279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
[ 越えた夜の数だけ並んだ5つのカップが、 終幕を告げるモニターに照らされることはなかった。
清掃ロボットが攫った残り香も、 青い星へ辿り着く頃には誰に知られることなく薄れ、 消えていくだろう。
遺骸はない。荷物もなかった。 何もかもが曖昧なまま、 対外用遮断装備(ぬけがら)だけが家族の下へと帰る。
成果はない。約束も潰えた。 帰還を告げる声は、誰の耳にも届かない。]
(5) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時頃
|
|
― ????? ―
[ 青い星より燻んだブルーが広がるモニターの中、 幾重にも積み重なったウィンドウが ふつりふつりと解けて消える。 それは水の中、泡が弾ける様子に似ていた。
必要な荷物はすべて、先に送ってしまっていたものだから。 辿り着けなかったその場所には、 研究データの他に、家族の写真がいくつも浮かんでいた。
あの子の内側を覗いているようだ、と誰かが言った。 コンソールに誰かが両手をついたのだろうか。 モニターが揺れる。データが削除されていく。 肯定も、非難もなかった。否定もない。]
(6) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時頃
|
|
[ ……――浮遊種における自我の形成と物体化の関連性については、未だ立証には至っていない。 しかし先日起きた、多数の協力者の小惑星(はは)への回帰により、その可能性は大きく上がったと言えよう。
本来形を持ち得ない者たちが、興味あるいは好奇心によって姿を得る。 それは遠い存在からの歩み寄りであり、侵略であるとも捉えられた。
故に、我々が為すべきは、――……]
(7) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時半頃
|
|
[ 揺れれば、消える。過ぎれば、掠れる。 ガスがスキャンを阻害するという嘘(やさしさ)に、 あの子はどこまで気づいていたのだろうか。
わす はなれたくないと零れた声に、 それでも優しさの外側(しんじつ)へ踏み出した強さに、 生きて欲しい願うしかできなかった己の無力さを知る。
いつかを語るあの子へ、 誰も綺麗事だと笑わなかった。 誰も夢物語だと諭さなかった。
我々には、できなかった。 研究者なのに。しっかりしてよ。 そう告げるあの子は。本当に、どこまで。]
(8) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時半頃
|
|
[ 顔がひとつ消えて、実験データがひとつ弾ける。 遺骸なきあの子の形が、またひとつ、見えなくなる。
それでも、あの子の残したすべては、 先の未来、必ず種の助けになるだろう。 その時、先駆者(あのこ)はどこにもいないけれど。 それはきっと、特別なことではない。
妻と息子によく似たあの子の顔を思う。声を思う。 共に過ごした数年(いのち)は、この頭の内に、在った。]
(9) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時半頃
|
|
[ 肺深く息を吸うと、冷たい鉄と微かな埃の匂いがした。 それと同時に、終了を告げる電子音が鳴る。
重力下での作業を終え、伸びをした。骨の軋む音がする。 送った時と同様、遠隔操作で済むことだった。 不合理な来訪に疑問を呈す者はいない。
かえろう、と誰かが言った。 かえろう、と誰かが返した。
――願わくば、 熱く震えるあの子の頭に、ぽっかりと欠落した胸中に、 さいごまで、残るものがありますように。
誰もが一度振り返り、救いを抱いた。 その答えは道の先にしかない。 ならば、立ち止まることのできなかったあの子のように、 進み続けるしかないのだろう。
足を、踏み出した。]
(10) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時半頃
|
|
[ 辺境の星の端に、使われなくなった研究所がある。 宇宙(そら)より暗い画面には、もう何も*映らない。*]
(11) Pumpkin 2020/09/10(Thu) 21時半頃
|
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る