159 戦国 BATTLE ROYAL
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よし。
[言葉短かに兵たちを労い、引かれてきた馬に乗る。]
──ゆくぞ。
[再び戦のただ中へ。己が己であるために。]
(62) 2015/05/21(Thu) 23時頃
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……有り難うございました。
[辞儀で締められた茶席に、こちらも辞儀を返す。
その瞬間は、ただ静寂。静謐な空気だけが二人の間にあった。]
教えられ叩き込まれてはいるものの、事実茶席に座すと違いますね。
このような場所で思い知るとは。
[詰めがちだった息を細く吐く。
その言葉で、茶席という場そのものには慣れないことは伝わったか。死してなお、経験が積めるものかと。
その時、戸に手がかけられてはっとそちらに意識を向ける。]
[戸を開けた男は。]
た、 かふねさま、
[吐いたばかりなのに、緊張とは違った息が詰まる心地がする。
茶碗を手にしていなくてよかったと心より思う。
居住まいを正して、開いた戸へ深く一礼した。
よく似た鬼がいる、と慣れた声が言った。己のことも鬼と思うたろうか、しかし咄嗟に名を呼び深礼した手前もう遅い。
老齢の姫が後に続く。噂に聞く八重様だろう。
ついぞ目通りなく、このような場での邂逅に言葉もなかった。]
はい。
見苦しいところを失礼しました。
[声がかかれば顔を上げ、流したままの髪を手で纏める。
長髪見えざれば覚えある姿に近づくだろうか。隠す頭巾はなく、左肩に寄せ流すのが手一杯だが。]
主命果たせず力無き様をお許しください。
[目を伏せる。伏せて鷹船の言葉を待ちながら、してこの女姿をどこから説明すべきかと逡巡もしていた。]
甲斐の際ほどに。
李の伸睦と申します。
御方は、山芭の将の奥方……でしたか。
[胸のすくような笑いをされる女性だ。
初対面であるはるか年長者相手には、さすがに畏まった調で名を告げ。椀を浚う八重に頭を下げた。
躊躇いなく飲まれた茶は供した側としてはやはり嬉しく、自らも手前の茶を点てようかと。
三途の川での席など今生一度限り。どうせなら飲んでおきたくもある。*]
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[兵の雄叫び、揺れる旗指物。馬の嘶き。土煙。火薬の匂い。 混沌たる戦場を駆けながら、耳が捉えたのは響き渡る銃声。]
山芭の大口筒ではないわ、 これは隅慈の火縄よ。
[懐かしむように目を細め、馬首を向けた。]
(65) 2015/05/21(Thu) 23時半頃
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確かに鬼姫のいるここが最前線のようだわい。
[玉愛を見つけだして巨躯を盾に乗り込むは無為。
忍びに主の元に駆けつける時を与えるためではなく。 結果的にそうなったとしても気にすることもなく。*]
(67) 2015/05/21(Thu) 23時半頃
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――……遅すぎたんだろうよ。
[西に反旗を翻した事を悔いる思いは微塵も無い。
信じた途が間違っていたとも思わない。
しかし拭えぬ一抹の侘しさは茶の苦味を深めていた。
渋い顔に無理やり乗せた笑みは歪んだ。()]
露蝶。
オマエ無くしては、俺は此処まで進めなかった。
礼を言う。よく働いてくれた。
[改めて向き合う露蝶()にしても、
戦場で散るは戦忍の華々しい末路だと割り切る想いと
果たせなかった我が野望の上で
死なせてしまった悔いは残る。
何故、女の格好を……を問うより先に、
一度正した背を折り、深々頭を下げて見せた。]
森番 ガストンは、メモを貼った。
2015/05/21(Thu) 23時半頃
……天下討ちしか、果たせませんで。
貴方様がその座につくとばかり。
[そうして天下人が生まれたら、その野心家の首後ろを毒針で突き殺すつもりだった、とは言えない。
常に天下を狙うものがいて、常に天下人がいないほうが、戦いは激化する。とうに果たせぬ暗躍の思いは、今は遠く消えてしまったが。
討ち死にしたこと自体には、悔いはないのだ。戦で斃るるは誉。]
顔を上げてください。
そんな殊勝なこと、貴方様には似合いませんよ。
[何時ものように言葉を軽く作ろうとして、あまりうまく行かなかった。]
現世で取結んだ約定も、冥土までは続くまい。
この先は、友の一人として共に行こう。
[露蝶の企てには気付かず生き死んだが、
打ち明けられなければ幾度輪廻を巡ろうとも
気付けはしないだろう。
ただただ、感謝あるのみ。
再び頭を上げた時、
契約で傍に置いた忍を見る信用の眼とは違う
露蝶その人そのものを友と信じての信頼の眼が在った。]
……ところで、オマエ、
何故に女装なんかしてるんだい?
[ここでようやく、
再会してからずっと抱き続けていた疑問をぶつけた。**]
友。ですか。
[企ては元より気づかせるはずがなかった。天下討ち、というものが鷹船に仕える内に見えてきたのはついこの間の話だったし、今の天下を討つということについては何も二人の道に違うところはない。
そも、風間討ちに囚われて、そんな野心はたち消えてしまった。
友。慣れない響きだったが、悪くないと思える。
鷹船悠仁はそう思わせる男だ。こちらを向いた目線があまりに真っ直ぐで、肯定の頷きに躊躇いはなかった。]
……は。はは、そう来ますか。
あははは。
[そして続いた疑問に一度面食らい、時が止まり。
契り結んだ忍の頃はついぞ見せなかった笑みを堪えもせず、ひとしきり笑う。]
忍は敵を欺くためならどのような姿でも取りますから。
[事実紅を引いたのはそのためだ。旅女姿で西軍を追うための変化。
己が欺いていたのが、敵陣のみではないというだけのこと。]
けれど、そうですね。
このような場で、隠し事も今更何ですから。
[流れ黒髪に触れる。装束の下の胸元を開いてやろうか、とも思いつつまだその地には至らないまま、笑みを作って見せ。]
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