15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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[>>219頷くチャールズは静かで。 今の状況でも、落ち着いているように見えた。 その心の奥は窺い知れぬ、けれど。
既に狂う余地を無くしている自分には、それは強さに思えた]
……あ。
[ふと、転じた視線が捉えたもの。 小さく上がる声と、瞬き。 見えたのは、シィラの出した棘。>>220]
あぶ、な、い?
[掠れた声で呟くけれど、動けない。 背が酷く張っているのがわかったから、緑色の上着を脱いだ。
ばさり、と広がるのは、あかいいろ。 羽を散らしてゆく、紅の翼。 その色の中に埋もれるように、ぺたり、とそこに座り込んだ**]
(226) 2010/07/23(Fri) 00時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2010/07/23(Fri) 00時頃
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>>144重い…? こいつが…?こいつの存在が…?
[相棒をじっと見つめるマーゴの言葉に、そっと相棒を指でなぞる。重い…の言葉に、鈍重に首を振る。]
ああ、こいつを背負う…のは、重くない。 俺達は出逢ったときから、どちらかが背負うことになっていたのだから…。
[それは、まだ彼が山師修行中のこと…]
(227) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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―遠い過去・当時、住んでいた村―
[崩壊が進んだ世界の中、平等に自分の村にもそれは訪れた。突如降り出した赤い雨に村は腐り、浴びた村の人々は、時を待たずして狂い始めた。
気づけば、村中にはびこる一面に人の成りをした異形の面々。何とか雨を凌いでいた生存者たちも、連鎖は連鎖を呼ぶなかで、次々、紅い手に紅い手を取って行った。
気づいたら村に生気は無く、ほんの数時間で雨は見事なゴーストタウンを作り上げた。村人―いや、多くの異形達は新鮮な食べ物を求め山へと入って行った。
奇しくも、山小屋に居たガストンはそれを避けることは出来た。粗末な小屋から見えるは溶けた家屋、焼けた母屋、ただれた人型、腐敗の道化。
その光景に言葉を失った。案外とっととあれの仲間入りをした方が、何も考えずに済んだかもしれない、と、血塗られたご近所に向かって吐き捨てた。]
(228) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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[ ―ここに居たら奴らの仲間入りだ。それだけは勘弁だ。 ―なら、多分、生き延びなければならない。
手持ちの武器―斧の類と保存に適した食料諸々、切り札の武器を一つ手に小屋を出る。
眼前に広がるは、用意の間に更に近づいている異形達。 自分を襲ってくるような錯覚を帯びていて―事実かもしれないが―恐怖に足が竦む。
―突破するには、一人じゃ無理だ…! ―だがこのまま居てもどっちみちやられる。
未来が見えるその現実に、歯軋りをする。 一人堕ちる絶望の中、裏の茂みから現れたのが、熊―。]
(229) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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>>223
……ばか、だな
[ぺし、と頭を撫でた。]
一人で背負、のが しんど…事だ、て……るだろ
そんな、完璧……に 綺麗、なれる訳、ない
[そう、どちらでもない。]
誰かの心を 求める、のが
……ひととして、普通、の事
(230) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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[突如現れた獣に、向こうからすれば人間に、思わず構えを取った。獣の向けられた威嚇にも、何か鬼気迫るものを感じ取った。
だが、獣は自分から異形へと顔を向けた。それに習って、自分も異形に視線を向けた。 振り向きなおして合った視線には、戦いの意志は無かった。
お互い一言も発さず、向きなおしたのは村の先の谷。その行動が、一人なら死ねる、だが、二人ならどうだろう、視線はそう投げかけたように見えた。
―死ぬにしろ、こんな死に方は勘弁したい。なあ、そうだろ?
物言えぬ獣が、僅かに唸った。肯定してるかのようだった。ただ生き延びるためだけに、手を取った。
それから、その獣は"相棒"になった―]**
(231) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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ボク みたい?
ねぇ、どうして気付いてくれないの?
どうして?
