45 哀染桜 〜届かなかったこの想い〜
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同じですよ
俺も気づかないままなくしてしまったものがある
目に見えていた大切にものだったのに。
[青白い花弁が一枚ひらり。
地面に触れて、波紋を描く]
気づいてよかったのか
そうでないかは、わかりません
社交辞令みたいなもの。
[何故お陰さまというのですか?と問う言葉には、小さく苦笑を浮かべた。]
桜が、冷えた色をしているから、か…。
[ゆるりと小さく首を傾げて、近くの花びらを見つめた。]
それじゃ、みんな幸せになれば綺麗な桜色になるのかしら。
[考えてもみなかったな、と頬に手をあてた。]
[彼の言葉 には、小さく息を吐いて。]
悲しむ権利が、あるのかって、ね―――…
[ぽつりと、小さく。
それだけ、相手に対してひどい仕打ちをした自覚は、あったから。]
桜色とは何色なんでしょう?
桜の薄紅は、死体の血ともいいますが。
でも俺はこの桜が…
冷たくて…綺麗な色だと思います
人の涙のような色。
貴女の髪のような、月のいろ。
[銀色を写し込む深緑はまるでエメラルドに似る]
悲しむ権利は、悲しめない理由ではないでしょう……
人の心に、権利なんて届きませんよ。
…そうね。
[人の心に、権利なんて届かない、その言葉にゆっくりと、小さく頷いて。]
赦しが、欲しいだけなのかな…
[氷の瞳は、月を見上げて。]
確かに、桜色って何色かしら。
でも、死体の血は、初めて聞いた。
[月から瞳を戻せば、その声は何処か柔らかに彼へと落ちる。]
人の涙の様な色か…
[小さく呟けば、暫く黙って。
自分の髪が月の色と言われ、笑みを浮かべた。]
貴方、本は好き?
[銀をうつすエメラルドを見て、唐突に聞いた。]
見ず知らずの俺が、不躾に聞くのも貴女はかまわないんですか?
それでよければ、俺は貴女と話します。
[踏み込んだことを聞くのは
奥手な青年には戸惑いが]
貴女が赦される前に、
俺が貴女に許してもらわないと。
これ以上は、聞けないですね。
[やんわり。その声は落とし込むように静かに落ちる]
本は、好きですよ。たしなむ程度には。
だからかな。少し…変なことを言ってしまうよう。
[自分のことであれば、構わないという意思表示。
また静かに、かすかに笑う]
[バイオリンの人の言葉に、青年は一度、目を閉じる]
…自分が幸せになれない世界は…その人にとっては
一番…いらないものなのかもね。
[大事な人の幸せも、自分の幸せ。そう考えれば]
貴方は、この世から消えたいですか?
[深緑。戯れのように、言葉を零す]
[青年の言葉 には、ゆるりと笑って。]
見ず知らずの人だからこそ、話せてしまう事もあるのじゃないかと、私は思うのだけど。
[聞かれることは、構わないと。
彼と同じように、意志表示を示して。]
変だとは、思わないけど。
貴方のものの例え方に、それっぽいなって思ったの。
桜の冷えた色の、理由も。
[手を伸ばし、ひとひらの花びらを指に。]
私は好きだけど。
それっぽい、ですか。初めて言われました。
いつも堅苦しいと、言われるだけです。
[橙色はどんな顔をしてこの会話を聞いているのか]
…貴女は…誰に、赦されたかったんですか?
貴女は…まず、貴女に赦されたいのではなくて?
俺はこんなことを聞いてしまいますが。
[良いのかどうかは、彼女の応え次第]
愛してくれてた人に。
[誰に、と問われれば静かにこたえた。]
大嘘、ついたから…
自分を赦す事は、意識した事なかったけれど…
[其れを求めていたりするのだろうか。]
俺は貴女が何故、どんな嘘をついたか知らないけど…
貴方はその人の不幸を願った嘘でも、ついたんですか?
その人は…その嘘で、悲しんだのでしょうか?
[桜がまた一枚。
すい、と差し出した手に落ちる]
悲しませてしまったのなら
次は…その人の幸せを、せめて祈ってあげられれば
いいと、思います。
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(生きてる人………)
[それって、その言い方はまるで―――… 目線が違う所からの答え方に聞こえて、瞬く。 そしてある一つの答えが過ぎった。
きっと、もう、この人は…
なら、私も似たようなものかも知れない。 病院に居たはずなのに、こうして外を出歩けているのが、ずっと不可解だった。 今この場に、魂とか心という概念だけで存在しているのならば、 私も、もうこの世に居ない存在なのかも知れないと思い到る。
ただ、その解に確証も無いまま、詳しく聞こうとはせず]
(21) 2012/03/15(Thu) 21時半頃
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[>>19何を知っているのかと問われるも、全てを知るのはあの桜。 呼ばれた先に、何が待ち受けるかまでは分からなかった。
ただ、はっきりしているのは――]
桜はきっと、ここに居る全員を…
[逃さない。 ――と、隣に居た彼にしか聞こえないような小声で*呟いた*]
(22) 2012/03/15(Thu) 21時半頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 22時頃
[長い銀糸は、揺れる。]
不幸を、願ったわけではないけれど。
でも、…彼が悲しんだか、そのこたえは、もう知る事はできないから。
[声が、僅かに震えた。]
彼の、幸せを、祈る…?
