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…………無くなる前に死んでよかったかもなあ、
[ふと笑みを零して、(そっと生え際を気にした)
(見ないフリされたものに関しては、
自分も見ないフリをして)
遠く空を振り仰ぐ友の視線の先を追う。
塗り潰したような夜空に、転々と穴穿つように
瞬く星々と、煌々と照る月。
いつか見上げたものと同じ空がそこにある。
彷徨う亡霊を導く事はけして無い。]
――………………。
[ざらら、と風が地を撫でていく。
肩に置かれた皺だらけの掌に触れて、
そっと降ろさせた。]
[ 暫く、黙っていた。]
( 君が本当は、人を、族長を殺したのかどうか
知らない。何も知らない。 )
[宿屋の一室であんな反応をしたのだから、
きっと何かしら、知ってはいるのだろう。
そうは思うが、具体的に聞く気にはなれない。]
[おもむろに口を開く]
……。
この騒動の犯人はさ、
何を変えようとしているんだろうなあ。
[人を殺し、族長を弑し、同族を傷つけ
すべては彼らが昨日と違う今日を求めた結果。
そうしなければ求められず
そうしなければ変えられなかったもの。
それは、なんなのだろう。]
これ以上湿っぽくてもカビるだけな気がするが
見届けなきゃあならんのだろうと――
……そう、思ってさ。
[一歩、また一歩
森から村へと踏み出せば
生前の姿を辛うじて保ちながらも、時折その形は暗く翳る。
男は振り返り、
琥珀色の目をゆるく撓めて、ルパートを見る。]
君はどうする。
[グレッグの事も、メアリーが疑われていた事も、
特には知らない。
それでも、遺された彼の家族にとって
今が苦しいだろうということは想像に難くない。
それをルパートが見れば苦しむだろうな、という事も。
見ないままでいる選択肢もある。
問いを投げかける双眸は、只管に凪いでいる。**]
メモを貼った。
―未明・宿屋裏手―
[―――――――…、]
……うん、そうしようかな…。
ここ、何日か…ちゃんと眠れてなかったんだ。
[
彼へ向けて、誰にも聞こえない場所へ、消える。
骸となった狼と、手を下した青年。
そのすぐ隣に、人の型をした男は佇んでいた。]
[月明かりの下で隠れたサイラスの顔。
そのサイラスの表情に、
男は少し困ったように眉を下げて。]
――…泣くなよ、サイラス。
…それが、自分の為なら止めないけどさ。
[血に混じり落ちていく涙は誰の為のものだろう。
もう戻らぬ彼女を想ってか、
それとも同胞に手を掛けてしまった自分の為か、]
……頼むからさ、
俺の為には、泣かないでよ…サイラス。
…俺は…クラリッサをあのまま殺せていたらさ、
多分次は、サイラス…お前を狙ってたんだ。
[眠らされた為かほとんど苦しむことはなかった。
禁忌をおかして村の均衡を更に揺るがした人狼に
与えられた死は、どこまでも優しい方法で。]
……ほんと。
人が好くて―――――…お節介だよね。
[隙あらば今にも襲わんと。
獣の型を取り続けていたあの時ですら、
苦笑交じりに呟いて狼の骸を担いでいく姿を見送った。]
[まだ意識を戻さぬメアリーの姿に視線を移して、
目を細め、けれども男は今はそれ以上言葉を紡がない。
望まない、と"彼女"は言った。
望んだのは、"男"だった。
誰でもない、自分の為に選んだ。その結末。
男の死を知るその時、"彼女"は何を思うだろう…。
従妹が意識を取り戻すよりも先、
男の姿は静かに闇の中へと溶けて行く。]
[先程まで、"自分"の居た場所。
貫かれて地面に広がったままの血、その赤。
夜の色の中に赤は黒ずんでそこに在る。]
[赤い、色。]
(―――…一番似合っていた、ワンピース。)
[あかい、色。]
(―――…憧れの背、その人の髪。)
[紅い、色。]
(―――…たくさんの星が瞬く、自分だけが知る空。**)
【人】 逃亡者 メルヤ
(48) 2015/05/19(Tue) 23時半頃 |
【人】 逃亡者 メルヤ ( 死後の世界なんて。 (49) 2015/05/19(Tue) 23時半頃 |
【人】 逃亡者 メルヤ ( 全部終わって、『ぼく』が生きていたら。 ) (51) 2015/05/19(Tue) 23時半頃 |
なんだ、気にしてたのかい。
[髪の話題
わざとらしく、ちらと視線を上へとあげた。
琥珀がじろりと睨み来れば、
笑み含んだ赤い鳶の瞳を涼しい顔で逸らして。
そうして闇に光る白い月、
やたらと生前のまま映る景色を眺めながら口を閉ざした。
素直に綺麗だなと思う。
今更、あの空に手を伸ばし救いを求める気もありはしないが]
[沈黙。互いに互いの思いで暗い空を眺めていた。
心はこれまでになく凪いでいる。
一度、彼の肩に置いていた手に手を触れられて、
その時ちらりと彼の横顔へと目を向けた。
生前と、昔と代わらず真摯に映るその横顔に目を細める。
八年前のキャサリンのこと、自分のこと。
結局まだ気にしているのだろうと、
死ぬまで──…死んでいるが、
消えるまで気にしているのじゃないかとすら思う。
…薄くなりつつあった、髪と同じに]
[沈黙を破る声