[そうして、ただ受け入れられない現実を見る。
撫でられたネコミミトカゲは不思議そうな顔を見せる。
見えない少女の傍らで。]
そう。
私が視えないのね。
ソフィアも、アリーシャも。
[泣き出しそうに潤んだ瞳。]
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……――同情する程、甘くは
ないから
お前は、ちゃんと ラルフと、向き合え
[……耐え兼ねて、やけに重い咳が零れた。]
(232) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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[眠る少女の躯に咲いた花は色を段々と褪せさせていった。
涙が毀れ落ちる直前。]
アリーシャ…。
[微笑むアリーシャと、瞳が合った。
そんな気が、した。]
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おやすみ、ポーチュラカ。
[ふ、と息を吐く。一度だけ振り返って、部屋を出た
中庭の方向は、歌と、異形の叫び。行くにも行かれず、ただ壁にもたれかかって、成り行きを見守る]
(@8) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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>>230>>232
普通のこと…… 普通……
普通と思っていいのかな。
[頭をはたかれて、少しだけ我に返る。 そして、フィルの顔を見た。]
ラルフに向き合え?
[目を瞬かせる。]
――……
[そして、ラルフの遺体に会いにいくのを了承する。 同時に、その気配もさっきから、感じているような気もするのに。]
(233) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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[語りかけた相手は、もう言葉も紡げないか。 ただ向けられた満足そうな微笑みに チャールズは眼を細めた。
背後でシィラの羽ばたく音が聴こえる。 危ないという声も。
けれど、チャールズは振りかえらない。 そうしないのは、ベネットとの別れを惜しんでいるからか ―――……それとも。
眼前に紅い羽が舞う。 シィラの狙う獲物は、果たして誰か。 自分であれば良いと願う気持ちが チャールズにないとは云えなかった。]
(234) 2010/07/23(Fri) 00時半頃
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フィリップは、口を押さえ付けて、嫌な感触を、飲み込んだ**
2010/07/23(Fri) 00時半頃
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>>233 [ヨナに幾つか頷いて見せて、手を引いて。 異形の声を警戒しながら、近くの部屋へと連れて行った。]
入…前に、約束
自分、責めな、い事……あと
心を、逸らさない、事
あの怖がりが、逃げ出さ、いよ…に ちゃんと
[そうしてドアを開ける。
生憎、ベッドが全壊していたから、床に布を敷いて。 顔や体を綺麗に拭って、肩から下に掛け布をして。
まるでそこに、眠らせるように、してある**]
(235) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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[相棒との馴れ初めを耽ていれば、途中コリーンの歌声が聞こえてきて。
ざわりと。
響く歌に反応する心に、彼女の歌は、まだ綺麗に聞こえている"だけ"なのだろうかと、自問する。]
>>191>>194おいっ、そんな体で何処に行く…!
[突如起き上がるマーゴに、慌てて反応する。 手を取ろうとしても、弾かれてしまっただろう。]
(236) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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― ラルフの眠る部屋 ― >>235 [フィルに手を引かれて、そこに向かう。]
あ……
[見ると、彼はそこに眠っていた。 そう、今までで一番、安らいだ顔をして……。]
――……
[そう、今までもたくさんの死を見てきて…… そして、泣いてきたのだけど。]
ラルフ……
[本当に、止まることない涙が……
まるで泉のように。]
(237) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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ヨーランダは、よろよろと部屋に入っていく…そして、その遺体の傍に・・・。
2010/07/23(Fri) 01時頃
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――……ラルフ
左手を 見せて
[砂で消えたそこを欲する。 そして、やっぱり、泣いた。]
(238) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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アリーシャ。
私の初めてのお友達。
一番に大好きよ。
私の精霊さん。
[たった一粒零した涙。
けれど、少女は笑顔であった。
それは幸せそうな、安らかな。]
[ 約束という呪いが影を動かす ]
[ 気配の手は冷たかっただろうか、温かだっただろうか ]
[ それは彼女の望む通りに ]
[そして]
[ 背後から伸びたその両腕は、
薄い肩を交差して、ヨナの両目を覆い隠そうとする ]
――……泣かないで、ヨナ
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[>>171何かの強烈な絶叫が城内に響き渡った。]
!!??
