191 The wonderful world -7 days of MORI-
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[生き返ればどうなるかは分からない。 男はまた美術品を買いあさるかもしれないし、 怒鳴はまた冷血漢に戻るかもしれない。
でも、それでも。 男が抱いた夢が現実になればいいと、願っていた。
―― だけど、もう叶わない。その願いは途絶えてしまった]
…………こんな事を思うとは、吾輩も老いたな。
[泣き笑いながら怒鳴を見下ろす。 そうして、彼の命が消えるまで、 彼の上体を支えたままずっとその場に座り込んでいた]
(332) 2016/06/15(Wed) 01時半頃
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[ 怒鳴の命が消えると同時。
男の意識もまた闇に落ちる。
―――― 二度と、目覚める事のない眠りに]**
(333) 2016/06/15(Wed) 01時半頃
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[ 欲張りだろうか。怒られるだろうか。 でも、この世界で何日もいて、ずっと戦ってきたから。 自分自身は よく―― 今みたいに、躊躇うことはあるけれど。 実力だって 全然 無いけれど。 それでもちょっとは…信用されていると、 誇り に 似たなにかを 思っていいのかなあって。 さっきといい 今といい。 いつだって己は 浮いたり 沈んだり。してるから。 頑張れるって思えた 今のうちに 言わなきゃって。 自分自身を後戻りさせないためにも、 恐る恐る 言葉を紡ぐ。
……言い出すのに、緊張して。 喉がからからで、冷や汗をかいていたなんて。 それは ちょっと 秘密。 ]
(334) 2016/06/15(Wed) 01時半頃
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[ ――― がり と。
口内 小さくなったミルクキャンディの欠片。
それを砕く音が 響いた** ]
(335) 2016/06/15(Wed) 01時半頃
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[少し前に、フィリップの声が聞こえたような気がする。
それが確信に変わるのはテレパシーが頭に響いてきたから。]
フィリップ クルナ!
[叫んでから、獲物を見繕うように悠々と空を泳ぐその影が
ぐるりと身を翻して今度は圭一に向かって突進していく。
彼に助けられた借りは返さないといけない。
そう思っているのに身体はなかなか動かない。
そうこうしているうちに相棒は息を切らして屋上まで
来ただろうか。]
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……二股?
[待て、それは聞き捨てならない。>>327 だけど、そうか、覚えてやがったか。 実際、勘違いされても仕方ない状況でもあるが。
否定出来ないぞ。 今はまだいい。生き返ったらどうする。 ……また、悩みの種が、増えるのか。]
(336) 2016/06/15(Wed) 02時頃
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[その次の言葉には、悩みよりもまず恐れ。>>330 その次に、虚脱感。 生き返ってしまえば、こんなこともないのだろうけど。]
ああ。 たくさん話せることはあるだろうさ。
[それでも、今は嘘を言いたくはない。 自分はそういった類いの人間ではなくなるべきだ。 死んだ価値が有るのだとすれば、ただその一点。]
(337) 2016/06/15(Wed) 02時頃
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[いや、もう一つ。
成長するための、試練だと思えば。 人智の及ばない、初めての試練だと思えば。
純粋に、嬉しく、楽しく思う。 力を試せる場というのは、やはり。 憧れるものなのだろう。 子供じみた、おはじきのように。
そんな空想の思考の中で、クラゲの雲が暗転する。**]
(338) 2016/06/15(Wed) 02時頃
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─ミタマ電機 屋上─
オマエ ブジ
ナンダヨナ…?
[屋上で再会した彼の首と頭は確かにしっかりとくっついている。
死んでなお負けてなお、用意される舞台に
ただの慈悲だけではないのだと
コンポーザーとやらの話を聞いて
そう思う。
彼の話をテレパシーで伝えようとして
一寸、躊躇う。]
[ヒトに戻りたい トリに戻したい?]
[やりたいことがある 今でもできるんじゃ?]
[生き返りたい また死なせるかも?]
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(―――謝るんじゃねえよ。俺が好きでやったことだ)
(339) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[ぽたり、と。怒鳴の頬に涙が落ちて。 ああ、コイツ泣いてやがるのかと。
本当にテメエはお人好しだなァ。 俺の為なんかに泣いて。
霞んだ視界の中で、 涙を拭う小津の姿>>331がぼやけて見えた]
(340) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[小津の語る“生き返った後のこと”は。 怒鳴からすれば、まったくの夢物語で。
思わず、鼻で笑いたくなってしまうような。 そんな―――]
(……そんな未来が、あったら良かったのになァ)
[気付けば、怒鳴の目からも涙が溢れていて。
コイツに負けず劣らず。 自分もとんだ“お人好し”になってしまったものだと。 震える口の端をやっとのことで上げた。
それはなんとも、ちぐはぐな笑顔]
(341) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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(俺の為に泣いてくれる奴が、まさかいるだなんてなァ)
(342) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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[最後の最後くらい。 少しくらい自分に素直になっても良いと思った。だから。
そっと小津にそう語り掛けると。
静かに目を閉じて、怒鳴は事切れたのだった。 1度目の死に顔よりも、どこか満足そうな表情で。
かつて冷血漢と呼ばれ、 優しさの欠片も持ち合わせてなかった男は。
こうして、最期に。人の温かさを知った**]
(343) 2016/06/15(Wed) 03時頃
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