280 【身内村】皆をころころする村
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[そこには上下の区切りがなかった。 立場もなかった。 ただ、むき出しのプライドがあった。
だからちょっぴり、ちょっぴりだ。 構いすぎたのは、自覚している。
その結果がこれだ。 流暢になったことばを残念に思う。 あのたどたどしい発音が好きだった。 仕事を覚えるたびに、うまくあしらおうとして、 あしらいきれず、メイドに叱られていた。
おれがわるいの、と庇うたび、
それはもう、視線で殺されそうだった。 貴様だけは殺す、と雄弁に語るアイスグレーが、 憎々しげに細められるのが愉しかった。]
(144) Noah 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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The course of true love never did run smooth.
――なーんて、
"老婆心"、ね。
[ソファでだらだらしたまま。 くぁぁ。欠伸が漏れる。
しぱしぱと瞬いた瞼の向こう、 絡んだアイスグレーは、獰猛な色をしていた。]
――目は覚めた?
[鼻を鳴らしてさっさと踵を返される。 つれないなあ、はくふくふと笑う声に変えた。 瞼が上下で仲良くする、ほんの少し前のこと*]
(145) Noah 2020/09/27(Sun) 15時半頃
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[責任感が備わっているなら、 そもそも家から出奔したりしない。>>139
口に合わない、とかではないようだった。 表情は変わらない、味の好みとかないのかな。 まあ、まずいって顔をしてないなら、いいや。
結論はいつだって雑オブ雑。そんなもんだ。 だって紳士じゃないのだし。
お前は少しジェントルマンになりなさい、と 言われたので。 じゃあなりたかねーので、って。 中指立てて出ていった。
ちょっぴり、懐かしくなった。]
(149) Noah 2020/09/27(Sun) 20時半頃
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いざとなったら、だって、ワカナ、 きみはちいさいから。
担ぎ上げてソファで寝かしつければ済むでしょ。 俺よりでかかったら、 そのへんに転がしとくけど。
[だから面倒ではないよ、と。 残りをぐいっと飲み干して、なんか違うのないかな。]
(150) Noah 2020/09/27(Sun) 20時半頃
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[お返事に、ちょっとだけドヤ顔。>>141 きっと彼女にそういう意図はない。 けど、正解、をもらった気分だった。
馴染みのない音。どこに住んでるんだろう。 そういえば、"僕"が、シブヤとか地名言ってたな。]
うん? ああ、気を使うなって意味だから。 気兼ねしないなら敬称付きで構わないけど。
タリィとでも呼ぶ?
TRAIL、だから そう呼ばれることもある。 あとはーライリーとか、アルとか、レイとか。 まあ、俺だってわかれば、なんでもいいけど。
[アルファベットを1音1音、ていねいに。 言って、東の方なのかな、とまた思案。 アジア人って、童顔に見えるし。]
(151) Noah 2020/09/27(Sun) 20時半頃
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[けれどまあ。しゃこーかいとやらの、叡智。 無駄に身につけた技術は、 不躾にならない程度に、観察できるくらい。>>152
なんだかスンっとしてるような。 ちまちましてはいるけど、 うーん? もしかして、と至ったのは、 "酒癖"のはなし。 ナルホド。
おとなしい子が、急にスンっとなったら、 そりゃあ大層、周りは慌てただろうな。
黒目がちな目とか、とがった顎、まるい頬。 ハート型のおさない顔つきが、真顔。 それはそれで、おもしろいと思うけども。]
(158) Noah 2020/09/27(Sun) 22時頃
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そうなの? 俺の周りのおんなのこ、これくらいあるよ。
[口元で、ひょいひょいと手を水平に。 そのまま、ぽふっと、ちいさい頭の上に乗っけた。 移動距離はいかほどか。そこそこあったかな。]
気兼ねないなら、それで。 好きにしてよ。 ね。
[耳馴染みのない音といい、 彼女の容貌といい、たぶん、 Mrくらいの距離なんだろうなあ、とは思ったけど。]
(159) Noah 2020/09/27(Sun) 22時頃
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たぶん?
そうだ、 シブヤ、って、 知ってる? ワカナ、の、音の感じと、 似てると思ったんだけど。
もしかして、ヨモツヘグイの国?
