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[そーさんも、ドキドキしてくれてるのかな。
―― って、ちょっとだけ気になったから。
そーさんの顔が離れたあとで
その胸板に、耳をぴたりと押し当ててみた*]
[は、と息を吐けば熱い。
流血しすぎて体温が下がっていくのに。
身体は燃えるように熱い。
布団越しに縋る存在があるからだろうか。
まるで一つに溶けるような感覚。
一緒になれる方法は一つじゃない。
ただ触れているだけでしあわせだって。
そんな事初めて知った。
でも置いていかれる寂しさは埋められなくて。
それを埋めたくて私は。
彼に食べられる事を望んだのだけど。]
置いていかない、ほんとう……?
うん、一緒にいるから。
置いていかない。
[引き上げられて上体を起こして。
血の流れる傷口を抑えられれば。
痛みに僅か顔が歪む。
もうボロボロなシャツを更に切り裂いて。
腕に巻き付けた。
縛る時はピスティオに手伝ってもらって。
なんとか形にはなっただろう。]
鎮痛剤と化膿止め、飲まなきゃ。
[出来れば点滴がいい。
でもそんな上等な物はないから経口摂取だ。
薬を取りに立ち上がらないといけないのに。
身体が言う事を効かない。
そんな言い訳をして。
私は彼に凭れかかったまま。]
もし、街から出られなかったら。
そうしたら。
せめて一緒に死のう。
ピスティオは誰かが覚えていれば生きてるって。
じゃあきっとここで身体が死んでも。
覚えてる子供たちがいるから。
私達は生きてられるよ**
メモを貼った。
聞こえていますよ。
とくり、とくり――それが大きく聞こえます
[
その声を覚えると瞼を開いて頭をあげる。
寒くないならばと――次なる場所を探していたけれど、
聞こえます?
[自分の拍動の音は確かに聞こえるだろう。
早くて、高くて、重たい音は血液を身体中に流して生きている証だった。
ノッカの頭を撫でてやり、
自分はノッカが満足するまで待っている*]
[セイルズさんの言葉に力強く頷いて。
違うって事をアピールするの]
はい、違いますわ。
すっごくすっごく、違いますわ!
[でも、まだ分かってなさそうに見える。
もうってじれったそうにして。
(貴方という男の人を知るのが、まだ怖くて)
だから困るのにって。
言えないままでむぅと睨むの]
[でも、困ったように微笑んで。
セイルズさんの手が胸元を触れるのを受け入れる。
優しく穏やかな手の動き。
自分の鼓動が手のひらから感じられて。
そっと目を閉じて]
……本当に、面白い人!
[くすぐったそうに、くすりと笑うの。
こうして一つ一つ、私を知ろうとしてくれる。
生真面目な手つきに愛しさがこみ上げるの]
[そうしてお互いの温もりを感じて。
セイルズさんの望むまま身を委ねて。
交わされる雑談に喉を押えて]
……そういえば、喉が渇きましたわ。
お水があれば欲しいです。
私の好み、ですか?
ふふっ、飲み物だとココアが好きです。
食べ物だと焼きたてのパンケーキ!
はちみつとバターをたっぷりかけて……、
考えただけで幸せですわ。
[頬を両手で包んでうっとり微笑むの。
セイルズさん、作ってくれるかしら?
