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―廊下:樹里―
んん。それももっともで、反論できないみたい。
[形だけ並べ立てたようにしか聞こえない理由に、そっと笑みを洩らして。
見た目通り頑丈なこの男なら大丈夫かと、口元を覆っていたマスクを引き下ろし、アランに貰ったチョコバナナを一口だけ齧り取る]
――…うん?何を?
[ゆっくり、ゆっくりと廊下を歩きながら、耳に届いた呟きに、傍らの男の顔を見上げる。
今自分から貰えるような物は、掌中のお土産品くらいだ]
……。要る?
[どうも違う気がする、と思いつつも、平太の口元に其れを差し出してみる]
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いい子だ
[素直に寝てくれた夕の髪を撫でて手を握る力は少し弱く]
あいつもかよ
もう全員同じ場所に隔離したほうがいいな……
[誰かがどこかで既に言ってることなど知らず
ここじゃ無理だな、と思っていた**]
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[冷の手
にいさま、さっきはるおねえちゃんが金平糖をくれたんです。夕とにいさまにって。とってもかわいらしくて。食べるのが勿体ないくらい。ふふ…でも食べないと傷んでしまいます。
元気になったら、一緒に食べてくれますか?
[ふと思い出したように少女はそれだけ呟くと、眠りの世界へ落ちて行った。**]
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―102号室―
あー、はるちゃん
[遥が102号室のドアをあけた時。そこには布団でおとなしく眠る病人ではなく、ホットカーペットの上にのたくる人間大のいもむしがいた]
おふとん……敷かれへん……
[さすがにお説教されただろうか。
布団を敷いてもらったり、薬と水を出してもらったりしたかもしれない]
わぁ、可愛い……
[ようやく病人らしく布団に入った後、枕元に置かれた金平糖の包みに。熱に火照った顔を、ふにゃふにゃと綻ばせる]
ありがとう、ハルちゃん。
あ、そや、ハルちゃん、これ。
[部屋を出ようとする遥に託すのは、金定への土産にと2人で決めた必勝祈願のお守り]
今渡したら、コンテストだけじゃなくて「風邪に勝てますように」も込みやなぁ。
[なんて笑って]
……ありがとう。
[布団に入ったまま、遙を見送った]
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[快復に向かうために眠る二名から少し離れた布団にて、
布団を腹まで引き上げてもぐりこむ。
持ち込んだ甘酒をゆっくり啜って布団が温まるのを待つ。]
あったかー……。
[少し、体の芯の寒さが和らぐ。
時折気を遣いながら、緩んだ鼻をかんだり。**]
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そうそう。平太さんなら近くにいても感染りそうにないし、
体温も高そうだから、仕方ないの。
[握られた手に少しだけ力が篭もった気がして、そっぽを向いたまま、するりと指を絡める。
多分理由など一つ位しかない筈だと解ってはいても、口にしてやる心算はなく]
……そうゆう意味だったの?
[風邪を貰う方法。
金定の刷り込みのせいだろうか、こちらも一つくらいしか思い当たらず。無意識にチョコバナナを齧る横顔に視線が惹かれ、慌てて顔を戻した]
んー。それなら、良かった。
何かね、…そう言ってもらえるの、ちょっと期待してたかも。
[自分でも気づかなかった考えに思い至り、さらりと本音を打ち明ける]
すみません、触りますね
[そう体温の高くない筈の自分が温かいと言う琴
触れた額は熱を持っていただろうか。
無いならホッと一息ついて、早く帰らなければと少しだけ歩くスピードを速め。
あるなら目を見開き、一瞬立ち止まって]
辛いならおんぶ…ぁ、着物…
誰か呼びますか、平さんとか管理人さんとか
[お姫様抱っこは腕力に自信が無いため真っ先に排除。
おぶろうかと思ったが、着物を着ていることを思い出して口ごもる。
誰かを呼ぼうか、それともこのまま帰った方が早いかと痛む頭で思案しながら、一度離れてもらってから上着を脱いで肩に掛け]
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…へ?わっ………
[額に伸ばされた手
…っ、大丈夫だにゃ!
