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[部屋のひとつ。
少女は自分によく似た少女の傍を少し離れる。
冷たく起きぬ少女に触れてくれるアリーシャに触れる。]
アリーシャ。
そっちは私じゃないわ。
ねぇ。
ねぇ。
[触れるのに、きっと気付いてはもらえないのだろう。]
ソフィア、ソフィアっ!
寝ているのは、私にそっくりなこの子。
私は起きているわっ。
[金の髪を揺らしてソフィアへと駆け寄るけれど。
さて、その躯に触れた感覚は伝わるのだろうか。
傍で共に眠っていたネコミミトカゲは起きない少女から離れ、何もあるはずがない――いまの少女が立つ足元をついて歩いた。]
ねぇ。
ねぇ。
私はそっちじゃないわ。
[服の裾を引く、引く。]
[泉に佇む竜の少女へ、
梢はさわりと優しくざわめいて]
[そして]
[波打つ影からわかたれた
不可視の人影は、ひたり、動き始めた]
[木陰は変わらず優しい音を奏で続けている]
[ネコミミトカゲは撫でるソフィアを金の瞳で見る。
そのすぐ傍に視線を移して、交互に見る。]
ソフィア?
私が傍にいるの。
私は起きているわ。
ねぇ、ねぇったら。
[何度も何度も服を引く。
やがて翠の瞳は潤んで。
けれどもソフィアに声が届くことはないのだろう。
大樹と共にあるラルフにはその声が届いたろうか。
泣き出してしまいそうな、声が。]
――……泣かないで ヨナ
[ その声は 彼女だけに届く声 ]
だいじょうぶ、
おれはそこに、いない だけ……
[影より別たれた影は、
ゆるゆると古城内を移動する。
誰の目にも存在しない
誰の耳にも聞こえない
ソレはそれを望んだ
彼女の為だけにある、モノ だから]
メモを貼った。
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ―回想― (161) 2010/07/22(Thu) 22時頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ ―――……シィラ? (163) 2010/07/22(Thu) 22時頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ―回廊― (168) 2010/07/22(Thu) 22時頃 |
―ヨナの塒―
[それはベッドの足元に、腰掛けていた]
……ヨナ
[柔らかな声音で呼びかける、
彼女が何か言葉を発しようとすれば、
そっと口唇に指をたてて、静寂のサインを一つ。]
……ヨナ、大丈夫。
何も心配いらないよ。
[どこかで響く異形の声を、
掻き消す様に優しい声で、それはきっと彼女の望む言葉を紡ぐ]
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ[チャールズは、異形と見ただけで襲うことはない。 (181) 2010/07/22(Thu) 22時半頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ[シィラから刹那逸らした紺青は (187) 2010/07/22(Thu) 23時頃 |
メモを貼った。
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ また、私は護れないのでしょうか。 (192) 2010/07/22(Thu) 23時頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ 私にも上手く説明ができません。 (195) 2010/07/22(Thu) 23時半頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ それが貴方の願いならば、叶えましょう。 (198) 2010/07/22(Thu) 23時半頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ[シィラは武器から手を離した男をどう思っただろう。 (208) 2010/07/22(Thu) 23時半頃 |
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ 何故、貴方がそこまで記録し続けるのか判りませんが。 (211) 2010/07/23(Fri) 00時頃 |
メモを貼った。
[ヨナを見つめる気配は、そこにある。
柔らかな眼差しで少女を見下ろしている。
ただ、彼女の望む言葉を、
彼女だけに届く言葉を発する為に]
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ そうですか……―――。 (219) 2010/07/23(Fri) 00時頃 |
[声音は響く、優しげに。
ただ、彼女の耳だけに――]
穢いなんて、そんなこと、あるはずない。
ヨナは綺麗だよ。
だって、君の中には 泉が見えるもの。
[語尾に柔らかな笑みが混ざる
気配はヨナに触れようとそうっと腕を伸ばして]
[指先を捉えようとするのは、左腕]
ボク みたい?
ねぇ、どうして気付いてくれないの?
どうして?
[そうして、ただ受け入れられない現実を見る。
撫でられたネコミミトカゲは不思議そうな顔を見せる。
見えない少女の傍らで。]
そう。
私が視えないのね。
ソフィアも、アリーシャも。
[泣き出しそうに潤んだ瞳。]
[眠る少女の躯に咲いた花は色を段々と褪せさせていった。
涙が毀れ落ちる直前。]
アリーシャ…。
[微笑むアリーシャと、瞳が合った。
そんな気が、した。]
![]() | 【人】 伝道師 チャールズ[語りかけた相手は、もう言葉も紡げないか。 (234) 2010/07/23(Fri) 00時半頃 |
アリーシャ。
私の初めてのお友達。
一番に大好きよ。
私の精霊さん。
[たった一粒零した涙。
けれど、少女は笑顔であった。
それは幸せそうな、安らかな。]
[ 約束という呪いが影を動かす ]
[ 気配の手は冷たかっただろうか、温かだっただろうか ]
[ それは彼女の望む通りに ]
[そして]
[ 背後から伸びたその両腕は、
薄い肩を交差して、ヨナの両目を覆い隠そうとする ]
――……泣かないで、ヨナ
私が視えていなくてもいいの。
ソフィアも大好きよ。
私のお友達、大事なお友達。
みんな、みんな、大好き。
[やっぱり花《ポーチュラカ》の微笑みを携えて。]
視えてなくてもいいの。
慣れているもの。
誰にも見られず、相手にされず。
そうやって生きて来たのだから。
[淡く淡く、胸元の花が褪せていく。
淡く淡く、胸から落ちた記憶が戻っていく。]
[ ふりかえれば、
影は彼女が望むように、そこにあるだろう ]
[ そして ]
ヨナ、俺は死んでいないよ……
君がそう言わなければ、死なない。
――……だから、泣かないで
俺は死んでいない。
[ 声音は 囁き 再びその腕を伸ばす ]
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