そう思うと、今から楽しみに思うの。*]
メモを貼った。
[
その音はあたしと同じくらい速くて、
ちょっぴり安心した。
ドキドキしてるのは、
あたしだけじゃないんだって]
そーさんも、ドキドキいってる。
[えへへ、って笑いながら呟く。
あたしの頭を撫でる優しい手に、
安心したように、ほうっと息を吐いて。
緊張が、解れていく]
[そーさんの胸板から頭を離して、
あたしはそーさんを見上げた。
自分からなにをすればいいのか、
恋人らしいことなんてしたこともないから、
全く分からないのだけど。
ただ、してもらってるだけってのも、
良くないのかなぁ、なんて思いもあって。
でもやっぱり喜んでもらえることが
思いつかなかったから。
そーさんの唇に、自分からちゅーをすることにした*]
メモを貼った。
メモを貼った。
[避けてきた空洞の中に、分からないことが増えていく。アピール
[けれど、彼女が笑ってくれるから
ここに居ることを、拒絶せずにいてくれるから。
──いつかは教わって、推測して、分かるようになるのだろう]
[だから今は、焦燥に駆られる事もなく、静かに言葉を交わしていられる]
分かった、後で水差しと水を持ってこよう。
──買い物に出るのはその後にする。
ココアもパンケーキも、家には材料がない。
[なお、当然のように作る体で話をした。
彼女をこのように
蜂蜜とバターのたっぷり染みたパンケーキか。
ああいうのは確か、
綺麗な狐色を作るのにこつがあるだろう。
私は作ってもフレンチトースト迄だったからな……
[焼き物はあれで意外と難しい。二人前ほど焼いている間に、とりあえず人に出せる程度の見栄えまで至ってくれるといいのだが]
[それにしても、元々セイルズは夕食を尋ねたつもりだったのだ。そこから甘味のことになるなんて全く考えもせず──それだけ新しい彼女を知られたということに]
……楽しいな。
[吐いた息には微笑が乗った]
[尚──名残惜しげに掌離す時までには、改めて夕飯の献立も尋ねただろう。野菜も買ってくるから、と]*
メモを貼った。
メモを貼った。
[やっぱりピンと来てない顔してる。
でも、いつかきっと分かってくれるわ。
一つ一つ確かめて、知っていって。
そうすれば私も貴方を知れるかしら?
じっと上目遣いでセイルズさんを見上げて]
ふふっ、作ってくれるの楽しみですわ。
いつも自分で料理していたんですもの。
誰かに作ってもらうのは新鮮です。
[好きな物を話せば材料を買いに行ってくれるみたい。
だから、私とっても楽し気に笑うの]
コツは温度ですわ。
焦らずじっくり、弱火で生地を温めるの。
急いで焼くと焦がしちゃいますよ。
私、それで何度か失敗しちゃったんです。
[パンケーキのコツを思い出と共に話すの。
楽しい思い出、
甘やかな、香り。
――過りそうになる、誰かの記憶。
目を閉じて、記憶に蓋をした。
今は幸せな事だけ、考えていたい]
[だから、微笑む貴方に笑い返すの。
ここには辛い事は何もないもの。
夕飯の献立を聞かれれば、少し考えて]
野菜を使うなら、ポトフが食べたいですわ。
とろとろに煮込んだ野菜とスープが美味しくて…、
…………、
よく考えれば私、食べ物はなんでも好きですわ。
だってみんなとっても美味しいんですもの。
[食べ物の話になるとうっとりして。
セイルズさんにおねだりするの]
[そうして、名残惜しそうに離れる掌。
買い物に行く貴方の、服の裾を掴んで]
……買い物に行くんです、か?
それなら……、
……、
これを、お渡ししますわ。
[すっと、左手の薬指から指輪を外して。
貴方の手に乗せましょう]
[一人になると、思い出すから。
辛い事を、苦しい事を、きっと思い出すから。
指輪を見る度に、きっと私は泣くのでしょう。
だから、指輪に目を伏せ微笑んで]
捨ててくれても構いませんわ。
預かってくださるだけ、でももちろん。
貴方に、お任せします。
[そっと指輪を乗せた掌ごと握り込んで。
そうして、お別れねって。
胸がきしりと痛んで涙が一粒零れた。**]
メモを貼った。
メモを貼った。
自分でも不思議です……
今、ノッカに触れてる全てが愛おしい
[
生み出した快楽は薬によるものであるし、
その全ては偽りのものだったといえよう。
でもーー今笑ってくれているノッカは本物で、
それは漏れ出る熱い吐息からも伝わってくる。
嗚呼、それでも、ノッカが自分に近づいてくれなければ
きっと君はいつまでも自分の心をくしゃくしゃにしてしまう笑みを浮かべて
自分は無理に笑わせようとしただろう。
そう考えると背筋が寒く感じてしまい、
小さく身震いする]
ノッカ……
[
その表情は思案気にも見えたが泥濘みに入り込むようなものではなくて、
安心して息を吐いていると唇に柔らかな感触を感じた。
それはノッカの唇。
触れる唇は変わらぬ感触と味わいだけれど、
ノッカが、求めてくれたことに胸と股間がときめいてしまう。
自分はノッカを逃さぬようにと肩を抱き、
舌を口腔に忍び込ませていこうとする。
もっと交わっていたいから
もっと繋がっていたいか
ノッカを求める心身は滾っていくばかりだった**]
メモを貼った。
メモを貼った。
― 本屋 ―
[次の日、珍しく本屋でせっせと動き回るワカナの姿があった。
少し什器を変更し、新しい配達員から雑貨品の荷物も受け取る。]
これで良いかな?