[斧を取り出し、周囲を見る。その様は怯えに近い狼狽を宿して、さながら食物連鎖の"食われる側"を髣髴させるだろう。]
あれは―
[窓の外を見れば、ほんの僅かでも、中空を浮かぶ大きな異形が見えただろうか。遠めに見えた形から、なんとなしヨーランダから聞いた姿かたちが想像され―]
あれが、シィラ―。
(239) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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はは…あんなの。 襲われたら、どうにか、できるのか…?
[どうしようもない、と言う諦めの単語を我慢という水を嚥下し抑え込む。
此処から離れたい気持ちが、体を部屋の外に押し出した。]
(240) 2010/07/23(Fri) 01時頃
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ガストンは、そのまま廊下を転るように移動しただろう。 ―回想おしまい―**
2010/07/23(Fri) 01時頃
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[目がふさがれたような気がした。 涙が一瞬、流れを止めて…。]
――……
[ラルフの遺体をまた見てから。振り返る。 そこにいるのはフィルのはずなのだけど……。]
(241) 2010/07/23(Fri) 01時半頃
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私が視えていなくてもいいの。
ソフィアも大好きよ。
私のお友達、大事なお友達。
みんな、みんな、大好き。
[やっぱり花《ポーチュラカ》の微笑みを携えて。]
視えてなくてもいいの。
慣れているもの。
誰にも見られず、相手にされず。
そうやって生きて来たのだから。
[淡く淡く、胸元の花が褪せていく。
淡く淡く、胸から落ちた記憶が戻っていく。]
[ ふりかえれば、
影は彼女が望むように、そこにあるだろう ]
[ そして ]
ヨナ、俺は死んでいないよ……
君がそう言わなければ、死なない。
――……だから、泣かないで
俺は死んでいない。
[ 声音は 囁き 再びその腕を伸ばす ]
チャールズは、叶うなら、ベネットを抱きとめて*その場に*
2010/07/23(Fri) 01時半頃
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――…死んでいない?
[その青色が微かに見開いて……]
死んでいない……死んで……。
[その眸は、左手が刃でない、その姿を捉える。]
――…ラルフ……。
[フィルがそこにいるなら、どんな風に見えているのか。ともかく……]
(242) 2010/07/23(Fri) 01時半頃
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――……よかった……。
[そして、今までで一番の笑みが漏れる。]
(243) 2010/07/23(Fri) 01時半頃
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[セシルへの涙が尽きると零す吐息が震えた。 声が、聞こえる…責める声。遠くから、記憶から。 これは――…ベネットの声、 一人では死ぬこともできぬと、そう責める。
―――…私は… ターリャじゃないわ…
もう、声にはならない。紺の瞳をゆっくりと閉じて。 連れて行ってはくれないと、彼は責める。
―――…なら… あなたが死ぬ時は、 私を連れて行ってくれるの…?
生きて欲しいと、世界を書き留めて欲しいと。 彼にはそう願うのに―――…願う のに。**]
――――…独りは …いや…
(244) 2010/07/23(Fri) 02時頃
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驚かせること、好きだったわ。
怒られるなら、怒られたかった。
お話したかった。
遊びたかった。
手を繋いで欲しかった。
だいすきって
抱きしめて欲しかった。
呪われた、この躯がいけなかったの。
[触れるのは自分の冷たい躯。
動かず冷たい、呪われた躯。]
[その影は微笑むヨナに、優しげに微笑む。
伸ばした両腕は彼女を包み込むように抱きしめて]
[ 視界を、世界を閉ざす ]
――…うん、泣かなくていいんだよ。
あんまり泣いたら、涸れてしまう。
もう大丈夫だから。
ずっと傍にいるから。
ヨナ、辛いことは全部忘れてしまえばいい。
嫌なことがあったら俺に教えて、君を護るから……
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>>242>>243 [ヨナがとめどなく泣いて。 死んでいない、と。 ラルフの名を呼んで、幸せそうに笑うのを見て。
フィルは、かたく目を閉じる。 ……生きる事と死ぬ事の線引きに、囚われているから。 ラルフのたましいに気付く事が出来ない。
思いを全部、呑んで。 佇む。]
(245) 2010/07/23(Fri) 02時頃
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