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[暫く、海を彷徨っていた。うみねこが遠くに飛んでいく様子を眺め、海水を蹴っ飛ばしたり潜ってみる。水からあがれば、濡れていたと思った体は即座に乾いた――というか、水に入っている間は"濡れている"と錯覚している方が正しいのだろうか。
苛苛しているな、と思う。
濡れて使えなくなっても構うもんか、と放っておいた端末を、浜辺に座って弄くると、ちゃんと動作するのがすこし腹立たしかった。
こっちにも[電脳世界β]は入っているようだ。
どうやら南方がかつて使っていたものは機能制限版だったらしい。こちらの「β」は、「死者」の欄があったり個別会話が可能なようだ。
全体会話欄を表示させると、三名ほどの会話が見える。真寺というのはあの廃校で出会った若い女だろう。]
白銀の騎士……?
[一通り見終えたところで、乗り気ではなかったがコメントを残す]
――電脳世界β 全体会話―――――
白銀の騎士? テッドのことか。
怪我した場所が機械になる奴だろう。
手足を捥いで機械にしたと言っていた。
あと福原さん、あんたなんで死んでんだよ…全く
―――――――――――
[首を刺したとき、血液が出た。まだ完全な人外ではあるまい。
多分、どこかに弱点があるのだ――そこまでは書かなかった。
弱点など突かなくても、これが一応殺しあいである以上は、多分、全部潰せば死ぬのだろうが]
[そして、個別会話に切り替えて]
――――――――――
to 水無月櫻子
"どうした?”
―――――――
[まるで呼びつけてお説教でもしようといった感じだが。訝しく思いながら、南方は灯台をゆっくりとのぼっていく]
― 電脳世界β 個別会話toミナカタ ―
少し話を聴きたい。
[それは白騎士について、か。
どうして挑んだのか、か。
何を話そうかと思いつつ。
櫻子は、ミナカタを待つことにした。]
[櫻子は、福原との会話で何となくミナカタもそうなのかもしれないなと思っていた。
後に残る人へ、託す為。
だから、逃がす為に戦ったのだと思っていて。
怒っていた感情は、見知らぬ他人と話すことで大分収まっていた。福原が神父であることなど知らないが、話してみるとすっきりすることもあるものだ。
僕が聴けるかどうかなんて、分からないけれど。
そう思いながら、灯台頂上の中央に正座をして。
空を見て、うみねこの声を聴いた。]
話を……
[片眉を上げて画面を確認する。螺旋階段を見上げ、とんとんと昇っていけば、高い灯台だ、頂上まではかなりの距離がある。
水無月櫻子は、望んで殺されたという。……それが本当ならば、やはり南方にはこのゲームの存在そのものが悪趣味以外の何物でもない。
やがて屋上に続く階段へ。うみねこの声が大分近くに聞こえる。空を見上げ、屋上にたどり着けば――道場着でなく、美しい青い着物の水無月櫻子が、灯台の中央に正座していた。]
……よう、来たぜ。
昨日ぶりだな水無月さん。
それで、聞きたいことっていうのは……?
[彼女の真正面に胡坐をかいて座り、その双眸を見つめ返した]
メモを貼った。
/*
>篠塚さん
あれ、蘇生先福原さんじゃないのか。場所了解。
ようこそ、ミナカタ。ここで茶でも点てられれば、どうぞと勧めるところなのだけれど。
[と、冗談を言いつつ微笑んで。
櫻子は丁寧に手の平をついて深々とお辞儀をする。
総礼――というには、本当にお茶を淹れる時の礼儀作法より随分と砕けていたけれど。
顔を上げれば。早速、本題に入った。]
どうして、挑んだんだい。
僕は――、一緒に逃げると思っていたよ。
挑むなら、明確な勝ち目があるのだと――思って。
[少しだけ、先のことを思い出して。
哀しそうに、目を伏せた。]
…見ていたよ。
[その最後の声は、か細く。
どうして、死んだのかと――伏せた眼をあげて、ミナカタをじっと見つめた。]
【人】 掃除夫 ラルフ―病院周辺― (34) 2014/06/18(Wed) 00時頃 |
【人】 掃除夫 ラルフ
(35) 2014/06/18(Wed) 00時頃 |
あ、ああ……?
何だ、改まって
[櫻子が冗談を言い、お辞儀をする間、南方は少し怪訝な顔をしてそれを眺めた。つられて軽くお辞儀。]
………見えてただろうな、多分。
胸糞悪いもん見せて悪かった
[か細い声。少しだけでも顔を知った者の首が刎ね飛ばされるなんて、見ていて気持ちのいいものではあるまい。
そんな表情をさせてしまうのが、少し辛い。
……それでも、多分、あそこで水無月流を死なせるよりは、何倍もましなのだろうと自分に言い聞かせる。]
どうしてって、あいつら逃がすために決まってるだろ?