あの世で、幸せであります様にって…?
もう、いない人なんですか?
俺は、何も知らないです。
だから、その人が生きているなら
俺ならそうします。
[聞くけれど、問いはしない。
もしその人がもういないのなら。
自分の想い人も、もういない。
彼女の、来世の幸せを自分は祈っただろうか。
彼女の気持ちに気付かなかった自分は
ただ最後の言葉だけを知りたかった。
だから、今の自分なら、幸いを祈るだろう]
もういない人なら。生まれ変わって…
望まれて、幸せに、と。祈ります。
…桜は望まれるから咲くんだそうです。
皆、桜に焦がれるから。
だからあんなに儚くても、花開くのだそうです。
人も、そうなのではないでしょうかね。
…そう、もう、居ない。
[けれど、自分は彼の様な思えるだろうか。
まぶたの裏によみがえる群青の瞳は、深く哀しみの色をたたえて。
低い彼の声は、今の彼女の様に、僅かに震えていた。
彼が、自分を愛してくれていると知っていたのに。
それでも、自分は… ]
いないのですか。
…なら、貴女がかわりに自分を赦してあげたらどうですか?
[故人が何を望んでいたか、赦したかったか赦せなかったか。
もうそれは誰にもわからない]
貴女は苦しかったんじゃ、ないですか?
手を伸ばした先に何もないのは寂しすぎる。
[彼の言葉に、銀が舞った。]
…いいの。
それは、私の受けるべき罰だから。
[あまり感情が浮かぶ事の無い顔が、崩れているのがわかる。
青年には、きっとはっきりとは見えないだろう。]
自分で、選んだ事、だから…
[無理に、笑ってみせた。
はっきりと見えなくて、助かったと思う。]
[青年の手に己が手を重ねたまま、頭上からの声に顔を上げた。]
───…あ。
[少し前に聞こえた声。
一緒に、居たかった───、と。]
そう…なら、俺は何も、いいません。
貴女自信が決めたなら。
[深緑はそれ以上はいわない
自分には、彼女が求めていることはわからないから]
ただ、自分が辛くあって…その人が喜ぶかは、
知りません。
俺なら。幸せになってほしいと思います。
[銀糸と翠瑪瑙の会話をただ、黙って聞いて居る。
何故、銀糸の女が自らに罰を科すのかわからずに。
桜に吸い上げられ混じり合っても記憶は読めない。
ただ、女にわかるのは彼女の心を覆う感情だけ。
だから悲しくて、彼女が消える前に囁いたと同じ、一緒に居るよ。と、心の中で繰り返して居る。]
(私は此処に居るよ。
私達は、此処に居るよ。)
|
[風が過ぎる度に聞こえてくる声から逃れようと、目を閉じる。
そして、過ぎて行った出来事を思い出す――…
クラスの子とは馴染めなくて、常に一人。 早退する事も多かったし、数日間家から出られない事もままあった。 お昼の休み時間に、誰も居ない教室を探して回った。 どうせ一人なら、静かな場所の方がいいと、そう思って。
そして辿りついたのが、美術室。 使用しない時は鍵がかけられているはずなのに、ドアは迎え入れてくれたのだった。 不思議に思いながらも、窓際へと移動する。 その時、奥の部屋―準備室―から出て来た先生に、見つかってしまったのが最初、だった。
――――思い出は、一呼吸の内に蘇る。]
(27) 2012/03/15(Thu) 23時頃
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ベネットの手を握り返す。幸せになって欲しいと云う、彼の心に虚ろは見えない。それが女を安心させた。
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[繋ぐ手の絡む指先からは、自分はまだ存在しているのだと安心する事が出来た。
>>25皆に言いに行こうと促されるのだが、樹に近づく気にはなれない。 一歩でも動けば、忽ちの内に桜に捕らわれてしまいそうだったから。
隣の彼に、目を細め穏やかに笑みかけて]
もし、私が消えてしまったら、 のぞむがこの事を伝えて?
[彼女に残された時間は、それほど多くは無いのを実感していた。 歩いて向かうだけで、途中で居なくなってしまうのなら、 最後まで、誰かと話していたいと思ったから。]
(29) 2012/03/15(Thu) 23時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/15(Thu) 23時頃
[こうも長く人と話すのは久しぶりなのかもしれない。
思い出して滑稽なのは…この二人の名すら知らないこと。
けれど、橙がいう「皆「同じ」人」であるのなら、
その名前すら不要な境界線なのだろう]
桜は…何を望む花なんだろうね。
悲しくあり幸せでもあり。
出会いであり別れであり。
その根に死体があるといえば…
桜の元に、人は集うのだもの。
[翠色は、そこにある人々を目に写す]
俺は、君にもそうなってほしいと想うよ。
[橙にもう一度、翠を向ける。
桜がざわめく。また、何かを飲み込むかのように]
……人は…幸せになるために、生まれてくるのにね。
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