278 冷たい校舎村8
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[CG研では、虚構の世界が飾られていた。 息を飲むような鮮やかな色彩で。>>190
赤も青もオレンジも白も混ざり合うような世界は 辰美の知らない場所だった。]
……綺麗だな。
[辰美はA1サイズの紙に封じ込められたそれを見て言った。
都会の空をひっくり返した世界。 空を泳ぐ海の生き物たち。 幻想的な景色の作者の名前の一つに「葉野紫織」と見えて お世辞ではなくこう言い添えた。]
(229) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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すげー。お前らでつくったの、これ。 どうやったらつくれんの?
[辰美は美術が得意ではなかったし パソコンで絵を描く人がいることは 薄っすらとしか知らなかったから 少しだけ子供のようにそう問いかけもしただろう。]
[ひらり、と手を振る少女の姿が見えた。 三年一組の生徒だ。 辰美はその名前を知らなかったが>>191 その様子から葉野と親しいことが察せられた。]
(230) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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……
[辰美は彼女を一瞥して軽く会釈する。 その笑顔の様子から、 なにがしか思ってはいるのだろう、と察しがついたが 何を思われているのかまではわからなかった。]
あいつと描いたのか?
[だから辰美は 目の前の”共同制作”についてそう問うばかり。]
(231) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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仕方ねぇな。
[甘いもの、と言われて 辰美はまんざらでもなさそうに言う。>>193
展示部屋から出てクレープの屋台に向かいながら ちらちらとこちらを見る生徒のまなざしに 恥ずかしさを覚える。
それでも手を離しはしなかったけれど、 妙に熱い手のひらの熱がやけに気になって困った。]
(232) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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[あまりクリームがない方のクレープを注文して食べる。 他にも葉野の気が向いた展示があれば見に行っただろう。 美術展示。お化け屋敷。あるいは、喫茶店。
そうして”ごっこ”の後に、 辰美は少しだけ照れ臭そうに葉野にこう問うた。] ……葉野さ。
楽しかったよ。今日。 これでも。
だから、ありがとう。
(233) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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お前は楽しかったか?
[何を期待しているんだろうと辰美は思う。 これは嘘の付き合いで、今日限りの話だ。 そもそも辰美が脅したからこうなった。 葉野が楽しくなかったとしても仕方がない。]
(234) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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[けれども、 彼女にとって楽しい思い出になればいい、と、 少しだけ思ってしまった。
…………辰美は楽しかったから。*]
(235) 2020/06/16(Tue) 20時半頃
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――現在:地下1階――
わからん。
[スライムか増えるわかめだったんじゃねえの。>>224 という適当な回答しかお出しできそうにありません。
ほら、広い方が何かと便利だと思いません? 思いませんか。]
(276) 2020/06/16(Tue) 21時半頃
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足をとられるなよ
[こっち、というと福住がついてくる。
滑って転ぶと大変なことになりそうだ。 衣服の替えも有限だろうし、 ここは落ち着いて進みたいところだ。
振り向けば辰美たちの足跡が 大分ホラーな事になっている。 …………気にしてはいけない。>>225]
(277) 2020/06/16(Tue) 21時半頃
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[息を飲む。]
…………。 ………………。
[辰美はわざとらしい神妙な表情を浮かべていなかった。 ただ、警戒するように唇を引き結んで、 廊下の奥を見つめていた。]
…………いや…………
[福住が力ない声でインクだよな、と言う。>>227
辰美は頷くことも否定することもできなかった。 ただ、生々しい鉄臭さだけが鼻をついた。]
(280) 2020/06/16(Tue) 21時半頃
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[それは階上から漂う臭気であって、 臭いの元はそこにはないかもしれなかった。
ただ、明言できることとして、 そこに転がる死体はなかった。]
………… 上……か……?
[そう辰美は言う。 ペンキで彩られている以外は、 コピーされたような地下だ。
何かあるのは一階なのかと ふと思い、ぽつりと零した。]*
(282) 2020/06/16(Tue) 21時半頃
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――現在:地下一階――
[人はそれをびびっているというのだ。>>278
びっくりしただけだし!という連城を見て 辰美はそう思ったが、 追求しすぎるのもどうかと思ったので そこまでにしておいた。
びびった連城とびびった福住のやりとりを聞きながら 元気だなあ、と思ったりもする。>>279]
(312) 2020/06/16(Tue) 22時頃
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まあ、そこに手がかりがあるならな。
[ホラーゲームならば探索した結果 物語の真相に辿り着けるような何か、が手に入るはずだが この空間がどうかはわからない。>>281
そう考えながら地下の廊下を行く。]
(314) 2020/06/16(Tue) 22時頃
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まじかよ。 死なねえよ。殺すな。
[と、辰美は軽口めいて 福住が言う「校舎の主説」を否定する。
こういう空間だから―― 否、こういう空間で三人いるからこそ、 どことなく冗談ばかりが口をついた。 校舎裏組だな、となんとなく思った。
後ろの方で福住と連城がじゃれるような声が聞こえる。 だから、辰美は少しだけ油断していたのだ。>>299]
(316) 2020/06/16(Tue) 22時頃
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[気のせいでしょ、に 肯定を返すこともまたできなかった。>>283 1階ってこと?と聞かれて初めて辰美は頷く。 無言で天井を見上げ、踵を返した。>>300]
偽物。そうだな。ここは偽物だ。
……俺。ちょっとこの上見てくる。 もしかしたらヤなもんあるかも。……だけど。
お前らは……
[どうする、と辰美は視線で問いかけて、 そのまま来た道を戻り、一階へ行こうとするだろう*]
(317) 2020/06/16(Tue) 22時頃
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[氷室は悪くない、と辰美は反芻する。 しようとして、やっぱり無理、と呻いた。]
(324) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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――少し前/音楽室前廊下――
[黙って応援しろ、と氷室に言われて 辰美は困惑した。]
……あ゛?