全員で逃げて逃げ切れるほど、あの怪物は甘くねえから
そりゃあ、命引き換えにしてあいつ殺したかったけどさ
……あいつら逃がせただけでも上出来なんだよなあ
[最後の一言は、自分に言い聞かせるように呟いた。]
[その返答は、予想通りで。
流のことを聴けば、僕は複雑な心境だった。
僕は、少し目を瞑って考える。
僕が最初に流に挑んだのは――。
――流に覚悟を決めてもらい、死線を乗り越えて。
強くなって貰おう、としたからだ。
その意思を持って、僕は全力での肩慣らしをしたのだから。――流が負ける、なんて。考えていなかった。
あの場で白い騎士と流が戦っていたら――。
どうなって、いただろう。
勝っていたか。負けていたか。
ミナカタが、流を心配してくれたことには嬉しくて。
僕は、首を振って。目を開けた。]
…いいや。胸糞悪い、とは思わなかったよ。
こういってはなんだけれど、僕は見ていて楽しかった。一時はやれたと思ってガッツポーズだったし、あの時は格好いいと思ったよ。
――だけに、最後はとても哀しかったけれど。
流を、マドカを、星開を逃してくれて――。
ありがとう。
[そう言って、もう一度丁寧にお辞儀をする。]
……礼なんか言うなよ。
[お辞儀をする彼女の頭を、一度だけぽんと撫でて、南方は立ち上がる。灯台の端に行き、うみねこの群れを眺めた
彼女に聞こえるように語り掛ける]
流の奴、俺に言ったんだよ。
「俺が引き付けるからその間に逃げろ。俺は一回死んでも もう一度だけなら生き返れるから」
……ってな。馬鹿だろ。あの時流が戦ってたとして、勝てるわきゃねえよ。
多分あいつはお前さんが思う以上に脆い。あんたが命がけで肩慣らししてやってても、だ。
……俺は、お前さんの目の前で流を死なせたくはなかった。
流が一度でも死んだら、お前さんは悲しんだだろう?
俺はもうたったの一度だって、家族が死んで悲しむ奴なんて見たかねえんだよ
[こんな悪趣味なことは終わらせなければならないと思う。南方はふと、思いついたように]
……お前さん、まだ篠塚藍の姿か何かは見てないか
俺も見てないけどな
[と、振り返って問う]
[ぽん、と撫でられた頭に暖かさを感じ。
立ち上がったその背を見て。]
流が――そんなことを。
[と驚いて。
――僕がどうして死んだのか。
何故分かったのだろう。
流の脆さについては――僕も分かっていた。
だからこそ、僕はあの子を強くしたかった。
――でも。
続く、言葉には。]
……ミナカタ。ミナカタも、馬鹿だよ。
僕はミナカタが死んでも、哀しかったんだ。
キミが死んだら、悲しむ人は僕の他にもいるだろう。
酒場の主人と、楽しそうに話していたじゃないか。
[そう返して、僕も立ち上がった。
何やら装備変更の能力を使おうとしている。]
いいや。
見ていないし、電脳世界βにも姿を現さないよ。
……やっぱり、怪しいと思うかい。
酒場→K cafe
酒場じゃなくて、K cafeの主人と言いたかった。
酒場? ああ、カフェか。
ハルは……あいつにも、奥さんと店があるからなあ
[背負うものはとっくの昔に無くしたから、自分自身の命が一番軽いと思っていた。櫻子の言葉に少しばつの悪そうな顔をして、悪かったよ、と一言。目をそらして空を見る]
……そうか。
怪しいな。そもそもこの状況で禁足区域にわざわざ入るか?
遺体は見に行った時白いのに埋められてたが……あたりは酷く焼け焦げたにおいがしたよ。爆弾でも使ったみてえな、な。
……白いのが埋めたのは、本当に篠塚藍なのかね?
