266 冷たい校舎村7
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たった一つの嘘が忍び込む
嘘はやたらと存在を主張して
楽しさの傍らに立っている
光があれば影が生まれるみたいに
それは しあわせと隣り合っていた
しあわせだよ って
語り掛けるようなゆるい顔
ふわふわの可愛さは
嘘なんてないしあわせを
伝えてくれたことでしょうか
────そんなこと 知る由もない
──── →病院 ────
[ 疲れる、って、感覚は無かった。
ばくばくと鳴る心臓が、
走り続けたせいなのか、
報せのせいなのかわからない。
街の、病院。
養が運ばれたらしいって其処を仰ぐ。
荒く吐き出す息が広がって、
凍えるような冬が 身体を冷やしていく。 ]
[ 待合室で待つことになるか。
身内ではないから、迷惑かもしれないけども。
病院の前。息を整えていたら、
やがて、誰かの足音を聞くこととなるのだろう。
クラスメイト。
あの冷たい校舎にいた仲間。
その姿を見つけたら、少し瞠って。
よ、と。片手を緩く、 持ち上げる。 ]
……灰谷。
養のこと、聞いて、か?
[ あの校舎のことは、
夢か現かも曖昧で。
吐き出せた言葉はなんだか、
不器用な形をしていた。
問うて、また、病院を見る。
相原もそろそろ、来るだろうか。
宇井野は誰が来るのかもわからないし、
養が血まみれだって理由もわからない。
だから、わからないだらけの声は、
どこか曖昧な色を、していたことだろう。 *]
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