もう直ぐそこだし…歩けるにゃ。
[あまり多くの人に心配かけたくないという思いから語調は強まる。ススムの上着を肩にかけられれば手持ちの羽織をススムにかけ、ニッコリと笑う。]
……………。
[ススムもあまり体調が優れてはいないようであったが、聞いてもきっと私と同じように、心配かけまいと強がってしまうだろうと感じ、もう一度腕に抱きつく。何かあれば支えてあげるつもりでいるらしい。]
うぅん。色々鑑みると、それが一番良さそうな気がしてきた。
[あくまで消去法だと嘯く様に、だからそうする、と付け足した
普段着の自分を評する言葉には、綻ぶ口元を手の甲で隠して]
…それって、ますますいいかもね。
着物じゃ、せいぜい年に数回だもの。
[自室の前に早々に辿りつけば、労わる言葉を告げられる。
頷きながらも、一度繋げば離し難く、重なる掌に視線を落とした。
不意に降ってきた問いを咀嚼する間もなく、すいと距離が削れ、真っ向から瞳がぶつかる。
唇を細く開いて、また閉じて。引き延ばせたのは、僅か数瞬。
熱で蕩けた頭で、気の利いた答えなど探すのは諦めて]
――……、どうぞ…
[消え入りそうな声でそれだけ紡ぐと、ぎこちなく睫毛を伏せた]
[上がる一方の熱のせいか、触れた唇は温く感じたのに。
離せば一層じわりと熱を持つ様で、それを散らしたくて口を開く]
えっと……、
――…エスコートのお礼に、お茶でも飲んでいきます、か?
[後悔どころか、言葉を紡いでいる最中にもう、自分は何を言っているのだろうと焦る。何時か明言したように、彼が病人の自分に悪さをするとは全く思っていないが。
どう受け取られるのだろうと思えば、紛らす言葉を探そうと急く]
…や、変な意味じゃなくて。
ちょっと、離れ難いなと思っただけ、というか…
………やっぱ、今のなし。全部なし。
ほんとに風邪、あげちゃいそうだし、ね。
[結局拙いだけの言葉を足してしまって、唇をきつく噤む。
階下に戻ろうとする男を、そのまま引き留めはしなかった**]
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…ありがとうございます
じゃあ、行きましょうか
[熱い、と触れた手を見つめていると上着の代わりのように羽織を掛けられ
温かくなるように掛けたのだから交換では意味が無い、ということまで頭が回らないようで]
辛くなったらすぐ言ってください
[気を遣われているんだろうと思いながら、だいぶ近くなったわかば荘の方に向き。
早く戻って誰か、出来れば女性に彼女を託さなければと決めて]
ー→わかば荘ー
ただいま、です
[あれから何事も無くわかば荘に辿り着けただろうか。
戸を開けて未だ慣れない習慣を口にする。
女性がいるようならその人に、いなければ管理人室か談話室なら誰かいるかと人を呼んで]
すみません、琴さん風邪です
熱あります
[お願いします、と焦りのせいか片言の敬語で囁くように言って]
僕は、大丈夫なので…着替えたら手伝いますね
[出来るだけ顔を見られないようにしながら、一度頭を下げて逃げるように背を向け。
引きとめられなければそのまま自室に戻って解熱剤か風邪薬でも飲もうと決める]
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ー →わかば荘 ―
……ありがと、スーちゃん。
[隣で支えてくれているススム
ーーー………
ただいまなの……す、スーちゃんっ
[わかば荘に着くや否や自分が風邪だと伝えるススム
……スーちゃんもでしょ
[とむすっとしながら呟く。]
上着も返してないし、なにより、これ……
……一緒に選んだから一緒に私に行きたいにゃ。
[これ、と差し出したのは猫の形をしたべっこう飴。一緒に選んだというよりはほぼ琴が選んだのだが。そばにススム以外の誰かが来れば手に持つ薬たちを手渡し、来なければススムに待つように伝えてフランクへ渡しにいっただろう。]
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―それからしばらくして/102号室/マユミ―
[遥が見舞いにきた後、疲れが出たのかすぐに寝入っていた。
何か夢を見ていた気がする。
枕元に人の気配。目を開けようとしても開けられなくて、ただその優しい気配だけ感じていた]
――……。
[ふっ、と。夢から覚めたのは、それからどれくらいのことだったか。ぶにゃー、と、ぶちゃいくな鳴き声が聞こえて頭を起こす]
……?
