278 冷たい校舎村8
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[胡乱気な顔をする息子を、母は無表情で見つめ返している。 深い皺の刻まれた頬がかすかに震えて、 けれど母はそれ以上言葉を発さず、台所へと歩いていった。]
(348) さねきち 2020/06/26(Fri) 19時半頃
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[たった一人の食卓で、辰美は茫然と食事を見下ろしている。 薄く湯気の立つ味噌汁を一口すする。 ぽたぽたと、その液面が波打った。]
………………おせぇよ。
[かろうじて吐き出せた恨み言はそれしかなかった。
今それを言えるなら、どうして。 ……………できなかったんだろうな。 様々な諦念と怒りと悲しみと、安堵が渦を巻いて ようやく辰美は、声を押し殺して泣いた。 白く冷たく朝陽がさしこむ居間の中。 棚に置かれた七五三の写真が―― 家族で笑っている写真が、朝日に白く滲んでいた。]
(349) さねきち 2020/06/26(Fri) 19時半頃
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[……それが、少しだけ前に進み始めた辰美幸俊の話]*
(350) さねきち 2020/06/26(Fri) 19時半頃
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――お見舞い――
[さて。葉野紫織が回復したのは いつ頃のことになっただろうか。
若林先生から面会しても問題ないと聞けたなら、 きっと辰美は、その病室を訪れて 和菓子のお土産を渡したあとこういうだろう。]
わがままなお嬢さんが帰ってきててよかった。 安心したわ。
まあ、聞きたいことはありはするけど………まず。
[辰美はおもむろに口を開く。]
(351) さねきち 2020/06/26(Fri) 20時頃
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――――つきあえ、はの。
(352) さねきち 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[直後、辰美が出してきたのは 黄冬高校から少し外れた場所にある 女子向けのカフェ…………の割引券であった!
クレープ・パフェ・パンケーキ・その他スイーツ完備! 店の目玉は動物の形に切り抜かれたケーキやグミ、アイス! かわいい!が形になった 女子のための女子による女子の店である。]
偶然手に入れたけど俺1人で行くの辛い。 なんでもするって言ったよな? ……退院したら。 てか、試験終わったらとかでもいいから。
[言ってはいなけれど、書いていたので、 辰美は受験も迫るだろう葉野に そんな無茶ぶりをしたことだろう*]
(353) さねきち 2020/06/26(Fri) 20時頃
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さて、何から書こうか。 君に直接おかえりなさいを言う前に、 ひとつ謝るべきことがある。
(354) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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単刀直入に言うね。 ごめん、訂正します。>>5:*0 いずれバレるから嘘なんだよ。 最後までつきとおせる嘘なんてきっとない。
(355) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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少なくとも、礼一郎にとっては。 今、この瞬間からそういうことになる。
(356) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 電車に揺られている。]
(357) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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── / ──
[ 扉を挟んで距離を取るように、 妹とふたり電車に立っている。
礼一郎は単語帳をめくっていて、 妹は、ただじっとしている。
面接だか面談だかに呼ばれていた。 礼一郎がその団体に連絡を取った。
今、入れますか。 妹が虐待を受けています。と言ったら、 会ってくれると言われたので、
遠く、かはわからないけれど、 別の町を目指して電車に揺られている。]
(358) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 学校の帰りに約束をして、 ふたりで駅に向かって歩いた。
妹の歩みがあんまりとろくて、 礼一郎は苛立ってその手首を掴んだ。
簡単に握れてしまう細い手首を、 歩幅を合わせるということもせず、 引っ張るみたいにして歩いていく。
妹はお金を持っていないから、 ふたりぶんの切符を礼一郎が買った。
たぶん、はじめて並んで歩いて、 はじめてふたり並んで電車に乗った。]
(359) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 15歳以上という線引きに、 妹はかろうじてぶら下がってて、 手順とかをよく知らない礼一郎は、 正直ちょっとだけ安心した。
逃がしてやると言ったんだから、 礼一郎はそれをまっとうすべきで、 でも、未成年と保護者の繋がりは深い。
辛うじて見つけてきた答えが、 正しいのかも、正しくないのかも、 それを妹が望むのかどうかさえ、 礼一郎にはわからないけど、
少なくとも、 自分の吐いた言葉の回収はした。 ──と、礼一郎は信じるしかない。]
(360) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 15歳以上だから、 妹は自分でそこに入ることを選べる。]
(361) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 礼一郎も、家に帰ることを選べる。]
(362) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ 一人ひとりに弁護士が付くとか、 そこにずっと住むことにはならないとか、
HPにも書かれていたようなことを、 今度は他人の肉声で聞いていた。
ふたりで並んでいたとき、 別室に移っていく前、 妹が様子を探るように見上げてくるのが、 礼一郎には非常に気分が悪かった。
舌打ちをしそうになるのを、 家の外だからとかろうじて堪えた。]
(363) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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[ なのに、礼一郎の視界から消えるすんでのところで、 妹が立ち止まって、あんまりじっと礼一郎を見るから。]
(364) nabe 2020/06/26(Fri) 20時頃
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思ってもいない「 ごめん 」なら、 言わない方がマシなんだっけ。 形だけでも言うべきだったかな。 でも、礼一郎は言いたくなかった。
(365) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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…………早く行けよ。
(366) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 数秒、見つめあって。 妹の背中が扉の奥に消える。]
(367) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ そこから先は、礼一郎の知らない話。]
(368) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ ……知らなくていい話、だそうで。]
(369) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ それは妹と第三者が取り交わす契約だから。
今日こうやって訪れた場所と、 住むことになる場所はまた違うんだそうで、 妹がどこに行くのか知る権利は礼一郎にない。
待ち伏せ。尾行。 そういうことができないように、 礼一郎はそこでしばらく待つ必要があって、 指示されたからには従順に、 ぼんやりとそこに座っていた。]
(370) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 残されたスタッフが気を遣うように、 礼一郎を責めるんでもなく、 あるいは刺激しないように?
礼一郎も大変だっただろうとか、 その決断は間違いではないとか、 知ったような口をきくから、]
……いえ、別に。
[ ──と、礼一郎は静かに答える。]
(371) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 礼一郎は別に、心を痛めたことなんてないし、 妹のために何かをしようってわけじゃない。]
(372) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 単に、諦めがついただけだよ。]
(373) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ 礼一郎が礼一郎として生きてくには、 正しいこと以外も背負っていくしかないんだよね。]
(374) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ それだけのこと。それだけのことだけど、 友だちが死にかけて、あの場所に行って、 礼一郎はようやく諦めがついた。決心がついた。]
(375) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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[ だから、礼一郎はあの場所と、 あの時を共した友人たちに心から感謝している。]
(376) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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…………嘘じゃないよ。
(377) nabe 2020/06/26(Fri) 20時半頃
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