俺は――……、
[少し考えて、軽く肩を竦めた。]
ロンドン、フリート街に住んでる。
[目を丸くされたらそれはそれで、 面白そうだったけど。 彼女は都市伝説を知っているかな。 フリート街には、悪魔の理髪師がいるんだ。]
(160) Noah 2020/09/27(Sun) 22時頃
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[媚びない、したたかじゃない。 なるほど、いいじゃないか。 誰だろうな、これを酒癖が悪いなんて言ったの。
アルコールのせいにして、 狼藉をなかったことにする輩なんて、 やまほどいるのに。
スーン、となっていく傍らで、 面白くって、酒がなくならないよう、 こっそり足した。 わくわく。 最終的にはどうなるんだ。
そのくせ、抗議する目だけは、 雄弁で、不満、を隠しもしない。
なるほど、遺憾の意。]
(166) Noah 2020/09/27(Sun) 22時半頃
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シブヤ…し、ぶや 渋谷。 遠いんだ。
冥界で供されるものなんて、 食べるほうがわるいと思うんだよね。
[並べられた神話の数々に、 答えがわかって、ごきげんになる。]
そうか、ワカナ、日本人なんだ。 島国仲間だね。
日本のサクラってきれいなんでしょ。 見てみたいな。
[芸術には興味はなかったけど、 都市伝説が舞台になると聞いてそれだけは見た。 映画の話になったら、きっと食いついただろう。 それは、"知らない"作品だったから。]
(167) Noah 2020/09/27(Sun) 22時半頃
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[まあるい頭を確かめるように、 一回、 二回、 三回。 手櫛で梳いた髪は柔らかかった。
切りそろえられた髪。ブラック? ダークブラウン? 日本、の、色の名前は豊かだと聞いた。
彼女の国の言葉では、きっと素敵な名前がつく。
ここは不思議なところだから、 きっと誰とでも同じように話せているんだろう。 けど、 ――ちょっとだけ、残念だ、と思う。
つたない響きの”とれいる”が、 存外に気に入ってしまったので。]
(177) Noah 2020/09/27(Sun) 23時半頃
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トーキョー。しってる。 エンペラーがいるところでしょ。 コーキョ? だっけ?
それはお互い様。
[気分がいいから、高そうなワインをもうひとつ。 あけてしまえ。ライトボディ。甘いかな。 ――あまいほうがいいかもしれない。
どっかの跳ねっ返りを唆したみたいに、 少しだけ青い春にあてられてやろうか。]
イギリスにも、サクラがあるんだよ。 日本のとは、品種が違うけど。
あと、ウィステリア。 藤?かな。 日本のは固有種だって聞いた。
(178) Noah 2020/09/27(Sun) 23時半頃
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[飲み込まれた言葉には、なだめるように、 もう一度頭をなでた。 ねえ、実は、気づいてるんだ。 "君"と"俺"の、時代がズレてることくらい。
だって、遠い遠い海の向こう、大陸の向こう。
一度だけ見た、日本の町並み。 "日本人"の服装は、 ――君みたいじゃ、なかったよ。]
(179) Noah 2020/09/28(Mon) 00時頃
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[腰をかがめて見上げるように、 じい、と目線を合わせて覗き込む。
そんなときだろうか。 ”鍵”のアナウンス。これだ、と思った。]
ねえ、君の世界の、君の国では、 人類は月には行ったかい?
センセーショナルだったよね。 俺はまだコドモだったけど。
きっと、そっちには。 俺の知らないことがたくさんあるんだろうな。
[なんて不思議な夢なんだろう。 世界を渡る鍵だなんて。 日本のサクラも、神話の土地も、 たった扉一枚だなんて。]
(180) Noah 2020/09/28(Mon) 00時頃
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だってもう、エンペラーは残ってないでしょ。 日本以外。
[甘いなあ、と漸く、ワインの飲み方をした。 舌の上で転がして、嚥下する。 日本、について語る言葉を、 機嫌よく、頷いて聞きながら。 ヤエザクラ、ソメイヨシノ、シダレサクラ、 耳馴染みのない音を、耳障りだとは思わなかった。 遠い極東の国。同じ島国。 未だに、唯一を頂く国。
いつだかは争ったけれども、 そんなこと、個人には関係なくって。]
(191) Noah 2020/09/28(Mon) 00時半頃
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[見様見真似と、記憶の中の、仕草。 両手を合わせて、じい、と見て。 そのまま、同じ鍵をねだって、 アリガトー、アリガトーを言おう。 約束したんだから、くれるんだろ。の。
圧と一緒に。 そこで漸く距離をとって、ご機嫌に君を見送ろう。
次はきっと、コンニチハを言えるようになっておくよ*]
(194) Noah 2020/09/28(Mon) 00時半頃
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