[頭はずいぶんスッキリしていた。どてらを着込んで布団を抜け出す]
―102号室/マユミ―
にゃんこさん、お見舞いきてくれたん?
[窓から庭をのぞくと、例の三毛猫の姿。一応本人(本猫?)の前では遠慮して『ぶーちゃん』呼びは避けているのだが、まさか夕から樹里へと、その呼び名が広まっているとは知らず]
いつにも増して仏頂面やなぁ。
[お見舞い、ではなく、もしかしたら呼び名への苦情申し立てかもしれなかった]
―管理人室/マユミ―
だーれかいますかー?
[もこもこのルームウェアにドテラを着込み、おでこには冷えピタ。首にタオルを巻いて、管理人室の前]
おじゃましますよー?
[中に人の気配がする管理人室。誰か病人が寝ているかもしれないので、声は控えめに。
扉を開けると、中を覗き込んだ]
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んぅ…
[どこからか聞こえた声にもぞもぞと身体を動かしながら目を覚ます。少しぼーっとしてから部屋を見渡し扉から覗き込んでいるマユミ
まゆみおねえちゃん!おかえりなさい。
初詣どうでしたか……ってどうしました!?おねえちゃんもお風邪ですか?
[笑顔で挨拶をするが額の冷えピタを見るや否や吃驚して心配そうにそう尋ねる。]
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―管理人室/マユミ―
[部屋に入ると、夕が可愛らしくお出迎えしてくれた]
夕ちゃん、ただいま。
だいぶ元気になったかな?
[思ったより元気な声にホッとして微笑む。夕が布団から出なくていいよう、部屋に入って側に寄り]
そやねん、ちょっと熱出てもーてな?
でも薬飲んでひと眠りしたらずいぶん楽になったわ。
夕ちゃんと、冷さんはお加減どう?
そうですか…良かったです…!
私が寝ていたお布団ですが宜しければ横になって下さい!
私も大分具合は良くなってきて…少し頭痛がするくらいなのですが、にいさまがとてもしんどそうで…
[マユミの返事に安心した表情をし、自分がここにきて少しの間だけ寝ていた布団を指差しながらそう言った。布団を出てマユミのそばに行こうと思ったが彼女の方からこちらにきてくれた。
ちらり、と横で寝ている冷の横顔を心配そうに見つめながらそう答えた。]
― 206号室前 ―
[なしにしないのは、どこまでの話なのか。
断られた事への安堵が半分、残り半分は何だろうか。
あやすように髪を撫ぜる指先に意識が浚われ、上手く考えが
纏まらない。
だから、男の本音を察するには、暫し時間を要して]
――…ッ、
……そんな、こと。言われたら。
呼ぶに呼べなくなるじゃない…
…呼ぶなら、って言ったくせに。
[名残を惜しむような仕草にも、唇を尖らせ呟くしかできず。
念押しには浅く顎を引いて頷いた
[離れていく背中が見えなくなるのを確認してから、自室に身体を滑り込ませ、後ろ手で静かに閉ざしたドアに凭れかかる]
――…おっかしい、なぁ…
[…くらくらする。と独りごち、ずるずると床に腰を落とした。
初めて彼の体温を知らされた唇を指先でなぞれば、去り際の仕草を生々しく思い出し]
……言ってる事とやってる事が、ちぐはくなのよ。
あのばか…
[さっきの言いつけに従える自信はないものの、ベッドへと身を投げ出し、ひやりと肌に心地好いシーツの感触に顔を埋めた**]
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― 管理人室:牧野 ―
[甘酒を飲んで温かさが消えないうちにと
布団に潜り込んで目を瞑ってじっとしていれば、
そのうちうつらうつらとまどろんでいた。
途中フランクが顔を出したなら
湯たんぽをねだって暖を強化しようと試みた。]
あ。まゆみちゃんだー。
ふらふらしてたけど出歩いてていいの?
