
謎と称して作ってないのかと思い込んでいた。]
…… しらなかった…
[なんで恥ずかしがってんのかはわからなかったが。
細かい作り込みに、今回の騒動でガタ落ちしていた
運営に対する評価がちょっとあがった。]
[さて、この当たったものを活用できそうな人へ
プレゼントでもできれば…
思いながらきょろきょろしていると
……ほしい、のか?
[手元の景品を見つめ。]
侘びのなにかに、なれば。
アンタは、俺がちょっとは見えるんだっけか?
やるよ。
[近寄って、眼の前で振ってみた。
よくわからなさそうなら
頭にぺふっと乗せてやろうか。
自分は触れられなくても、アイテムならば。]
メモを貼った。
うまく渡せたらしい。ほっとした。
メモを貼った。
メモを貼った。
…どういたしまして?
[自分はもう読んだし。
内容を思い浮かべるとぞっとする部分もあるが
そこはそれ、と頭から追い出す。
回復アイテムは黒の仲間と。
ズリエルにも、届けたいのだが。]
…みっつ…
[明らかに足りなかった。
そっとリアルフィギュアを加えれば足りる。
うん、と頷いて、もらってどうしろとという
自分がまさに思ったことから目を逸らした。]
[一番すごそうな団子をズリエルに渡したいと
そう思うのは裏切りにあたるのだろうか。
回復量はランダムだし…
と、誰ともなく言い訳をして。
1,ケロみちゃんドリンク[[1d 5]]
2,ケロみちゃんドリンクミラクル[[1d20 ]]
3,ロクヨン・アイリスリアルフィギュア
4,ロクヨン・ヤンファアイドルバージョンリアルフィギュア]
ナユタには3を。4は持ってるみたいだし。
[神社にきたらしい、ズリエルを見れば
肩をたたこうとして、空ぶる。
団子の包み紙で触れようとすれば、渡せるのだろうか。]
ヤンファ。これ、ズリエルに渡せるか?
あと、ナユタにこれ。
[アイリスリアルフィギュア。
適当に手にとったらそれだった。
喜ぶかどうかは知らない。あえてかんがえない。]
マーゴには2 1なら2を、2なら4を。
[ということで、渡したいものは決まった。
決め方がなげやりすぎるとか受け付けません。]
…うん。きにしねえ。
[思い切りはいいほうです。
アイリスにケロみちゃんドリンク
マーゴにはヤンファフィギュア
トルニトスにはケロみちゃんドリンクミラクル。]
メモを貼った。
[アイテムは無事届けられたらしい。
マーゴとナユタに心のなかで手を合わせつつ
謎の達成感を感じていた。**]
メモを貼った。
―回想・夢の中の八丁堀―
[意識を移したゲームの中でも人は夢を見るのだろうか。
夢の中でも夢を見るんだから、それはきっと出来ることなんだと思う。
私は八丁堀で、ガストンさんと戦っている。
上、右、右斜め上、P 繰り出すのはアリヴァーレ。
遠距離でも届く狙撃用コマンド。
彼も距離を詰めてきて、そのかわりに銃撃の攻撃判定は高くなる。
近くにその身体が来たなら右から左まで下半周をぐるりと描きそしてもう一度右、Pでフィンターレの発動。]
…かかりましたねッ!
[フェイント技。
引き抜いたトリガーは巨体に幾らかの攻撃を与えられたはず。
けれど此方も相当の痛手を負っている。]
[苦痛に顔を歪ませても声は上げない。
それは此処へ来た固い意志が唇を固く結ばせているだけのこと。
こんなに攻撃を食らう事が痛いだなんて。
切り裂かれる事が怖いだなんて。
それなら私が64まで育てる間に死んでいったゲイルたちはどれほど痛くて怖かったんだろう。
“囮技”なんてプログラムされているゲイルの気持ちは、どんなものなんだろう。
経験した事のない痛みと目の前の、敵。
対峙しながらその技の発動を試みた。
使うのなら、ここしかない。]
[誰を庇う為の“囮技”だったんだろう。
それは誰でもなくて、誰でもあったんだと思う。
私が技を上手く使えていたなら、バグが思うとおりに働いてくれていたなら
ガストンさんが黒なのか白なのかがわかる。
黒ならそれを誰かに知らせたらいい。
白なら彼を仲間だと云う確証にすればいい。
そしてなんとか生き残るみんなが、一人でも多く無事に外に出られたなら。
私一人死んだところで、きっと何も変わらないから。
命と引き換えに役に立てるのなら、それで、構わなかった。]
フェルマ… きゃ、っ!!!