[じゃあそこそこ付き合いの長い友達に>>297 手を払われた事についても汲んでもらえねえか、と 辰美は言い返しそうだったが、言い返さなかった。]
あー、はい。頑張れよ。 うっせ。ばーか。
[口喧嘩みたいな返事だけ口をつく。>>297 そうして、逃げ出していく氷室の背を見送った。]
(325) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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[動転して泣きわめいて吐いた友達に 苛立ちなど凡そぶつけていいものではない。
それはわかっているし 久しぶりに見せた男の格好について 何かコメントでもするべきだったのではないか、と 別れてから思い至る。
――――そんなだから、 何故女装をしていたのか、さえ、聞きそびれるのだ。]
(327) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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…………わかんねぇんだよ。 ほっとけ。
[消え去った背にその言葉が届くことはない。]
(329) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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[思い出す。
はじめて女装して登校してきた日も。
更衣室で噂話について話した時も。
それから、数えきれないほどの日常の中で 氷室という男は女装をした上で不遜に笑っていた。 ずっとだ。
けれども実際は、 彼は「女装をした罰だ」といいながらもその恰好をし 胸の裡になにかを抱えて苦しんでいた。]
(330) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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笑ってんじゃねえよ。 辛かったくせに。
(331) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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[辰美はずっと怒っている。 ……氷室だけでなく、 無理をして笑う全ての人に怒っている。 そしてそれに気づけない自分のふがいなさにも。]
[だから、去りゆく背を追いかけることなどできなかった。*]
(332) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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――現在/地下1階――
[もしその軽口を口にしていたら>>333 「名探偵ふくずみ」と福住は呼ばれていただろう。
不謹慎ではあるので、 辰美もそれ以上死ぬ死なないの話は広げない。 ……先ほど保健室で痛い目を見たばかりだ。]
……じゃあ、行くか。
[見たくない。けど、見ない方が怖い。 それは辰美も理解できる。 福住に向かって頷いて、 連城の方に視線をちらとだけ移した。]
(352) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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お前それ………まあいいや
[福住は善意でこう言っているのだから、>>334 煽ってるだろ、なんて言ってはいけない。 辰美は半分でかけた言葉を引っ込めて、 一階の同じ場所へと歩いていく。]
(353) 2020/06/16(Tue) 22時半頃
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――→1階/体育館前――
[そこに辿り着いた時、 鼻をつくのはやはり、異臭、だった。
明らかに人間でない何かが転がっている。 人間でない何かは髪をひとつに結っている。 人間でない何かは、制服を身にまとっている。]
七星。
[辰美は思わずその苗字を呼んで、 ぎょっとしたように立ち止まった。
既に誰かが来た後だろうか、 赤い足跡がいくつか見える。>>160 転がるマネキンの質量も、飛び散る血の匂いも 何もかもが生々しくていけない。]
(354) 2020/06/16(Tue) 23時頃
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……っ。なんで。
[辰美の声が揺れる。 それから、せめて、と 目の前の惨状から思考をそらした。]
………………これ、なんだろな
[二人はついてきていただろうか。 何を求めるでもなく、確かめるように 辰美は一度、同行者の方を一瞥した*]
(355) 2020/06/16(Tue) 23時頃
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赤信号渡ったら死ぬだろ。
[言いたいことはわかるけど、と、思いながら 最後の言葉にだけ辰美はぼそりとつっこんだ。>>385 まあ、みんなで行けば怖くないというのは否定しない。]
(393) 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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――現在:→体育館前――
どうかね。インクか……
[赤い足跡が続いている。>>376 辰美はそれを追いかけるようにして 三人の一番前を歩いていたはずだ。
そして、辰美幸俊は不可解なマネキンを視認する。 自分の背をみていたらしい福住の反応が遅れる。>>378
2人の方から「夏美ちゃん」という単語が飛び出し 辰美はいやに増してくる現実味と、>>378>>391 目の前の物体への嫌悪感と戦いながら、 再び、マネキンへと視線を戻した。]
(394) 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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死んだらマネキンに……?
[そんな事があるだろうか、と思いながら 辰美は推測を口にし、首を横に振った。
近づいていこうとする福住を連城が引き留める。
辰美は「そうだな」と言って、 やはり彼女を引き留めようとはしたが それでも近づくならきっと止めないだろう。]
(395) 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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そーま、平気か?
[辰美は静かに声をかけた。 強がって来たとはいえ、これは気分が悪いかもしれない。 クラスメイトを模したマネキンがあるなんて。 しかも、死んだように血を流しているなんて。]
……七星を探した方がいいかもな。 あと、地下の事……みんなに知らせとくか?
[ぽつ、と提案するようにそう言って]
(396) 2020/06/16(Tue) 23時半頃
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