問いならぬ問いに、再びちらと目を向ける。
視線が交わることはなかった。
だから男も、また空を仰ぎながら言葉を落とす]
…───、さあ 、なあ…。
[返す声色は少し茫洋として、
あの空の星への距離を問われたかのように、
少し、想像を広げるかの間を置いた]
………けど、
…… けど、……
[躊躇うように、少し沈黙は落ち]
…なあ。
我らには…この村の人狼族には。
少しでも、ほんの少しでも、
あの子らの声を聞く余地はなかっただろうか。
同胞の声を聞く余地はなかったろうか。
同族を罰する殺すという前に。
…───少しでも声を聞いて貰えたなら、
[或いは、と。
顔は空へ向けたまま、自らに重ね合わせるように呟いた。
自分とて、妻が助けられるなら同じことをした。
同じことをして、逃げ場を失えばさて…どうしたことか]
…。 私は、彼らを助けたかったよ。
[あの子らと呼び、彼らと呼ぶ。
犯人とも裏切り者とも呼ばれる者らと、
心通じていたこと隠す気は元よりなく。
少し、間が途切れる。
躊躇うように傍らを見、ゆるく口を開いた]
…… ”犯人”と呼ばれる者が、
私だけで済めば良かったのだが。
[そう願っていたと低く零して]
だから僕は、とうに心で裏切っていたんだよ。
族長の意に抗ったのは、確かにこの私だ。
同族を殺したいと思ったことはなかったが、…
[見殺しにしたことはあるとまでは言わず、口を閉ざした。
己が手を汚したと、思われるならそれで良いのだ。
村医者は何も間違えたことはしていない。
問われずあるならば、だからそれ以上を語ることもまたなく]
ああ。行くよ。
何も出来なくとも──…
[傍にいてもいいですよね、と。
やさしい少女の声
その面影にゆっくりと瞬いて、そして小さく首を振る。
そうじゃない。自分はそれ程綺麗なものではなくて]
… あの子らの、傍に居たいんだ。
[己の我侭な狂気の末路、その末を。
見届けることを選び、男もまた森から足を*踏み出した*]
メモを貼った。
― 4日目 投票 ―
[粛清を決める投票に、全員が集まるはずの集会場。
わたしは足音、声を何度も確認して、ようやく。
居るはずのひとが居ないことに気付くんだ。]
…………せんせ…?
[さあ、と風が砂塵を巻き上げて 揺れぬ黒髪を通り過ぎ
吹き抜けた先は通い慣れた診療所。
そんなわたしの揺らめく心を嘲笑うかのように
箱は静かに今日の死者の名前を吐き出した。
――グレッグ・シーボル
彼への死の宣告と同時に決まった メアリーの孤独。
いっそ予告なしに奪われた方がましなのではと思う位に
決められた未来は、夜の帳と共に落ちていった。]
[ (もしかしたら、具合が悪いだとか)
(誰かが大怪我をして忙しいだとか)
(そうよ、だって大火事があったんだもの)
(きっと忙しくって来られないんだ) ]
そう、よね。 きっと そう。
[手首の絹がはらりと緩み、手を下げれば落ちてしまうほど。
さら、さらと揺れた束を撫でれば ひとつ正緒を吐き出して
風に揺られて何処かへ伸びる。
手繰っても 手繰っても 終わりのない細い生糸。]
グレッグ……。 (サイラス…。)
[父からも 兄からも 遺されるあの子の叫びが
耳の裏に響いて離れない。
――サイラスは”終わったら”あそこへ来るだろうから
わたしは彼が選んだ責務に目を細めて 背を送る。
( どうか、彼と彼が 安らかであるように ) ]
グレッグ、 また、ね。
[ ルパートさんに ”会えた” から
これから世界に別れを告げる彼へ、わたしだけは
再会を願うことばを餞に。
ざわり、木々が揺れ 闇が迫るは金の獣ふたりの背。
かたどる闇へは音もなく、サイラスへは
( いってらっしゃい )
還りを願うことばを礎に。
死が流れてくる毎日が、確実に生者を蝕んでゆくけれど
皆それぞれの「ただしいこと」は、意味を持って牙を剥く。
願わくは皆、それを守ったまま 逝けますようにと
集会場から散る足音達へ、願った。]
[変わらず揺れる 微かな朱い絹糸は
わたしの指間でするりと擦れて 風に乗る。
ひとつ、腕にまきつけて
ゆるりと足を運びながら
導かれたのは、宵の深まる月降りた墓地。
サイラスが ”終わったら”
きっと訪れるだろうと思っていた場所。
手繰る糸が途切れた先は、ほうやりひかる紫の色
あの日>>1:=7視た 紫苑――。]
こんな夜更けに、お墓参りですか? …せんせい。
[返事が返らぬのは当然のこと。そう諦めながら
わたしは土の上の物言わぬ花へ、話しかけていた **]
メモを貼った。
【人】 逃亡者 メルヤ[ 耳を掠めてゆく音は、 (82) 2015/05/20(Wed) 04時半頃 |
【人】 逃亡者 メルヤ[‟証拠”がない。 (83) 2015/05/20(Wed) 04時半頃 |
【人】 逃亡者 メルヤ[ 欺瞞が、 (84) 2015/05/20(Wed) 04時半頃 |
【人】 逃亡者 メルヤ[重いようで、 (85) 2015/05/20(Wed) 04時半頃 |
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