[思いついたことを口に出す。背後で、櫻子が何か力を使っていることを感じ取れば、なんだろうと振り返る]
ふふ。
じゃあ、もう少し命を大事にするといい。
[そう言って、櫻子は微笑み。それは、このゲームがちゃんとクリアされていることを信じて疑っていないから。]
禁止区域が、その後に他に設定されていたのなら――。
僕は、そこまで怪しいとは思わなかったかもしれない。
――でも、まるで禁止区域は"その為"に設定されていたのではないかと思えて、気になるな。
i-GAME。篠塚藍だから、iと藍をかけている――なんてまさかと思ったのだけどね。
[――と言いつつ、僕は右手に大きなシャベルを取り出した。
装備変更の能力で出したそれは、詳細を知らない為にハリボテだったけれど。その方が都合が良かった。]
ミナカタ。
…僕は、キミは能力に頼り過ぎだったと思う。
幻影に頼らずとも、十分に戦う力を持っているよ。
[ハリボテのそれは、白騎士の使ったシャベルを真似ていて――。重さはあるのに発泡スチロールで殴るくらい、たいした威力はないけれど。
その大きなシャベルを、ミナカタへと突きつけて。
僕は、あの白騎士の姿を真似ようとイメージをしてみる。
――ちょっと失敗して、鎧の中央に"頑駄目"とマジックと書かれたぽんこつの白い鎧が僕にまとわりついた。
僕の機械に対するイメージ力の無さは、微笑みで誤魔化すことにしつつ。]
ちょっと、実戦の練習をしてみないかい。
[と誘ってみた。ミナカタの武器は、僕に出すことは出来なかったけれど。僕の能力は、僕が身に着けているもの限定なのだ。]
”その為”……目くらましのためにってことか……?
iと藍に関しちゃあ……まあそれが本当なら、ガキのお遊びみてえなこのゲームらしいことで、って、おい
[返事をしながら振り向いて、引き攣った笑みを浮かべた。死んでもよかったとはいえ、だ。あの首を切られる瞬間の恐怖を忘れたわけでもなく]
お前さんも随分タチの悪い……
俺ゃ一般人だぞ一般人。
[そして、頑駄目と書かれた装備に失笑する]
おまっ頑駄目て……ああもう!
[とはいえ、素手だ。どうにかならないかと端末を弄くって、武器を取り出そうとすれば、2
1ビニール製のおもちゃのような長いククリナイフ
2そんなもんはない]
……知ってたわばーか!
[嘆息して、彼女の前に立つ。腰を落として、大昔体育でやった空手だか柔道だかの構えをすれば]
じゃあちょっと……ご指導願おうかね、水無月先生?
[すごく逃げたいな、と思いつつ、ここで逃げては男がすたると、南方は彼女の誘いを受けてたつつもりだ。]
(……とはいえ女に蹴りとかをかますわけには……)
[なんて、この期に及んでなめたことを思いつつ]
……。一般人、か。
強くなって欲しい――と、初めて僕は思ったよ。
流以外の人に。
[そう言って、僕はミナカタの様子を見る。
楽しそうに微笑みつつ。
――なんだかんだで、戦うのは楽しいのだ。
その中途半端な構えを見て、櫻子は苦笑する。]
ああ。手加減はしなくていいよ。
[にこりと微笑み――櫻子は。
滑るように全力で走り寄り――。
一気に、距離を詰めて大きなシャベルを薙いだ。
その一撃目が通るかどうか確認しもせず、僕はミナカタへと回し蹴りの二連撃を放つ。
もしハリボテの武器に気を囚われていれば、櫻子の蹴りがミナカタを襲うだろう。
二撃目こそがメインで――僕も体術をメインに攻撃を仕掛けるつもりだった。
武器は所詮、飾りにすぎないのだ。]
――っ!
[突進してくる白い機体、もとい櫻子がシャベルを振り回す。トラウマを含めてそれに気をとられていれば、強烈な勢いの回し蹴りが南方の足を強打した。]
いっ……ぎゃっ――!
[倒されたところを、かろうじて、かろうじて受身を思い出してダメージ軽減を試みる。普段なら弱音を吐いてここで折れているところだが――櫻子の気迫に、そうも言ってはいられず。]
厳しいぜ先生…こりゃあなめてらんねえわ
[即座に起き上がって、距離を取り、じいとシャベルと櫻子を見つめた。
体術ではどうあがいた所で勝てはしない。ならば隙をつけるのは、どこだろう――?
そんなことを考えながら、近づいて愚直に胴を殴ろうとする]
メモを貼った。
メモを貼った。
[受け身をとる様子に、僕は一旦動きを止める。
追い打ちはかけない。櫻子は、余裕だった。]
ふふふ。
せめて僕を倒せるようになってほしいな。
[起き上がる様子にまたシャベルを構える。
その愚直な胴への拳打を、]
様になってるじゃないか。
[と言いつつ、左手を拳打に合わせるように添えた。
――まま、くるりと身体を回転させて。
腕を掴んで、投げ飛ばそうとする。
"払い巻き込み"という柔道の技だった。]
(せめて……せめて?!
めちゃくちゃ強ェじゃねえかお前!)
