278 冷たい校舎村8
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ナツミが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、アトレイユ、タツミ、レイ、セイカ、マナ、はのん、ジェルマン、レン、千早、ココアの10名。
一向に雪が弱まる気配はなく、
ただ時間だけが淡々と過ぎていく。
夜が更けても文化祭は終わらない。
きらびやかな装飾、美味しそうな匂い。
君たちの五感に楽しかったあの日を届け続ける。
(#0) 2020/06/16(Tue) 00時頃
一転、そこに不似合いな音が響く。
(#1) 2020/06/16(Tue) 00時頃
──ガシャン!
と、何かが壊れる音が君たちには聞こえる。
この校舎にいるのなら、聞こえるだろう。
(#2) 2020/06/16(Tue) 00時頃
キーンコーンカーンコーン…………
(#3) 2020/06/16(Tue) 00時頃
再び、明るい音楽を冷たい校舎を満たしていく。
(#4) 2020/06/16(Tue) 00時頃
──体育館、扉付近。
そこには血を流す誰かの死体──ではなく、
一体のマネキン人形が転がっている。
制服を着て、髪をひとつに結っている。
女子生徒の姿の人形だ。
周囲の床、壁には赤色が飛び散り、
まだ乾ききっていない様子でてらてらと光っている。
(#5) 2020/06/16(Tue) 00時頃
明らかに人間ではないその存在だが、
割れたような傷から溢れだしているのは、
インクなどではなく、まだ温かい血液である。
その人形の髪型や服装、体格、
はてにはどことない雰囲気に君たちは覚えがある。
……同時に、七星夏美が見当たらない。
(#6) 2020/06/16(Tue) 00時頃
────午後8時50分のことだった。*
(#7) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[嘘を吐いて、口の軽い子たちのせいで噂が燃え広がって、 その節は大変ご迷惑をおかけいたしました。
だから、今更本当のことを打ち明けたらまた怒られるかもしれませんね。]
(0) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[好きな人がいました。]
(1) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[……好きな人、だったんです。]
(2) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[名前はワカナ。3年1組の若菜ちゃん。 わたしよりも美術のセンスがあって、はっきりとした夢を白紙に書いていた子。 好きな色は黄緑。
いい意味で面倒見が良くて、いい意味で適当。 「まったく、しょうがないなぁ」って呆れながら、 嘘吐きのわたしと一番長く友人関係でいてくれた子。
CGを作れる部活がしたいって言い出して、わたしはその話に乗った。 趣味仲間でもあった。
卒業したら2人でデザイナーやろうって、 未来の話を何も疑うこと無く話してくれた。]
(3) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[黄緑色は、紫色の補色。 ふたつを混ぜ合わせたら灰色になる。
わたしという嘘のキメラを、 打ち消して、溶かして、赦してくれる。
そんな人。]
(4) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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— 校舎の変化 —
[新たに増えた4Fの、更に上に階段が続く。
校舎の5階。増える虚構。 そこは、3階をコピー&ペーストした4階を、更にコピー&ペーストした階層。 同じように、天井や壁には赤いインクがぶちまけられている。
しかし、4階よりはコピーの精度が雑になっており、 音楽室や美術室が2つあったり、女子トイレが3つ並んでいたり、 部屋の数がなんだかおかしなことになっている。]
(5) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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[1階に、下りの階段がいつの間にやら出来ている。
そこを下りると虚構の地下1階に辿り着く。 構造は1階をまるっきり写し取ったものだ。
地下だというのに窓の外は明るく、吹雪の景色が見える。 扉が開かないのは1階と全く同じ。 昇降口に撒き散らされた黒いインクも、そのまま同じだ。
ただし、ここにも壁や天井に赤色がばらまかれており、 更に、床には黄緑色のインクが散りばめられている。 部分的に赤や黒と混ざり合って、毒々しい配色になってしまっているだろう。]
(6) 2020/06/16(Tue) 00時頃
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師範棋士 千早は、メモを貼った。
2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[助けに来た>>1:1171、という誠香の凛とした声が 俺にはまるで女神のように聞こえたんだ]
(7) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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―― 少し前 / トイレにて ――
[バーン、と 思い切りドアの開く音が響いて 俺は目を丸くした。
床に尻餅をついたまま、誠香を見上げる]
だって。俺。
[しどろもどろになって言葉に詰まる俺の顔は、 きっと涙で化粧もぐちゃぐちゃで、 世界で1番ブサイクだ]
(8) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[扉の向こうが露わになった。 そこに立っているのは、怒った顔をした辰美だ。
付き合いが長いから分かる。 心から俺を心配して、そして腹を立てている。 いつもは表情の変化が少ない厳つい顔に、 確かに強い感情が浮かんでいた>>1:1183]
……ごめん、辰美。
[何に対しての謝罪なのか、自分でも分からなかった]
(9) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[辰美に相談をしなかったことに対して? それとも、手を振り払って辰美を傷つけたことに対して?
――どちらにせよ、俺はサイテーだ。
なにかを察したように 去り際に悪態と共に伝えられた音楽室の状況に、 罪悪感が募った。
そのやさしさに、今は甘えるしかなくって]
(10) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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……ぅ、
[再び、涙が溢れてきて 俺は弱々しくと立ち上がると よろめくように思い切り誠香を抱き締めた。
怖かった。あのときも、ずっと。 扉を開けて助けに来てくれる誰かを、 俺は待ち望んでいたんだ]
(11) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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架空惑星 レンは、メモを貼った。
2020/06/16(Tue) 00時半頃
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ぅああああああ、あああ。
[そうして、わんわんと泣いた。 まるで子供みたいに。恥も外聞もなく]
……ぅ、助けに来てくれて、ありがと。
[上擦った声で、泣いて。 きっと泣き疲れて、落ち着いた頃に]
(12) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[――――そのチャイムが響くのだろう]*>>#3
(13) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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CC レイは、メモを貼った。
2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[ 息ができないくらいに苦しかった。 ]
(14) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[ 前がよくみえない、汗がしたたるから。 どすどすと響く、廊下を踏みしめる音。 うるさいなあ、って自分ながらに思う。 お揃いでむすんでいたポニーテイルは、 もうぐちゃぐちゃに崩れてる。
まって、どうしたの、なにがあったの、 遠くて聞こえる、何かの壊れる音。>>1:1165 わかんない、わかんないなあ。 ]
(15) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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───まなちゃん、なっちゃん、は?
[ 家庭科室に残されているのは、 割れたお皿と零れたシチュー。
そして、心乃が体育館にたどり着いたのは 夜の学校に不似合いなチャイムが鳴った少し後。
扉の前で、座り込む友人を見つける。>>1:1173 乱れる呼吸を整えながら、ゆっくりとちかづいて、 そうして、 ]
(16) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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……なあに、これ
[ まなちゃんの座り込む先、 床にある何か≠おろしていた。 ]
(17) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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[ お揃いのポニーテイル、同じ制服。 この背格好に、見覚えがある。
あたりに散らばる、真っ赤ないろ。 体育館の中に、きょろ と視線を泳がせて すぅ、と息を吸い込んだ。 ]
な、っちゃん?
[ ばくばく、どきどきと脈打つのがわかる。 さっきまで全力疾走してたせいなのか、 それとも、めのまえの状況のせいなのか。
しゃがみこんで、なっちゃんの身体に触れる。 ]
(18) 2020/06/16(Tue) 00時半頃
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