管理人さんに怒られないー?
[重装備で現れた星河
夕が布団に入れと言うのを聞けば
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―管理人室/マユミ―
いやいや、お布団は夕ちゃん使ってぇな。まだ頭痛するんやろ?
[
夕ちゃんは、ほんまレイさん大好きなんやね。
レイさん、大事にしてくれてるんやね。
[敷いた布団にごそごそと足をつっこんで。永里を心配そうに見る夕の頭を撫でる]
お兄ちゃんのためにも、夕ちゃんは早く自分が元気いっぱいにならんとな?
―管理人室/マユミ―
あ、リンちゃん先輩。お加減どうです?
[
薬飲んでちょっと寝たらだいぶよぉなってん。
よぉなったらなんや人恋しくて。
[布団にもぐりこみつつ答える]
ひとりやないってええなぁ。風邪ひくとなんや意味なく心細くてあかんわ。
[布団ごと、牧野にむぎゅっと抱きついてみる。風邪っぴき同志なので、今更うつるとかは気にしない]
─ 104号室 ─
[部屋に戻ると、卓袱台の上にミカンを積み上げ、雑多な資料が山積みになった作業机から、大学ノートと鉛筆をとった。]
えーっと、まずは生き霊になった経緯だよなー……
[先程、談話室でちらりと話したネタを、忘れないうちに書き留めてゆく。]
それとー、主人公はやっぱ寺の跡取りでー……
でも告ぐのがイヤでどうこう……って感じかなー
モデル平ちゃんでいいや。
[ちなみに、昨年末に青森書房へ投稿した漫画には、ハルカ[[who]]とヘクター[[who]]とアラン[[who]]をモデルにしたキャラがいるとかいないとか。]
― 管理人室:琴 ―
[
………失礼しますにゃ〜…
[寝ているかもしれないと小さくノックし、か細い声でそういうとドアの隙間から覗き込むようにして中へ]
…あ、まゆちゃん、夕ちゃん、りんちゃん。
…体調、大丈夫かにゃ?
[眉を下げて尋ねる。自分の体調の悪さを隠すため、ゆっくりと歩いて皆の布団から少し離れたところへペタリと座る。みんながそこまで重症じゃなさそうなのをみてホッとして笑みが零れる。ちらと冷のほうを見れば、ススムと帰り道に話していた通りとは真逆で重症なよう。飴は今度渡そうか、と寂しげに呟く]
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― 管理人室:牧野 ―
帰ってきた時よりよくなったかなー。
あの時は寒くてしかたなくって。
[今現在、布団に潜っているからというだけではなしに、
眠る前よりは幾分寒気は引いている。
心細い、という言葉にはうんうんと頷いて。]
病気の時はどうしてもね。
人の気配がするってだけでもほっとするよー…。
[布団ごと星河に抱きつかれて
しかし病人同士気にせずそのまま抱き返す。
熱風邪と喉風邪は合体するんだろうか。どうなんだろう。]
まだちょっと熱い?
でも戻ってきた時より顔色もよさそうだねー。
[ぴとっと首筋に手を当ててみる。]
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