[技の発動を試みたけれど、結局ドジな私はそれさえも上手くいかなくて。]
―回想・八丁堀―
……ぁ。
[飛び散る赤のエフェクト。
嗅覚にまで及ぶ操作は鉄の錆びた匂いを撒き散らしながら。
あまりの痛みにがばりと起き上がったそこは、みんなが埋葬してくれたその場所だった。
ぼんやりとする脳に流れてくるのはその後の情報。
それは滝のように流れ込んできて。
翠の瞳からはたはたと雨が降る。
八丁堀もまだきっと、小雨が降っている頃のこと。]
[ベネットさんが危険だと察知してくれていたことも
マーゴちゃんが制止をかけてくれたことも
トルニトスさんがゲイルの遺体を大事にしてくれたことも
ミケくんがNPCの布をかけてくれていたことも
ヴェラさんが弔うのを手伝ってくれたことも
アイリスちゃんがカップを掲げてくれていたことも
ヤンファちゃんが助けにくれていたことも]
辰次、くん…。
[彼がとってくれた行動も、そして今どうなってしまっているのかも。
八丁堀のステージの隅。
埋められたそこにはカリュクスちゃんの雪がまだ少し残っている。]
―現在・八丁堀―
[欄干から覗き込む自分の姿が水に映る。
それはゲイルの恰好をした自分自身になっていた。
似たような黒の、だけどふたつのミツアミになった長い髪。
白衣は引きずるくらいに長くなってしまっている。
いつもと変わらない視界、低くてゲイルのものとは程遠い。
体もゲイルみたいにお色気担当が出来るほどのものじゃないから、白衣の前を止めて少し隠した。
眼鏡はどうしてか見当たらない。
なくても歩けるのは、これがまだゲームの世界だからなんだろう。]
役立たずは、私だよ、ヤンファちゃん。
[結局技を発動させられなかった。
散々泣いて赤くなった瞼をまた擦る。
イベントを伝える電子音にぼんやりと空を眺めた。]
―現在・神社隅―
[そして見上げていたはずの空が繋がっていたのか
気がつけば神社のステージの隅に立っていた。
辰次くんがやられてしまったせいで飛ばされてしまったのか…。]
………お祭り?
[電子音が伝えてきたイベントだろう。
辺りは夏祭り一色のようになっていて。
きょろきょろと、誰かを探すように私は歩き始めた。]
メモを貼った。
[きっと探してくれているであろう辰次くん。
出逢えるか、出逢えないか。
運命の輪はどちらを選ぶのか…。
奇数なら人波に擦れ違う、偶数なら出逢える。
⇒49(0..100)x1 ]
[運命はかくも悪戯に。
もしくはこれも白いひとつ目の起こすバグなのか。
それとも白衣を引きずっていてもゲイルと違う私では気付いてもらえないのが当たり前だったのか。
低い視界では辰次くんを捕らえる事が出来なくて、たどり着いたのは福引きやさん。
近くにはまだガストンさんが見えと思う。]
ガストンさんも、やられてしまったんですね。
[そう後ろからかけた声は、白衣を引きずる小さな私の声。
幾らか細身になっていたガストンさんは、どんな表情をしただろう。]
ズリエルさんがお二人と、ケロみちゃんドリンク…。
[ズリエルさんというPCそのものは、どこかホラー(グロ)めいた要素もあるし
ゲームのレーティングをぐんと上げた要因でもある為に気にいってはいたけれど。
少し離れた場所に置かれたぬいぐるみをちらりと見て。
おばちゃんへ視線を戻してみる。
勿論おばちゃんはにこにことしているだけで、取り替えてなどくれなかった。]
……心配かけて、いる、ん…ですよね。
[きっと探してくれているであろう姿を想像して零した言葉はガストンさんにも聞こえただろう。
まさか今し方までここに居たとは知らなかったから。
ふと、くまフードを下ろしてしまっている彼の方へと向き直って。]
あ、あ、の すみません、でした…っ!
[ガストンさんへと向かって、ぺこりと頭を下げる。
おさげはふわりと揺れた。]
無事…、じゃ、ない、けど その、無事でよかった…です。
あの時は…と、突然…戦いを挑んでしまって、その…ごめん、なさい。
[状況証拠しか、いや状況証拠にさえならない推測でしかなかった。
それでも白側が勝てるのならと、挑んだ戦い。
お互い傷つけて傷ついた。
ナユタくんに痛みを緩和させてもらっていたなんて知りもしないから
きっと痛くて苦しい想いは同じく味わったと思っていて。]
みんなで生き残る、生きて此処を出る方法を…探さなきゃ…いけなかったのに…。
[現状からの推測ただ一つで、彼を悪者に仕立ててしまった。]
くっ、やっぱ人多い…。
[人混みに呑まれそうになりながら、キョロキョロと辺りを探す。
アメリカンドッグに砂糖まぶしたのとか、大阪焼きと東京ケーキとか、いつのまにか受けとってた。]
…げぃ………
[人混みの中、チラリと見えた白衣の背中は、人の流れに流されて遠くなる。
呼ぶ事も出来ず、所在なげに差し出したままの手をゆっくり下ろす。
黒縁メガネは、大事そうに懐に収めてあった。]
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