[店内を見回す。
我ながら少し季節感を出した可愛らしい飾り付けが出来たと思う。
店に来た人もこれならぱっと見て変わったな、と思ってくれることだろう。
うん、と頷くと、安堵のため息をついた。]*
メモを貼った。
[シャツの切り裂く音。
掌の下で滲んで滑る血。
視覚にも感触にも暴力的な状況で、
不思議と高揚よりも奥深くにある感情が
表に染み出すほどに刺激されている。
頬は緩んでいることだろう。
唇は宥めるような笑みを作り出してたはず]
薬、あるのか?
[薬屋は閉店の憂き目にあって、
治療院から失敬するにもイルマはこの怪我だ。
蓄えがあるとしてもこの部屋のどこにあるのか。
というか最初から死ぬつもりだったなら、
イルマは着替えとかも持って無さそうな気もする。
その上、まだ死ぬ覚悟があると聞いたなら。
肩を震わせた。
その余波は凭れるイルマにも伝わるだろう。
顔が上がるならおかしそうに双眸を細め、
屈託というものを剛速球で投げ捨てた顔で笑っている]
ダメだ、死なない。
街から出られなくても死なないし、
当然、おまえも死なせないし。
……まあ怪我が治るまでは世話になるけどさ。
[管理区から逃れるのは考えはすれど、
あやふやな未来に死を賭ける程に肝は座ってない。
だからとびきり悪辣に、悪戯げに。
そこまで覚悟を決めているイルマの顔を覗き込み、
視線が絡むまでは待ってその瞳を覗き込む]
イルマ、おまえちゃんと地上で生活しろよ。
ココへこっそり通うくらい出来るだろう?
死ぬ気で、誰にもバレないように、こっそりさ。
俺はここにいるし、逃げない。
どうしても心配ならお前が居ない間は繋げばいい。
怪我を治して、機会を伺って──
[──それで、と続けて、涙の跡が残るだろう頬へ。
不器用に唇を押し当て片腕で抱き寄せながら、
背を撫でるというにはすこし覚束ない手付きで、
ぎこちなく、身体の線をなぞるようにしてから]
あと……さぁ……。
俺がお前が怪我するのも死ぬのも嫌だって、
そろそろ分かってくれてもいいんじゃないか?
[怪我をし初めた頃からずっと、
それはダメだといい続けていただろうと言いたげに]**
[
けれど、その前に肩を抱かれたあたしは、
目を丸くした。
昨日のあたしは、逃げようとした。
逃がす場所なんてないと知りながらも、
舌を絡め取られることを嫌がった。
でも、今日は。
おずおずと、そーさんの舌に、
あたしの舌を絡めていく]
ふ、 ぁ……、
[じわじわと、熱があたしを侵食する。
愛液が滲みだしていることに気付いて、
耐えきれず、両足を擦り合わせた*]
メモを貼った。
[戯れた覚え等ない。
気色悪い"モノ"を振り払ったに過ぎない。
代わりに後頭部が痛いが、単瘤にはならない程度だ。
出来れば当たるなら眼鏡のブリッジに……いや、あの女は眼鏡をしていたかどうか。
……まぁいい。どうでもいい。]
場所を教えるなら、ここからの位置で教えるな。
ベッドからの位置で教えろ。
こっちは何も見えないんだ。
方向を覚えて、歩数を数える。
[這い蹲れと言われたが頑なに膝立ちをして命令を繰り返す。
男は手首を前で拘束されているのだ、四つん這いはそもそも不可能。
膝立ちの方が歩きやすいに決まっている。]
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