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[ 糸の切れた人形のように、床を打ったふたつの膝も
物音ひとつ たてることなく。
わたしは わたしのかたちすら わからなくなって。
その場に座り込んだまま
目の前で繰り広げられる声たち
川に流れる無数の笹舟を 見送るような
そんな諦念で 聞き続け ]
サイラス………。
[ 何度目かわからぬ名を 自分の手の中に落とし
わたしはようやく
抱けなかった背中
せんせ………。
[ 此方の聲なら届くかと、そんな微かな期待も闇に溶け*]
メモを貼った。
【人】 手伝い クラリッサ―― 回想/昨夜 ―― (152) 2015/05/16(Sat) 00時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[その夜はなかなか寝付けずに、何度もベッドで寝返りを打った。 (153) 2015/05/16(Sat) 00時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ―― →本屋へ ―― (170) 2015/05/16(Sat) 01時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[だったとしたら、私は彼に何と謝ればいいのか。 (171) 2015/05/16(Sat) 01時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[返ってきた言葉はいつも通りのもので。 (172) 2015/05/16(Sat) 01時半頃 |
[サイラスとジョスが「今日のため」にわたしの家を発つ。
その会話を、足音を、すっかり力の入らない足が折れたまま
唯ひとつ 生白い腕を伸ばして]
…………。
[行かないで、と 叫ぶこころを黙らせるだけで精一杯。
バタン
扉が締まる音と共に、わたしの腕も膝に落ちた。 ]
[ それからどれだけの時間、2人が消えた扉を
「みて」いただろうか。
ベッドの支軸を頼りに立ち上がって
恐る恐る 手を伸ばす。
たぶん きっと ここに わたしが。
わたしを覆う上掛けの 端を探して指が滑る。
そうして辿り着いた 肉のない場所。
周囲を埋め尽くす死臭も、乾き切らない血のぬめりも
わたしを穢すことはないのに、そこに在る死体。
怖くはない。
「伝わらない」「届かない」恐怖にくらべたら
死んでいるなど 何て些細なことなのでしょう。]
……あぁ。 ……。
[ わたしのコエは
[ ”だから” エルも せんせも 返事がなかった。
でも、 そのおかげで
あのひとたちはまだ 生きているんだと
喚んでしまったら。来てくれてしまったら。
わたしのせいで死んでいたかもしれないと
―――そう思った。 ]
[ 覚束ぬ足を友に わたしはふらりと家を出る。
だって、やくそく
[なんども競争した、互いの家と家とを繋ぐ小路の向こう。
ぱた、ぱた、ぱた
いつも行く先から響いていた春風のような彼女の足音は、
今日はなにものかに抑圧されているような
さみしい音。
メアリー!
[そう言って、わたしは ”いつも” 通りに両手を拡げ、
返事もない 足音の速度もかわらないその影を
――― 抱きしめ ――― ]
[ わかってた。 わかっていたのに。
背中から聞こえる足音は よどみなく。
彼女はまっすぐに”わたしのいえ”を目指す。
(やったー!今日はわたしの勝ち!)
そう聞こえるはずなのに
(メアリー!昨日はどうしたの?元気になった?)
そう応えるはずなのに
ざあざあ ざあざあああ。
流れ続ける噴水の音だけが わたしの両腕の中にある **]
メモを貼った。
【人】 手伝い クラリッサ[是と聞いたなら、ふ、と緊張の糸が僅かに緩む。>>175 (236) 2015/05/16(Sat) 19時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[突然の吐露から始まるそれは、驚きの連続で。 (239) 2015/05/16(Sat) 19時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[ただ、気になることが一つ。] (241) 2015/05/16(Sat) 19時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[話す過程の中で、時折ちらりと浮かび上がるのは、 (242) 2015/05/16(Sat) 19時半頃 |
【人】 手伝い クラリッサ[それは、新たに犠牲者を生んだという、 (299) 2015/05/16(Sat) 23時半頃 |
─ 回想 ─
ああ、そうだな。
じゃあ、今夜は秘蔵の蜂蜜酒をあけてみよう。
味見をしてみようと思っていたんだ。
…付き合っておくれ。
[傍らを歩むグレッグを見返して微笑んだ。
確かに、甥はもう随分と成長をした。
幾ら当時の少年の姿を思い出してみたとしても、
今では充分立派な、一人の男だ。
時折、若い頃の兄に似ているなと思うことがある。
けれど兄より自分より、もっと快活で良い男になったと見えてしまうのは”親の欲目”か]
(そうだろう?兄さん)
[もう一人の息子、もう一人の子ども。
もう長いこと、そんな風に過ごしている甥の姿に目を細める
「処刑先は──」
[琥珀の双眸が、レンズ越しに向けられる
凍りつく空気、息を呑む音。
その中で、男は”ついにこの時が来た”と思っていた。
冷ややかな瞳が向けられる。
それを見返す胸のうちに、満足のようなものがある。
心密やかな願いの叶う時。
琥珀にちらつく、微かな迷いと恐れ。
それを、今は色を隠すことをしない鳶色が見つめ返した。
男の頬が上がりかける。
どうしたというのだろう。笑い返そうとでもいうのか]
……っ
[乱暴な力で押さえられ、手を戒められる。
自由を奪われれば抵抗のしようもない。
今更抵抗しようとも思ってはいなかったが。
ただ、気掛かりは確かにあった。
ざわめく面々、それらには目も遣らずに振り返る。
蒼白な顔をしたグレッグと、信じられないといった顔をしたメアリーを]
「どうしてお父さん“まで”殺すの!?」
[娘が叫んで、スティーブンにしがみつく
その姿に、心が痛んだ。
”願い”に、彼女のことは考慮されていない。
ひどく我侭で、自分勝手な望みなのだから。
…けれど。娘を愛しく思う心は、それとはまた別のものだ。
少しずつ狂っていた男に残されてた、確かな…──ひかり。]
メアリー、
[呼びかけようにも、身体は強引に前へ運ばれていく。
それでも首を捻って後ろを見れば、目を見開いた甥が見えた。
叔父さん、と。
いつものように名ではなく、そう呼ぶ甥に呼び返したくても、もう声が届きそうにない]
メアリー!!やめろ!!!
[ただ。医師が娘を突き飛ばした、その時だけは。
身をよじって、必死に声をあげた。
抵抗すると見られれば、手は更に乱暴になるだろうか。
知ったことではなかった。
愛しい娘。かわいいかわいい、キャサリンの忘れ形見。
彼女が、彼女とグレッグが生き延びることだけが、
幸せになることだけが───…
( ”あの子たち”が )
… 最後の、望みであるのだから]
[暗い森を、よろめきつつ歩きゆく。
空気は湿って、村のざわめきもすぐに遠くなった。
かの青年に、いつか聞かせて貰うはずだった御伽噺も。
必死に追いかけてくる愛しい娘も。
呆然と此方を見ていた甥っ子も。
次第に、遠く、向こうになり]
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