[などと思いながら、もはややるしかないと櫻子の胴をめがけ拳を突く。するりと添えられた白魚のような指と掌。
柔よく剛を制す、とはよく言ったもので、体の回転に巻き込まれる形で、南方は櫻子に思い切り投げ飛ばされた。]
う……ああああああああああぁぁぁぁ?!
[星が散る。思い切り頭も肩も背も、地面に叩きつけられて悲鳴をあげる。ふらふらとたちあがれば、櫻子は優雅に余裕の表情を浮かべていただろう。]
くっそぉぉお…情けねえ…なめんなよ……!
[さて。
リーチの長いシャベルに、強力な体術。遮二無二突っ込んでいけば全てが倍返しだ。南方は今度は櫻子の周囲を歩く。様子を見ている風を装った後、地を蹴って彼女の後ろにまわった。
脚の関節めがけて蹴りを放つ。]
(システマ……だったか?わからんがこういうのは関節攻撃で合ってる筈だっ……!)
[死して尚実戦なんて、と思いつつ、少し楽しくなってきたのは子供のころの喧嘩を思い出したのか南方がマゾなのか、恐らく両方。]
[装備変更の能力は、投げ技と相性がいいなと思いつつ。
さり気なく武器を一旦消しては、ミナカタを投げ飛ばした。
ミナカタが立ち上がる頃には、また大きなシャベルが右手に戻っている。
これが威力の無い武器だからまだいいものの、普通の武器ならもっと凶悪だったかもしれない。
…と、"能力"を活用しての戦い方にひそかに櫻子は慣れつつ。]
情けなくなんてないよ。
頑張れ――レイジ。
[そう言いながら、楽しそうに次は何をやってくるかと櫻子も様子を見ている。
――そして、後ろに回ってくるミナカタに。
あえてそのまま背を見せた。]
――その蹴り、正面からじゃないと脚の関節は壊せないんじゃないかな。
[と、言って櫻子は前に歩き紙一重でかわす。
後ろからでは、当たっても衝撃が前に逃せてしまう。
脚払いなら出来るかもしれないけれど。
システマについて櫻子は知らなかったが、その動きは良いと思いつつ。
くるりと振り向いて、櫻子は攻撃を待っている。
だから正面から、という意図らしい。
――が、こんなことを言いつつ。]
肉を斬らせて、骨を断つ。あえて避けずに、必殺の一撃を入れる方が被害が少ないこともある。
[自然体の――無形で立ちながら。
攻撃を待っている。――櫻子は、とても楽しそうだった。
次は何をしてくるだろう――と。]
メモを貼った。
っ! ……あたらねえかやっぱ
[蹴りをいれようとして、あと少しというところでかわされる。櫻子がわざと背を見せてくれていた、ということになんとなく気づいて、うーんと苦笑。
ついでにロシアンマーシャルアーツのシステマでは関節破壊のとき前面から蹴っていたことを思い出す。やはり敵わない]
(肉を切らせて骨を絶つ、か……)
[どうあがいたところで、南方が打撃で相手に与えられるダメージは少ないだろう。ならば必要になるのは一撃必殺の立ち回りだ。
櫻子の動作をじっと観察すれば、学ぶところは多い。まず、動きがしなやかだ。向けられた力を防ぐよりも受け流す。攻撃するときは鑿で貫くように、局所に集中させる。そうすることで相手が誰だろうと負けない立ち回りをしているように見えた。]
……じゃあ、もういっちょいきますか
[息を浅く吐いて、伸びをし、己の体をリラックスさせる。
そして、南方はもう一度、彼女に向けて右の拳を突いた]
メモを貼った。
僕が幻影能力を持っていたら、相手に気がつかれないように奇襲をかける幻影を作り出すかな。
[と言いつつ、櫻子はその攻撃をかわす。
適当にシャベルを振って反撃をするが、それは致命の一撃を入れる為というよりは間合いを取る為のようだ。]
相手にそれに気がついてほしい――なんて欲を張って、気が付かれるようにしちゃ駄目だ。
気がつかれないなら、その相手はその程度なんだ。
その時は能力に頼らない。
そして、相手がそれに気がつくならば――。
たぶん、隙が出来るのではないかな。
[と、見ていて思ったことを語ってみる。達人相手にだからこそ、かけられるフェイントというものもある。
もうそれを使う機会はないかもしれないけれど。]
レイジ。もっと自分を信じて。
――自信を持って。キミは、強いよ。
[そう言って、微笑んで。
櫻子は、背を低くして。大きなシャベルと拳打を組み合わせた猛攻をかけようと、一気に距離を詰めた。]
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